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ドイツ、「行き過ぎ」VW失速原因、時給1万円で日本の3倍 PBR0.3倍「日産並み」
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『日本経済新聞 電子版』(12月19日付)は、「独VW、危機招いた『時給1万円』 頼みのポルシェも失速」と題する記事を掲載した。
中国、「生残り戦略」対欧州輸出、EVがダメならHVで高関税克服「飽くなき輸出戦略」
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米欧、「9月同時利下げ」EU8月消費者物価 3年ぶりの低水準「円独歩高へ」
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円高支援の材料が、欧米で同時に生まれてきた。円売り投機筋にとっては、追い詰められる状況だ。欧米が、9月に同時利下げする可能性が高まったことは、円高へ強力な支援材料になる。円高により輸入物価抑制で実質消費が高まれば、日本経済の浮揚へ向けて大きな力になる。
8月のユーロ圏の消費者物価指数は、前年同月比2.2%上昇で2021年7月以来、およそ3年ぶり低水準になった。この結果、9月の追加利下げが確実である。現在の政策金利は3.75%である。0.25%の利下げになれば、3.50%が新金利だ。一方、米国FRB(連邦準備制度理事会)は9月、利下げすることが決定的になっている。労働需給の緩和が、失業率を上昇させており利下げの理由である。利下げ幅は0.25~0.5%とみられる。この結果、現在の5.25~5.5%金利は一挙に5%も考えられる。
『日本経済新聞 電子版』(8月30日付)は、「8月のユーロ圏消費者物価、2.2%上昇 3年ぶり低水準」と題する記事を掲載した。
8月のユーロ圏の消費者物価指数は、速報値で前年同月比2.2%上昇した。伸び率は2021年7月以来、およそ3年ぶり低水準になった。欧州中央銀行(ECB)は、次回9月の理事会で追加利下げに向けて議論する。
(1)「伸び率は、事前の市場予想と同じ水準だった。7月までは6カ月連続2%台半ばで推移していた。価格変動の大きい食品やエネルギーを除くと2.8%で、7月の2.9%から小幅に鈍化した。ECBは9月12日に金融政策を話し合う理事会を開く。6月に4年9ヶ月ぶりに利下げを決めた後、7月は政策金利を据え置いた。理事会内部では9月の追加利下げを容認する声が上がっている。金融市場の参加者も利下げを確実視している。残る焦点は拙速な金融緩和に慎重なタカ派メンバーの判断に絞られつつある」
ECBは、28ヶ国の中央銀行が加盟している。それだけに意見調整で時間をとられるが、中核のドイツ経済の浮揚を確かなものにするためにも追加利下げが必要になっている。
『日本経済新聞 電子版』(8月28日付)は、「円一段高の芽、ユーロ起点 米欧同時利下げの可能性と題する記事を掲載した。
市場の注目を集めた8月23日の国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が9月の利下げを事実上予告し、いったん円高・ドル安が強まったが、その後は落ち着きを取り戻しつつある。だが、円相場が一段高になる可能性は消えていない。波乱の芽はユーロだ。
(2)「この程度で収まったか」。マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)の深谷幸司氏は今週の円相場の動向に、こんな感想を抱いた。9月の米利下げの有無が最大の関心事だったジャクソンホール会議で、パウエル議長は「政策を調整すべき時が来た」と宣言。週明けの為替市場では一時、1ドル=143円台まで円高・ドル安が加速した。だが市場の興奮をよそに、その後は再び145円台に揺り戻す場面もあるなど、一方的に円高が強まる展開にはなっていない」
FRBの9月利下げ「声明」は、円高相場へ大きな支援材料であったが結果は、ほどほどにとどまった。
(3)「何が円高の勢いを鈍らせたのか。理由の一つはユーロの動向だ。23日のニューヨーク市場では円高・ドル安だけでなく、ユーロも対ドルで買われ、一時は2023年7月以来のユーロ高・ドル安水準を付けた。パウエル氏の発言ばかりに関心が集中した結果、米利下げ予告がドル独歩安を招いたわけだ。だが日米欧の金融政策環境をみると、ドル独歩安とは異なる相場観が浮かんでくる。FRBのパウエル議長は9月の利下げ開始を事実上予告した。一方、日銀は7月末に利上げを決め、植田和男総裁は日銀の見通し通りに経済が進めば「もう少し金利を調整できる局面が来る」として、今後の追加利上げを排除しない。
ニューヨーク市場が、円高・ドル安だけに傾かなかったのは、同時にユーロも買われたからだ。ドル売りが円買いとユーロ買いに分散された結果である。この流れが、9月に円買い一本に集中するという予測である。ユーロが、9月に利下げするからだ。
(4)「ジャクソンホール会議では、ECBのレーン専務理事が「高すぎる金利があまりにも長くなれば、慢性的に物価目標を下回りかねない」として、過度の金融引き締めによるリスクに言及した。追加利上げのカードを手放さない日銀に対し、インフレ収束を見込んで利下げ姿勢を強め始めたFRBとECB。そこから浮かぶ為替相場の力学は、ドル独歩安ではなく、円独歩高ではないか」
EU、「限界」理想主義偏重、ロシアの侵略に目が覚める EV一本槍に「曲がり角」
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EU(欧州連合)は、第二次世界大戦後に仏独の二ヶ国が、二度の世界大戦という悲劇を繰返さない反省の上に立って和解し、欧州全体の連合の理想主義が実現したものである。こういう経緯からみて、EUは強い理想主義を掲げている。その夢は、ロシアのウクライナ侵攻によって打ち砕かれた。理想主義を実現するには、それを裏付ける「実力」を蓄える必要性を実感させられた。
EUは、「脱炭素」という理想も掲げたが、その手段としてEV(電気自動車)一本に頼るという失敗をしている。トヨタ自動車のように、EVのほかにHV(ハイブリッド)や燃料電池車(FCV)や「曲がる電池」ペロブスカイトを自動車の屋根やボンネットに乗せる実験を始めている。EUには、こういう柔軟性がないのだ。
『日本経済新聞 電子版』(7月29日付)は、「揺らぐEUの理想主義、EV偏重 企業は面従腹背」と題する記事を掲載した。
6月の欧州議会選後、「欧州連合(EU)の理想主義は死んだ」と悲観的、あるいは冷笑的な言説に触れる機会が増えた。むろん「脱炭素」「人権」など進歩的な規範・制度づくりを軸に多国間協調を図る、EUの基本理念を全否定した右翼・極右政党の躍進が背景にある。
(1)「理想主義的な政策は最近、綻びが目立っていた。代表例が防衛だ。ESG(環境・社会・企業統治)を順守するあまり、欧州投資銀行(EIB)は域内の防衛産業を「持続可能性がない」と分類。融資対象から外し、米国の軍事力に頼った。ロシアのウクライナ侵略を許し、慌てて防衛強化にかじを切ったが、分類があだとなり中小企業やファンドは今も投融資に二の足を踏む。「気候変動の観点から防衛を捉えるべきではない」。EIB副総裁を2年半務めたフィンランドのストゥブ大統領ですらESG規制を「理解しがたい」と批判する」
NATO(北大西洋条約機構)加盟国で、国防費の対GDP比が2%未満の国がゴロゴロしている。トランプ米国前大統領が、ロシアに対して「こういう国は侵略して良い」などと暴言を吐くほどだ。トランプ氏から非難された欧州の国々が、今や国防で目覚めている。長い間、国防を他国任せにするという無責任な態度であったからだ。これも、理想主義偏重の歪みであろう。
(2)「ただ、EUが多国間協調を捨て、大国のパワーと国益を重視する現実主義に振れると結論づけるのは早計だろう。確かに2035年のエンジン車の販売禁止を決めた後、大国ドイツの意向を踏まえ、合成燃料の利用に限り販売継続を認めた。2期目が決まったフォンデアライエン欧州委員長は18日、あくまで合成燃料は例外措置だと強調した。政権安定のため環境政党に配慮した点を割り引いても、温暖化ガス排出ゼロを目指す理念は変わらない。独シンクタンク、外交問題評議会の元主席研究員、ベンジャミン・タリス氏は理想主義の失敗を踏まえ、「価値や理念を徹底的に守り、広げることに特化した『新理想主義』が主流になる」と説く」
EUが、理想主義を掲げなければ結束は維持できない。その理想主義を実現する「実力」も不可欠である。要するに、「二本立て」である。
(3)「揺らぐEUを横目に、企業はしたたかに現実主義的なアプローチを貫く。21年、新たな車台開発を発表した欧州ステランティス。EUの電気自動車(EV)一辺倒の戦略を踏まえ、当初は「EV向け」と説明していたが、需要が失速するとプラグインハイブリッド車(PHV)などエンジン車にも使えることを明らかにした。カルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、「マルチエネルギー車台戦略で予測できない状況にも適応できる」と胸を張る」
企業は,理想主義にばかり酔っていたならば赤字になる。利益を出さなければならないという「現実主義」が裏付けになる。
(4)「独BMWは、EVシフトを強調してきた水面下で、水素を使った燃料電池車(FCV)開発を続ける。ライバルが乗用車から商用車に開発主体を移すなか、乗用車向けFCVの本命に浮上する。対照的に、トヨタ自動車はEVだけでなく多様な環境車をそろえる「マルチパスウェイ(全方位戦略)」を公言してきた。異なる理想主義でEUと対立し、EVに後ろ向きだと環境団体や投資家にたたかれた」
トヨタの全方位戦略の強みは、今回のEV失速で証明された。全固体電池という本命電池を開発しながらHVという補強策も万全であった。