勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    テイカカズラ
       

    ロシアは、ウクライナ和平をめぐって「のらりくらり」しながら時間稼ぎをしている。ウクライナの体力疲弊を待つ形だ。最終的には、ロシアの思い描く通りの決着へ持ち込もうという算段だ。ふらつくロシア経済は、ウクライナ侵攻4回目の冬を迎える。国民生活は疲弊しているが、未だ崖っ縁までには至っていない。これが、プーチンロシア大統領にわずかな「余裕」を与えている。

     

    『ブルームバーグ』(11月27日付)は、「ウクライナ侵攻から4回目の冬、ロシア国民に痛み-経済的体力が試練に」と題する記事を掲載した。

     

    プーチン大統領の下でロシアが開始したウクライナ侵攻から4回目の冬を迎え、ロシア国民は日常生活のあらゆる部分で影響の広がりを実感している。ロシア中部と南部の何十もの地域で、エネルギー施設や住宅がドローンとミサイルの攻撃を受けており、前線との近さを実感せざるを得ない。空襲警報のサイレンがほぼ毎晩鳴り続け、戦闘が迫っていると絶えず知らせる。

     

    (1)「前線のはるかかなた、モスクワを含むロシア各地で、経済的痛みを人々は感じ始めた。家計は食費を切り詰め、鉄鋼・鉱業・エネルギー産業も苦境に陥り、成長エンジンに亀裂が幾つも生じつつある。大規模財政出動と記録的なエネルギー収入が支えるロシア経済のレジリエンス(体力)が試練にさらされている。苦しみはウクライナとは到底比べものにならず、プーチン氏に戦争終結を促す可能性は低い。それでも2022年2月の全面侵攻を決断した代償が、これまでになく大きいという現実を浮き彫りにする」

     

    ロシアの今年の冬は、いつもの冬よりも厳しくなりそうだという。戦争の痛みが、あちこちで強くなっているからだ。家計は食費を切り詰め、鉄鋼・鉱業・エネルギー産業も苦境に陥っている。軍需産業は、武器を納品しても政府から代金が支払われない状態だ。この状態が、前記の鉄鋼・鉱業・エネルギー産業へ波及している。

     

    (2)「トランプ米政権は停戦実現に向け、ロシアの石油・天然ガス収入の抑制を目指す圧力を強めている。ロシアが望む制裁緩和を盛り込んだ包括的和平案を巡り、米ロの交渉が水面下で続いているもようだ。米カーネギー国際平和財団ロシア・ユーラシアセンターのアレクサンドル・ガブエフ氏は「全体の経済指標に基づけば、今この戦争をやめることがロシアの最善の利益になるだろう。けれども戦争を終わらせたいと考えるには、崖っぷちに立たされている認識が必要だ。ロシアはそこにまだ至っていない」と指摘した」

     

    プーチン氏は、「時間を味方につけている」。粘り勝ちで、ウクライナを屈服させるという「我慢比べ」をしている。トランプ氏が、ウクライナへ強力な武器を与えて、ロシアの経済的消耗度を引上げれば、事態の打開へ繋がるであろう。だが、トランプ氏には別の思惑がある。ロシアを味方につけて対中国戦略を練っているからだ。

     

    米国が、先に提出した和平案には、ロシアをG8へ復帰させるという項目さへあって仰天させた。トランプ氏が、ロシアを取込もうという戦術が含まれている。ウクライナの犠牲で、米国の対中戦略へロシアを組入れるというのだ。ロシアと米国の下打ち合せでは、ロシアがこれを望んだのであろう。ロシアの本心は、新興国のトップでなく先進国の一角に席を占めて「大国ロシア」の威容を国民に示したいのであろう。

     

    このロシアの願望は、どこまで満たして行けばいいのか。その場合の欧州の反応はどうか。難しい方程式である。だが、なによりも侵略されたウクライナの悲劇の回復が第一でなければならないが、当のウクライナ政府の幹部は、大規模な汚職容疑で揺れている。戦争で国土が消えるかどうかという瀬戸際で、賄賂を懐に入れる輩がいるとは絶句する。そう言ってはいけないが、「タヌキとキツネの化かし合い」という局面である。

     

    こうなると、最前線で命を的にさせられて戦っている両軍の兵士とその家族、犠牲になった兵士や家族が、最大の貧乏籤を引かされたことになる。最前線から遠く離れるほど、それぞれの「欲望」が渦巻いて、この戦争を利用しようとしている一団の人たちが控えているのだ。

     

    ロシアの文豪トルストイは、若き日にクリミア戦争に従軍した経験が、反戦思想の原点となった。晩年には非暴力主義(トルストイ主義)を提唱し、ガンジーにも大きな影響を与えた。トルストイにとって戦争とは、人間の理性と愛を破壊する最大の暴力とみた。このトルストイが、次のような名言を残している。

     

    「戦争は、最も卑劣な人間が、最も高貴な理想を語るときに始まる」。この言葉は、プーチン氏や習近平氏にそのまま当てはまる。プーチン氏は、「大ロシア帝国の復活」を。習氏は「中華民族再興」を語って、戦争を美化しているのだ。正義の戦争などは存在しない。邪悪だけが開戦動機である。

     

     

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    ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻の終結に向けた協議を行うため、18日にワシントンを訪問してトランプ米大統領と会談すると表明した。ゼレンスキー氏は16日、トランプ氏との電話会談後にSNSに投稿し、「ウクライナは平和を実現するため生産的に取り組む用意があることをあらためて確認する」とした上で、「ウクライナ・米国・ロシアによる三者会談を開くというトランプ大統領の提案を支持する」とした。ゼレンスキー氏はさらに、欧州もこの協議に加わるべきだとあらためて強調した。『ブルームバーグ』(8月16日付)が報じた。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月16日付)は、「ロシアとウクライナ、停戦合意でなく和平交渉へ=トランプ氏」と題する記事を掲載した。

     

    ドナルド・トランプ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談、その後のウクライナおよび他の欧州首脳との協議を経て、ロシアとウクライナは停戦合意ではなく、戦争終結に向けた直接交渉に入ると述べた。

     

    (1)「トゥルース・ソーシャルへの投稿で、トランプ氏はこの24時間に話をした首脳らが「ロシアとウクライナ間の悲惨な戦争を終わらせる最善の方法は、しばしば維持されない単なる停戦合意ではなく、戦争を終結させる和平合意に直接向かうことだ」と判断したと述べた。15日のアラスカでの米ロ首脳会談前、トランプ氏はプーチン氏が停戦に同意しなければ失望すると述べていた。トランプ氏は16日の投稿で、18日午後にホワイトハウスの大統領執務室でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談することも確認した。「すべてがうまくいけば、その後プーチン大統領との会談を設定する」と述べた」

     

    停戦は、しばしば破られるケースが多い。トランプ氏は、こういう無駄な交渉を排除して一挙に「和平交渉」という段取りを始めた。それほど、15日の米ロ会談が、詳細まで突っ込んだ話合いをしたのかどうか。そういう議論を飛ばして「イエスか、ノーか」の議論は乱暴過ぎる感じもする。

     

    『ブルームバーグ』(8月16日付)は、「ゼレンスキー氏、トランプ氏と18日にワシントンで会談すると表明」と題する記事を掲載した。

    ゼレンスキー氏は16日、トランプ氏との電話会談後にSNSに投稿し、「ウクライナは平和を実現するため生産的に取り組む用意があることをあらためて確認する」とした上で、「ウクライナ・米国・ロシアによる三者会談を開くというトランプ大統領の提案を支持する」とした。さらに、欧州もこの協議に加わるべきだとあらためて強調した。

     

    (2)「トランプ大統領は、15日に行われたロシアのプーチン大統領との会談後、大統領専用機からゼレンスキー大統領および複数の欧州諸国首脳と電話で協議し、米ロ首脳会談について説明した。この協議に詳しい複数の関係者によると、欧州諸国の首脳はトランプ大統領の外交努力を歓迎する一方で、トランプ、プーチン、ゼレンスキー3氏による会談開催をあらためて求めたという。首脳らはさらに、ウクライナの領土に関する決定は同国自身が下すべきであり、現在の境界線を交渉の出発点とすべきだと強調した」

     

    欧州諸国の首脳は、トランプ、プーチン、ゼレンスキー3氏による会談開催をあらためて求めたという。首脳らはさらに、ウクライナの領土に関する決定は同国自身が下すべきであり、現在の境界線を交渉の出発点とすべきだと強調した。

     

    (3)「1時間以上に及んだ電話協議で、各国首脳はいかなる和平合意も機能させるにはウクライナに対する強固な安全保障が不可欠だとし、ウクライナへの軍事支援を継続することを約束した。一方、ロシアの国営テレビ局Vestiは、ウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)の発言を引用し、プーチン、トランプ、ゼレンスキー3氏による会談の開催については議題として取り上げられていないと報じた」

     

    欧州各国首脳は、ウクライナに対する強固な安全保障が不可欠だとし、ウクライナへの軍事支援を継続することを約束した。こういうバックアップがなければ、ロシアを増長させるからだ。

     

    (4)「匿名を条件に語った複数の関係者によると、一部の欧州当局者は、トランプ氏が今後、ゼレンスキー氏に対し、領土の割譲を迫るのではないかと懸念している。トランプ氏はプーチン氏との会談後のFOXニュースのインタビューで、いくつかの争点が残っていると説明。合意には至っていないと指摘したうえで、ウクライナとロシアの戦争終結はゼレンスキー氏にかかっていると語った」

     

    トランプ氏は、ウクライナとロシアの戦争終結はゼレンスキー氏にかかっていると語った。領土割譲問題が、最大のポイントになっていることを示唆している。

     

     

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    ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、トランプ米政権のケロッグ特使(ウクライナ・ロシア担当)とキーウで会談し、ロシアの侵攻が続くウクライナの戦争終結を巡り協議した。ゼレンスキー氏は会談後、「ウクライナは投資と安全保障に関し、(トランプ)米大統領と強力で効果的な合意を結ぶ用意がある」とX(旧ツイッター)に投稿した。

    『時事通信』(2月21日付)は、「トランプ氏と『合意の用意』ウクライナ大統領 米特使と会談」と題する記事を掲載した。

    (1)「会談は、ロシア寄りの姿勢を示すトランプ氏が、ゼレンスキー氏に対する批判を強める中で行われた。ゼレンスキー氏は、これ以上亀裂が深まるのを回避しようとしたとみられ、「実り多い会談だった」と強調し、米国の支援に謝意を表明した。また、同氏はトランプ氏との合意に向けて「最も迅速で建設的なやり方を提案している」と説明。「強固なウクライナと米国の関係は全世界の利益になる」と訴えた」

    ゼレンスキー氏は、妥協する形で米国からのウクライナ鉱物資源の権利50%譲渡を認めた形だ。これに先立ち、米ホワイトハウスはウクライナが米国非難をやめて鉱物協定に署名するべきだと明らかにしていた。


    『中央日報』(2月21日付)は、「米ホワイトハウス『ウクライナは米国を非難せずレアアース供給協定にサインを』」と題する記事を掲載した。

    ウォルツ米大統領補佐官は20日(現地時間)、FOXニュースのインタビューで、ゼレンスキー大統領が米国の軍事支援の見返りに米国にレアアース(希土類)を供給するという協定に署名するのを避けている点を指摘し、「ここ(ワシントン)には多くの不満がある」と述べた。

    (2)「ウォルツ補佐官は、トランプ大統領だけでなくJ・D・バンス副大統領、ベッセント財務長官も先週、ゼレンスキー大統領との会談後「失望する」と話した。ウォルツ補佐官は、「米国はウクライナにこれ以上は望めない最高の安保保障を提供できる驚くほどの歴史的機会を提供した」とし「なぜ我々がこのような反発を受けているのか、米国がウクライナのためにしたすべてのことに対してメディアで『誹謗』を浴びせるのは容認できない」と話した。続いて「彼らは非難の声を低めて綿密に検討した後、取引に署名しなければいけない」と主張した。トランプ大統領は、ロシアが2022年2月にウクライナを侵攻して以降ワシントンが提供した経済的、軍事的支援に対する見返りの一環として、キーウが米国に約5000億ドル相当のレアアースを提供することを望むと述べた」

    今週初めにサウジアラビアで開かれた米ロ高官協議で、ウクライナが除外されたことで、米国とウクライナの間で葛藤が深まった。トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領について「選挙をしない独裁者」とし「ぞっとする」と非難しエスカレートした。


    『フィナンシャル・タイムズ』(2月18日付)は、「トランプ米大統領が狙うウクライナの鉱物資源」と題する記事を掲載した。

    トランプ米大統領が12日、ウクライナに「援助の見返りに鉱物資源」を提案したことで、同国に大量に眠る希少な鉱物資源にスポットライトが当たった。米政府は過去の軍事支援への見返りとして、こうした資源の提供を求めている。

    (3)「ウクライナには最大で11兆5000億ドル(約1750兆円)相当の重要鉱物が眠る大きな地下鉱床がある。リチウムや黒鉛、コバルト、チタン、そしてスカンジウムといったレアアース(希土類)など、防衛から電気自動車(EV)まで様々な産業にとって不可欠な資源を持つ。欧州では珍しいこうした鉱床の確認は、安定した政府の司法管轄下でさえ何年もの時間がかかる。にもかかわらず、ウクライナではそうした大規模な探査や開発はされていない。埋蔵資源の質に関するデータも不足している。これは何百万ドルもの資金を新たな鉱山につぎ込む前に投資家が必要とする情報だ」

    ウクライナは、米国が不可欠とする鉱物資源が豊富である。これまで、ウクライナでは大規模な探査や開発もされていないのだ。約1750兆円とされる鉱物資源は、ソ連時代の探査結果に基づく評価である。


    (4)「ウクライナ政府の数字によると、ウクライナの地中には電池生産に使われるリチウムの世界埋蔵量の推定10%が眠っている。鉱床は約820平方キロメートルの範囲に及ぶようだが、これまでに採掘されたものは一つもない。まだ採掘されていないスカンジウム、そしてジェットエンジンに使われるジルコニウムの確認埋蔵量も大きい。半導体に使われるタンタルと超電導の特性を持つニオブ、航空宇宙産業で使われる金属ベリリウムについては一部の鉱床で小規模な採掘がされているが、こうした資源の可能性は膨大だとウクライナ政府関係者は話している」

    半導体に使われるタンタル、超電導の特性を持つニオブ、航空宇宙産業で使われる金属ベリリウムまで、垂涎の的になる資源ばかりだ。

    (5)「ウクライナ政府関係者によると、ミサイルや航空機、船舶に使われるチタンの埋蔵量でもウクライナは世界上位10位に入る。しかし、確認埋蔵量の約10%しか開発されていない。ウクライナのシュミハリ首相は2月初旬、同国は欧州のロシア産チタンの輸入を代替できると主張した。だが、ウクライナ地質調査所(UGS)のトップを務めたロマン・オピマク氏は2月中旬、ウクライナの埋蔵レアアースに関する「新しい分析評価はない」と述べ、推定埋蔵量は古い旧ソ連時代の研究に基づいていると指摘した」

    米戦略国際問題研究所(CSIS)ディレクターのグレースリン・バスカラン氏は、鉱物資源に関する言動は「大げさな政治的ポーズで(中略)データは最新ではなく、何がそこにあるかについての情報がほとんどない」と語っている。最新データはないのだ。



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    中国は、これまでロシア経済を裏から支援し輸出で稼いできた。だが、ウクライナ和平が急進展する気配から、今度はウクライナへ接近して復興需要を狙う動きをみせている。なかなかの「商売人」である。ウクライナをできれば、「一帯一路」へ組入れたいとしている。ウクライナが、こういう誘いに乗るとも思えないだが、中国は「ビジネス第一」を掲げ始めた。

    『日本経済新聞 電子版』(2月17日付)は、「中国、ウクライナ巡る米ロ接近警戒 復興需要に期待も」と題する記事を掲載した。

    中国の習近平指導部は、ウクライナの戦争終結に向けた交渉開始で合意した米国とロシアの接近を警戒する。貿易やエネルギーで蜜月状態にある中ロ関係に影響しかねないからだ。トランプ米大統領が、意欲を見せる核軍縮の協議にロシアが応じれば、中国の軍拡路線に支障が出る可能性もある。


    (1)「中国の王毅共産党政治局員兼外相は14日、「平和に向けたあらゆる努力を歓迎する」と訪問先のドイツ・ミュンヘンで述べた。13日には英ロンドンでラミー英外相に「欧州を含む関係者と協力し、建設的役割を果たす」と伝えた。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』電子版は12日、中国政府関係者がこの数週間、停戦に向けてトランプ米政権に米ロ首脳会談を提案していたと報じた。停戦後の平和維持活動への支援にも意欲を示したという」

    中国は、ロシアへ非武器製品を輸出して儲けたが、今度はウクライナの復興需要を狙っている。「二股ビジネス」である。

    (2)「中国は、ロシアによるウクライナ侵略は地域情勢を緊迫させかねないと訴え、政治的な解決を求めてきた。双方に対話を促すため両国や周辺国へたびたび特別代表を派遣した。中立的な立場を唱える一方、ロシアから石油やガスの購入を増やして同国の戦費を事実上支えた。兵器の製造に欠かせない電子部品や半導体、工作機械も供給した。安価なエネルギー調達と対ロ輸出の拡大は中国の利益に沿う。対立する米国が、ウクライナ危機と中東問題という二正面の対応に追われ、対中抑止に割く余力が弱まるとの算段もあった」

    中国は内心、米国がウクライナ支援で手間取っていることを願っていた。だが、トランプ政権へ代わって、ウクライナ和平は電光石火で動いている。米国の手の内が読めないので、ウクライナへ接近しているのだ。


    (3)「ウクライナ戦争が、終結すれば米欧が対ロ制裁の緩和に動き、ロシアの対中依存度が下がる可能性がある。中ロ関係筋は「戦争状態が続くことを中国は内心、望んでいる」と話す。中国がより警戒するのが米ロの接近だ。習指導部は米国との戦力差を埋めるため、核戦力を急ピッチで増強している。トランプ大統領が打ち出した核軍縮の協議にロシアが応じれば、中国の軍拡継続に影響が及びかねない」

    米国は、ウクライナ和平を利用して「中ロ関係」へ割って入る意向をみせている。中国からロシアを引離す戦略だ。ロシアを「G8」へ復帰させるなどと「エサ」を撒き始めている。米国の狙いは、中国の孤立にある。

    (4)「ロシアは、中国の対米戦略の要だ。中ロは新興国の枠組みであるBRICSや上海協力機構(SCO)の加盟国拡大を主導してきた。経済協力をテコに友好国を結集し、米国に対抗できる勢力をつくる「多極化」戦略の一環だ。ウクライナの停戦交渉が、米ロ主導にならないよう欧州などの関与を唱える。王毅氏は15日、ミュンヘンでウクライナのシビハ外相と会い「公正で全ての当事者が受け入れられる和平協議を望む」と述べた」


    中国が、自らの国力衰退リスクを忘れて、大国意識で振る舞っている。BRICSの「頭目」を目指しているが、一枚岩でない。インドというライバルが控えているのだ。

    (5)「中国にとって停戦は、好機でもある。ウクライナの復旧や復興に伴うインフラ整備の需要を広域経済圏構想「一帯一路」で取り込めるとみるからだ。農業国ウクライナとの関係強化は食料安保の観点からも理にかなう。北京の外交筋は「中国が『建設的役割』を果たそうとしているのは停戦後の再建事業においてだろう」とみる」

    ウクライナが、中国の「一帯一路」へ参加することなどまずあり得ない。ロシアのウクライナ侵略では、一方的にロシアの肩を持ってきたからだ。こういう不条理なことをしながら、今度はウクライナを味方へ引き寄せようしている。余りにも「非常識」な振る舞いだ。



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    トランプ米大統領は2月3日、ウクライナが埋蔵するレアアース(希土類)を確保したいと発言した。トランプ氏は、ホワイトハウスで記者団に対し、米国の支援に対してウクライナからの「応分の見返り」を望んでいると表明した。「われわれは、レアアースなどの提供についてウクライナと取引をしたいと考えている」とした。

    このトランプ発言を受けて、米国ベッセント財務長官は12日、両国間の鉱物資源に関する協定はロシア・ウクライナ戦争終結後のウクライナにとって「安全保障の盾」になるとの考えを示した。ベッセント長官は、トランプ米政権の閣僚として初めてウクライナを訪問した。トランプ氏は、これまでウクライナに対する軍事支援継続について明言を避ける一方、米国の支援には「保証」が必要としており両国の鉱物資源協定締結を要求している。

    米誌『フォーブス』によると、ウクライナには14兆8000億ドル相当の重要鉱物資源が埋蔵されている。その7割はドネツク州やルガンスク州などロシアが実効支配する東部に位置する。米国は、ウクライナと鉱物資源協定を結び、これを根拠にしてロシア軍のドネツク州やルガンスク州などからの撤退を要求する根拠にするのであろう。


    『ロイター』(2月16日付)は、「米の鉱物資源協定案 ウクライナ防衛につながらずーゼレンスキー氏」と題する記事を掲載した。

    ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、米政府から提示された鉱物資源協定案について、ウクライナの求める安全保障条項が盛り込まれておらず、現時点で国益にならないとの認識を示した。

    (1)「関係筋によると、米国はウクライナの重要鉱物資源の50%の所有権を取得することを提案。協定案は、ベッセント米財務長官が12日にキーウ(キエフ)を訪問して提示した。ゼレンスキー氏は、米国の協定案について「今日のわれわれの国益にならない」とし「この文書には安全保障に関する具体的な情報があまり盛り込まれていない。私にとっては、ある種の安全保障とある種の投資の間の結びつきが非常に重要だ」と記者団に述べた。関係筋によると、ゼレンスキー氏は米国が12日に協定案を提示した際、署名を断った。同氏は国内憲法に沿った自身の鉱物協定案について米国側と協議したという」

    米国は、ウクライナとの間で結ぶ「鉱物協定案」を急いでいる。だが、ウクライナは米国へ和平後の安保姿勢を明確にするよう迫っている。米国は、なぜ急にウクライナの鉱物資源協定を要求しているのか。これが、大きなヒントになりそうだ。


    『日本経済新聞 電子版』(2月5日付)は、「トランプ氏、ウクライナ支援継続探る 資源取引を口実に」と題する記事を掲載した。

    トランプ米大統領はウクライナへの武器供与の継続を探り始めた。停止すれば、ロシアとの停戦交渉でウクライナが不利な立場に陥りかねないとの判断がある。支援を続ける条件にレアアース(希土類)の供与を同国に求めたのは米国内向けの口実の側面も透ける。

    (2)「ウクライナと取引をしようとしている。彼らがレアアースやその他のものと引き換えに我々の支援を得るものだ」。トランプ氏は3日、ホワイトハウスで記者団にウクライナ国内の資源を米国に提供すれば武器供与を続ける「ディール(取引)」を話し合っていると明かした」

    トランプ氏は、ウクライナへ武器供与する条件に資源協定を要求している。しかも、ウクライナが埋蔵する資源の50%を要求している。これは、和平協定交渉でロシアに対してウクライナ占領地撤退要求に使うのであろう。ロシアへ、「米国の資源を占領している」から撤退せよと要求するのだ。


    (3)「米シンクタンクの外交問題評議会(CFR)によると、ロシアがウクライナ侵略を始めた2022年2月から24年6月までに米国が決めたウクライナ政府への直接供与は1060億ドルに達する。トランプ氏は大統領選の期間中、ウクライナへの巨額支援の継続に否定的な立場を繰り返してきた。3日に「我々は(ウクライナに)保証を求めている」と言及したのは、見返りとしてレアアースを得られれば米国の一方的な支援ではないと誇示できるためだ」

    米国が、24年6月までに決めたウクライナ政府への直接供与は1060億ドルである。それにもかかわらず、鉱物資源の50%権利を要求するのは、和平交渉でのテコに使うつもりだろう。

    (4)「ウクライナのゼレンスキー大統領は、鉱物資源の供給が米国の経済的な利益につながると主張し、トランプ氏の歓心を買ったとみられる。ウクライナにある資源が、米国の実利につながるかは見通せない。米誌フォーブスによると、ウクライナには14兆8000億ドル相当の重要鉱物資源が埋蔵されている。その7割はドネツク州やルガンスク州などロシアが実効支配する東部に位置する」

    ウクライナのゼレンスキー氏が、トランプ氏へ鉱物資源協定を持ちかけたものだ。ゼレンスキー氏は、外交手腕を使ってトランプ氏を引きつけている。なかなかの外交巧者である。米国の力を使って、占領地の一部を奪回しようという戦略である。


    (5)「米紙『ワシントン・ポスト』は2月3日、トランプ氏が想定しているのは半導体や電気自動車(EV)などの部品に使用されるレアアースの取得だと伝えた。ロシア側がすでに12兆ドル相当を超える規模のウクライナのエネルギー資源を押さえたとの専門家の推計も報じた」

    ウクライナは、米国の力でロシアが押さえている鉱物資源を取り戻したいのだ。イソップ物語に出てきそうな話になってきた。

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