勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 台湾経済ニュース時評

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    中国は、大量のミサイルや無人機を同時に発射する「飽和攻撃」を得意とする物量作戦だ。これに対して台湾は、イスラエル型アイアンドーム採用(防御力90%)を採用すると同時に、AI(人工知能)によるリアルタイム識別と、無人機・無人艇による自律迎撃を組み合わせて反撃する。こうしたきめ細かい防衛網で、中国の攻撃の波を分散・吸収する能力を高める方針を固める。中国の軍事的威嚇を跳ね返す戦略を発表した。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月10日付)は、「新防空システム『台湾の盾』構想 頼政権表明、イスラエル参考に」と題する記事を掲載した

     

    台湾で10日、双十節(建国記念日に相当)の式典が開かれた。頼清徳(ライ・チンドォー)政権は「台湾の盾」と呼ぶ新たな防空システム構想を発表した。中国のミサイル攻撃などの脅威に対応するのが狙い。イスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」を参考に人工知能(AI)を活用するという。

     

    (1)「台湾総統の双十節での演説は、今後1年間の施政方針に相当するとみられている。頼氏は中国の軍事的威嚇に懸念を示し「平和は実力によって実現しなくてはならない」と訴えた。「台湾の盾の開発を加速し、多層防御、高度な警戒態勢、効果的な迎撃能力を備えた防空システムを構築する」と表明した。台湾の防空システムは自前で開発した高度70キロメートルを飛ぶ弾道ミサイルを迎撃できる「強弓」や米国製の地上から迎え撃つ地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)などを組み合わせて大きく3層構造になっている」

     

    アイアンドームは、イスラエルが2011年に運用を開始した短距離ミサイル迎撃システムである。90%以上の迎撃成功率を誇るが、100%の迎撃能力ではない。この「取りこぼし部分」は、AIによって補足するという「パーフェクト防衛」を目指している。台湾は、最先端半導体製造国であるから、中国を凌ぐAIによって中国軍の攻撃をかわす戦術であろう。

     

    AIを活用するのは、リアルタイムで脅威を識別し、限られた資源で最大の防衛効果を得る点で有効である。台湾の国防白書でも、AIや無人機を活用した「非対称戦略」が強調されている。

     

    台湾が、アイアンドームの思想とAIを組み合わせた複合防衛体制を構築すれば、中国にとって台湾攻略は次のような点から格段に難しくなるとされている。

     

    1)飽和攻撃への対抗力強化

    中国は大量のミサイルや無人機を同時に発射する「飽和攻撃」を得意とする。台湾は、AIによるリアルタイムの識別と、無人機・無人艇による自律迎撃を組み合わせることで、攻撃の波を分散・吸収する能力を高めている。

     

    2)非対称戦略の深化

    台湾は「小型・機動性・自爆型」の兵器を大量に配備し、コストを抑えつつ高い防衛効果を発揮する非対称戦略を採用している。これは、中国の高価な兵器体系に対して、少数精鋭で対抗する知恵の戦術とされている。

     

    3)攻撃と偵察の一体化

    台湾の無人機は、偵察と攻撃を一体化した作戦を遂行できるよう進化しており、敵の動きをリアルタイムで把握し、即座に反撃する能力が向上している。

     

    (2)「『台湾の盾』は、米国の新しい軍事技術やAIを取り入れながらミサイルや無人機、戦闘機などの複合的な脅威に対処できる体系に組み替えるとみられる。頼氏はトランプ米政権との関係を立て直すと説明した。「米国の対台湾貿易赤字の解消に努める」と強調し、トランプ政権に秋波を送った。「台湾と米国の産業協力を深化させる」と話した。台湾のハイテク工場などの米国進出を後押しする考えを示したとみられる。「関税交渉に積極的に取り組み、合理的な関税率の実現をめざす」とも語った。トランプ政権は台湾に20%の関税を暫定的に課している。日本や韓国よりも高く、台湾の経済界では不満がくすぶっている。

     

    台湾防衛の最大の後ろ盾は、米国である。それだけに対米経済関係では、最大の注意を払って摩擦防止に努めなければならない。トランプ政権は、台湾に20%の関税を暫定的に課している。日本や韓国よりも高く、台湾の経済界では不満がくすぶっているが、我慢するほかない。

     

    (3)「中国に対しては、「武力や威圧による台湾海峡の現状変更を断念し、ともにインド太平洋地域の平和と安定を守るように期待する」と呼びかけた。1年前は「中国は台湾を代表する権利がない」と対中強硬姿勢を鮮明にしていた。秋に見込まれる米中首脳会談を前に、中国を刺激しないように抑制した可能性がある」

     

    台湾が、台湾海峡という「天然の要塞」を背景にして、きめ細かい防衛網を敷いている。これに対して中国は、空母で立ち向かう戦術が何とも時代遅れにみえるのだ。最後は、AIの技術レベルが勝敗のカギを握る。台湾は、世界最高の先端半導体技術を持っている以上、これに挑む中国の半導体技術水準が問われるであろう。

     

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    中国は、EV(電気自動車)が限界にぶつかるや、すぐにAI(人工知能)へ照準を合わせ、補助金によるテコ入れで発展策をとり始めた。だが、米国の半導体禁輸政策によって、自前での製造を余儀なくされている。見栄を張る中国政府は、ハイテック企業を督励しているが、基礎技術不足で難航している。ファーウェイのプロセッサー「Ascend」には、TSMCやサムスン・SKハイニクスの半導体が大量に使われており、「羊頭狗肉」状態を露呈している。

     

    『ブルームバーグ』(10月3日付)は、「ファーウェイ、自社AI半導体にTSMCやサムスンの部品使用-調査」と題する記事を掲載した。

     

    AI半導体の国産化目指す中国、依然として海外製ハードウエアに依存中国の華為技術(ファーウェイ)が同社の人工知能(AI)プロセッサー「Ascend」シリーズの一部で、アジア大手テクノロジー企業の先端部品を使用していたことが調査会社の解析で明らかになった。AI半導体の国産化を目指す中国だが、依然として海外製ハードウエアに依存している実態が浮き彫りとなった。

     

    (1)「カナダの調査会社テックインサイツは資料で、ファーウェイの第3世代「Ascend910C」チップの複数サンプルを分解調査した結果、台湾積体電路製造(TSMC)および韓国のサムスン電子とSKハイニックスの部品が使われていたと発表した。テックインサイツの調査によると、ファーウェイのアクセラレーター向けに使用されたダイ(die)の製造元はTSMCだった。ダイは半導体ウエハー上に並ぶ電子回路である。サムスン電子とSKハイニックスが、製造した旧世代の高帯域幅メモリー(HBM)「HBM2E」も搭載されていた。両社の部品はそれぞれ異なるサンプルで確認されたという」

     

    ファーウェイの第3世代「Ascend910C」チップには、TSMC、サムスン、SKハイニクスの部品が使われている。

     

    (2)「米国による対中禁輸政策は、中国が最先端AIシステムにアクセスすることを制限する狙いに加え、ファーウェイやその他の中国半導体メーカーが製造能力を高め、米半導体メーカーのエヌビディアに世界市場で挑むことを防ぐ目的もある。中国当局は一方で、国内半導体業界をエヌビディア製品依存から脱却させようと図っており、そうした中でファーウェイの910Cは国内で最も競争力のある製品となっている」

     

    中国当局は、国内半導体業界をエヌビディア製品依存から脱却させようと図っている。ファーウェイの910Cは、国内で最も競争力のある製品とされている。その中国最先端AIチップに西側諸国の部品が使われているのだ。

     

    (3)「ファーウェイは、国内のパートナーによる910Cの生産拡大を進めているが、以前確保していた海外製品の在庫が極めて重要な役割を果たしてきた。代表的な事例として、ファーウェイはTSMCで製造された数百万個のダイを調達することに成功。これは算能Sophgo)という仲介会社を通じたもので、同社は中国企業への転売を事前に開示していなかった。TSMCは算能との取引を停止し、米政府に通報。米政府は算能に制裁を科した。それでもファーウェイはダイの在庫推計290万個をAscendシリーズに活用し、910C向けに今年いっぱいは十分に確保できる見通しだと、セミアナリシスのディラン・パテル氏ら専門家は分析している」

     

    ファーウェイは、違法手段でTSMC製造の数百万個のダイを調達していた。これを使って、今年いっぱいは910C生産が可能という。

     

    (4)「HBMについても課題がある。SKハイニックスは、米マイクロン・テクノロジーやサムスン電子と競合し、この分野のリーダーとなっている。HBMはエヌビディア製品などAIシステムに不可欠な部品で、通常は特定のプロセッサーと組み合わせて製造される。技術的に極めて複雑で、DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の分野で先行するサムスン電子でさえ、エヌビディア向けHBMの適合認定を得るのに数年を要した」

     

    HBMは、エヌビディア製品などAIシステムに不可欠な部品である。通常は、特定のプロセッサーと組み合わせて製造される。それが、ファーウェイの手に渡っていた。

     

    (5)「米国は24年後半に「HBM2」およびそれ以降の先端モデルの対中販売を規制。さらに長鑫存儲技術(CXMT)など中国メーカーの生産能力を制限する規制を強化した。  セミアナリシスによると、ファーウェイはTSMCのロジックウエハーを備蓄したのと同様に、HBM在庫も積み上げていたという。ファーウェイがサムスン電子やSKハイニックスのHBMをいつ、どのように入手したのかは明らかになっていない」

     

    ファーウェイは、TSMCのロジックウエハーを備蓄したのと同様に、HBM在庫も積み上げていたという。

     

    (6)「セミアナリシスによれば、中国のCXMTはHBMで一定の進展を見せているものの、ファーウェイは依然として海外製品への依存度が高い。在庫が減り、「年末までには中国はHBMでボトルネックに直面すると予想される」という」

     

    中国のCXMTは、HBMの試作に取りかかっているが成果を出していない。年末までは、手元のHBMの在庫があるものの、それ以降は未知数である。

     

     

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    台湾の行政院(内閣)が、自衛隊の統合幕僚長を務めた岩崎茂氏を政務顧問に任命した。政務顧問は、行政院への政策提言を担う。安全保障分野で日本との関係強化を探る狙いとみられる。岩崎氏は航空自衛隊の出身で、航空幕僚長を経て2012~14年に統合幕僚長を務めた。

    『毎日新聞』(3月22日付)は、「自衛隊の制服組元トップが台湾政府顧問に就任、安保連携狙いか」と題する記事を掲載した。

    自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた岩崎茂氏が台湾行政院(内閣)の政務顧問に就任したことが21日、行政院関係者への取材で明らかになった。自衛隊最高幹部経験者の任命は極めて異例。日本との安全保障分野での関係を強化する狙いとみられる。

    (1)「岩崎氏は航空自衛隊の戦闘機パイロット出身。航空幕僚長を経て2012~14年に統合幕僚長を務めた。政務顧問は非常勤・無報酬で、行政院に対して政策提言を行う。行政院関係者によると、岩崎氏は今月、台湾側の招待で訪台し、顧問に就任。卓栄泰・行政院長(首相に相当)とも面会した」

    岩崎氏の台湾政府・政務顧問就任は、台湾と日本との安全保障問題で大きな役割を果すとみられる。台湾防衛では、制空権確保が重要問題である。岩崎氏は、航空幕僚長や統合幕僚長を務めた経緯がある。有力なアドバイスを与えるであろう。


    (2)「岩崎氏は公職を退いた後、たびたび台湾を訪問している。24年5月には台湾北部・新北市の淡江大学で講演。中国やロシア、北朝鮮が地域の大きな脅威になっているとした上で、日本は直接台湾を支援できないが、台湾とのさまざまな分野での協力関係をさらに強めていく必要があると述べていた。中国外務省の毛寧報道局長は21日の記者会見で「日本は台湾問題で中国人民に対する歴史的な罪を負っていて、特に言動を慎むべきだ」と批判した」

    中国外務省は、日本に対して「台湾問題で中国人民に対する歴史的な罪を負っている」と発言している。これは、間違いである。日本は、日清戦争勝利で台湾を植民地にした。だが、当時の台湾は中国にとって「化外の地」(野蛮の地)とされ、清国の統治が及んでいなかった。この台湾を近代化させたのは日本である。「歴史的罪」どころか、「歴史的善政」であったのだ。現在の台湾が、「親日」である理由だ。

    台湾が、中国本土への統一を望まないのは与野党一致の意思である。これは、中国の共産党政権を忌避している証拠だ。自らが、民主化しない限り統一はあり得ない状況にある。中国は、これを無視して「侵攻」をちらつかせている。となると、台湾は防衛戦略を立てるほかない。米軍と自衛隊が、台湾防衛にどのようにかかわるかが問われている。


    『毎日新聞』(23年2月28日付)は、「台湾有事で何が起きるのか、米研究機関が日本に突きつけた課題」と題する記事を掲載した。

    米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は(23年)1月、台湾有事の机上演習(ウオーゲーム)の報告書を発表した。計24ケースをシミュレーションし、大半で中国に不利な結果が出た。ところが、日本に深く関係する、ある条件を加えると、違ったシナリオが導き出された。

    (3)「報告書は台湾防衛成功の条件の一つに「在日米軍基地の使用」を挙げた。日米安全保障条約や付随する交換公文によって、米軍が日本から戦闘作戦行動をとる場合には「日本政府との事前協議」が必要だ。日本が認めなければ、作戦成功が危ぶまれ、米軍が軍事介入自体をためらうこともあり得ると言える。「米国が動くなら日本も付き合う」という発想ではなく、「台湾の行方は日本の判断次第だ」という気構えが最低限必要だ――。CSISの報告書はそう迫っていると言える」

    台湾防衛で、日本が在日米軍基地の使用を認めることが不可欠である。「台湾の行方は日本の判断次第だ」である。台湾政府が、岩崎氏を政務顧問へ迎えた理由である。


    (4)「米中の軍事衝突が始まった場合、日本政府は「どこまで米軍を支援するのか」という判断を迫られる。「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態(存立危機事態)」と認定すれば、自衛隊が武力を行使することも可能になる。では、中国は日本を攻撃するのか。机上演習では中国チームが試行錯誤する中で「日本は攻撃しない」と選択したケースもあったが、いずれも中国にさらに不利な結果となった。中国にとって、日本を敵に回すリスクより、先手を打って在日米軍基地を攻撃するメリットの方が大きかった」

    中国は、先手を打って在日米軍基地を攻撃する攻撃するメリットが大きい。

    (5)「中国が日本を攻撃すれば、日本政府は「武力攻撃事態」と認定し、自衛隊は米軍と共同戦線を張ることになる。自衛隊の中でも「航空自衛隊が非常に重要だ」と指摘されている。机上演習では、空自のF35戦闘機が長射程ミサイル「JSM」で中国軍の艦船を攻撃し、米軍の爆撃機の護衛、情報収集でも貢献。海上自衛隊の潜水艦も中国軍に一定の打撃を与えたが、ミサイルの補充にかかる時間を考慮すると、戦闘機の有用性が高かった」

    中国が日本を攻撃すれば、自衛隊は米軍と共同戦線を張る。空自のF35戦闘機が、長射程ミサイル「JSM」で中国軍の艦船を攻撃し、米軍の爆撃機の護衛、情報収集でも貢献する。航空自衛隊の有用性が高いことが証明された。岩崎氏の政務顧問就任の背景だ。



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    米国は、半導体の国内生産を着々と増やす体制を整えている。バイデン政権の半導体補助金政策の効果が出ている上に、トランプ政権による「関税」が奏功して大型半導体投資が進むからだ。2030年には、半導体の生産シェアは20%に回復するという。

    『日本経済新聞 電子版』(3月7日付)は、「米半導体、国内に回帰 AI用など先端品シェア2割に倍増」と題する記事を掲載した。

    台湾や韓国の半導体企業の投資を呼び込み、米国は先端半導体の内製化を強める。人工知能(AI)や通信に使われる先端半導体において、米国の世界生産シェアが2030年に2割強になることがわかった。21年に比べて倍増する。台湾や韓国の企業を呼び込み、AI半導体を設計から生産まで米国内で完結する体制が整う。米国の半導体はアジアからの輸入に頼っていたが、経済安全保障を背景にした生産の国内回帰が鮮明になる。


    (1)「半導体は、新型コロナウイルス禍の半導体不足を契機に、経済安全保障上の戦略物資となった。米国をはじめ、日本や欧州などが巨額の政府支援策を講じて企業の投資を引き出し、半導体の国内生産の増強に動いている。米国半導体工業会(SIA)の統計や企業の公表資料を用いて、20年以降に表明された米半導体の民間投資額を独自集計したところ、日本円で80兆円規模に達した。世界の半導体の生産能力に占める米国のシェアは、90年の37%から22年は10%まで低下していた。1990年代から下落傾向にあった、米国の半導体の世界生産シェアは25年から反転する見通」

    米国半導体生産シェアは、90年の37%から22年に10%まで低下した。これが、25年以降は増加に転じる見込みだ。

    (2)「半導体には主に電子機器の頭脳の役割を果たし、計算や判断を行うロジック半導体と、データを記憶するメモリー半導体がある。米国が経済安保上、注力するのがロジック半導体の内製化だ。特にデータセンターや通信、軍事製品に用いられる先端のロジック半導体の生産体制の確立を急いでいた。台湾調査会社のトレンドフォースによると、台湾積体電路製造(TSMC)の投資をけん引役に、先端ロジック半導体の生産能力に占める米国の割合は30年に21年比で2倍の22%に達する見通しだ。台湾は71%から58%、韓国は12%から7%に下がる」

    先端ロジック半導体の生産能力では、米国シェアが30年に22%に達する見通しだ。21年比で2倍に急増する。米国急増の反動で、生産シェアは台湾が71%から58%、韓国は12%から7%に下がる。


    (3)「先端ロジック半導体の確保を急ぐのは、AIの競争力を左右するためだ。米国はAI半導体の設計では米エヌビディアが市場をほぼ寡占しているが、生産を台湾に頼っていた。台湾や韓国の半導体メーカーの米国投資を通じて、AI半導体において設計から生産までを米国内で完結できるようになる。TSMCは1000億ドル(約15兆円)を新たに投じ、米国に3つの先端ロジック半導体の工場を追加する。半導体を製品に仕上げる先端パッケージング工程を担う2つの施設と、研究開発(R&D)の拠点も設置する。魏哲家・董事長兼最高経営責任者(CEO)は「AI向け半導体を大量に生産する」と説明する」

    台湾のTSMCは、米国へ1000億ドル(約15兆円)を新たに投じ、3つの先端ロジック半導体の工場を追加する。米国は、先端半導体供給で安心できる。

    (4)「AI半導体に使う高性能メモリー半導体「HBM」を手掛ける韓国のSKハイニックスも40億ドルを投じ、インディアナ州でHBMを生産できる工場や研究開発施設を建設する。AI半導体の生産は先端ロジックだけでは完結しない。データの処理を助ける高性能メモリー半導体を調達し、先端パッケージングの工程で一つの製品に組み立てる必要がある。これまで台湾に集中してきた先端パッケージング拠点の新設で、米国に一貫生産体制が構築できる。米国の先端半導体生産の担い手は、技術を持つ台湾と韓国のメーカーが中心となる。対米半導体投資のうち台韓の企業が占める割合は、24年時点の試算で7割弱あった。TSMCの追加投資によって役割はさらに増す」

    韓国のSKハイニックスも米国へ、40億ドルを投じる。お気づきのように、先端半導体ではサムスンの名前が出てこないのだ。技術的に、先端半導体を生産できない弱点を抱えている。

    (5)「トランプ米大統領は、米投資の呼び水を補助金から関税に切り替える姿勢で、半導体生産のシェアを40%まで高めると公言する。日本政府は、24年11月に閣議決定した経済対策で、AI・半導体産業基盤強化に30年度までの7年間で10兆円以上を公的支援する枠組みを示した。次世代半導体の量産を目指すラピダスなどの支援を念頭に置く」

    トランプ大統領は、先端半導体シェアを40%まで引上げると豪語している。


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    米国務省が公開している米台関係の概要文書「ファクトシート」には長年、「米国は台湾の独立を支持しない」と記載された文言があった。それが、2月16日になって削除されていたことが判明した。中国にとっては、米国へ要求している「レッドライン」の一つが、台湾独立不支持であった。それが消えただけに、具体的抗議姿勢を取らざるを得なくなった。

    『ニューズウィーク 日本版』(2月28日付)は、「トランプから中国への挑発 台湾の『独立不支持』文言削除に中国はこう動く」と題する記事を掲載した。

    トランプ政権は、台湾に関して越えてはならないとする中国のレッドラインを意図的に試しているのか。対中交渉で優位に立つための一時的な変更なのか。それとも、台湾の地位をめぐって、より明確なアプローチを打ち出す第一歩なのか。米国務省はバイデン前政権時代の2022年、問題の文言をいったん削除したが、中国の外交的反発を受けて復活させた経緯がある。ドナルド・トランプ米大統領の下での今回の動きは、台湾政策でリスクを取る意欲の表れだ。今や中国と台湾とアメリカはそれぞれ、戦略を再調整しなければならない。


    (1)「アメリカは、(これまで台湾の独立不支持で)中国の攻撃と台湾の一方的な独立の動きの双方を防ぎ、台湾海峡で現状を維持することができた。微妙な軌道修正を示唆する今回の文言削除は、戦略的曖昧性を強化する可能性も、弱体化させる可能性もある。さらに、(今回は)台湾の国際機関加盟をめぐる立場も見直された。米国務省は従来、台湾が加入可能なのは、加盟資格を国家に限らない機関だけだとしていた。最新版のファクトシートでは、「場合によっては加盟国の地位を含め、国際機関への台湾の意義ある参加」を支持すると明記している。アメリカが台湾の国連加盟などを支持する意向を示しているのであれば、中国にとってあからさまな挑戦だ」

    米国は、「台湾の独立不支持」を削除しただけでなく、国連加盟含めて幅広い国際機関への参加を認めるように要請した。べいこくが、これまでない対応をしており、中国への対抗姿勢を明白にしている。

    (2)「中国の対応は早かった。中国外務省の郭嘉昆(クオ・チアクン)報道官は2月17日の記者会見で、アメリカの「台湾関連問題の立場が深刻に後退」し、台湾の独立派に「著しく誤ったシグナル」を発していると米政府を非難。「今すぐ過ちを正すよう求める」と発言した。折しも、中国は「独立勢力」を法的に弾圧する動きを強めている。昨年6月に新たな司法指針を発表し、主権国家に資格が限定される国際機関への台湾加盟の推進は国家分裂行為であり、死刑も含む処罰の対象になると定めた」

    中国は、素早く抗議姿勢を明確にしたが、具体的な対抗手段を明らかにしていない。


    (3)「問題は、中国が米国務省による改訂を、台湾独立への直接的支持と解釈するかだ。
    戦略的曖昧性からの離反と見なした場合、中国はさまざまな反応に出るだろう。大規模軍事演習やグレーゾーン戦略(平時でも戦時でもない状態での作戦)といった台湾周辺での軍事的活動、米企業や台湾企業を標的にした経済的威圧を強化するかもしれない。外交的な報復措置として、米中の協力関係を格下げしたり、国際的な緊張をエスカレートさせることもあり得る。「アメリカの挑発」に対するこれまでの反応を考えれば、最も可能性が高いのは軍事的シグナルだ。中国軍戦闘機による台湾のADIZ(防空識別圏)侵入などが想定できる」

    中国で、最も可能性の高い対抗手段は軍事的シグナルだ。中国軍戦闘機による台湾のADIZ(防空識別圏)侵入などが想定できるという。

    (4)「台湾の与党・民主進歩党(民進党)は、今回の改訂を熱烈に歓迎した。「主権の独立した台湾共和国の建国」を綱領に掲げる同党にとって、アメリカの従来姿勢は長らく政治的障害だった。台湾外交部(外務省)は米政府の「前向きで親台的な表現」に謝意を示し、国家の承認の拡大に向けた一歩と評している」

    台湾与党「民進党」は、今回の米国務省の措置を大歓迎している。台湾が、国家としての承認へ一歩、近づいたという認識である。


    (5)「台湾の最大野党・国民党にとって、事態はより複雑だ。台湾海峡両岸はいずれも中国であり、その正当な政府は台湾政府だとの歴史的立場を、同党は維持している。これまでアメリカの政策を根拠に、台湾の正式な独立は非現実的だとして独立に反対してきた国民党は、アメリカ側が表現を柔軟化した今、ジレンマに直面している。台湾独立を支持するのは、党の立場と矛盾するため不可能だ。だが同時に、台湾の多くの有権者が支持する米台関係の強化に反対している印象を与えることもできない。今後の選挙をにらむなかで、国民党は難しい綱渡りを強いられることになる」

    国民党は、複雑な立場に置かれている。これまで、台湾独立に反対してきただけに、米国務省の措置に困惑している。国民党は極力、米台関係の強化に反対しているイメージを与えることを避けようとしている。







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