勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 台湾経済ニュース時評

    あじさいのたまご
       

    共産党得意芸「ダメコン」

    救いのない減衰経済過程へ

    習氏生残りに硬軟合わせ術

    国民無視で政権永続は不可

     

    中国の7~9月期GDPは、前期よりも減速した。前年同期比4.6%だが、前期比を年率換算すると3.6%である。西側諸国では、前期比の年率換算が普通表示である。中国経済の実態は、すでに4%割れ状態だ。不動産バブル崩壊で直撃された形である。 

    中国の潜在成長率は現在、4%台と見積もられている。中国政府が24年の経済成長目標を「5%前後」としているのは、かなり背伸びしたものと言える。現に、7~9月期のGDP成長率が前期比換算で3%台であるのは、低下した潜在成長率に見合った動きだ。 

    潜在成長率は、労働力の動向が大きく影響する。中国の一人っ子政策が、35年間(1979~2014年)と一世代も続いたので、現在は急速な生産年齢人口比率の低下を招いている。これは、中国経済にとって取り返しのつかない失策であった。この対策として、2025年から15年かけて定年延長(男子63歳、女子58歳)へ踏みきるが、強制的でなく希望者のみとしている。こうした微温的な定年延長策に出たのは、国民の反発を恐れた結果である。

     

    中国経済の弱点は、これから労働力不足が顕著になることだ。西側諸国では、日本を初めとして70歳定年の動きが始まっている。それにもかかわらず、中国の定年延長が15年かけて3歳程度の延長に止まっている。その理由は、国民の反発が強いからだ。共産党独裁政権が、国民の反発を最も恐れているのは奇異にみえる。だが、選挙で選ばれた政権でない弱みが、習近平国家主席を弱気にさせているのであろう。 

    中国共産党は、国民に選挙権を与えない代わりに高い経済成長率で補ってきた。今後は、これが不可能な状況だけに、中国共産党の基盤は強固と言えない事態へ向っている。これが、中国の将来を占う上で極めて重要な要因となる。 

    共産党得意芸「ダメコン」

    中国共産党は問題が深刻化した場合、政権に傷を付けない目的で急遽、判断を変えることがある。「ダメージ・コントロール:ダメコン」(応急処置)である。9月24日、政府が株価対策を発表したのもその表れである。具体的な財政政策がないままに、株式市場へ「口先介入」して株価テコ入れをした。それが、一過性であることから株価の乱高下を招く騒ぎを招いている。これが、政府への信頼を失墜させるのである。

     

    22年12月、突如としてゼロコロナ解除を決めたのもそれだ。これ以上、事態を放置すると国民の不満が政権に向けられという危機感が強まり方向転換した。医療側に事前連絡しないままに行われたゼロコロナ解除なので、高齢者の感染が激増しわずか2ヶ月で200万人以上の犠牲者を出した。死亡者数の発表もされないままに終わっている。 

    習近平氏は、なぜ「ダメコン」を多用するのか。ここに中国の直面する問題点が隠されている。習氏の本音ベースの経済政策は、次のようなものとみられる。 

    1)破綻寸前の地方政府の救済

    2)株式市場の浮揚

    3)国家主導で自国を産業・技術大国にする方針堅持

    4)大規模な需要喚起でなく、金融危機の発生を防ぐ「デリスキング(リスク低減)」

    5)経済全体を安定させて24年の成長目標(5%前後)を達成する

     

    これら5項目をみて気付くのは、中国経済がなぜ現在の危機を招いたのかという根本的な視点がないことだ。突出しているのは、3)国家主導で自国を産業・技術大国にする方針堅持である。従来の供給力重視政策が貫かれている。一方、4)大規模な需要喚起でなく、金融危機の発生を防ぐ「デリスキング(リスク低減)」としていることだ。大規模な需要喚起の策を行う意思がみられないのだ。需要不足をカバーして、産業構造の転換を図る意思がないことを明らかにしている。 

    供給力を重視するあまり、需要喚起によって経済を安定化させる視点が全くないことに注目すべきだ。前述のように、一人っ子政策を35年も続ける「無神経」さは、その後の経済政策にも共通している。不動産バブル崩壊後の本命政策としては、世界レベルからみて対GDP比で20%ポイントも低い個人消費を引上げる。そういう構造転換の発想は片鱗もないのだ。

     

    その基底には、「国民無視」がある。国民をただの「駒」扱いしているのだ。だが、この羊のような駒が、ひとたび立ち上がって反抗することには極度の神経を使っている。それが、「ダメコン」を行わせている。本心で、過去を改めるのでなく目先を変えて「危機回避」するだけだ。

     

    救いのない減衰経済過程へ

    「国家主導で自国を産業・技術大国にする方針堅持」には、裏の顔がある。これは、台湾侵攻を前提にしている話だ。習氏が、終身国家主席であり続けられる条件は一つしかない。台湾を統一すると言い続けることだ。そして、軍事的手段に訴えるとも付け加えておく。習氏は、これによって「強い国家主席」を演じ続けられる。(つづく)

     

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    https://www.mag2.com/m/0001684526

     

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    中国軍は、対台湾作戦を担う東部戦区が14日、台湾を取り囲む形での大規模な統合演習の実施を発表した。今年5月以来の演習で「国家の主権と統一を守るための正当で必要な行動」と主張している。台湾の頼清徳総統が、10日の演説で改めて中国による統一に反対したことに反発し、頼政権をけん制する狙いだ。 

    台湾当局はすでに、中国が頼氏の演説を利用して計画に従い、台湾包囲演習をするものと予告していた。その際に、演習の名称(連合利剣2024B)まで予想するなど、台湾側も冷静に対応している。中国軍の「空回り」という印象が強い。米軍は、この中国軍演習を監視して、「作戦データ」を蓄積するはずだ。中国軍は、まんまと「手の内」をみせていることになる。 

    『日本経済新聞 電子版』(10月14日付)は、「中国軍が台湾包囲演習、『独立を抑止』 頼政権を威圧」と題する記事を掲載した。 

    中国人民解放軍で台湾方面などを管轄する東部戦区の報道官は14日、台湾を包囲する形で軍事演習を始めたと発表した。習近平指導部と対立する頼清徳政権を威圧する狙いだ。台湾海峡や台湾本島の周囲6カ所のほか、離島の馬祖列島などを演習区域に設定した。

     

    (1)「報道官は「台湾独立分裂勢力が独立をたくらむ行為への強力な抑止力だ。国家の主権を守り、国家統一を維持するために正当で必要な行動だ」と表明した。陸海空各軍と核・ミサイルを運用するロケット軍を投入した。各軍種が合同での急襲や「要港・要域」の制圧、標的への精密攻撃などを訓練する。報道官は「部隊の統合作戦実戦能力を検証する」と説明した。これに関連して中国海警局は14日、船隊を4つ組み、台湾本島を一周するようにパトロールしたと発表した。台湾が中国の一部という「一つの中国」原則に基づく行動だと説明した。海警局は事実上の「第二の海軍」と呼ばれる」 

    法理論では、中国の国家主権が台湾へ影響することはない。国際法によれば、国土と国民統治が国家主権の条件である。中国の主張する、「台湾独立分裂勢力が独立をたくらむ行為」は、言いがかりにすぎない。隣家のことに口出しするようなものである。 

    (2)「演習を「連合利剣2024B」と名付けた。頼氏が台湾総統に就任した直後の5月に台湾周辺で実施した「連合利剣2024A」に続く位置づけだ。当時は2日間にわたり、台湾本島の周囲5カ所のほか、離島である金門島や馬祖列島の近くで訓練した。中国海警局の船舶も演習に参加した。今回と同様、演習の予告はなかった。台湾国防部(国防省)は14日、演習について「非理性的な挑発行為で強く非難する」との談話を発表した。「中華民国(台湾)の主権を守るため実際の行動をとる」と訴え、厳戒態勢をとると言明した。台湾は10日、建国記念日に相当する「双十節」を迎えた。頼氏は同日の演説で「中国は台湾を代表する権利がない」と述べた。習指導部が掲げる中台両岸の統一を受け入れない考えを改めて示した」 

    習近平氏は、国家主席に止まる限り、「連合利剣20××」とやらを続行する。これによって、国内をまとめ上げるという国内対策目的もあるのだ。「強い国家主席」を演じるのである。

     

    (3)「中国軍による14日の演習は頼氏の演説への対抗措置とみられる。国務院(政府)台湾事務弁公室の陳斌華報道官は10日、頼氏の演説を「両岸(中台)の敵意と対立をあおった」と非難する談話を出した。台湾側には中国軍が双十節当日に演習に踏み切るとの見方が多かった。中国側が14日にずらしたのは、李強(リー・チャン)首相の外国訪問のタイミングを考慮した可能性がある。李氏は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席するため9〜12日にラオスを訪れた。滞在中に軍事演習をすれば、日本や米国を交えて安全保障を議論する東アジア首脳会議(EAS)などの場で李氏が各国の批判を浴びかねなかった」 

    下線部の記事が示す通り、中国が台湾包囲演習を「忸怩(じくじ)たる」思いであることを示している。中国が、台湾総統の演説に反発して、台湾包囲するとは過剰行為である。もっとハッキリ言えば、「暴力でねじふせる」という中国の思い上がりを見せつけている。国際的な信用を落とす行為だ。西側諸国は、ますます中国を警戒するであろう。

     

    (4)「台湾が、双十節当日の中国軍の演習を警戒していたことから、それをかわす思惑もあったとみられる。中国は頼氏演説後の10日夜、衛星を搭載したロケットを西太平洋に向けて打ち上げたものの、中国国営メディアは軍事的な意図などは伝えていない。習国家主席は中国の国慶節(建国記念日)を翌日に控えた9月30日の演説で「台湾は中国の神聖な領土だ」と強調した。「祖国の完全統一の実現は時代の流れであり、大義がある」と主張した」 

    中台統一は、台湾市民が受入れない限り不可能である。それには、中国自身が強圧姿勢を止めて話合い路線を模索することだ。中国に従わなければ、軍事という「暴力」を使うのは、余りにも知恵がなさ過ぎる。自らが変わらずして、相手を納得させられるはずがない。この争いは、習近平氏の「敗北」となろう。孔子の教えに立ち戻るべきだ。強行的な法家思想では解決不可能である。ロシアのプーチン氏と同じことをやっては能がなさすぎる。

     

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    米国は、半導体「母国」であるが現在、生産を海外へ任せる方式になった。半導体設計部門を残して他部門を海外諸国で生産している。だが、最近の地政学的リスクの増大によって、米国内での半導体生産の必要性に迫られている。バイデン政権による「CHIPS・科学法」が、このテコの役割を果している。 

    すでに、米国へ進出した台湾のTSMCは、試験操業段階で台湾並みの製品歩留まりの好成績を上げているという。TSMCはこれまで、米国の「モノ作り文化」に疑問を呈してきたが、どうやら杞憂に終わりそうだ。従業員教育をきめ細やかに行えば、台湾並みのパフォーマンスを上げられる見通しがついたようであう。 

    『フィナンシャル・タイムズ』(10月7日付)は、「米半導体戦略が抱える深刻な問題」と題する記事を掲載した。 

    バイデン政権の政策を振り返ると、CHIPS・科学法を超党派で2022年に成立させたことは、いかなる成果リストでもトップ近くにランキングされるだろう。

     

    (1)「米国だけでなく世界にとって、現在のデジタル経済に欠かせない半導体の生産拠点をもっと分散させる必要があることは以前から明白だった。つい最近まで半導体の大半はアジア地域で生産され、高性能半導体に限れば台湾が生産をほぼ独占していた。その台湾は、ウクライナと中東に次いで世界で3番目に地政学的リスクが高い地域といえる。そして今、CHIPS法のおかげで米国と欧州の双方では半導体の生産能力が新たに築かれつつあり、欧州連合(EU)は米国に対抗すべく独自の支援策を打ち出している」 

    半導体が、高度の戦略製品であることから、地政学的リスクと敏感に反応するようになった。 

    (2)経済界や産業界の一部には、こんなやり方で米国が産業の再活性化を図れるのかと懐疑的にみる向きもあるが、経済はインセンティブが後押しする方向に進むものだ。米国内での生産を後押しするために、530億ドル(約7兆8700億円)に上る公的資金と4000億ドル近い民間資金を投じて、2年間でどれほど成果を達成できるのかといえばそれには驚くべきものがある。例えば、台湾積体電路製造(TSMC)が米アリゾナ州に建設した半導体工場(2025年までに量産を開始する予定)ではこの9月上旬、台湾の本社工場と同程度の歩留まり率を実現した。これは大きな成果だ。歩留まり率の上昇は、利益率を高める重要な要因であるばかりか生産性の向上にもつながる」 

    米国政府が、半導体育成でCHIPS法により企業支援していることは理に叶っている。

     

    (3)「台湾の半導体産業の成功から学ぶべき大事な教訓がある。それは、モノ作りが重要だということだ。実際にモノの生産を増やしていけば、イノベーションの階段を上っていくことができる。それは経済学者たちには分かりにくいとしても、エンジニアにとっては常に明白なことだ。米国で半導体生産を復活させる取り組みを巡っては、その遅れを批判する声が多くある(数兆ドル規模にも達する業界をわずか数カ月で再構築できるとでも考えているようだ)。しかし、歩留まり率だけでなく、労働者の育成といった分野でも大きな進歩がみられる」 

    米国では、半導体製造が空洞化しているが、再び復活への動きが始まっている。 

    (4)「半導体生産における熟練労働者の不足は、大きな弱点となってきた。生産が他国へと移転されれば労働者も離れていくし、そうした労働者を支える教育プログラムも消えていく。CHIPS・科学法ではかなりの規模の資金が、ニューヨーク州北部などの地域における学校や職業訓練プログラムの強化に充てられた。ニューヨーク州北部では、米エネルギー省科学局は米半導体大手のマイクロン・テクノロジーと覚書を交わし、同社は今後20年、約1000億ドルを半導体生産に投資する計画だ」 

    CHIPS・科学法によるかなりの資金規模が確保されたことで、復興への芽が着実に育っている。

     

    5)「同半導体プログラムを運営する商務省は、全米教員連盟およびマイクロンと協力し、新しい技術に関するカリキュラムをまとめた。それが今秋、ニューヨークの10の州学区で導入されたのを皮切りに他の州にも広がりつつある。これは教育関係者と雇用創出者が優れた労働力を育成すべく密接に連携した一例だ」 

    半導体教育プログラムは、ニューヨークの10の州学区で導入されたのを皮切りに、他の州にも広がりつつある。人材育成が始まっている。 

    6)「筆者はそれでも半導体生産復活に向けた米国の取り組みの今後について懸念している。我々はモノ作りが重要であることを学んだが、産業政策を体系だって進める方法についてはまだ学習していない。個人の利益よりも公的な利益を優先していく方法も学んでいないからだ。特に人工知能(AI)向け半導体を含め、半導体生産ではこうした問題への取り組みがとりわけ重要だ」 

    半導体が、公的利益に寄与するという理念を植え付けることが重要である。企業の私的利益追求が第一義的になっては拙いのだ。その理由は、次に述べる。 

    7)「大きな課題のひとつは、同盟国や友好国とサプライチェーン(供給網)を構築する「フレンドショアリング」をどの国・地域とどう進めるかだ。米国とアラブ首長国連邦(UAE)は9月下旬、AI分野での能力の増強を目指して半導体やクリーンエネルギーなどの先進技術に関する協力関係を深めることで合意した。しかし、日本製鉄によるUSスチール買収が国家安全保障上の問題をもたらしかねないと懸念するのであれば、人権やプライバシーはほとんど尊重しないうえ、中国と学術およびビジネス分野で深いつながりを築いている独裁国家と、米国が最先端の戦略的技術を共有することについても懐疑的になるべきだ。防衛および情報関係者の多くも筆者と同じ懸念を感じている」 

    米国とアラブ首長国連邦(UAE)が、AI分野で技術提携することは問題含みである。UAEは、中国と学術およびビジネス分野で深いつながりを築いている國である。そういう相手国と戦略製品の半導体技術で提携するのはリスキーである。

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    台湾の頼清徳総統は10月5日、中華人民共和国よりも台湾の歴史(中華民国)が長いため、中華人民共和国は台湾の人々の祖国にはなり得ないと述べた。10月10日の台湾の建国記念日に相当する「双十節」を前に行われた関連行事でこのように挨拶した。中華人民共和国が10月1日に建国75周年を迎え、数日後には中華民国が建国113周年を迎えることに言及したもの。

     

    『ロイター』(10月7日付)は、「『中国は台湾の祖国になり得ない』、記念日行事で頼総統」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「頼氏は、「年数という観点で言えば、中華人民共和国が中華民国の人々の『祖国』になることは絶対に不可能だ」とした上で、「中華人民共和国の75歳以上の人々にとっては、むしろ中華民国が祖国になるかもしれない」と述べた」

     

    中国共産党は、国民党との内戦で勝利して「中華人民共和国」を建国した。敗北した国民党の「中華民国」は台湾へ移転した。この関係からいえば、「中華民国」の母国が「中華人民共和国」とは言えないのであろう。だが、習近平中国国家主席は、中国共産党が、中国の国土と国民を統治しているので中国の正統な政権という主張になる。

     

    習近平氏にとって、頼氏の発言は「聞き捨て」にならぬものである。何らかの軍事的圧力を台湾へかけてくると予想されている。

     

    『ロイター』(10月7日付)は、「中国、10日の台湾総統演説後に軍事演習の可能性ー関係筋」と題する記事を掲載した。

     

    台湾の頼清徳総統が10日、建国記念の日に相当する「双十節」の式典で演説するのに合わせて、中国が台湾に圧力をかけるために軍事演習を開始する可能性が高いと、台湾高官が明らかにした。

     

    (2)「中国は5月、頼氏の総統就任後に「分離主義的行為」への対応として、台湾周辺で「連合利剣2024A」と称する軍事演習を実施した。台湾の安全保障当局高官は、収集した情報や中国政府の動向を分析した結果、すでに演習が計画され、頼氏の演説の内容に関係なく、「連合利剣2024B」といった名前を付けて行われる可能性があるとの見解を示した。頼氏の演説が口実に使われる公算が大きいと述べた」

     

    台湾は、中国が頼氏の演説を口実にして、かねてから準備している「連合利剣2024B」作戦を展開するだろうと予想している。台湾包囲の軍事作戦を繰返して、台湾市民に「自主防衛」を諦めさせる戦術とみられている。だが、民主主義の恩恵に浴している台湾市民が、言論の自由もなく人権蹂躙の共産党体制を受入れるとは思えない。香港の現状を見れば、それが明らかだ。

     

    (3)「ロイターが入手した台湾安全保障当局の内部メモは、中国が演習を頼氏の演説での「挑発」のせいにするかもしれないとしている。「(中国は)絶えず各国のレッドラインを試し、(武力攻撃以外で打撃を与える)グレーゾーン作戦を最大化しようとしている」と指摘した。台北を拠点とするある外交筋は、米大統領選挙が近いことから、中国は演説に対する軍事的反応を抑制する可能性があると語った。大統領選直前に台湾問題が国際的な注目を集めることを中国は望んでいないという。「中国はもはや台湾周辺で軍事演習を行う口実を必要としていない。いつでも好きなときに実施できる」と述べた」

     

    下線部のように、中国は絶えず他国の出方を調べている。秦の始皇帝が、統一を実現した手法がこれだ。一国ずつ「落とし」、最後は中核を手に入れる戦術である。「合従連衡」とは、同盟(合従)を破壊しながら一対一の関係(連衡)を持ち込み、最後は「飲み込む」(占領)のだ。こういう中国伝統の領土拡張策を阻止するには、最後まで「同盟」をしっかりと組むことにある。途中で、心変わりして中国側へつけば、それで「終わり」である。

     

    ドイツの哲学者カントは18世紀末、著書『永遠平和のために』の中で、共和国(民主国)は、同盟を組んで独裁国へ対抗しなければ、平和を維持できないと説いている。同盟を組むことが、平和を維持する唯一の方法である。まさに、現代で言えば集団安全保障論の原型である。

     

    不幸にして戦争になった場合、同盟国は互いに協力して戦術を組めるが、独裁国は同盟軍が少ないので、それだけで戦いにおいて不利になる。日露戦争で、「新興国」日本が強国ロシアに勝利を得たのは、米英が日本を外交戦術で支援した結果だ。当時のロシアは、米英に対抗する力がなかったので、米英の外交力に屈したのである。外交も安全保障において重要な役割を役割を果す。

     

     

     

     

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    台湾や韓国は、日本の半導体企業ラピダスが日米政府の支援で順調なスタートを切っていることで「そわそわ」し始めている。日本は、半導体製造措置や半導体素材で世界有数のシェアを持ち、1980年代後半では世界半導体生産のチャンピオンであった。その日本が再び、世界の地政学リスクを背景に最前線へ躍り出てきたのだ。台湾や韓国が、落ち着かずそわそわし出しているのは当然であろう。 

    『日本経済新聞 電子版』(6月25日付)は、「日本の半導体『復活できる』台湾パソコン大手エイサー創業者スタン・シー氏 供給網の日台協力訴え」と題する記事を掲載した。 

    台湾パソコン大手、宏碁(エイサー)の創業者で著名実業家の施振栄(スタン・シー)氏が、6月中旬に台湾で日本経済新聞の取材に応じた。日本の半導体・電子産業について「復活できる」との見方を示し、サプライチェーン(供給網)の日台協力を訴えた。

     

    (1)「近年、台湾の半導体企業が海外へ進出しているが、純粋なコストは台湾が一番安い。工場稼働率や歩留まり(良品率)が高く、人件費も相対的に競争力がある。(台湾以外に)唯一、チャンスがあるのは日本だ。かつて高い生産能力を持った実績がある。先端半導体は研究開発の段階から分野をまたいだ協力が必要だ。日本の材料や製造装置はとても強い。ただ、日本企業は他社への技術移転に消極的で、リスクをとることを避けがちという課題もある」 

    下線部は、日本の半導体製造措置や半導体素材の企業が、技術移転に消極的と指摘している。台湾では、それだけに日本の半導体総合力に「敬意」を表しているのだ。 

    (2)「私は日本の半導体・電子産業が復活できると思う。大切なのは『共存共栄』だ。台湾と日本のそれぞれが強みを持ち寄り、価値を創造する双方向の関係を築くべきだ」 

    台湾は、日本半導体・電子産業が復活可能とみている。日本の貿易収支が赤字である背景には、この問題が深く絡んでいる。それだけに、この難所をクリアできれば、「日本復活」が可能になる。

     

    『中央日報』(6月25日付)は、「半導体復活の日本とどう手を組むか、『これからは韓日の水平協力が必要』」と題する記事を掲載した。 

    最近の日本の半導体復活の動きと関連し、韓国の業界に日本と水平的な協力関係を結ぶべきという主張が出てきた。韓国産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は24日、ソウル大学グローバル工学教育センターで開かれた第2回システム半導体共生フォーラムで、「日本の半導体産業の現況」を主題に発表しながらこのように話した。 

    (3)「キム研究員は、「(日本は)国内供給網構築を加速化し、米国が日本の半導体産業を再び推している。ラピダスが1.5ナノまで作るというなど米国政府の承認がなくてはできないことが起きている。TSMCが日本に工場を誘致することになったのも米国の容認がなかったなら可能だったか疑問」と話した。その上で「(韓国と日本の)ファブレス(半導体設計専門企業)間協力は半導体産業内に最も可能性があるもの。世界のファブレス市場でのシェアは韓国が3%、日本は韓国よりさらに低いため、競争よりは長所を合わせて海外市場進出に協力するのが良い」とした。技術流出などの問題が比較的少ないため協力時には利点があるという話だ」 

    韓国半導体は、日本との協力を要望している。ラピダスは口外していないが、秘かにサムスンを第一標的にしている。AI半導体への進出を目指しており、オープンAIと話合いを始めている。NTT(光半導体)もその意向をみせている。後は、SBGが手がける半導体の製造をラピダスへ委託するかだ。このように、ラピダスはサムスンよりも日本国内に有力ユーザーを抱えている。この点で有利な位置にある。

     

    (4)「キム研究員は、両国産業界の水平的協力を提案した。彼は「韓日間協力はこれまで垂直的だった。韓国は製造し、日本は素材と装備を供給する伝統的協力が続いた。これまでは韓国企業の素材・部品・装備競争力が落ちていたため」と説明した。続けて「最近では韓国の技術力が高まったため従来の垂直協力から水平協力に変化しなければならない」と話した」 

    日韓半導体の水平的協力は不可能だ。韓国の製造装置や素材のレベルが、日本に大きく出遅れているからだ。現実は、依然として「垂直的」関係にある。 

    (5)「キム研究員は(韓国が)規模の経済の面でも米国と欧州、中国など世界的覇権競争主導者に個別のプレーヤーとして対抗するのは容易でないとし、日本との協力を強調した。基本技術がある米国などに対応する案としてキム研究員は「ソニーがオランダASMLの極端紫外線(EUV)装備がなくても希望の工程が可能な露光装備を開発した。韓国のサムスン電子、SKハイニックスがこれを採択する場合、地図が変わるかもしれない」とした」 

    ソニーが、ASMLの露光装置に負けない最先端製造装置を完成させたという。キヤノンもASMLへ肉迫する製造装置を完成させた。期せずして、日本の半導体製造装置が世界的な脚光を浴びている。これも、「ラピダス効果」である。日本の半導体業界へ再起の自信を与えたのだ。

     

     

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