トランプ米大統領は6日、ウクライナ戦争の解決は「人々が思っている以上に近づいている」と述べた。今週、トルコで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議での協議の場で、ウクライナ問題を取り上げる考えを示した。トランプ氏は、「ロシアのプーチン大統領は圧力を感じている。われわれは協議を続けており、戦争を終わらせられるか見極める」と語った。また、この件に関して「非常に良い電話会談を行った」とも述べた。以上、ロイターが6日報じた。
トランプ氏が挙げた、「ロシアのプーチン大統領は圧力を感じている」は、ウクライナによる攻撃でガソリン不足が全土で起っていることを指している。ロシア国民の間で不安と不満が高まっており、プーチン氏も決断を迫られている。
『CNN』(7月6日付)は、「ロシアの燃料危機、ほぼ全土に広がる ウクライナのドローン攻撃が激しさ増すなか」と題する記事を掲載した。
CNNの分析によると、ロシアの83地域のほぼすべてでガソリン不足が生じているか供給の混乱が報告されている。多くのガソリンスタンドが給油制限を導入する中、ロシア政府は同国の製油所を標的にしたウクライナの猛烈なドローン(無人機)攻撃の阻止に追われている。燃料危機は、まずロシア支配下のクリミアで深刻化し、6月21日に非常事態宣言が発令され、一般市民への燃料販売が全面的に禁止された。その範囲は現在、ロシアの11のタイムゾーンすべてに及んでいる。
(1)「CNNは各地域の首長らの公式声明に加え、全国・地方メディアの報道を分析した。その結果、ロシアの国際的に認められている地域のうち50超が供給の問題を公式に報告しており、非公式にはほぼすべての地域で混乱が伝えられていることが分かった。東部のイルクーツク州やザバイカル地方を含む少なくとも3地域は、非常事態の1段階下にあたる「高度警戒態勢」を宣言している」
東部のイルクーツク州やザバイカル地方でも、非常事態の1段階下にあたる「高度警戒態勢」を宣言している。クリミア半島の非常事態に次ぐ事態だ。
(2)「ロシアのプーチン大統領は5日、国営テレビの長時間インタビューで「現在、一定の不足が見られるが深刻なものではない」と主張した。これは、すべてが制御下にあると国民を安心させるために仕立てられた、急ごしらえのPR活動の一環のように見えた。ただ、プーチン氏が最も喫緊の課題について「防空システムの生産を迅速かつ大幅に増やすこと」だとした発言は、あまり安心材料にはならなかったかもしれない。これは、ウクライナの攻撃に対するロシアの脆弱(ぜいじゃく)性が高まっていることを明確に示すものだった」
ロシアの防空体制は、ウクライナのドローン攻撃を防げないほど脆弱化している。完全に、攻守ところを変えている。
(3)「ロシア国民の順応性も試されている。CNNの分析によると、ロシア各地のガソリンスタンドは購入制限を課しており、給油に最適な場所を探せる燃料追跡サイトも登場している。給油を待つ車の列が長くなるにつれ、人々の間では緊張が高まっている。SNSに投稿された動画では、クリミアに隣接するロシア南部の都市クラスノダールで車の後部に積んだ容器に給油する男性を2人の女性がルール違反だと非難している。燃料の買い占めを防ぐため、ロシアの複数の地域では19リットル程度の大型容器の使用は禁止されているのだ」
ロシアの複数の地域では、19リットル程度の大型容器の使用は禁止されている。買い溜め防止である。これを巡って、市民同士のいざこざも起っている。
(4)「国民にどの程度不安が広がっているかをはかることは不可能だが、プーチン氏もこの状況を懸念しており、国営メディアのインタビューで攻撃の目的について「我々に不確実性を生み出すこと、あるいはさらにロシア社会を分断すること」だと警告するほどだった。欧州政策分析センターの上級研究員、アレクサンダー・コリアンドル氏は燃料不足について二面性を持つと指摘する。「国民感情を直撃し、インフレにも打撃を与える」と」
ガソリン不足は、国民に不安感を煽ると同時に、インフレをもたらしている。産油国ロシアが、意外な脆弱性を見せつけている。
(5)「ロシアメディアは、給油所で最大18時間待つ人もいると報じている。インターネット上では、前に進まない車の横に飲み物やシーシャのパイプを置いたテーブルを広げる人々を描いたミームも登場している。首都モスクワでさえ、ガソリンスタンドの外にまで乗用車やトラックが列をなす異様な光景が広がっている。給油できる保証もないまま、何時間も待つ運転手もいる。モスクワでは、先月18日にウクライナが実施したドローン攻撃を受け、不安が高まっている。この攻撃は、ロシアが全面侵攻を開始して以降最大規模で、南東部カポトニャの製油所を狙った攻撃としては1週間足らずで二度目だった。迎撃は大規模な爆発を招き、燃料タンクの屋根が派手に吹き飛んだ」
給油所では、最大18時間も待たされる人が出てきた。事態は、深刻である。こうなるとプーチン政権も国民へお座なりな説明で済まなくなってきた。停戦への決断が迫られる理由である。
(6)「ロシアには、この危機に対処する手段がまだ残されている。しかし、専門家らはCNNに対し、その選択肢は狭まりつつあると語る。プーチン氏は、政府が取り組んでいる措置を列挙した。製油所の計画保守期間の短縮から、軽油輸出禁止の検討、輸入拡大などだ。しかしウクライナの攻撃が今のペースで続けば、その正常化は実現しない可能性がある。そして燃料不足によるインフレ進行と消費低迷という経済リスクは、これ以上ないほど悪いタイミングで訪れている。イランと米イスラエルの戦争の最初の数カ月で急騰した原油価格は現在下落しつつあり、ロシアが輸出で得る利益の増加によって拡大する財政赤字を埋める機会は閉じつつある。ロシア経済はすでに停滞しており、その一方で国防支出は増え続けている」
ロシアは、燃料不足によるインフレ進行と消費低迷に加えて、ホルムズ海峡の通過が可能となり原油価格の値下がりに見舞われている。値下がりは、ロシア原油の輸出減となって経済へ跳ね返る。プーチン氏も「年貢の納め時」となった。





