勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 台湾経済ニュース時評

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    台湾世論は、これまで日本のラピダスが最先端半導体「2ナノ」開発へ取り組んでいることに半信半疑できた。だが、ついに現実を追認するほかなくなったようだ。27年に2ナノを製品化させ、さらに29年には1.4ナノへ駒を進める予定まで進んでいることに驚きを隠せずにいる。

     

    『レコードチャイナ』(2月13日付)は、「日本のラピダスがTSMCを追撃!市場予想を上回る進展―台湾メディア」と題する記事を掲載した。

     

    台湾メディア『中時新聞網』(2月12日付)は、「日本の国家チームがTSMCを追撃!」と題し、トヨタやソニーなど国内大手8社が出資する半導体企業ラピダスの動向を伝えた。

     

    (1)「『中時新聞網』は、「日本の国家チームがTSMCを追撃!」と題し、トヨタやソニーなど国内大手8社が出資する半導体企業ラピダスの動向を伝えた。記事は、「台湾のTSMCは世界最大の半導体受託製造企業であり、先端プロセス技術で競合他社をリードしているが、追い上げる勢力も侮れない」と言及」

     

    台湾が、これまで無敵であった最先端半導体分野で、日本のラピダスが強敵になるという認識を持つに至った。初めてのことである。ラピダスは2026年から、これまでの2ナノ半導体開発と同時に、1.4ナノ世代の半導体開発も本格化させている。同時並行である。1.4ナノは、2027年の量産開始を目指す2ナノ世代の後継技術に当たり、2029年ごろの量産化を目指す。1.4ナノも米IBMとの協業になる。

     

    ラピダスは、約150人の研究員を2ナノ開発で、米IBMの研究拠点へ派遣して共同開発を進めてきた。このうち約半数は、すでにラピダスへ戻ったが、残りは1.4ナノ世代の開発研究で残っているという。まさに「二刀流」の技術開発である。

     

    (2)「海外メディア『Wccftech』の報道として、ラピダスが2027年までに2ナノの生産能力を月6000枚規模に、28年には月6万枚規模へと引き上げ、本格的な量産に入る計画を明らかにしたと伝えた。さらに、29年には1.4ナノの生産開始も目指していることに触れ、「全体の進展は市場予想を上回るとされ、TSMCとの競争の本格化をうかがわせる」と評した」

     

    ラピダスが、28年に月産6万枚目標を立てていることは、世界の先端ファウンドリと肩を並べる規模である。TSMCの熊本工場(第1期)の月産能力が、4.5万枚であるからこれを上回る水準だ。ラピダスが、いかに猛烈な技術進歩をしているかを示している。この規模に達すれば、アップルやエヌヴィディアといったグローバル企業の先端チップ製造を受託できる可能性が出てくるとみられる。

     

    (3)「また、「ラピダスは着実な進展を見せており、今年中に顧客へプロセス・デザイン・キット(PDK)を提供する予定だ。これは同社による2ナノ製造が新たな段階に入ったことを示しており、市場では今後の量産体制への影響に注目が集まっている」とした上で、「ラピダスの具体的な技術の詳細はまだ公表されていないが、ロジック密度(回路の集積度)は業界最高水準のTSMCとほぼ同等との評価もある」と説明した」

     

    業界では、ラピダスの生産能力がどの程度になるか、会社側の発表を待っているという。ロジック密度(回路の集積度)は、業界最高水準のTSMCとほぼ同等との評価もあるという。

     

    (4)「一方で、「TSMCは依然として競合を上回っている」と強調し、「すでに昨年第4四半期に2ナノの量産を開始しており、今年は大幅な成長が見込まれる。ラピダスを2年以上先行しているとされており、今年下半期にはより先進的なA16(注、1.6ナノ)プロセスの量産も予定している」

     

    ラピダスも、1.4ナノの開発へ着手した。ラピダスが、TSMCを追う展開となっている。ラピダスには、IBMやベルギーのimecという国際的半導体研究所がバックアップしている。いずれ、TSMCへ互角の競争を挑める技術基盤が整うであろう。

     

    (5)「今後、数年は2ナノとA16がTSMCの主軸となる見通しだ」と伝えた。記事はこのほか、韓国のサムスンについては「昨年2ナノの量産を開始しているが、生産の安定性や品質の高さでTSMCがリードしている」と、米国のインテルについては「18A(注、1.8ナノ)には品質や顧客の伸び悩みという課題があるが、米政府の支援を受けていることから今後の動向は軽視できない」と伝えている」

     

    世界の先端半導体業界では、ニューフェースのラピダスとTSMCが技術競争を展開する構図が固まってきた。ラピダスが、先輩格のサムスンやインテルを抜き去るのだ。

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    半導体世界最大手のTSMCは5日、熊本県内の第2工場で人工知能(AI)向けの半導体生産を検討すると表明した。従来の計画を変更し、回路線幅3ナノ(ナノは10億分の1)メートルの先端品をつくる。世界で争奪戦となっているAI半導体の国内安定供給へつながる見通しだ。一方、台湾に半導体生産が集中しすぎているとの主要国政府の懸念緩和にもつながるとみられる。TSMCが、地政学的配慮をした結果であろう。

     

    『ブルームバーグ』(2月5日付)は、「TSMCが熊本での3ナノ半導体生産計画前倒し、2028年まで-関係者」と題する記事を掲載した。

     

    TSMCの魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)が5日、都内での高市早苗首相との面談で直接伝えた。魏会長は、「日本政府の揺るぎない支援に感謝」するとした上で、「この工場は地域経済の成長にさらに貢献し、最も重要なこととして日本のAI(人工知能)ビジネスの基盤を形成するものと確信している」と述べた。

     

    (1)「高市首相は、TSMCの熊本工場は大きな経済効果を生んでいて3ナノ生産は経済安全保障の観点からも大きな意味があるとし、「ウィンウィンの連携を一層強化していきたい」と話した。赤沢亮正経済産業相は同日午後記者団に対し、3ナノ半導体はAIロボティクスなどに使われ、AIの社会実装を進める高市内閣の戦略に「完全に合致するものだ」と述べた」

     

    TSMCが、建設中の熊本第2工場で3ナノという最先端半導体生産へ切替えることで、日本経済にもプラスだ。今後、AIロボティクスなど「フィジカルAI」需要が増える見通しにだけに合致している。

     

    (2)「TSMCは、熊本県内で建設する第2工場で、現時点で可能な最先端半導体技術を導入すると決めたと、関係者らが明らかにした。当初は27年末までに7ナノ半導体の生産を計画していたが技術レベルが引き上げられたという。ただ関係者によれば、日本での計画は協議の初期段階にあり、変更の可能性もあるという。TSMCの日本における生産増強は、高市首相が推進する国内での半導体製造能力強化構想を後押しする見込みだ。高市首相はこれまでの政権からの政策を継承し、経済産業省は来年度予算で先端半導体やAIへの支援額を約1兆2300億円と、現在の約4倍に増額する方針だ」

    TSMCの日本における生産増強は、国内での半導体製造能力強化構想を後押しする。米国のTSMC工場は、4ナノ生産を始めており2ナノ生産計画を推進中だ。日本で3ナノを生産することは、TSMCの長期戦略によるものであろう。

     

    (3)「米調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターは、熊本第2工場で元々計画されていた7ナノなどはTSMCにとってはもう市場が見込めない製品となった一方、AI関係で想定より早く3ナノや2ナノといった最先端品に需要がシフトしており、「台湾有事のリスクが高まっている環境もあり、決断したと思われる」とコメントした。さらに最先端工場が近くにできるというのは装置メーカーや部材会社を含む日本の半導体業界にとって、「間違いなくプラス」とした上で、今後3ナノを超える先端品を日本で生産する流れにつながる可能性もあるとも述べた」

     

    TSMCは、中国の台湾統一への強硬姿勢から地政学的配慮をして、ユーザーへの安心感を与える必要もある。その点で、日本であれば安心できる。

     

    (4)「台湾当局とTSMCは、最先端の半導体について台湾内での開発・維持を掲げている。台湾内で土地や電力供給の問題が深刻化している中で、より成熟した世代の製品については海外で生産能力を増強する動きを進めている。こうした動きは中国が自国領土と主張し、将来的な併合も視野に入れている台湾に半導体生産が集中しすぎているとの主要国政府の懸念緩和にもつながるとみられる。TSMCによる熊本での3ナノ半導体量産の設備投資の規模は170億ドル(約2兆6000億円)に増やす計画」

     

    台湾での半導体生産は、土地や電力供給でしだいに限界をみせつつある。日本は、そういう制約条件がないので将来、第4工場まで建設計画が取り沙汰されている。

     

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    台湾は、初めて自主建造の潜水艦「海鯤」が、1月29日に初の潜水試験を終えた。台湾の新鋭潜水艦の運用は、中国の軍事行動に対しての大きな圧力になるとの見方が出ている。広い海中で敵潜水艦が潜伏していること自体、大きな脅威になるからだ。海中深く潜っているので姿をみせず、いつ攻撃を仕掛けてくるか分らないからだ。台湾は現在、オランダ潜水艦2隻を保有している。今回の建艦により、保有潜水艦は3隻になる。新規建艦目標は、8隻とされている。

     

    海中に潜っている潜水艦の発見は、極めて困難な作業とされている。海上自衛隊の対潜哨戒能力の高さは、世界有数とされている。空中から、海中の潜水艦の所在を探る技術の難度が高いことは、潜水艦が威力を増す理由となっている。台湾が、自前で潜水艦建艦へ踏み切ったのは、中国の海上封鎖へ向けた迎撃態勢の強化へつながる。

     

    『レコードチャイナ』(2月1日付け)は、「台湾初の自主建造潜水艦が潜航試験を完了、大きな対中圧力になるか」と題する記事を掲載した。

     

    英国メディア『ロイター』やフランスメディア『RFI』はこのほど、台湾で初めて自主建造された潜水艦の海鯤が、潜航試験を実施した話題を取り上げた。『RFI』はこの潜水艦が「中国を抑止する利器になる」と評した。

     

    (1)「台湾が、実戦配備している潜水艦は1980年代にオランダから購入した2隻だけだ。当初予定では計6隻を購入するはずだったが、中国がオランダに強い圧力をかけたために、2隻にとどまった。2000年代になると米国のブッシュ政権が台湾に潜水艦を売却することを決めた。ただし、米国ではすでに通常動力の潜水艦を建造する技術がなかったために、ドイツやオランダから技術供与を受けて建造することにした。すると中国は、技術の供与元の国に強い圧力をかけたので、この計画も見送られた」

     

    台湾が、自前の潜水艦を建艦するに至るまで紆余曲折を経てきた。中国の本格的な侵攻作戦構えに対して、早急な建艦を迫られていた。米英の潜水艦技術が取り入れられているという。

     

    (2)「台湾はそのため、潜水艦を自主建造する方針に転換した。当初予定では2024年の就役だったが計画は遅延した。海鯤が初の潜水実験を終了したのは26年1月29日にずれ込んだ。建造した台湾国際造船は、「国際環境の制限と中国共産党の圧力により、台湾の国産潜水艦プロジェクトは当初から各種の困難と試練に直面してきた」と表明した。海鯤には、米国や英国などの技術が多く導入されている。中国が圧力をかける中で、西側先進国の技術を導入できたことは、台湾の外交面で「突破」を果たしたと評価できる。海鯤の建造費用は493億6000万台湾ドル(約2400億円)で、ロッキード・マーティン社の戦闘システムを採用し、米国製のマーク48(Mark48)重型魚雷を搭載する」

     

    台湾潜水艦「海鯤」には、ロッキード・マーティン社の戦闘システムを採用し、米国製の重型魚雷を登載しているという。

     

    (3)「台湾は、27年までに同じタイプの国産潜水艦2隻を配備することを望んでおり、後続艦にはミサイルを搭載する可能性があると表明した。台湾国際造船は最終的に同タイプの潜水艦8隻を建造することを希望している。中国海軍は、原子力潜水艦を含む潜水艦を60隻程度運用しており、しかも空母も3隻運用している。中国大陸側と台湾側の兵力の差は歴然だ」

     

    台湾は、27年までに同じタイプの国産潜水艦2隻を配備することを計画している。台湾国際造船は、最終的に同タイプの潜水艦8隻の建艦を希望している。採算問題であろう。

     

    (4)「潜水艦の本領はその隠密性にあり、相対的に数量が少なくても、「威力」が喪失するわけではない。例えば、大陸側が仮に台湾上陸作戦を決行する場合には、陸上への兵員や武器の運搬で、台湾側の潜水艦に輸送船が攻撃されるという、極めて大きなリスクを覚悟せねばならなくなる。台湾国際造船は、台湾が新たに保有することになった潜水艦の役割を「抑止力を有する鍵となる戦略的能力だ」と説明した」

     

    潜水艦の抑止力は、数は少なくても大きい。海中のどこに潜っているか分らない、という威圧感が極めて大きいからだ。

     

    (5)「台湾はこのところ、自らよりも規模がはるかに大きな敵対者である中国を抑制するために、潜水艦、無人機、トラック搭載ミサイルのような機動的で柔軟なシステムを利用して「非対称戦争」を戦えるよう体制を整えている。台湾の頼清徳総統は25年11月、政府は国防のために40億ドル(約6200億円)を追加投入すると発表した」

     

    台湾は、膨大な軍備を揃える中国に対して、「非対称戦争」で対応する。潜水艦、無人機、トラック搭載ミサイルなどの機動的で柔軟なシステムを構築する。これは、米軍の分散型攻撃態勢と全く同じである。島嶼部に隠れて迎え撃つ戦術である。

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    台湾では、自らを中国人として認識するか、台湾人として認識するかという、「自己認識(アイデンティティ)」の問題が、これまでたびたび取り上げられてきた。最近の調査(25年)では、「台湾人」としての認識が65%、「中国人」は2%である。一方で「中国人・台湾人」が28%となっている。広義の中国人意識は3割である。こういう状況に、中国への接近を意図する国民党が危機感を抱いている。中国語を話し,中華料理を食べるから台湾の人々は「中国人」という論法は、さぞかし習近平中国国家主席を喜ばせるであろう。

     

    『レコードチャイナ』(12月27日付)は、「『台湾人は中国語を書くから中国人』と国民党主席、ジャーナリストが猛反論―台湾メディア」と題する記事を掲載した。

     

    台湾メディア『自由時報』(12月25日付)は、台湾・国民党鄭麗文(ジョン・リーウエン)主席が、「台湾人は中国語を書くから中国人」などと発言したことに対し、ジャーナリストが猛反論したと報じた。

     

    (1)「記事によると、鄭主席は22日に東呉大学で講演した際に「台湾人は中国語を書き、中華料理を食べ、中国の神を祭っているのだから、当然『中国人』である」と主張した。これに対して、ジャーナリストの詹凌瑀(ジャン・リンユー)氏は24日にフェイスブック上で反論した。詹氏は「文化的な源流を政治的な帰属に無理やり結びつける論説は、論理的に全く破綻している。米国人は英語を話すからといって果たして英国人なのか。米国やニュージーランド、オーストラリアの人々はみな英語を話し、シェークスピアを読み、洋食を食べ、英国と文化的な源流を共有している。文化は共有できるものだが、主権と国籍は独立したものだ」と論じた」

     

    国立政治大学(NCCU)選挙研究センターが毎年実施している「台湾人/中国人アイデンティティ調査の最新版(25年)によると、「台湾人」意識が安定的に多数派(65%)であることを示している。特に注目すべきは、若年層(20〜39歳)では「台湾人」意識が7割を超える傾向が続いている。「中国人」との認識は一貫して低下傾向にあり、2%前後で推移しています。「両方」とする層はやや減少傾向にあり、アイデンティティの明確化が進んでいると解釈されている。

     

    国民党の鄭主席は、いささか乱暴な議論して猛批判を浴びている。「米国人は英語を話すからといって果たして英国人なのか」という、きつーい「一発」を浴びせられている。日本人が,英語を喋れば英国人か、という議論にもなる。国民党が焦るのは、本土から移住してきた人々が高齢化で減っていくことへの焦りと指摘されている。香港が、強引な中国支配で民主化を取消されたことで、台湾の人々は一段と「台湾人」意識を強めている。

     

    (2)「また、「シンガポールこそが最高の反証だ。シンガポールの華人も同様に箸を使い、旧正月を祝い、先祖を祭る。もし鄭氏の基準に従うなら、シンガポールも中国の一部になってしまうのではないか。私が台湾で寿司を食べ、アニメを見たからといって日本人になるわけではないし、ハンバーガーを食べ、ハリウッド映画を見たからといって米国人になるわけでもない。言語や食べ物はコミュニケーションや生活のための道具であって、政治的な忠誠を誓う契約書ではない」とも指摘した」

     

    シンガポール人口の6割が華人であるが、堂々と中国批判を行っている。中国語を喋っても、中国人意識でないことを明瞭に示している。


    (3)「鄭主席に対して、現代国家を構成する最も重要な要素が「公民意識」であるという点を見落としていると批判。市民のアイデンティーは文化やルーツではなく、「ともに信じる価値観、そしていかなる国家を築きたいと願うかによって決まるものだ」と結論付けている」

     

    市民のアイデンティーは、「ともに信じる価値観、そしていかなる国家を築きたいと願うかによって決まる」と指摘している。これが正論だ。

     

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    中国外相は、日本軍国主義反対の旗を掲げて駆けずり回っている。これに水を差す動きがトランプ米大統領によって2日に行われた。トランプ氏が、米国と台湾の公的な交流に関する指針を定期的に見直し、更新することを義務付ける「台湾保証実施法案」に署名したのだ。これは、明らかに中国の日本批判への間接的な意思表示である。中国は、大きなショックを受けて抗議の発言をした。

     

    先の米中首脳電話で、習氏が高市発言への苦情を言い立て、トランプ氏は外交用語で「理解した」と答えた。これが、誤り伝えられ「賛成した」となり、トランプ氏が習氏の肩を持って、高市氏へさりげなく「日中対立激化」に反対というように話の筋が曲げられて報道される騒ぎになっている。今回の台湾保証実施法案署名は、米台関係の強化である。習氏は、メンツを損なう事態になった。マスコミ誤報が招いた一件である。

     

    『ブルームバーグ』(12月3日付)は、「トランプ大統領、米台関係深化に向けた法案に署名」と題する記事を掲載した。

     

    中国が台湾に対して行動を起こす可能性への懸念が高まる状況にあって、トランプ米大統領は2日、米国の対台関与に関するガイドラインの見直しを国務省に義務づける法案に署名し、成立させた。ホワイトハウスが発表した。

     

    (1)「法律では、このガイドラインの下で米台関係がいかに深化しているかを説明するため、定期的な見直しを国務省に求めている。少なくとも5年に1度の評価では、米台関与に関する米国側の自主的制限を緩和する機会を特定し、詳細に示すことも義務づけている。法案を提出したワグナー下院議員(共和)は同法について、「中国共産党による地域支配という危険な試みに対し、われわれが断固として立ち向かうというメッセージを送るものだ」と表明した」

     

    米国は、中国の感情を逆なでする法案を成立させた。米台関係を深めるように米国が努力するという内容である。米国が、なし崩し的に台湾と関係を強化するというのである。高市発言どころの話でない。はるかに高度の内容である。

     

    (2)「高市早苗首相が11月、中国が台湾に侵攻した場合、集団的自衛権を行使できる存立危機事態になり得ると答弁したことで中国側が反発。中国の習近平国家主席はトランプ氏との先月の電話会談で、台湾を自国領とみなす中国にとって統一が極めて重要な問題だと、あらためて強調していた。台湾紙の自由時報は、トランプ氏の署名でこの法律が成立したことを受け、台湾当局者は米連邦政府機関を公務で訪問したり、代表事務所で米側と交流したりできるようになると、林佳竜外交部長(外相)を引用して報じた。同紙によれば、米台関係の正常化に向けたこのさらなる一歩を台湾外交部は歓迎している」

     

    これまで、台湾高官は米連邦政府機関を公務で訪問できなかった。それが、公式に行えるというのだ。台湾の林佳龍外交部長(外相)は記者団に、指針の見直しが頻繁になれば、台湾当局者が米連邦機関を訪問して会議を行うことなどが可能になるとの見方を示した。ただ、同法ではその点に明確な言及はない。

     

    一方、中国外務省の報道官は、米国と「中国の台湾地域」の間のいかなる公的な接触にも断固として反対すると表明。「台湾問題は中国の核心的利益の中核であり、米中関係で越えてはならない第1のレッドラインだ」と述べた。中国の「定義」では、米国は「侵略者」になる。国連へ通告しなければ格好がつかないであろう。どうするか。日本だけ非難して米国には黙認する。なんとも格好がつかない事態になった。

     

    (3)「米国の指導者は伝統的に、台湾問題で「戦略的曖昧さ」のアプローチを維持してきた。このアプローチの下では、米国は武力行使の権利を留保しつつ、中国が台湾を攻撃した場合に介入するかどうかを明確にはしていない」

     

    「一つの中国論」は、建前になっている。西側諸国は、一つの中国論を「理解」するが「賛成」はしていないのだ。日本も同じスタンスである。一つの中国論を金科玉条とする中国にとって、風向きが悪くなってきた。これからも、「日本軍国主義」を言い募って歩くのか。米国は、今回の法案署名で間接的に否定しているのだ。

     

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