プーチン大統領は19~20日の日程で中国を訪れる。同行する代表団は、エネルギー、工業、交通、金融など多くの分野をカバー。副首相5人、ラブロフ外相ら外交、農業、文化、交通、経済発展など8人の大臣のほかに、中央銀行総裁ら16人の名前が訪中リストにあるという。このほか、大企業の責任者も含まれている。
米中が今や、世界秩序を話し合う場となり、 ロシアが含まれていないことは、「周縁国」に落ちたことを示している。だからプーチンは急いで訪中し、
「ロシアは中国の重要パートナーだ」と確認したいのであろう。「弱者」ロシアの行動を余すところなく示している。ロシアの輸出入の約4割が中国経由。 金融決済も中国の金融網に依存している。全ては、ウクライナ侵攻を始めた「代償」である。
『レコードチャイナ』(5月19日付)は、「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか―香港メディア」と題する記事を掲載した。
香港『フェニックステレビ』(鳳凰衛視)は17日、「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか」として、北京外国語大学地域・グローバルガバナンス高等研究院の崔洪建(ツイ・ホンジエン)教授による解説を伝えた。
中国には、米国のトランプ大統領が13~15日の日程で訪れたばかりで、16日にはロシアのプーチン大統領の19~20日の訪中が発表された。
(1)「フェニックステレビは、「トランプ氏が去った直後にプーチン氏が中国を訪れる」「プーチン氏はなぜ訪中を急ぐのか」と問い掛けた上で、「最近の中国と米国の間のやり取りについて中国側と意見交換を行う」とロシア側が説明したことを紹介。さらに「ロシア側は両国のやり取りについてどのような情報を知りたがっているのか」と提起してから、崔教授の解説を伝えた」
プーチン氏は、米中がロシア抜きで世界秩序を話し始めることへの恐怖感を持っている。ロシアは今、国際的な孤立によって経済制裁を受けている。戦争は長期化し、中国に依存せざるを得ない立場になった。こうして、米中が接近すると、ロシアは置いていかれる危険があるのだ。
中国が、大国外交のハブになり、ロシアが周縁化している現実は、ロシアにとって屈辱的な事態である。かつては、米国、ロシア、中国
の「三大国」構造だった。今は、米国 ・中国の二極構造 であり、ロシアは「従属的パートナー」へ転落した。ロシアは、この現実を理解しているからこそ、 中国に見捨てられないように急いで訪中するに違いない。
(2)「崔教授はまず、「中国はすでに大国外交の中核的ハブになっている」と言及し、今回の米ロ首脳の相次ぐ訪中は世界的な問題において高頻度かつ高効率な大国間協力が急務になっていることを際立たせていると指摘した。中国は仲介役、調整役という重要な役割を担っているという。また、プーチン氏が今回の訪中を切実に望んでいる理由として、崔教授は「第一に昨年は反ファシズム戦争勝利80周年に当たり、中ロ両国間の協力や国際的立場の合意が持続的に深化した」と指摘。今年は良好な協力関係の継続を急ぐ必要があるとの考えを示した」
ロシアは、ウクライナ侵略戦争さえ引き起こさなければ、現在のような状況へ落込むこともなかったであろう。プーチン氏による判断の誤りが、こういう取り返しのつかない事態を招いた。習氏も、他人ごとではない。中国経済は、目に見えない形だが明らかに下り坂へ踏み込んでいる。調子に乗って台湾へ兵を送れば、確実に「第二のロシア」となろう。
(3)「さらに、崔教授は第2の理由として、「多くの地域紛争が情勢転換を迎えようとする中、中国と米国がハイレベルの協議を終えたことを受け、ロシア側は双方の会談内容の核心を探り出すのを急いでいる。特にロシア・ウクライナ紛争や米国とイランとの駆け引きなど自国利益に密接に関わる議題に関心を寄せている」と指摘した」
ウクライナ戦争では、ウクライナが主導権を握ったとも評されている。「大国ロシア」が、見下していたウクライナによって、「手玉」に取られ始めている。科学技術では、ウクライナが侮りがたい力を持っていることを示し始めている。ドローン開発がそれだ。
(4)「第3の理由は、米中関係の改善がもたらす変化で、崔教授によると「ロシア側は中米関係の着実な改善がもたらす世界の構造変化に多大な関心を寄せている」。ロシアは世界秩序の行方や対中・対米外交の布陣を検討し、将来の発展方向を整理・明確化したい考えで、今回、中ロ首脳の間ではロシアの外交方向や戦略環境に関わる重要議題について深い意見交換が行われる見通しという」
ロシアは今、経済力で中国の1割、技術力は経済制裁で崩壊寸前にある。外交力も孤立している。軍事力は、消耗の一方である。国際的正統性は、失墜している。この状況では、
中国に対して「対等」ではなくなった。プーチン氏の訪中は、「盟友」の訪問ではなく、「どうか見捨てないでほしい」という 立場の弱い側の外交行動に陥っている。もはや、「ロシア帝国」の片鱗もなくなった。


