勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:ロシア経済ニュース > ロシア経済ニュース時評

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    EU(欧州連合)は、12月5日からロシア産原油を輸入禁止にする。これに合わせて、原油価格の高騰を防ぐために、ロシア産原油価格に上限制を決めた。1バレル60ドルにし、価格上限を市場価格より少なくとも5%低く保つことになった。この決定に、G7と豪州が賛成している。

     

    価格が上限を下回っていない限り、海運や保険、再保険会社がロシア産原油の貨物を扱うことを禁止する。主要海運企業や保険会社は、G7各国に拠点を置いているため、価格上限設定によりロシアが原油をより高い価格で販売することは極めて難しくなる。海上保険がつかないロシア産原油の輸送は、リスクが余りにも高くなることから、事実上の輸送禁止になるもの。ロシアにとっては、大きな打撃だ。

     

    『ロイター』(12月3日付)は、「EU、露産原油価格上限で週末にも正式合意 禁輸後の高騰阻止」と題する記事を掲載した。

     

    EU(欧州連合)は2日、ロシア産原油の輸入価格に対する1バレル=60ドルの上限設定で合意した。承認を保留していたポーランドが支持に転換したことを受け、週末にも正式承認される見通し。

     

    (1)「ポーランドのアンジェイ・サドスEU大使は2日、記者団に対し、価格上限を市場価格より少なくとも5%低く保つとの条件が含まれた合意に賛成すると表明した。ポーランドは、ロシアの戦費調達を制限するため上限をより低く抑える調整メカニズムの検討を求め、提案された水準に抵抗感を示していた。価格上限の設定は主要7カ国(G7)の提案で、ロシアの原油収入を減らし、EUが12月5日にロシア産原油禁輸を開始した後の価格高騰を防ぐ狙いがある」

     

    ロシア産原油価格の上限制を最初に提案した米国は、EUの決定を歓迎している。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、記者団に対し「価格上限はプーチン氏が石油市場から利益を得て罪のないウクライナ人を殺し続ける戦争マシンに資金を供給し続ける能力を制限するのに資する」と指摘。1バレル=60ドルでの価格上限は適切な水準で、望ましい効果を及ぼすとした。また価格上限には2つの意図があり、一つはロシアが石油市場から利益を得ることを制限すること、もう一つは需給のバランスに役立つこととした。『ロイター』(12月3日付)が報じた。

     

    (2)「EUの輪番議長国を務めるチェコの報道官は、加盟27カ国全てがこの協定を正式に承認するため書面による手続きを開始したと明らかにした。4日に正式発表される見通し。フォンデアライエン欧州委員長は、上限の設定はロシアの収入を著しく減少させるとの認識を示した。また、市場の動きに対応できるように60ドルの上限の調整は可能とした上で、「世界のエネルギー市場を安定させる」という見通しを示した」

     

    ロシア産原油価格の上限制は、60ドルで固定せず調整が可能になっている。これにより、世界のエネルギー価格は安定するとしている。

     

    (3)「先週のG7の当初提案では、価格上限は1バレル当たり65~70ドルとし、調整メカニズムの設定はなかった。ロシアのウラル原油はすでにこれを下回って取引されていたため、ポーランド、リトアニア、エストニアは上限価格の引き下げを求めていた」

     

    価格の上限を巡っては、ギリシャのように70ドル以上を主張する国もあった。ギリシャは船主が多いので、高価格のほうが運賃も上がるからだ。だが、バルト三国のようにロシアへ強い反感を持つ国々は、60~65ドルを主張。結局、最低ラインに落ち着いた。

     

    (4)「G7の価格上限は、EU域外の国々がロシア産原油の海上輸入を継続することは認めるが、価格が上限を下回っていない限り、海運や保険、再保険会社がロシア産原油の貨物を扱うことを禁止するもの。主要海運企業や保険会社は、G7各国に拠点を置いているため、価格上限設定によりロシアが原油をより高い価格で販売することは極めて難しくなる。米ホワイトハウスは2日、これを歓迎し、ロシアの収入に対する制限につながると引き続き確信しているとした」

     

    原油輸送には、海上保険が不可欠だ。主要保険会社は欧州に存在するので、EUのロシア産原油価格の上限制は、決定的な意味を持つ。EUの決定が、保険会社を拘束するからだ。

     

    (5)「ロシア下院外交委員会のスルツキー委員長は2日、EU(欧州連合)はロシア産石油に価格上限を設定することにより、EU域内のエネルギー安全保障を危険にさらしていると述べた。タス通信が報じた」

     

    ロシアのプーチン大統領とドイツのショルツ首相が12月2日、電話会談した。ロシア大統領府によると、プーチン氏はウクライナに関するドイツなどの西側の対応は「破壊的」だとし再考を求めたという。今回のロシア産原油価格の上限制について触れていないが、「破壊的」という意味にはこれも含まれているであろう。

     

    テイカカズラ
       


    ロシアのウクライナ侵攻開始後、すでに9ヶ月が経過した。ロシア軍とウクライナ軍の双方におびただしい犠牲者が出ている。これまで、米英の軍事専門家からはロシア軍の犠牲者が約8万人と推定されてきた。ウクライナ高官が、現地のテレビで初めてウクライナ軍の犠牲者が最大で1万3000人と発表した。ロシア軍については、10万人の犠牲者が出ており、これ以外に負傷・行方不明などが10万~15万人もいると語った。

     

    ロシア軍の犠牲者が、ウクライナ軍に比べて桁違いに多いのは、兵士の生命を無視した戦い方にある。兵士を「弾避け」に使うという残酷な戦闘方式を採用しているのだ。ロシア軍は数カ月にわたって東部ドネツク州バフムート周辺を攻撃しており、最近では新たに動員された経験に乏しい部隊を前方に送り込んでいる状況だ。この攻撃は、軍事的に意味のない戦い方と批判されている。ロシア軍内部での功名争いの一環とも見られるほどだ。

     

    英国『BBC』(12月2日付)は、「ウクライナ兵の犠牲者、これまでに13000人ーゼレンスキー氏側近」と題する記事を掲載した。

     

    ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めるミハイロ・ポドリャク氏は12月1日、犠牲になった兵士は1万~1万3000人だと、ウクライナのテレビ番組で発言した。ウクライナが死者数を明らかにするのは珍しい。また、ポドリャク氏の発言はウクライナ軍が裏付けたものではない。ポドリャク氏は6月の時点で、毎日100~200人のウクライナ兵が亡くなっていると話していた。

     

    (1)「11月には米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が、侵攻開始以来、ロシアとウクライナでそれぞれ10人の兵士が死傷していると述べていた。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は11月30日のビデオ演説で、ウクライナ兵10万人が殺されたと発言。しかしその後、報道官により、これは負傷者も含めた数だと訂正された」

     

    これまで、ウクライナ軍の犠牲者数が明らかにならず、ロシア軍の犠牲者数が報じられてきた。ロシアが、30万人の動員令を出した裏には、相当数の死亡・負傷・行方不明などが出ていることを予想させる。

     

    (2)「1日にウクライナの「民放テレビ24」に出演したポドリャク氏は、「ウクライナ政府は死者数についてオープンに話している」と述べた。「参謀本部による公式の推計と、総司令官(ゼレンスキー氏)による公式な評価では、1万人から1万2500人、1万3000人が亡くなった」。また、殺害された民間人の数は「非常に多い」と付け加えた。この数字は現在、さらに増えているとみられる」

     

    ウクライナ軍は、開戦当初の後退が多かった。これは、兵士の「人命尊重」を第一とする戦術と説明されて来た。ウクライナ軍は、ロシア軍の損耗率が30%に達した5月の時点で、ロシア軍の戦力が大幅に低下したと判断し、反攻作戦を作成して奪回作戦に転じている。

     

    (3)「ロシア軍の損害についてポドリャク氏は、死者10万人と推定。さらに、負傷者や行方不明者、戦闘に復帰できない10万~15万人としている」

     

    ウクライナは、ロシア軍の犠牲者を10万人と推定しているが、犠牲者の多いことは事実である。これが、ロシア軍の士気を引下げている理由だ。ウクライナ軍が設けている「ロシア兵への投降呼びかけ」に対して、多くのロシア兵が問合せしている。特に、戦闘が止む夜間に入ってからの問合せが多いという。「どうすれば、投降できる」という問合せだ。

     

    米シンクタンク戦争研究所(ISW)は11月30日、ウクライナの戦況をめぐり、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州バフムート周辺で戦力を消耗しているとする分析を公表した。

     

    バフムートは東部地域の交通の要衝。ISWによるとロシア軍は5月下旬以降、一貫して同方面に戦力を注いできたが、得られた戦果は少ないという。ISWは、「バフムート市周辺での6カ月にわたる激しい戦闘に伴う損失は、ロシア軍が同市を攻略することで得られる作戦上の利点をはるかに超えている」と指摘。ロシア軍が、バフムート方面に注力することで、他の地域でウクライナ軍が反攻しやすくなる可能性があるとしている。米『CNN』(12月2日付)が伝えた。

     

    ロシアは、こういう「無意味な戦闘」で貴重な兵士の生命を失っているのだ。ロシア軍の犠牲者数が、ウクライナ軍を8倍も上回っているのは、バフムートに見るような無益な戦い方に原因があるのだろう。

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    ウクライナ支援ネットワーク

    米国が意外にも「緩衝役」か

    インドへ工業部品発注の苦境

    23年度予算3割強が国防費 

    ロシアのウクライナ侵攻は、すでに9ヶ月を経た。ロシアの描いた戦争計画では、開戦が2月20日で3月6日に終結という2週間の短期戦の予定であった。それが、何と9ヶ月経って「ロシア劣勢」という思いもかけない事態に落込んでいる。 

    この予想外の結果を招いた理由は、2014年にロシアがクリミア半島を奪取して以来、ウクライナ軍がNATO(北大西洋条約機構)の指導を受けて、ロシア軍への対抗方法を身に付けていたことだ。ロシア軍が、上意下達で将官の指揮命令に従い、戦場での将校判断をさせない旧式な戦闘方式であった。NATO軍は、戦場での指揮官の判断を最優先させる戦闘方式でウクライナ軍を再編成した。これが、ロシア軍を徹底的に苦境へ追込み、緒戦でロシア軍が武器・兵員の損耗を大きくさせたのだ。

     

    西側諸国は、ウクライナ軍を支援するために「コマンド・ネットワーク」を結成している。参加国は、米国・英国・フランス・カナダなど20ヶ国以上であり、まとめ役は駐欧州米軍とされる。このネットワークが、次のような業務を分担し支援しているという。

    1)軍事情報の提供

    2)ロシア軍兵器の分析

    3)武器輸送

    4)作戦の立案

    これらの4分野は、一つを欠いても戦争遂行では支障を来たす重要パーツである。 

    戦場で戦うのはウクライナ軍だが、最前線のウクライナ軍将校には前記の軍事情報がダイレクトに届くシステムになっている。こういう実態から言えば、ウクライナ軍の後ろにはNATO軍が控えているので、ロシア軍はとうてい太刀打ちできない相手であることが分かる。「99%敗北」と言っていい事態だ。「残り1%」は、ロシア軍の意思表示だけであろう。

     

    プーチン・ロシア大統領の目論見では、ウクライナ侵攻でNATOを分裂させると踏んでいた。米国もバイデン大統領は、軍事介入しないと言明している。こういう「好条件」であれば、半月でウクライナを「解放」できると見たに違いない。プーチン氏が、最大の見誤りを犯したのは、西側諸国が「民主主義の価値を守る」という信念を甘く見たことである。命に代えても「自由と民主主義を守る」という西欧市民社会の原理に気づかなかったのだ。 

    ウクライナ支援ネットワーク

    ウクライナ軍を支援する「コマンド・ネットワーク」は5月下旬、ロシア軍の兵員損耗が30%に達していることを確認したという。この損耗比率になると、部隊の戦闘機能が失われるので、「コマンド・ネットワーク」は反攻への作戦計画を立て、それに従い着々と奪回作戦を成功させてきた。ロシア軍は、西側諸国の経済制裁で半導体輸入を禁じられたので、武器・弾薬の生産が事実上ストップするという窮地に追込まれている。武器・弾薬が足りずに戦争をするという悲劇が起こっているのだ。 

    元NATO軍司令官(2012~14年)であったベン・ホッジス氏は、韓国紙『ハンギョレ新聞』(11月25日付)とのインタビューで、今後のウクライナ軍の反攻作戦の目標が、クリミア半島奪回であると明言している点に注目すべきだ。ホッジス氏は、2017年まで駐欧州米軍司令官も務めた経歴から見れば、「コマンド・ネットワーク」の判断を知りうる立場である。実は、前記のネットワークも同じ見解というのである。

     

    ここで、問題になるのはプーチン氏がこれまで発してきた言葉である。「ロシア領土が危機にさらされれば核を使用する」というものだ。クリミア半島は、前述の通りロシアに奪取された地域であるが、ロシアは「ロシア領」として宣言している。ウクライナ軍によって奪回された場合、プーチン氏がどう反応するかは気懸りな点であろう。 

    ロシアは、先にヘルソン州の併合を主張し、州の住民は「ロシア人」と明言した。だが、ロシア軍はヘルソン市から撤退後に、一度は「ロシア人」として保護すると約束した民間人を砲撃で殺害しているのだ。要するに、プーチン氏の発言はその場限りであることが明確になってきた。「行き当たりばったり」という浮遊状態になっている。 

    かつて、プーチン氏の発言はぶれず絶対に「Uターン」しないと恐れられていた。大統領就任後の言動が、それを立証しているとして、「核脅迫」はそれなりの影響力を持ったのである。だが、ウクライナ侵攻後の軍事的な劣勢によって、国際社会が見る「プーチン像」は大きく変わってきた。「核発言」が、プーチン氏の国際的な地位を陥没させているのだ。

     

    中国の習国家主席は、先の米中首脳会談や日中首脳会談でも「核使用に反対」であることを明言した。インドのモディ首相も、プーチン氏との会談で反対意思を明確にしている。こうなると、周囲の圧力でプーチン氏は、「核投下」をしないと発言せざるを得ない立場に追込まれている。プーチン氏得意の「脅迫」は著しく効かなくなっている。 

    米国は、陰に陽にロシアを説得している。米ロには、冷戦時代からの名残でホットラインが設置されている。これは、危機管理に欠かせないコミュニケーション・ツールだ。ロシアの誤解による核使用を防ぐには、重要な役割を果たしている。報道によれは、ウクライナ侵攻後一度だけ使われたという。(つづく)

     

     

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    ロシア軍が、第2次動員令として50~70万人を招集するとの報道が、ロシア内外で行なわれている。ロシアメディア『プラウダ』は、「プーチン大統領は年末までに連邦議会での演説を通じて、兵士と将校を補充するための国家動員令を発表するだろう」と報道したのがきっかけであった。

     

    ウクライナ内務相顧問を務めるアントン・ヘラシチェンコ氏は22日、自身のツイッターに「ロシアは来年1月に2度目の動員令を発令する準備をしている。50万~70万人を動員する計画だとした。

    これら報道に対して、クレムリンの報道官は25日(現地時間)、「『プーチン大統領が国家動員令を発表する』というメディア報道は事実ではない」と伝えた。このように、第2次動員令が話題に上がっているが、ロシア軍はウクライナ侵攻で多大の消耗を強いられているだけに、クレムリン報道官の「否定」を額面通りに受取れないのも事実だ。

     

    韓国紙『ハンギョレ新聞』(11月25日付)は、「また強制動員令? 徴集におびえるロシア」と題する記事を掲載した。

     

    ウクライナ戦争で守勢に追い込まれたロシア軍が、9月の30万人に続き再び動員令を発表すると懸念される中、ロシアの野党はウラジーミル・プーチン大統領に対し「予備役の部分的な動員令」の終了を公式に確認する大統領令を発するよう要求した。

     

    (1)「ロシアの自由主義系政党「ヤブロコ」のウェブサイトなどによると、北欧に隣接しモスクワ北方に位置するカレリア共和国の議会に所属する2人の議員が22日、プーチン大統領に書簡を送り、このように要求した。同党所属のエミリア・スラブノワ、インナ・ボルチェフスカヤの両議員は、先月28日にセルゲイ・ショイグ国防長官が「部分的な動員令は完了した」と放送で発表したものには法的効力がないとし、動員終了を大統領令で確認することを求めた。ヤブロコは市場経済を支持する自由主義系の政党。プーチン政権に批判的で、今回の戦争に懐疑的な立場を表明してきた」

     

    プーチン氏は、動員終了を大統領令で確認することを求められている。そうでなければ、第2次動員令もありうるからだ。前回の動員令では30万人に止めたが、実際の動員計画では100万人を予定していたとも報じられていた。この説が正しいとすれば、第2次「50~70万人」動員令を出したとしても、当初計画の100万人の枠に収まる。

     

    (2)「スラブノワ議員はこの日、自身のテレグラムに「ロシア国防省は動員令が終了したと述べたが、徴集が再び起こらないという法的保障はない」と書き込み、プーチン大統領が9月21日の大統領令によって予備役徴集を命じたように、これが公式に終了したということも同じ方式で発表することを要求した。彼らは、法的効力のない動員令の終了はロシア人の不安と恐怖をかきたてると強調した。ロシア国民は、冬を前に再び動員令が発表されるのではないかと不安にさいなまれている。米国の戦争研究所によると、ロシアの極右系ブロガーたちは、今年12月または来年1月に新たな動員令が下されるだろうという主張をオンラインなどで流している

     

    ロシアの軍事ブロガーは、オンラインで新たな動員令が今年12月~来年1月に下されると流している。雰囲気づくりをやっているわけだ。

     

    (3)「ウクライナも、ロシアが新たな動員令を下すだろうとの見通しを示している。内務相の顧問を務めるアントン・ヘラシチェンコ氏は22日、自身のツイッターに「ロシアは来年1月に2度目の動員令を発令する準備をしている。50万~70万人を動員する計画だ。以前に動員された30万人はすでに戦死あるいは負傷したか、戦闘意志を喪失している」と述べ「ロシア人は当局に対して静かに不満を持ちはじめた」と付け加えた。英国「スカイ・ニュース」は、この主張が事実なら、これはロシアが戦争の長期化に備えており、戦況がプーチン大統領の考えていたやり方で解決されていないことを示唆すると分析した」

     

    ウクライナ内務省顧問は、第2次動員令として50万~70万人説をツイッターで書き込んでいる。情報戦で、ロシアの極秘情報を握ったのであろう。問題は、ロシアで第2次動員令が出た場合、ロシア国内の反発は大きなものになろう。

     

    米『CNN』(11月28日付)は、「ロシア兵の母親たち、オンライン署名運動 ウクライナからの撤退求め」と題する記事を掲載した。

     

    ロシア軍兵士の母親たちが市民団体「フェミニスト反戦レジスタンス」と協力し、ウクライナからの撤退を求めるオンライン署名運動を展開している。署名はロシアの「母の日」にあたる27日から始まった。署名は初日の夕方までに1500件を超え、さらに増え続けた。

     

    (4)「嘆願書は、過去9カ月にわたる「特別軍事作戦」が破壊と悲嘆、流血と涙をもたらしていると懸念を表明し、「われわれロシアの母たちは国籍や宗教、社会的地位にかかわらず、平和と調和の中で暮らしたい、子どもたちの将来を恐れることなく平和な空の下で育てたいという願いで一致団結している」と述べている。母親らはこの中で、「死ぬため」に動員される兵士の家族は、防弾ベストなどの装備を自費でそろえなければならず、稼ぎ手を失った家庭で母親たちの負担は増すばかりだと訴えた」

     

    悲痛な母親達の停戦への願いが、プーチン氏に届くか疑問である。だが、第2次動員令が出れば、確実に世論は変わるであろう。

     

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    今、ウクライナ戦争で最も停戦を望んでいるのは、ロシア大統領のプーチン氏だろうという説が流れている。劣勢に立たされるロシア軍が、一息ついて休養するには停戦を利用するしか道がないというのだ。ウクライナ軍は、こういうロシア軍の苦衷を百も知っている。停戦には、絶対応じまいと言われ理由だ。

     

    ウクライナへ派遣された動員兵の扱いは残酷そのものと伝えられている。前線への出動を拒否すると、地下室へ監禁され、食事も一日1回という動物的な扱いを受けているのだ。前線に送られれば、単なる「弾除け」手段に扱われている。これ以上、残酷な例はあるまい。

     

    米『CNN』(11月26日付)は、「前線の怒り、国内の不安 問題に直面するロシアの動員」と題する記事を掲載した。

     

    第2次世界大戦後初となるロシアの動員は既に完了したようだが、ウクライナの戦場に大量の兵士が派遣されたことで、前線やロシア国内では反発や抗議が噴出している。

     

    (1)「ロシア政府は最近動員された兵士のうち少なくとも5万人がウクライナ入りしたと成果を主張するが、聞こえてくるのは多岐にわたる不満の声だ。不満の内容としては、中級将校の指導力不足、大量の死傷者を出す戦術、訓練の欠如、約束された報酬の未払いが挙げられる。兵士やその家族、ロシアの軍事ブロガーが報告するように、兵たん面の課題も存在する。軍服は十分に行き渡っておらず、食事は粗末で、医薬品も不足している状況だ。また規律の問題もある。」

     

    (2)「ある女性は、夫から「新しい人が絶えず連行されてきて、ザイトセボにある『文化の家』の広大な地下室に収容されている。食事は1日1回で、一つの乾燥糧食を5~6人で分け合っている状況だ。彼らは収容者を常に威嚇している」と聞かされたという。拘束されている兵士1人の妻の話として、「夫は他の80人と一緒に地下室に座っている。携帯電話を没収するため裸にされたが、幸運なことに、1人が携帯電話を隠し通した」とも報じた」

     

    (3)「米シンクタンク戦争研究所のカテリーナ・ステパネンコ氏は、「(ルハンスク州の)スバトベクレミンナ前線に投入された準備不足の動員兵に関し、多くの不満の声を確認した。この前線は現在ロシア軍で最も戦闘が激しい陣地のひとつだ」と述べた。兵士たちが故郷に苦境を伝えると、そうした不満の声は妻や母親によりSNSや地方当局への直訴を通じて増幅される。ステパネンコ氏は「家族から寄せられる不満で最も多いのは、愛する人の居場所や給料の遅延、物資不足に関する国防省の情報が十分でないというものだ」と指摘する」

     

    (4)「11月14日にSNSに投稿された動画では、ボロネジ州在住の女性グループが、夫や息子は指揮官を伴わず前線に投入されていて、水も必要な服も武器もないと訴えた。女性の1人は息子から、自分の大隊で生き残った兵士はごくわずかだと聞かされたといい、「彼らは遺体の下から文字通り這(は)って抜け出した」と語った。女性らはボロネジ州の知事に対し、動員された身内は「訓練を受けておらず、射撃場に1回連れて行かれただけ。戦闘経験はまったくない」と訴えている」

     

    (5)「ユーチューブに投稿された動画では、ロシアのスベルドロフスク州在住とされる女性十数人が、ルハンスク州スバトベ付近に身を隠しているとの情報がある第55旅団の新兵への支援を訴えた。新兵らは軍事法廷にかけると脅されているが、そもそも前線に投入されるべきではなかったというのが家族の主張だ。女性の1人は息子から電話で「全く指示がない状態で放置されていて、弾薬もない。空腹と寒さでみな体調を崩している」と伝えられたという。41歳の夫が動員されたという別の女性は「彼らは専門的な訓練を全く受けずに戦地に赴いた」と語る。「給料は支払われていない。軍のどこかの部隊に配属されているわけではなく、どこを探せばいいのか、誰に聞けばいいのか分からない」と言う」

     

    (6)「欧米の当局者の間では、ロシアは未経験者が大半を占める新兵の統合に苦慮しているとの指摘が出ている。英国防省は先ごろ、「おそらくロシアは現在の動員や秋の定期徴兵で入隊した新兵の軍事訓練に苦慮している。新規動員兵は最低限の訓練しか受けていないか、全く訓練を受けていない可能性が高い。経験豊富な将校や訓練教官は既にウクライナでの戦闘に動員されており、一部は戦死したとみられる」との分析を発表した

     

    ロシア軍は、経験豊富な将校など前線へ動員されており、新兵教育の余裕を失っている。もはや、負け戦は明白である。

     

    (7)「ウクライナの当局者は、ロシアの動員で戦闘員の数が増えた結果、ウクライナ軍が多方面作戦を余儀なくされていることは認めている。ただ、ロシアの新兵は何の準備もないまま戦闘に投入されているという。ルハンスク州のウクライナ軍政当局トップ、セルヒ・ハイダイ氏は先日、スバトベ付近では新兵が繰り返す波のように突進してきたと明らかにした。「彼らが死亡すると、次の一群が前進する。新たな攻撃のたびにロシア人は死者を踏みつけて進んでいる状況だ」と言う」

     

    動員兵は、ウクライナ軍の銃弾の盾になっているに過ぎない。ロシア軍は、休戦への時間稼ぎの目的で、ただ戦闘しているに過ぎない印象を受ける。犠牲になる動員兵が余りにも哀れだ。これなら、前線への出動を拒否するほかない。ロシア軍は、敗北するという印象がますます強くなる。

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