勝又壽良のワールドビュー

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    カテゴリ:ロシア経済ニュース > ロシア経済ニュース時評

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    米中央情報局(CIA)ラトクリフ長官が8月25日、モスクワを電撃訪問。ロシアのプーチン大統領の側近らに対して、最後通告を行った。ウクライナによる長距離ドローン攻撃拡大などにより、ロシアが戦争に勝つのは不可能であり、侵攻をやめてウクライナとの和平交渉に応じるよう求めたからだ。ラトクリフ長官は、プーチン大統領がこれに応じなければ、アメリカはウクライナへの本格的な軍事支援を行うとの通告も行った。

     

    『東洋経済オンライン』(8月30日付)は、「『ロシアは勝てない』CIA長官がモスクワ電撃訪問でプーチンに突きつけた〈侵攻停止〉と〈和平交渉開始〉」と題する記事を掲載した。筆者は、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長の吉田成之氏である。

     

    トランプ政権が戦局に関して、勝つ見込みがないとの評価をロシアに伝え、侵攻停止と和平交渉開始に応じるよう要求を突き付けたのは初めてである。今後の焦点は、この驚くようなラトクリフ長官の通告に対し、プーチン大統領がどのように対応するか、だ。しかし、ロシア軍はラトクリフ訪ロ直後の8月28日、キーウに対し大規模な攻撃を実施。数十人規模の死者を出すなど、侵攻をエスカレートさせており、現時点で和平に応じるような構えは示していない。

     

    (1)「ラトクリフ長官が8月25日にモスクワで会談したのは、情報機関のツートップであるロシア対外情報局(SVR)のナルイシキン長官と、連邦保安局(FSB)のボルトニコフ長官。いずれもプーチン大統領の側近だ。会談は個別に行われた。事情に詳しい関係筋が筆者に明らかにしたところによると、ラトクリフ長官は以下のような趣旨の指摘を両長官に行ったという。「ウクライナのドローンによる長距離攻撃などにより、ロシアは大きなダメージを受けており、もうロシアは勝てない。ゲラシモフ参謀総長はじめ軍部は戦況について、プーチンに正しい情報を伝えていないのだろう。だから、君たちが伝えろ。もしプーチンが戦争終結に応じるなら、和平に向けた協議をしよう。こちらも悪いようにはしない。しかし、もし協議を拒否し、侵攻を続けるなら、トランプはウクライナ側に明確に付いて武器を供与する」と指摘」

     

    米国は、ロシアへウクライナ戦争終結への「最後通告」を行った。米国が、ウクライナへ長距離ミサイル供与の可能性を示唆した。これは、ロシアにとって最悪事態になる。クリミア半島が奪回範囲へはいるからだ。

     

    (2)「この発言が意味するところは何か。まず、プーチン大統領が侵攻を続ければ、今後トランプ政権は、相互連携を強めているウクライナと欧州の輪に明確に加わるということだ。つまり、ウクライナ・欧州+アメリカに対し、中国、北朝鮮がロシアを支援するとの対峙の構図が明確になる。一方で、和平交渉に応じれば、プーチン大統領に対し、悪いようにはしないとの発言の意味ははっきりしないが、和平実現後も大統領としてのプーチン大統領の立場を尊重する、といった趣旨である可能性もある」

     

    ラトクリフ長官が、「(ロシアが)和平交渉に応じれば、(米国は)プーチン大統領に対し、悪いようにはしない」との発言の意味は、停戦後でロシア側の意向も参酌しようということだ。焦点は、クリミア半島の帰属問題であろう。

     

    (3)「トランプ大統領にとって、今回の突然の路線変更の背景には、今年11月のアメリカ中間選挙をにらんだ、選挙戦略があることは間違いないだろう。今年2月に始めたイラン戦争がアメリカの思惑どおり運ばず、出口も見えない中、ホワイトハウスとしては、中間選挙前に、ウクライナ侵攻をめぐる停戦を実現し、貴重な外交成果をアピールしたいところだ。一方のウクライナは、今回のラトクリフ長官の訪問結果にもろ手を上げて歓迎した。ゼレンスキー大統領は8月28日、こう述べた。「今後何をすべきか、また何がなされるべきかについて、アメリカは非常に現実に沿った見方を示してくれた」とした」

     

    米国は、イランと交戦中の身である。ロシアに停戦させて米国の「平和希求方針」をアッピールするのであろう。

     

    (4)「これまで、国力や兵力に勝るロシアがいずれ勝つだろうとの見方を基に、ロシア寄りの仲介工作をしてきたトランプ大統領は今年夏以降、徐々にウクライナ寄りに姿勢を変化させてきた。それがついに、ウクライナの軍事的優位を前提にした和平仲介を行うという、ホワイトハウスの大きな戦略転換へ進展した。今回のデブリーフ(会談に関する正式報告)により、ゼレンスキー大統領はその手応えを明確に感じたのだろう」

     

    ウクライナの科学力が、ロシアを追い込んだというのは象徴的である。こうなると、ロシアの武器は、一段と売り先に困難を来すであろう。敗北国家の武器では、買い手がなくなるからだ。ロシアの失ったものは実に大きいものがある。習近平氏は、よくこの辺を学ぶべきであろう。

     

    (5)「ウクライナは、年末までの停戦実現という目標を掲げている。今回の米ロ協議でのラトクリフ発言は、その実現に向け、確実に追い風になりそうだ。長距離ドローン攻撃の拡大に加え、秋には完成したばかりの初の弾道ミサイルを実戦配備して、ロシア全土の石油精製施設や軍事関連施設への攻撃をさらに拡大する方針だ。これが狙い通りにいけば、今年末までに、プーチン大統領が音を上げる形で、停戦交渉に応じざるをえなくなる状況を作ることが可能と、ウクライナ側は見ていた。今回のホワイトハウスの戦略転換が、これに大きな弾みを与えると期待しているのは間違いないだろう」

     

    明らかに、時間はウクライナに味方している。秋にはウクライナ初の弾道ミサイルが、実戦配備される。これに米国製が加われば、ロシアの劣勢が明らかになる。休戦する潮時が来た。

     

     

     

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    ロシアのプーチン大統領が、2014年にウクライナからクリミア半島を奪取した際、その併合はロシア国内で帝国の「王冠の宝石(最も貴重なもの)」の帰還として広く称賛された。しかし今や、クリミア半島は歴史的な偉業どころか、プーチン氏の首に巻き付いた重荷と化し、戦争を継続する同氏の能力を脅かしかねない急所となりつつある。

     

    英誌『エコノミスト』(6月27日号)は、「クリミア混乱、陰るロシアの威信」と題する記事を掲載した。

     

    クリミアはここ数カ月、絶え間なく攻撃されてきた。軍部隊、鉄道駅、発電所が標的となり、住宅が被害を受けることもある。例外は保養地ヤルタだ。緑豊かな山々に守られ、軍事目標も見当たらない。子どもたちが桟橋から海へ飛び込み、浜辺のデッキチェアは保養客で埋まる。だが、クリミアのそれ以外の地域は戦場と化している。6月20日夜、ウクライナのドローンは送電線を攻撃し、半島東端ケルチの石油ターミナルを爆破、貨物フェリーに損害を与えた。相次ぐ攻撃でフェリー航路は停止され、半島の主要な補給路の一つが断たれた。

     

    (1)「半島では停電が頻発している。621日、クリミアの首長は全ガソリンスタンドで一般向け燃料販売を一時停止すると発表した。ロシア側の行政区分で別扱いのセバストポリも販売停止に踏み切った(編集注、ロシア側当局は26日、クリミアとセバストポリに非常事態を宣言した)。一方、ウクライナのドローンはロシア本土の奥深くにも及んでいる。ここ数日にはシベリアの製油所を攻撃し、モスクワにも大きな衝撃を与えた。6月16日と18日のモスクワ攻撃では、煙の柱が住宅地の上に立ち上った。石油タンクの蓋が爆発で吹き飛ぶ動画はネットで拡散した。ロシアの半数を超える地域でガソリン販売が制限されている」

     

    ウクライナのドローン攻撃で、ロシアの製油所が炎上している。ロシアの半数を超える地域で、ガソリン販売が制限されているほどだ。原油産出国でガソリンの販売制限である。

     

    (2)「クリミアへの攻撃は大きな意味を持つ。同半島はロシアの橋頭堡(ほ)であり、軍の補給拠点でもある。とはいえ、ドローン攻撃で、黒海艦隊の残る艦艇はより遠くの港へ追いやられている。クリミアは、ロシアにとって精神的・象徴的な意味も大きい。ロシアが2014年にこの地をほぼ無血で制圧し、一方的に併合したことは、プーチン大統領の帝国的野心の勝利であり、同氏の人気を押し上げた。ロシア帝国とソ連の宝石とみなされてきたクリミアを手にしたことは、ロシア復活を象徴するものだった。当時、プーチン氏はクリミアを「多面的でありながら一体であるロシア民族の形成における精神的な源泉」と呼んだ。同氏はウクライナによる最近の攻撃について、ほとんど沈黙している。国営メディアも同様だ」

     

    クリミアは、ロシアの「宝石」にも当たる場所だ。ロシア復活を象徴している。その象徴が今、大きく揺れている。

     

    (3)「ウクライナの攻撃で、ロシア軍の防衛力に対する住民の信頼は揺らいでいる。だが、ロシアへの忠誠心まで揺らいだ兆しはない。ウクライナ統治への復帰を悪夢と見る人もいる。ウクライナ当局者が報復を示唆してきたためだ。住民たちはまた、周囲からロシアへの忠誠を疑われ、告発されることも恐れている。ベルゴロド州やクルスク州など他の前線地域に比べ、クリミアでは、ウクライナへの協力者をあぶり出すロシア側の防諜(ぼうちょう)キャンペーンがいっそう露骨だ。「敵のために働いているのか。祖国を売り渡すつもりか。ウクライナ側の指示役からの命令を待っているのか。それなら、こちらが行くぞ」――。クリミアのラジオ番組「同志少佐、捜査をお願いします!」では、こんな文句が流れる」

     

    クリミア住民は、ウクライナへの寝返りを極度に警戒されている。また、周囲からロシアへの忠誠を疑われ、告発されることも恐れている。「宝石の住民」は、地獄絵に晒されているのだ。

     

    (4)「戦争への不満はクリミア以外にも広がっている。ロシア支配層の間では、この戦争を袋小路と見る向きが強まっている。ウクライナ東部ドンバスで消耗を伴うほぼ膠着状態が続くなか、26年春にはロシア軍が急速な前進に転じるという政府の約束は、過去数年と同じく実現しなかった。サンクトペテルブルクやモスクワの製油所を狙ったウクライナの攻撃は、一般のロシア人にも戦争の影響を身近に感じさせている。治安機関によるネット遮断で、市民生活にも支障が出ている。ここ数カ月、国営世論調査機関の調査では、プーチン氏の人気低下が繰り返し示されている。支持率の水準はあてにならなくても、低下傾向は示唆的だ。与党・統一ロシアが5月下旬に秘密裏に実施した調査でも、参加者の大半は勝敗にかかわらず戦闘終結を望んでいた」

     

    国民の間では広く「戦闘終結」を臨んでいる。すでに、開戦後4年4ヶ月も経っている。国民生活へは、戦争の影が強く及んでいるのだ。

     

    (5)「大統領にとって最大の問題は、死傷者数の増加でも、ロシア経済への打撃でも、弾圧の悪化でもない。この戦争の成果として示せるものが何もないことだ。失敗し、弱さを見せているとの印象は、プーチン氏の正統性を揺るがす。ロシアの歴史が示すように、弱いと見なされた指導者が許されることはめったにない。いま、クリミアにもロシア全体にも広がるのは、戦争への疲弊感だ。ロシアを支持する人々でさえ、戦争の目的を見いだせない」

     

    プーチン氏は、開戦1週間でウクライナ侵攻が終わるものと想定していた。それが何と、4年以上経っても戦線は膠着状態である。この戦争は、どのように終わるのか。プーチン氏は、自らの汚名を避けるために「核」を持ち出すのでは、と秘かに恐れられてる。


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    米中首脳会談はホワイトハウスの発表によると、中国がイランがホルムズ海峡を軍事化しようとするいかなる動きや、通行料を課そうとする試みにも反対することを明確にした。中国、ロシア、イランからなるいわゆる「枢軸」の実態が脆い関係であることを露呈した。枢軸の一角にヒビ割れが起こった理由は、中国の損得計算に大きく響くからだ。

     

    『ニューズウイーク 日本語版』(5月18日付)は、「イランを見捨てた中国は、次にロシアを見捨てる。中露イランの『枢軸』の『急所』とは」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ロシア国内では、対中依存はすでに構造的なものになっている。ロシアの輸入に占める中国製品の割合は約40%に上り、戦前のおよそ20%から増加している。機械、車両、通信機器、デュアルユース技術など、制裁下のロシアの戦時経済を支える主要分野では、中国が60%から90%の物資を供給している。中国は、ロシアにとって最大の債権者であり、最大のエネルギー顧客にもなった。結果、ロシアは石油や天然ガスの大幅な値引きを受け入れざるを得なくなっている。中国は、ロシアにとって最大の貿易相手だが、ロシアの中国の貿易に占める割合は3%強だ。この非対称性は、決して見過ごせるものではない。ロシアは対中依存状態に陥っている危険性を理解している。ただ、それを表に出さないだけだ」

     

    中国にとってのロシアは、安い石油や天然ガスの売手であるだけである。中国の貿易に占めるロシアの割合は3%強。ロシアの輸入に占める中国製品の割合は、約40%で戦前の約20%から倍増している。この中ロの貿易関係が、国益の比重を示している。

     

    (2)「2024年にフィナンシャル・タイムズが確認したロシア軍の流出文書によると、ロシア軍参謀本部は中国が南方から侵攻してきた場合に備え、中国へ戦術核攻撃まで想定していたことが分かる。あるシナリオでは、中国がロシア極東で抗議者に資金を渡して警察と衝突させ、破壊工作員をロシアのインフラに投入し、そのうえで「ジェノサイド」を口実に人民解放軍を国境に集結させる展開が想定されている。ロシアの計画担当者は、中国の都市への核攻撃を机上演習で想定していたが、西側にはそのように考えていることを知られたくないようだ」

     

    歴史的にみた中ロ関係は、敵対関係にあった。中国は、帝政ロシアに極東地域を奪われたからだ。必ず、奪回に動くはずである。ロシアは、これを認識しているから「戦術核」という反撃構想を秘めている。

     

    (3)「ロシアは好戦的な、衰退しつつある劣位のパートナーである一方、中国は慎重に台頭しており、冒険主義よりも安定と貿易の維持を重視する。だからこそ、中国はホルムズ海峡をめぐってイランをかばわなかった。イランは中東で強硬な行動を続けた結果、すでに中国にほぼ全面的に頼らざるを得ない立場に追い込まれていた。中国は、イラン戦争開戦までは、イラン産原油輸出のおよそ90%の輸出先となっていた。イランによるホルムズ海峡への機雷敷設や通行料の徴収が、中国のエネルギー安全保障に悪影響を及ぼし始めると、習近平の判断は明確だった。中国にとって、従属的な立場にあるイランをかばうために、タンカーの重要航路を危険にさらす理由はなかったのだ」

     

    イランは、ホルムズ海峡を封鎖して中国経済に多大の被害を及ぼしている。だから、中国にとって救済相手でないという認識になっている。中国にとって、イランは従属的な立場にあるので、リスクを冒す必要はないとしている。

     

    (4)「トランプによると、習近平はさらに踏み込み、中国はイランに軍事装備を供給しないと約束した。トランプの言葉を借りれば、それは「大きな発言」であり、イランにとっては壊滅的な発言であった。中国のユーラシア戦略は、対等な同盟関係を築くことではない。相手国を中国に依存させ、都合のよいときには利用し、必要になれば従わせるのだ。イランは、そのやり方が最もはっきり表れた例だった。イランの強硬姿勢が西側への圧力になっている間は有用だったが、それが中国のサプライチェーンを脅かした瞬間、中国はイランをばっさり切り捨てた。ロシアも今、同じ道を歩んでいる。ただ、イランよりスローペースなだけだ」

     

    中国の戦略は、相手国を中国に依存させ、都合のよいときには利用し、必要になれば従わせるのだ。始皇帝以来の「合従連衡」そのものである。合従(同盟)を嫌い、連衡(従属)させるものである。

     

    (5)「中国にとって、ロシアはあくまで利用価値のある相手だった。安いエネルギーを供給してくれる上、アメリカの注意を引きつけてくれる。中国の北側にある緩衝地帯としても機能する。ロシアの行動が中国の経済的安定を脅かし始めた瞬間、中国は態度を変えるだろう。欧州への貿易ルートを破壊すること、中国の銀行に二次制裁のリスクを及ぼすこと、湾岸の中国顧客を巻き込むより広範な対立に発展すること。そのような事態が起これば、中国はイランに対してそうしたように、対応を変えることになる。ホルムズ海峡をめぐる今回の出来事は、中国、ロシア、イランの「枢軸」が、深い信頼や共通の理念で結びついているわけではないことを思い出させる。三者を結びつけているのは、西側からの圧力という側面が大きい」

     

    中国は最近、ロシア極東地域の地図に「中国名」を書き入れている。必ず、奪回するという意思を示したものだ。中国のロシアへの姿勢は、イランも同様で使い捨てである。

     

     

     

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    ロシアの大学キャンパスは今、ウクライナ戦争で膨大な兵士を失った「穴埋め」に、強引な徴兵戦術が行われている。学生を兵士に仕立てて前線へ送るのだ。戦時中の日本が行った大学生の繰上げ卒業による「学徒動員」である。「大学の『トップ』たちは今、学生たちに戦争に行くよう呼びかけている」、「大学中に無人機部隊関連のポスターが貼られている。 文字通り至る所に」「圧力が凄まじい」という生々しい声が、CNNの取材で分かったという。

     

    『CNN』(4月20日付)は、「ロシア、大学生を兵役募集の標的に 『凄まじい』圧力 との証言も」と題する記事を掲載した。

     

    こうした証言や増え続ける公開情報から得られる証拠は、ロシアが学生に対してドローン(無人機)部隊への加入を誘引、強要するキャンペーンを密かにエスカレートさせていることを示唆している。このような動きはロシアの教育制度に緊張をもたらす恐れがあるとともに、ロシア政府の抱える課題の深刻化を浮き彫りにする。具体的にはウクライナでの4年に及ぶ戦争に向けた兵員の確保だ。

     

    (1)「戦場での損失が拡大しているにもかかわらず、クレムリン(ロシア大統領府)は2022年秋に実施した悲惨な「部分動員」の二の舞を何とか回避してきた。この時は数十万人の男性が国外逃亡する事態を引き起こしている。しかし専門家によると、学生に特化した今回の動員は、より強硬な徴兵戦術が再び台頭しつつあることを示す兆候の一つだという。これまでの取り組みとは異なり、学生たちには1年間の有期契約、前線から遠く離れた場所での勤務、そして先端技術の習得の機会が約束されている。しかし、専門家や弁護士らはCNNに対し、これは実際には標準的な無期限の軍契約を隠すための口実である可能性が高いと指摘する。また、約束された特典に懐疑的な学生が多いことから大学側は強制や脅迫に訴える形で、学生を入隊させようとしているという」

     

    学生が、入隊条件に疑問を抱いているので、大学側は強制や脅迫して入隊させようとしている。悲劇的だ。

     

    (2)「CNNは、大学のウェブサイトやソーシャルメディアのページ、地元メディアの報道を分析し、ロシア国内の複数の学生への取材を通じて、広範かつ多面的な学生勧誘キャンペーンが行われている証拠を突き止めた。この取り組みが本格的に始まったのは、今年1月のようだ。その2カ月前にはロシア国防省が無人航空機(UAV)やドローンを用いた戦闘を専門とする新たな軍種「無人システム部隊」の創設を公式に発表している。ロシア全土の大学は、洗練された募集動画やポスターを次々とソーシャルメディアアカウントに掲載し始めた。一部の大学のアカウントでは、ロシアのいわゆる「特別軍事作戦(SMO)」に従事した兵士や退役軍人による対面講義が紹介されることさえあった」

     

    学生募集は、今年1月から始まった。ロシア全土の大学が、洗練された募集動画やポスターを使い募集している。

     

    (3)「サンクトペテルブルク国立大学(ロシアのプーチン大統領の母校)は、ウェブサイト上でこれらの契約を公然と宣伝。大学関係者や軍関係者が入隊のメリットを詳述する長時間の講義動画も併せて掲載している。25年のフォーブス誌によるロシアの大学ランキングで2位にランクインしたモスクワの国立研究大学高等経済学院(HSE)は、2月に「無人システムフェスティバル」を開催。そこでは同国のドローン部隊の募集ポスターが堂々と掲示されていた」

     

    サンクトペテルブルク国立大学も、学生募集の対象になっている。モスクワの国立研究大学高等経済学院も募集が掛っている。

     

    (4)「ベルリン在住のロシア人軍事弁護士アルテム・クリガ氏は、ロシア国防省が大学に対し、このキャンペーンの実施方法について具体的な指示を出したと主張している。同氏はSNSテレグラムの自身のページに、モスクワのある大学から受け取ったとする文書を公開している。その中には、「連邦公立高等教育機関の軍事訓練センター長」宛ての通達書が含まれており、そこでは「国防省の代表者と共同で学生向けのキャンペーンを組織し、(中略)国防省人事総局に毎日報告すること」が求められている。この「指針」には、男女を問わず学生に提供されるインセンティブが詳述されており、その中には「敵の砲火にさらされるリスクが低い」ことや、「独自の知識と技能の習得」などが含まれている。CNNが分析した大学の募集資料も、まさにこうした具体的な提案を明記している。

     

    男女を問わず学生に募集を掛けている。募集には、「独自の知識と技能の習得」という殺し文句が入っているという。

     

    (5)「これらの文書は多額の金銭的インセンティブにも言及する。連邦および地方自治体からの入隊ボーナスは1人あたり40万ルーブル(約5000ドル=約793000円)以上とされている。一部の大学ではこれよりも格段に高い金額を提示。サンクトペテルブルク国立大学は軍に入隊する学生に対し、約56000ドルの一時金を約束している。「金銭面だけが、実現する可能性の高い唯一の約束だ」とクリガ氏。CNNの取材に対し「(それ以外の)すべては嘘(うそ)だ。これはロシア軍との単純な契約であり、期限も特別な条件もない」と語った」

     

    入隊ボーナスは、1人あたり40万ルーブル(約80万円)という。これだけは正しくても、後の入隊条件は「全部ウソ」と手厳しい批判が投げかけられている。

     

     

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    イランは、これまで中ロと密接な関係によって米国と対抗してきた。今回の米国とイスラエルの攻撃では、中ロから何らの支援も受けられず、一片の支援声明に止まっている。相撲で言えば土壇場で「うっちゃり」を喰った形だ。国際関係のはかなさを示してもいる。中ロが、イランを見捨てた形になったのは、反イランの湾岸石油産出国との関係悪化を恐れたものである。これら諸国は、米国との関係が深く米軍の駐留を認めている。要するに、中ロともに米国を敵に回す損失を計算した結果であろう。

     

    『レコードチャイナ』(3月13日付)は、「イランは中国とロシアに見捨てられたのか?―仏メディア」と題する記事を掲載した。

     

    仏国際放送局『ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)』中国語版は12日、「イランは本当に中国とロシアから見捨てられたのか?」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「記事は、米国イスラエルによる攻撃を受けたイランについて、「国際的に孤立している」との見方が広がっていると説明。特に注目されているのが、イランと近しいとされる中国とロシアの対応だとした上で、「中国とロシアはいずれも外交的には米国とイスラエルを非難した。しかし、両国の対応は主に外交声明にとどまり、軍事支援などの具体的な行動は確認されていない」と指摘した」

     

    イランは、親密国とみてきた中ロから実質的支援を受けられず、孤立した形になっている。

     

    (2)「中国が、慎重な姿勢を取る背景にはエネルギーと経済の問題があると言及。「中国は中東から大量の石油と液化天然ガスを輸入しており、湾岸地域は極めて重要な供給源となっている。中国が輸入する石油のうち、湾岸諸国からの割合は約45%に達しており、輸入が滞れば中国経済にも大きな打撃となる可能性がある。すでに国際原油価格は上昇を始めており、エネルギー価格高騰は中国の産業や経済成長に大きな負担となる。そのため中国政府は事態の安定化を望みつつ、一方へ肩入れすることを避けている」との見方を示した」

     

    中国は、中東から大量の石油と液化天然ガスを輸入。湾岸地域が、極めて重要な供給源となっている。それだけに、イランへ肩入れすれば湾岸諸国と敵対することになる。こういう利害関係が、中国に二の足を踏ませている。同時に、米国との関係悪化は、中国経済不振に拍車を掛ける。こういう意味で、中国は自らの国益第一で動いているのであろう。

     

    (3)「中国の安全保障の重点は、台湾問題や南シナ海に置かれている。中東で軍事的な責任を負うことには、消極的であるとの見方もあると紹介。「中国の対外関係は米国のような軍事同盟ではなく、貿易や投資、武器輸出を基盤としたパートナー関係が中心であり、直接的な軍事介入を避ける傾向が強い」と指摘した」

     

    中国の最大の安保に関わる関心事は、台湾問題や南シナ海にある。ここから離れた軍事問題には「無関心」である。こういう中国の基本スタンスが明確になった以上、一帯一路で世界中へ網を張って、安保上の「エサ」を蒔いても相手国は信用しないであろう。

     

    (4)「ロシアについても事情は似ているようだ。記事は「ロシアとイランは軍事面で協力関係にあり、ウクライナ戦争ではイラン製無人機(ドローン)がロシア軍の作戦に大きく寄与したとされる」とする一方、「近年ロシアは自国でのドローン生産を拡大し、イランへの依存度を徐々に低下させている。またロシアにとって現在の最優先課題はウクライナ戦争であり、米国と直接衝突するような形でイランを支援する可能性は低いとみられている」と論じた」

     

    ロシアにとって最優先課題は、ウクライナ戦争である。最近は、ウクライナ軍が優勢と報じられている。ロシアが、これまでスターリンク情報を窃取していたことが判明し、遮断されたことが要因だ。イラク情報が分からないことで逆襲されている。

     

    (5)「石油市場や湾岸諸国との関係も、ロシアの判断に影響しているとし、「もしロシアがイランを強く支援すれば、イスラエルや米国だけでなく、湾岸諸国との関係にも悪影響が及ぶ可能性がある。そのためロシアは表向きで慎重な姿勢を保ちつつ、必要に応じて情報提供などの形で間接的に支援しているとの見方もある」と伝えた」

     

    ロシアも中国同様に、石油市場や湾岸諸国との関係を重視している。「一匹狼」のイランを軍事支援することの反動が余りにも大きいのだ。

     

    (6)「記事は、今回の中東情勢が米中競争とも関係している可能性に言及。米国が、イランの石油インフラを完全には破壊していないのは、中国への圧力カードとして残しておきたいという思惑があるのではないかという見方もあるとしたほか、この戦争によって米軍が中東に戦力を投入した場合、中国はその作戦能力を観察することができ、将来の台湾問題などへの参考になる可能性もあるとした」

     

    米国は、中国を牽制すべくイランの石油インフラを完全に破壊しないで手心を加えている。中国が、イラン石油への依存度の大きいことを見越して、米国は圧力を掛けている。

     

    (7)「中国とロシアは、イランを完全に見捨てたわけではないとし、「両国にとってエネルギー安全保障やウクライナ戦争、米国との関係など、より重要な戦略的利益が存在するため、現実的で慎重な対応を取っている」と指摘した」

     

    中ロは、ともに米国との関係悪化を避けている。世界覇権国の米国の重みが、中ロを圧迫しているのだ。中国の「張り子の虎」ぶりが、如実に表れている。

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