勝又壽良のワールドビュー

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    あじさいのたまご
       

    トランプ米大統領は6日、ウクライナ戦争の解決は「人々が思っている以上に近づいている」と述べた。今週、トルコで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議での協議の場で、ウクライナ問題を取り上げる考えを示した。トランプ氏は、「ロシアのプーチン大統領は圧力を感じている。われわれは協議を続けており、戦争を終わらせられるか見極める」と語った。また、この件に関して「非常に良い電話会談を行った」とも述べた。以上、ロイターが6日報じた。

     

    トランプ氏が挙げた、「ロシアのプーチン大統領は圧力を感じている」は、ウクライナによる攻撃でガソリン不足が全土で起っていることを指している。ロシア国民の間で不安と不満が高まっており、プーチン氏も決断を迫られている。

     

    『CNN』(7月6日付)は、「ロシアの燃料危機、ほぼ全土に広がる ウクライナのドローン攻撃が激しさ増すなか」と題する記事を掲載した。

     

    CNNの分析によると、ロシアの83地域のほぼすべてでガソリン不足が生じているか供給の混乱が報告されている。多くのガソリンスタンドが給油制限を導入する中、ロシア政府は同国の製油所を標的にしたウクライナの猛烈なドローン(無人機)攻撃の阻止に追われている。燃料危機は、まずロシア支配下のクリミアで深刻化し、6月21日に非常事態宣言が発令され、一般市民への燃料販売が全面的に禁止された。その範囲は現在、ロシアの11のタイムゾーンすべてに及んでいる。

     

    (1)「CNNは各地域の首長らの公式声明に加え、全国・地方メディアの報道を分析した。その結果、ロシアの国際的に認められている地域のうち50超が供給の問題を公式に報告しており、非公式にはほぼすべての地域で混乱が伝えられていることが分かった。東部のイルクーツク州やザバイカル地方を含む少なくとも3地域は、非常事態の1段階下にあたる「高度警戒態勢」を宣言している」

     

    東部のイルクーツク州やザバイカル地方でも、非常事態の1段階下にあたる「高度警戒態勢」を宣言している。クリミア半島の非常事態に次ぐ事態だ。

     

    (2)「ロシアのプーチン大統領は5日、国営テレビの長時間インタビューで「現在、一定の不足が見られるが深刻なものではない」と主張した。これは、すべてが制御下にあると国民を安心させるために仕立てられた、急ごしらえのPR活動の一環のように見えた。ただ、プーチン氏が最も喫緊の課題について「防空システムの生産を迅速かつ大幅に増やすこと」だとした発言は、あまり安心材料にはならなかったかもしれない。これは、ウクライナの攻撃に対するロシアの脆弱(ぜいじゃく)性が高まっていることを明確に示すものだった」

     

    ロシアの防空体制は、ウクライナのドローン攻撃を防げないほど脆弱化している。完全に、攻守ところを変えている。

     

    (3)「ロシア国民の順応性も試されている。CNNの分析によると、ロシア各地のガソリンスタンドは購入制限を課しており、給油に最適な場所を探せる燃料追跡サイトも登場している。給油を待つ車の列が長くなるにつれ、人々の間では緊張が高まっている。SNSに投稿された動画では、クリミアに隣接するロシア南部の都市クラスノダールで車の後部に積んだ容器に給油する男性を2人の女性がルール違反だと非難している。燃料の買い占めを防ぐため、ロシアの複数の地域では19リットル程度の大型容器の使用は禁止されているのだ」

     

    ロシアの複数の地域では、19リットル程度の大型容器の使用は禁止されている。買い溜め防止である。これを巡って、市民同士のいざこざも起っている。

     

    (4)「国民にどの程度不安が広がっているかをはかることは不可能だが、プーチン氏もこの状況を懸念しており、国営メディアのインタビューで攻撃の目的について「我々に不確実性を生み出すこと、あるいはさらにロシア社会を分断すること」だと警告するほどだった。欧州政策分析センターの上級研究員、アレクサンダー・コリアンドル氏は燃料不足について二面性を持つと指摘する。「国民感情を直撃し、インフレにも打撃を与える」と」

     

    ガソリン不足は、国民に不安感を煽ると同時に、インフレをもたらしている。産油国ロシアが、意外な脆弱性を見せつけている。

     

    (5)「ロシアメディアは、給油所で最大18時間待つ人もいると報じている。インターネット上では、前に進まない車の横に飲み物やシーシャのパイプを置いたテーブルを広げる人々を描いたミームも登場している。首都モスクワでさえ、ガソリンスタンドの外にまで乗用車やトラックが列をなす異様な光景が広がっている。給油できる保証もないまま、何時間も待つ運転手もいる。モスクワでは、先月18日にウクライナが実施したドローン攻撃を受け、不安が高まっている。この攻撃は、ロシアが全面侵攻を開始して以降最大規模で、南東部カポトニャの製油所を狙った攻撃としては1週間足らずで二度目だった。迎撃は大規模な爆発を招き、燃料タンクの屋根が派手に吹き飛んだ」

     

    給油所では、最大18時間も待たされる人が出てきた。事態は、深刻である。こうなるとプーチン政権も国民へお座なりな説明で済まなくなってきた。停戦への決断が迫られる理由である。

     

    (6)「ロシアには、この危機に対処する手段がまだ残されている。しかし、専門家らはCNNに対し、その選択肢は狭まりつつあると語る。プーチン氏は、政府が取り組んでいる措置を列挙した。製油所の計画保守期間の短縮から、軽油輸出禁止の検討、輸入拡大などだ。しかしウクライナの攻撃が今のペースで続けば、その正常化は実現しない可能性がある。そして燃料不足によるインフレ進行と消費低迷という経済リスクは、これ以上ないほど悪いタイミングで訪れている。イランと米イスラエルの戦争の最初の数カ月で急騰した原油価格は現在下落しつつあり、ロシアが輸出で得る利益の増加によって拡大する財政赤字を埋める機会は閉じつつある。ロシア経済はすでに停滞しており、その一方で国防支出は増え続けている」

     

    ロシアは、燃料不足によるインフレ進行と消費低迷に加えて、ホルムズ海峡の通過が可能となり原油価格の値下がりに見舞われている。値下がりは、ロシア原油の輸出減となって経済へ跳ね返る。プーチン氏も「年貢の納め時」となった。

     

     

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    プーチン大統領は19~20日の日程で中国を訪れる。同行する代表団は、エネルギー、工業、交通、金融など多くの分野をカバー。副首相5人、ラブロフ外相ら外交、農業、文化、交通、経済発展など8人の大臣のほかに、中央銀行総裁ら16人の名前が訪中リストにあるという。このほか、大企業の責任者も含まれている。

     

    米中が今や、世界秩序を話し合う場となり、 ロシアが含まれていないことは、「周縁国」に落ちたことを示している。だからプーチンは急いで訪中し、 「ロシアは中国の重要パートナーだ」と確認したいのであろう。「弱者」ロシアの行動を余すところなく示している。ロシアの輸出入の約4割が中国経由。 金融決済も中国の金融網に依存している。全ては、ウクライナ侵攻を始めた「代償」である。

     

    『レコードチャイナ』(5月19日付)は、「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか香港メディア」と題する記事を掲載した。

     

    香港『フェニックステレビ』(鳳凰衛視)は17日、「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか」として、北京外国語大学地域・グローバルガバナンス高等研究院の崔洪建(ツイ・ホンジエン)教授による解説を伝えた。

     

    中国には、米国のトランプ大統領が13~15日の日程で訪れたばかりで、16日にはロシアのプーチン大統領の19~20日の訪中が発表された。

     

    (1)「フェニックステレビは、「トランプ氏が去った直後にプーチン氏が中国を訪れる」「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか」と問い掛けた上で、「最近の中国と米国の間のやり取りについて中国側と意見交換を行う」とロシア側が説明したことを紹介。さらに「ロシア側は両国のやり取りについてどのような情報を知りたがっているのか」と提起してから、崔教授の解説を伝えた」

     

    プーチン氏は、米中がロシア抜きで世界秩序を話し始めることへの恐怖感を持っている。ロシアは今、国際的な孤立によって経済制裁を受けている。戦争は長期化し、中国に依存せざるを得ない立場になった。こうして、米中が接近すると、ロシアは置いていかれる危険があるのだ。

     

    中国が、大国外交のハブになり、ロシアが周縁化している現実は、ロシアにとって屈辱的な事態である。かつては、米国、ロシア、中国 の「三大国」構造だった。今は、米国 ・中国の二極構造 であり、ロシアは「従属的パートナー」へ転落した。ロシアは、この現実を理解しているからこそ、 中国に見捨てられないように急いで訪中するに違いない。

     

    (2)「崔教授はまず、「中国はすでに大国外交の中核的ハブになっている」と言及し、今回の米ロ首脳の相次ぐ訪中は世界的な問題において高頻度かつ高効率な大国間協力が急務になっていることを際立たせていると指摘した。中国は仲介役、調整役という重要な役割を担っているという。また、プーチン氏が今回の訪中を切実に望んでいる理由として、崔教授は「第一に昨年は反ファシズム戦争勝利80周年に当たり、中ロ両国間の協力や国際的立場の合意が持続的に深化した」と指摘。今年は良好な協力関係の継続を急ぐ必要があるとの考えを示した」

     

    ロシアは、ウクライナ侵略戦争さえ引き起こさなければ、現在のような状況へ落込むこともなかったであろう。プーチン氏による判断の誤りが、こういう取り返しのつかない事態を招いた。習氏も、他人ごとではない。中国経済は、目に見えない形だが明らかに下り坂へ踏み込んでいる。調子に乗って台湾へ兵を送れば、確実に「第二のロシア」となろう。

     

    (3)「さらに、崔教授は第2の理由として、「多くの地域紛争が情勢転換を迎えようとする中、中国と米国がハイレベルの協議を終えたことを受け、ロシア側は双方の会談内容の核心を探り出すのを急いでいる。特にロシア・ウクライナ紛争や米国とイランとの駆け引きなど自国利益に密接に関わる議題に関心を寄せている」と指摘した」

     

    ウクライナ戦争では、ウクライナが主導権を握ったとも評されている。「大国ロシア」が、見下していたウクライナによって、「手玉」に取られ始めている。科学技術では、ウクライナが侮りがたい力を持っていることを示し始めている。ドローン開発がそれだ。

     

    (4)「第3の理由は、米中関係の改善がもたらす変化で、崔教授によると「ロシア側は中米関係の着実な改善がもたらす世界の構造変化に多大な関心を寄せている」。ロシアは世界秩序の行方や対中・対米外交の布陣を検討し、将来の発展方向を整理・明確化したい考えで、今回、中ロ首脳の間ではロシアの外交方向や戦略環境に関わる重要議題について深い意見交換が行われる見通しという」

     

    ロシアは今、経済力で中国の1割、技術力は経済制裁で崩壊寸前にある。外交力も孤立している。軍事力は、消耗の一方である。国際的正統性は、失墜している。この状況では、 中国に対して「対等」ではなくなった。プーチン氏の訪中は、「盟友」の訪問ではなく、「どうか見捨てないでほしい」という 立場の弱い側の外交行動に陥っている。もはや、「ロシア帝国」の片鱗もなくなった。

     

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    5年目に入ったウクライナ戦争は、未だに解決のメドが立たず泥沼化している。戦争という消耗経済が、ロシアの経済成長率にハッキリと影を落としてきた。26年1~3月期GDPは、3年ぶりのマイナス0.2%に沈んだ。プーチン支持率は、政府系調査でも66.8%へ低下した。3月以降の支持率低下が、目立ち始めている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月16日付)は、「ロシア、3年ぶりマイナス成長 内需低迷で13GDP.%減」と題する記事を掲載した。

     

    ロシア連邦統計局が15日発表した2026年1〜3月期の実質GDP(国内総生産、速報値)は、前年同期比0.%減だった。ウクライナ侵略によるインフレ抑制のため、金利を引き上げた影響などで内需減速が鮮明になり、四半期ベースで3年ぶりのマイナス成長となった。

     

    (1)「侵略は5年目に入り、契約軍人の採用増や西側諸国の対ロ制裁が人件費や調達コストの上昇につながった。失業率は13月で2.%と過去最低水準で推移する。ロシア経済発展省の報告書によると、26年1〜3月は製造業が0.%減(前年同期は3.%増)だった。非製造業では建設が10%減と前年同期(5.%増)からマイナスに転じたほか、輸送なども減速幅が拡大した」

     

    開戦6年目である。1~3月期の実質経済成長率がマイナス0.2%に落込むのは当然であろう。不毛な戦争による消耗だ。経済的には限界点に達している。

     

    (2)「ロシア中銀は、政策金利を23〜24年にかけ段階的に引き上げた。政権幹部や産業界からの金融緩和への要請が強まる中で25年6月に引き下げに転じたものの、高水準で推移する金利の影響で企業や個人の資金調達や債務返済コストが増加し、内需低迷につながった。厳しい金融市況の中、一部の商業施設で出店の動きは鈍い。モスクワ北部にある複合商業施設「サマーガーデン」では地下鉄駅側の好立地にもかかわらず、テナント部分は空室が目立つ。ロシア紙コメルサントによると、現在の入居はスーパー1店にとどまり本格開業に至っていないという。モスクワにある商業施設の空室率は26年11%に上昇する可能性があるといった調査会社の予測もある」

     

    モスクワにある商業施設の空室率は、26年11%に上昇する可能性があるという。戦争の疲弊がビジネス第一線に現れてきた。

     

    (3)「足元のインフレ率は低下基調にあるものの、13月で5.%と中銀が目標とする4%とは依然として開きがある。ネット通販と対面販売の小売店との競争も激化しており、インフレと高金利が中小企業に打撃を与えている。26年通年のGDPは成長鈍化が鮮明だ。ロシア経済発展省は12日、GDPの26年予測を0.%と従来(1.%)から下方修正した。一方、国際通貨基金(IMF)は4月、原油価格の上昇を受けて26年のロシアGDPの予測を1.%と0.3ポイント引き上げた。減速が目立った25年(1%増)並みの水準となる。制裁解除の継続や米国とイランの停戦実現時期がロシア経済の今後の動向に影響しそうだ」

     

    戦時下経済であり、インフレ率が13月で5.%である。GDPはマイナスで典型的なスタグフレーション(不況下の物価高)初期現象である。ロシアの場合、通常のスタグフレーションと違い、 戦争が経済の中心にある ため、次の特徴が出る。

     

     1)失業率は低い(2.2%)が、 戦時動員で労働力を吸収されているだけで、 生産性は低下している。

    2)軍需はGDPを押し上げるが、民需はすでに崩壊している。  戦争が止まれば、GDPは急落する。

    3)金利を下げられない。インフレが高いため、金融緩和ができない。こうして、 内需は回復しないであろう。

    4)制裁で供給制約が続く。インフレは構造的に高止まりしている。ロシアは、戦争を続けるほど景気が悪化し、 戦争をやめても景気が悪化するという袋小路に入った。

     

    (4)「ロシアは9月に5年ぶりとなる下院選を控える。経済の停滞が「社会にネガティブな空気を引き起こし、投票率の低下につながる可能性がある」(ロシアのエコノミスト)との見方も出ており、安定成長に向けた内政対応がプーチン政権の課題となっている。侵略の長期化で厭戦(えんせん)機運が高まり、無人機(ドローン)など安全対策を名目に3月に実施した大規模なモバイル通信規制などへの反発が強まる中、プーチン氏の支持率は低下している。政府系の全ロシア世論調査センターが15日発表した同氏の支持率は66.8%だった。3月以降低下基調が続き、侵略後の最低となる6割台半ばの水準で推移する」

     

    9月の下院選で、投票率はどうなるか。これによって、ウクライナ戦争への厭戦気分が示されるであろう。プーチン氏は最近、動静が不明になることが多いとされる。政治不安の高まりが影響しているとの見方も出ている。

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    ロシアのプーチン大統領は6日、イランのペゼシュキアン大統領と電話協議した。プーチン氏は米国やイスラエルによるイランへの攻撃を巡って、ペゼシュキアン氏に即時停戦や政治・外交的解決への早期再開が必要とのロシアの立場を訴えた。イランでの軍事衝突発生後、両氏が電話したのは初めて。『日本経済新聞 電子版』(3月7日付)が報じた。

     

    米中央軍のクーパー司令官は2月28日の作戦開始から24時間で実行した攻撃は、2003年のイラク戦争開始時の「ほぼ2倍の規模」だと説明した。クーパー氏は5日の記者会見で、一連の攻撃の結果、イランの抵抗は大幅に減ったと強調。初日と比較してイランによる弾道ミサイル攻撃は90%減少、ドローンによる攻撃は83%減少していると強調した。イランの艦船は5日時点で30隻以上沈没したと明かした。『日本経済新聞 電子版』(3月7日付)が報じた。

     

    プーチン氏が、イランへ「即時停戦」を申入れた背景には、イランの軍事施設がほとんど破壊されている厳しい現実を踏まえたものとみられる。あとは、陸上戦となれば悲劇の拡大が予想されるだけに、イランへ停戦仲介を申入れたのであろう。

     

    『中央日報』(3月7日付)は、「イラン大統領「終戦仲裁の動きある」…トランプ大統領「降伏以外に合意ない」と題する記事を掲載した。

     

    米国とイスラエルの先制攻撃で始まったイランとの戦争が1週間続く中、イランのペゼシュキアン大統領が終戦のための仲裁に動く国があると明らかにした。


    (1)「ペゼシュキアン大統領は6日(現地時間)、ソーシャルメディアXに「一部の国が仲裁に動き出した」と投稿した。先月28日の開戦以降、終戦のための仲裁の動きが公式的に言及されたのは今回が初めて。その一方で「しかしこれだけは明確にしておく」とし「我々は域内の平和のために努力するべきだが、同時に国家の威厳と主権を守ることをためらわない」と強調した」

     

    ペゼシュキアン氏は、最高指導者の任務と権限を代行する臨時指導者委員会に参加している。それだけに、投稿の持つ意味合いは大きい。

     

    (2)「また、「いかなる仲裁努力も、イラン国民を過小評価して紛争を触発させた者を明示しなければいけない」とし、米国とイスラエルが自国を先に攻撃した事実を明確にしてこそ仲裁に応じるという立場を表した。イランの政治構造上、大統領は最高指導者に従属する地位だが、最高指導者のハメネイ師が死去した後、ペゼシュキアン大統領は最高指導者の任務と権限を代行する臨時指導者委員会に参加していて、その発言に関心が集まる」

     

    米国とイスラエルが、自国を先に攻撃した事実を明確にしてこそ仲裁に応じるという立場を表した。これは、停戦へ向けた大きな一歩である。

     

    (3)「トランプ大統領はこの日、ソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに「イランとの合意は『無条件降伏』以外にない」と改めて強調した。ただ、「その後、受け入れられる立派な指導者が選択されれば、我々と我々の立派で勇敢な多くの同盟およびパートナーはイランが破滅の崖っぷちから抜け出せるよう絶えず努力するだろう」と明らかにした。また、「イランを経済的にいつよりもはるかに大きく、より良く、より強くさせる」とし「イランを再び偉大に(MIGA)」と表記した。自身の代表的な政治スローガン「米国を再び偉大に(MAGA)にちなんだ表現だ」

     

    トランプ氏は、イランの無条件降伏を主張している。これは、「ディール」であろう。米国の強い立場を示している。

     

    (4)「このようにトランプ大統領が「無条件降伏」を主張し、イランの次期指導者任命にまで関与するという意志を明らかにするなど強硬な立場を固守しているため、今回の戦争がいつ交渉局面に入るかは不透明だ。トランプ大統領は5日、米メディアのアクシオスとインタビューで、イラン政権がハメネイ師の次男モジュタバ師を後継者とする可能性が言及されていることについて「ハメネイ師の息子は受け入れることができない。我々はイランに調和と平和をもたらす人物を望む」と述べた。また、イランがハメネイ師の基調を受け継ぐ指導者を出す場合、米国は「5年以内」にまたイランを相手に戦争をするしかないと警告した」

     

    停戦の実現には、イランのメンツと米国の「強者」の立場をどう折り合いを付けるかだ。世界的な原油価格の急騰は、今秋の中間選挙を控える米国にも不利である。


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    中国は、ロシアのウクライナ侵攻において「ジキル&ハイド」の役割を担っている。休戦仲介の役を買って出たこともあるからだ。最近は、ウクライナから休戦の仲介を期待する旨の発言も出ている。その裏で、中国国有企業がロシアの同盟国ベラルーシで砲弾工場を建設中という。平和のお面を被りながら、ロシアの侵略戦争に加担している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月23日付)は、「中国国有企業、ロシア同盟国に兵器工場輸出 戦争継続支援の疑い」と題する記事を掲載した。

     

    中国の国有企業がロシアの同盟国ベラルーシに、ロケット弾の大規模な兵器プラント(工場・製造設備)を輸出していることがわかった。日本経済新聞が入手した取引記録の内部資料によると、すでに両国の企業が中国からの輸出入の契約を交わし、建設準備を進めていた。

     

    (1)「契約によると、ベラルーシに建設されるのはウクライナ戦争でロシア軍が多用する122ミリロケット弾の弾頭部品の生産ライン。当初は年に12万発分の生産を想定しており、2026年後半に稼働させる計画だ。中国はウクライナ戦争に絡むロシアやベラルーシへの軍事支援を否定してきた。中国の習近平政権が管理する国営企業が兵器支援で利益を上げている実態が浮き彫りになったことで、米欧の対中政策にも影響を与える可能性がある」

     

    中国の国有企業が、ベラルーシへ122ミリロケット弾の弾頭部品を、年12万発分生産(当初)される設備を輸出した。

     

    (2)「資料はベラルーシの反政府団体で国外に拠点を置く「BELPOL」が同国の軍需関係企業に在籍する複数の協力者から提供を受けた。ベラルーシと中国の企業間の契約書や取引記録、会議の議事録などが含まれている。それによると、中国国有の軍事貿易企業、中国電子進出口(CEIEC)は23年12月20日、ベラルーシ国営の国防関連企業、精密電気機械工場(ZTEM)との間で「122ミリロケット弾頭部品」の生産ラインを設計・供給する契約を北京で取り交わした」

     

    中国電子進出口(CEIEC)は23年12月20日、ベラルーシ国営の国防関連企業の精密電気機械工場(ZTEM)と契約を交わしている。

     

    (3)「新設される生産ラインは、弾頭に威力の強いTNTなどの火薬を詰める重要工程を担う。ZTEM側は2680万ドル(約41億円)相当を人民元で支払うと明記した。CEIECから提供されるサービスには関連する設備や材料、技術文書に加え、15人のベラルーシ人スタッフに対して中国で行う1カ月の技術研修も含んでいる。契約は締結から26カ月後に履行すると定めた。当初は中国側の専門家がベラルーシの工場で試作品500発の製造に携わり、その後の製造ではベラルーシのスタッフを監督するとしている」

     

    中国は、約41億円(人民元支払い)で砲弾工場を契約した。人民元払いであれば、取引実態を闇の中へ隠せるという認識であろう。

     

    (4)「25年も両社や関連企業の専門家が、設備の建築設計や技術面の詳細について協議を続けた。11月14日のオンライン会議の議事録には、26年3月に設備の設置を始め、7月に完成・稼働させるスケジュールを確認したと記されている。生産する弾頭部品はロシアへの輸出を前提としているとみられる。関連文書によるとZTEMは23年10月18日、122ミリロケット弾用の起爆装置を運ぶためのケースの適合証明書を取得したが、ロシアの認証機関が審査を実施していた」

     

    26年3月に設備の設置を始め、7月に完成・稼働させるスケジュールである。122ミリロケット弾用の起爆装置を運ぶためのケースが、ロシアの認証機関によって審査されている。

     

    (5)「CEIECは、政府の意向に沿って軍需品の輸出に当たってきた。イランやベネズエラなど権威主義国家への軍事技術支援を続けてきたことでも知られる。トランプ政権の1期目の20年、ベネズエラのマドゥロ政権を支援しているとして米国の制裁対象に指定されている。CEIECは今月22日時点で日本経済新聞の問い合わせに回答していない。ZTEMの担当者は「我々は特殊な生産施設だ。質問には回答できない」と語った。22年に始まったウクライナ戦争で、ベラルーシの軍需企業は大量の装備品をロシア軍に供給してきた。今回生産される射程20キロメートルの122ミリロケット弾頭部品はロシア軍の多連装ロケット砲「BM-21グラート」の仕様だ」

     

    中国のCEIECは、政府の意向に沿って軍需品輸出を行っている。今回生産される射程20キロメートルの122ミリロケット弾頭部品は、ロシア軍の多連装ロケット砲「BM-21グラート」の仕様だ。

      

    (6)「英王立防衛安全保障研究所(RUSI)は24年6月の報告書で、ロシアの122ミリロケット砲の砲弾生産量は同年に50万発を超えると予測していた。新規にベラルーシで稼働する工場から全量がロシアに供給されれば、同国の年間生産量の2割程度にかかわる計算になる。米欧は、ロシアの侵略を支えるベラルーシ企業や、関連する中国企業への制裁を強めてきた。ただ、中国はロシアに輸出しているのは民生品で、兵器の供給に関与していないとの立場をとってきた。トランプ米大統領は最近、4月の訪中に合わせた経済的な「ディール(取引)」を重視する姿勢をみせている。欧州首脳もウクライナ問題の協力のために訪中する例が増えている。ただ、中国の協力がいっこうに得られない実態が明らかになったことで、米欧の対中世論が厳しくなるのは必至だ」

     

    中国は、これまでロシアへ輸出しているのが民生品で、兵器の供給に関与していないとの立場をとってきた。今回の一件で、「真っ赤な嘘」であることが判明した。

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