日本の新幹線は現在、インド西部(500キロ)で工事が進んでいる。さらに、2047年のインド独立100年までに、新たに7000キロの敷設計画が浮上している。日本の新幹線敷設の2倍にも当る大計画であり、日本が建設案に名乗り出るチャンスが出てきた。インドのモディ首相が訪日し、8月25日に石破首相と会談する際に取り上げられる可能性が出てきた。
『時事通信オンライン』(8月14日付)は、「印高速鉄道、日本の参入拡大に期待 新幹線『西部区間』以外も―首脳会談、29日軸に調整」と題する記事を掲載した。
インドの高速鉄道事業を巡り、同国政府が新幹線方式を導入して建設中の西部区間だけでなく、今後建設予定の他の区間にも競争入札を前提に日本からの参入を促していることが13日、複数の関係者への取材で分かった。
訪日するモディ首相と石破茂首相との首脳会談は29日を軸に調整が進められている。参入拡大への道が開ければ、官民を挙げた日本の鉄道インフラ輸出に一段と弾みがつきそうだ。インド政府は、独立100周年となる2047年までに、日本の新幹線網の2倍以上である総延長7000キロに及ぶ高速鉄道建設を目標に掲げている。首都ニューデリー―北部バラナシ間など複数の路線が構想され、事前の調査が始まっている。
(1)「今回の日印首脳会談では、インド初の高速鉄道である西部のムンバイ―アーメダバード約500キロ間の運行車両を巡り、JR東日本の次期新幹線「E10系」採用を含む幅広い協力枠組み「次世代モビリティ・パートナーシップ」を締結する予定だ。インド政府は27年中に高速鉄道の部分開業を目指している。E10系投入は日本とほぼ同時期の30年代初頭となる見込み。日本側は、既に他区間への展開を見据え、運行速度引き上げなど複数の提案を検討中。参入拡大に向けては、首脳会談や西部区間の成否が重要となる」
インド高速鉄道は、西部グジャラート州アーメダバードとマハラシュトラ州ムンバイ間の約500キロメートルを結ぶプロジェクトだ。インド政府は、27年の部分開業を目指しており、当初は国産の準高速車両を導入する。E10系は、気候などに合わせて現地仕様に変更し、32年ごろの導入をめざす。
E10系は、JR東の次世代車両である。30年度から東北新幹線に導入することを発表したばかりだ。日立製作所と川崎重工業が生産を担う。インド側は、10両24編成の車両調達を計画しているという。自国の製造業振興政策に沿い、一部はインド国内での生産を求めている。24年12月にインドのバイシュナウ鉄道相が来日した際、日本側からE10系の提案を受けたという。インド政府は、提案に基づき日本と新たにパートナーシップを結ぶ考えとされる。モディ首相の来日時に、具体化されよう。
(2)「首脳会談翌日にはモディ氏と、新幹線運転士になるため日本で技能講習中のインド人研修員が面会する案も浮上している。首脳会談では鉄道インフラのほか、両国の人材交流拡大や半導体分野の協力、08年に署名した「安全保障協力に関する共同宣言」の改定といったテーマも話し合われる見通しだ」
高速鉄道計画は、15年12月に安倍晋三首相(当時)とモディ氏が、首脳会談で日本の新幹線の導入で合意した。17年に起工し23年の開業を目指したが、建設用地の取得に時間がかかったことや事業費用が高騰したことなどから計画が遅れていた。
日印政府は当初、土木工事や車両・信号などの新幹線システムを含む総事業費を1.8兆円規模と見積もった。費用の8割を日本の政府開発援助(ODA)による円借款で賄う取り決めで、年利0.1%、50年償還の条件でこれまでにおよそ1兆円分の融資契約を交わした。だが、資材価格や人件費の増加に加え、日本側が厳格な安全基準を求めたために事業費用が膨らみ、インド側が反発した。インド政府が、日本以外の高速鉄道システムへの切り替えを検討するなど、一時は先行きが不透明になった時期もある。最終的に日本案へ歩み寄った。『日本経済新聞 電子版』(3月19日付)が報じた。
インドが、7000キロの高速鉄道敷設計画を持っていることは、日本にとってもチャンスである。インフラ整備だけでなく、日印両国のさらなる経済協力の強化に繋がる可能性があるからだ。日本が、技術供与やインド国内での製造を含めた協力を進められれば、現地の製造業振興にも寄与しよう。





