EU(欧州連合)は、中国企業の進出に当たり政府補助金を受けているかどうかを調査している。中国企業2社は、ルーマニアの太陽光発電所建設に当たり入札に応募したが、政府補助金について調査すると発表したとたんに、入札辞退を申入れてきた。調査で補助金支給が判明することを恐れたのであろう。論より証拠である。中国政府の補助金が支給されているのだ。
『東洋経済オンライン』(6月4日付)は、「中国企業、ルーマニアの太陽光発電入札から撤退」と題する記事を掲載した。この記事は、中国『財新』記事の転載である。
ルーマニア政府が実施した太陽光発電所の建設プロジェクトの競争入札から、応札していた中国企業2社が撤退したことがわかった。欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会が、これらの中国企業に対して不公正な補助金の有無に関する調査を進めていたことが影響したとみられる。
(1)「入札から撤退したのは、中国の太陽光パネル大手の隆基緑能科技(ロンジ)と重電大手の上海電気集団。欧州委は4月3日、両社が欧州子会社などを通じて参加していた企業コンソーシアムに対して、EUの「外国補助金規則(FSR)」に基づく調査を始めると発表していた。ロンジと上海電気の撤退を受け、欧州委のティエリー・ブルトン委員(域内市場担当)は5月13日に声明を出し、調査を終了すると発表した。上述のルーマニアの太陽光発電所は、計画設備容量が約455MW(メガワット)、入札の予想契約価格は約3億7500万ユーロ(約634億円)で、建設資金の一部をEUが拠出することになっていた」
EUが、「外国補助金規則」に基づいて調査すると発表したら、入札を辞退するとは不自然な動きだ。調査されたら困る事態が明るみになるからだ。よほど多くの金額が、政府補助金として入っているのだろう。違法なことは言うまでもない。
(2)「欧州委は最近、FSRに基づく補助金調査で中国企業を狙い撃ちにしている。2月16日に中国の鉄道車両メーカー、中国中車青島四方機車車両(中車四方)に対して調査を開始したのを皮切りに、4月9日には中国製の風力発電装置への調査にも着手した。そのうち中車四方は、調査対象となったブルガリア政府の鉄道車両調達の入札から早々と撤退している」
EUは、鉄道車両メーカーの中国中車青島四方機車車両や中国製風力発電装置への調査にも着手している。政府補助金は、WTO(世界貿易機関)の規定に反しているからだ。調べられて困るようなことをしてはならない。
(3)「ヨーロッパに進出した中国企業の団体である欧盟中国商会(EU中国商工会議所)は、ヨーロッパに進出した中国企業の団体である欧盟中国商会(EU中国商工会議所)は、5月14日付の声明で「太陽光発電所の競争入札からの撤退は、中国企業にとっていかんともしがたい苦渋の選択だった」と強い不満を表明し、欧州委の対応を次のように批判した。「欧州委は(FSRに基づく)調査において、不公正、不透明かつ差別的なやり方で法律を運用している疑いがある。同じ競争入札にEU域外の非中国企業が応札しても、調査対象にはなっていない」とした」
物は言いようである。中国は、自らの不正を棚に上げてEUを不透明として批判する。ならば、白黒の決着がつくまで入札を辞退せずに調査を受けるべきである。自ら疚しいところがあるので、白日にさらされる前に辞退していると読めるのだ。
(4)「欧州委は、中国製太陽光パネルへの過度の依存は経済安全保障の観点から好ましくないという姿勢を隠さなくなっている。欧州委のブルトン委員は、5月13日の声明の中でこう強調した。「われわれは二酸化炭素(CO2)の排出量とエネルギーコストを削減するため、太陽光パネルの設置に莫大な投資を行っている。しかしながら、それはヨーロッパのエネルギー安全保障、産業競争力、雇用確保を犠牲にするものであってはならない」と指摘する」
EUの言い分は、もっともである。ヨーロッパのエネルギー安全保障、産業競争力、雇用確保を犠牲にしてはならないのだ。
(5)「EU市場における中国製太陽光パネルのシェアは、現時点で約9割に達している。中国の太陽光パネルメーカーにとっても、EUは最大の輸出市場だ。2022年から2023年にかけて中国から輸出された太陽光発電関連製品のうち、EU向けが約5割を占めていただけに、今後の影響が懸念される」
EUで、太陽光パネルで9割のシェアとは、ほぼ独占である。政府補助金が、この「偉業」を実現させたのだ。EUが、中国へ警戒するのは当然であろう。





