勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:ロシア経済ニュース > ロシア経済ニュース時評

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    ロシアのプーチン氏は、ウクライナ侵攻でいくつかの誤算をした。その一つが、NATO(北大西洋条約機構)の分裂予想である。ロシアの侵攻を恐れてウクライナ支援が、微々たるものと予想していた。現実は、真逆の結果を招きNATOが結束してロシアへ対抗する態勢を固めている。

     

    NATOは、対ロ結束だけでない。ウクライナとロシアの間に立って曖昧な姿勢を取る中国への警告声明まで出した。NATOが首脳会議後の24日に発表した共同声明では中国を名指しして「ロシアの戦争をいかなる形でも支援せず、ロシアの制裁回避を助けるいかなる行動も控えるよう要請する」と強くけん制した。また、「中国当局者の最近の発言を懸念している」とした上で、「中国に対して戦争とNATOに関する誤った話を増幅することをやめるよう求める」と強硬姿勢である。中国にとっても、大きな誤算である。

     


    英国『BBC』(3月25日付)は、「
    西側各国の首脳、対ロ結束を強調 ロシアの化学兵器使用を懸念」と題する記事を掲載した。

     

    ベルギー・ブリュッセルでは24日、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、主要7カ国(G7)の首脳が一堂に会し、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対して結束して対抗していく姿勢をあらためて示した。

     

    (1)「NATO加盟国やG7の首脳と会談したアメリカのジョー・バイデン大統領は、「我々にとって何より大事なのは結束を続けること。そして世界は、(ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が)いかに残酷な暴君か見つめ続けなくてはならない」と記者団に話した。バイデン氏は、プーチン氏が「NATOを分裂させようとしている」と繰り返し、「アメリカと連帯してまとまった30カ国よりも、ばらばらになった30カ国と個別に対応したい」とプーチン氏は考えていると述べた」

     


    NATOは,結束してロシアに対抗する姿勢を明白にした。プーチン氏が、ウクライナ侵攻して、予想外の結果を招くことになった。

     

    (2)「『NATOやG7や欧州議会だけでなく、ひとつにまとまった欧州は、本当に大事だ。この男を止めるには、わが国ではすでに戦争犯罪を犯したと考えるこの男を止めるには、(欧州の連帯が)何より大事だ』。バイデン氏はまた、ウクライナ侵攻を決めたプーチン氏がひどい誤算をしたと指摘。「NATOは分裂するはずだと思い込んでいた。私との会話の中でも、我々がこれほどの一体性を維持できると(プーチン氏が)思っていなかったのは明らかだった」と述べた。「ウクライナに侵攻した時、こうなるはずだと彼が思っていたのと真逆の事態が、いまプーチンにふりかかっている」、「今のNATOはかつてないほど一致団結している」と、バイデン氏は話した」

     


    NATOの結束は、中国にとっても不都合な事実になってきた。中国は台湾侵攻の際、「クワッド」(日米豪印)や「AUKUS」(米英豪)が、結束して対抗する可能性を持つからだ。今回、中国が曖昧な姿勢を取っている背景には、台湾侵攻においてロシアの支援を求めたいという伏線もあるだろう。ロシアの経済力は、ウクライナ侵略で大きく削がれることは確実である。中国が、当てにならないロシアの支援を前提に台湾侵攻を計画するのは、「第二のロシア」に落込むリスクを抱えることになろう。

     

    (3)「バイデン氏はさらに、米政府がロシアの400の個人・組織を制裁対象に加えたと説明。これにはロシアの国会議員300人と、政府に近い大財閥(オリガルヒ)、防衛系企業も含まれるという。さらに、中国の習近平・国家主席に対しては、もし武器供与などで中国がロシアを支援するなら、中国の欧米との経済関係を「深刻な危険」にさらすことになると、明確に告げてあると記者団に話した。中国を「脅したわけではない」ものの、ロシアの「野蛮な行動」の結果、どれだけの欧米企業がすでにロシアを撤退したかなど、指摘したという

     

    バイデン氏は、習近平氏へ明確に警告している。ロシアを支援すれば、欧米との経済関係が深刻な事態になることと、欧米企業が中国から撤退するだろうと指摘したという。米国から、ここまで踏込まれると、中国は動きが取れまい。

     


    (4)「バイデン氏はさらに、ロシアがウクライナで化学兵器を使用すると懸念されている状況について、もしロシアがそのようなことをすればアメリカは対応するし、「その対応の内容は、(化学兵器を)どのように使ったのかに応じたものになる」と警告した。諸外国の首脳も、もしロシアが化学兵器や核兵器を使うなら、西側として対応するしかないと口々に述べた。ただし、どのような対応になるのかは言明していない。他方、NATO加盟各国は首脳会議を経て、東欧での防衛力強化で合意した。スロヴァキア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアに新たに4つの部隊が派遣される予定」

     

    ロシアが化学兵器を使えば、「米国が対応する」と明確にした。その内容は不明だが、ロシアが恐れる対応なのだ。米国は、飛行機をウクライナに供与して爆撃を可能にさせるのだろう。米国の参戦はない。

     


    (5)「ブリュッセルの首脳会議に出席したボリス・ジョンソン英首相は、イギリスがウクライナにミサイル6000発を提供すると発表した。またウクライナ兵の給与支給のため、2500万ポンド(約40億円)を支援する方針も示した。「プーチンはすでに野蛮の域へと、一線を越えてしまった」とジョンソン首相は記者団に述べた。さらに、BBC番組に対して首相は、「ウクライナの人たちがこれほど抵抗するなど、(プーチン氏には)まったく予想外だったのだと思う。ウクライナというものを、まったく誤解していたし、ウクライナという国を消滅させるどころか、むしろその団結を強めた」と話した」

     

    英国は、ウクライナ兵の給与として約40億円を肩代わりする。今後も継続するのであろう。ミサイル6000発も提供する。

     

     

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    ウクライナ政府は、外国人義勇兵の募集を行なっているが、すでに約2万人に達した。ウクライナのクレバ外相が6日、米CNNテレビに語った。ほとんどが欧州からの若者という。日本からも参加するとの報道がされた。

     

    『ロイター』(3月9日付)は、「大義と連帯と目的と 外国人義勇兵がウクライナに求めるもの」と題する記事を掲載した。

     

    イケル・ファーコルさん(29)は、かつて米陸軍の工兵だった。そして、ローマで考古学を学んでいた時にウクライナ大統領による外国人部隊への志願の呼びかけを耳にした。ファーコルさんはその数日後には、ウクライナ西部の都市リビウに設けられた新兵採用オフィスに出向き、前線でパラメディック(救急救助隊員)として働く希望を伝えていたという。「負傷者のトリアージを担当したいと伝えた」と、ファーコルさん。戦闘経験は無い。「フィンランドから来た奴もいた。『とにかくロシア人をやっつけたい』と言っていた」

     


    (1)「ウクライナは、外国からの志願者による「国際」外国人部隊を設立した。ゼレンスキー大統領は、ウクライナへの支持を示すために、「ウクライナ人と肩を並べてロシアの戦争犯罪者と戦う」ことを世界各国の人々に公式に呼びかけている。大統領は先週、1万6000人以上が志願してきたと述べたが、到着済みの人数については明らかにしなかった。ウクライナに到着した外国人志願者の一部は、「大義」に惹かれたと話す。数十年に一度しか起きないような民主主義と独裁体制による決戦で、ロシアの侵攻を止めるという大義だ。他方、ウクライナでの戦争は、自国政府から評価されなくなった戦闘スキルを活用する機会を与えてくれる場だと感じて志願した人々もいる。こう考える志願者の多くは、イラクやアフガニスタンでの従軍経験者だ」

     

    従軍経験者が、多く義勇兵に応募している。ロシア打倒という「大義」だけでは、戦争未体験者には余りにも危険だ。日本政府は止めているが、自衛隊経験者の応募もある。

     


    (2)「戦闘で鍛えられた従軍経験者と並んで、ほとんど、あるいはまったく戦闘経験のない人々も参加しようとしている。ロシア軍による苛烈な砲撃がたえまなく続く戦闘地域では、こうした人々にできることは限られている。英軍での戦闘経験があると称する男性は、こうした志願者は「弾除けにしかならない」と揶揄する。リビウで新たに到着する外国人志願者の対応に当たるウクライナ当局幹部のロマン・シェペリャク氏は、外国人戦闘員を受け入れ、訓練して配備するための体制はまだ発足したばかりであり、今後流れがもっとスムーズになるだろうと語った。ウクライナ国防省はコメントを控えた」

     

    外国人戦闘員は訓練してから配属するが、そのシステムはまだ上手く動いていない様子だ。

     

    (3)「英陸軍の精鋭であるパラシュート連隊出身というある元兵士によれば、ウクライナで戦うために到着した外国人志願者の中には同連隊の出身者が数十人含まれている。さらに数百人が後に続くだろう、とこの元兵士は話した。ロイターではこの数字の裏付けを取ることができなかった。単に「パラ」と呼ばれることも多いパラシュート連隊は近年、アフガニスタンとイラクで参戦している。この元兵士は「全員きわめて練度が高く、多くの機会で実際の戦闘を経験している」と話す。ウクライナ危機は彼らに目的と連帯感、そして「彼らが得意とすること、つまり戦闘の機会」を与えてくれるという」

     

    英陸軍のパラシュート連隊出身者が、数百人は応募するだろうと語っている。アフガニスタンとイラクで参戦した経験を持つので、すぐに戦場へ駆けつけられる。

     


    (4)「前出のファーコルさんによれば、彼の出身地である米シカゴには、ウクライナ系の人々がたくさん住んでいたという。彼がキエフ行を決めたのは、「力になりたい」と考えたからだ。ファーコルさんは5日、前線に向かう列車に乗ろうとリビウ駅にやって来た。あふれる避難民をかき分けつつ、「正直なところ、少しナーバスになっている。しかし一方では、自分のためではない、とも思う。いま苦しんでいる人々のためだ」と語った」

     

    何か、戦時中の特攻隊員の心情と重なってくる。大義とは、滅私奉公の精神なのだろう。

     

    (5)「ウクライナでは男性国民の大規模な動員が進み、志願兵は数多く集まっている。不足しているのは、「ジャベリン」や「NLAW」といった対戦車ミサイルの操作方法を知るスペシャリストだ。きちんと使うには、正規兵でも数ヶ月の訓練が必要となる。クルーガーと名乗る元英軍兵士は、たとえ戦闘経験があってもウクライナの戦場では苦労するかも知れない、と警告する。アフガニスタンでの従軍経験があり、他の兵士の訓練にも当たったというクルーガーは、「戦争見物のつもりでここに来たなら、帰った方がいい。前線に向かったら、戦争の現実に酷く打ちのめされるだろう」と話した」

     

    戦争未体験者が、大義だけで戦場へ立つ危険性を指摘している。命を捨てるリスクと隣合せであるからだ。

     


    (6)「リビウに到着した外国人志願者は、シェペリャク氏による書類審査を受ける。シェペリャク氏は、この地域の国際技術支援・協力局のトップを務める。同氏は、戦闘参加を志願する外国人に対応する体制がまだ十分に整っていないことを認める。シェペリャク氏はロイターに対し、到着する外国人はますます増えていると語った。「彼らが外国のために尽くしたいという願いと信念をこれほどまでに抱いているのだとすれば、ただごとではない。彼らは重要な存在だ」。シェペリャク氏は、自分がやっているのは書類審査だけで、戦闘経験については判断していない、と語る。その部分は書類審査後に志願者が送られるリビウ郊外の軍事基地で評価される。採用されてウクライナ軍に編入された志願者は、他の正規兵と同等の給与を与えられるという

     

    ウクライナ政府は、「ボランティア」名義で募集している。だが、採用されてウクライナ軍に編入されれば、同等の給与が支給される。 

     

     

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