勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 豪州経済ニュース時評

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    英誌『エコノミスト』の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が7日、最も住みやすい世界都市ランキングを発表した。首位は、2年連続でデンマーク首都コペンハーゲンに輝いた。日本は、大阪(7位)、東京(10位)でベストテン入りでは常連都市になっている。日本以外で複数都市が選ばれたのは、豪州(3都市)とスイス(2都市)である。日豪スイスで、ベストテンのうち7都市を占めている。このことから分かるのは、都市の安定性が最も重視されていることだ。

     

    EIUは、 安定性・医療・教育・インフラ・文化環境 の5分野で世界173都市を評価している。トップ10は、以下の通りだ。

     

    1位:コペンハーゲン(デンマーク) 2年連続首位。安定性・インフラ・教育の3部門で満点。生活の質が非常に高い都市として評価された。

    2位:ウィーン(オーストリア) 以前は3年連続首位。依然として世界トップクラスの評価である。

    3位:メルボルン(オーストラリア) 前年より順位がⅠつ上昇。医療・教育・文化の評価が高い

    4位:シドニー(オーストラリア) 昨年6位 ~ 今年は4位へ上昇。インフラと文化環境が高評価されている。

    5位:チューリヒ(スイス) 昨年はウィーンと並んで2位。今年は順位を3つ落とす。

    6位:ジュネーブ(スイス) スイス勢が上位に複数ランクイン。医療・安定性が高評価。

    7位:大阪(日本) 前年と同じ7位を維持。医療・インフラの評価が高い。

    8位:アデレード(オーストラリア) 生活環境の安定性が評価。

    9位:バンクーバー(カナダ) 北米で唯一のトップ10入り。医療・文化環境が高評価。

    10位:東京(日本) 日本から2都市がトップ10入り(大阪・東京)。インフラと安定性が高評価。

     

    豪州から3都市が、トップ10入りした。シドニーを訪問した経験では、大都市というイメージがしない、広々としてゆったりした雰囲気が漂っている。博物館など全て無料(1993年ころ)であった。東京からシドニーまで太平洋を横断し、眼下に多くの緑の島嶼国を見られるのは得がたい経験だ。

     

    EIUは、 インフラ(交通・水道・電力・都市計画)を重視する。オーストラリア・スイス・日本は、公共交通が高品質、都市計画が長期的、災害対策が高度、電力・水道の安定供給が世界最高レベルという点で共通している。特に コペンハーゲンが満点を取った「インフラ」分野で、日本・スイス・豪州も高得点である。

     

    『CNN』(7月8日付)は、「世界で最も住みやすい都市ランキング発表 日本からは2都市がトップ10入り」と題する記事を掲載した。 

     

    英誌『エコノミスト』の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が7日、最も住みやすい都市ランキングを発表し、デンマーク首都コペンハーゲンが2年連続で首位に輝いた。

     

    (1)「コペンハーゲンの前は、オーストリアのウィーンが3年連続で首位を守っていた。EIUは、教育、安定性、医療、インフラ、文化など複数の要素に基づき、世界173都市を順位付けしている。コペンハーゲンは、安定性、インフラ、教育を含む3部門で「満点」を獲得した。9位のカナダ・バンクーバーは、北米の都市で唯一トップ10入りした。3位はオーストラリアのメルボルンで、前年から一つ順位を上げた。同じくオーストラリアのシドニーは、6位から4位に上昇した」

     

    コペンハーゲンは、「箱庭」のように整然としていた。世界でも有数の自転車都市として知られ、通勤・通学や買い物など、日常の足として自転車が当たり前。自転車専用道路があり、私はそれと知らずベルをならされ注意されたほど。人間主体の都市づくりの見本である。

     

    (2)「昨年、ウィーンと並んで2位だったスイス・チューリヒは、三つ順位を落とし、同じくスイスのジュネーブが6位で続いた。大阪は7位を維持し、オーストラリアのアデレードは8位、東京は10位だった。一方、イラン戦争は湾岸地域の都市の順位にも影響し、安定性部門のスコアが低下。最も大きく順位を落としたのは、オマーンの首都マスカットで、順位を14下げて123位となった。クウェート市も順位を12下げて105位となった」

     

    チューリッヒは、車窓から見ただけだが、チューリッヒ湖とアルプスが一体化した街である。日本で言えば、上高地を鉄道が走っているような存在。規模は全く違うが。

     

    (3)「西欧は、最も住みやすい地域となったが、平均スコアは91.7で、2025年をわずかに下回った。一方、アジアは0.3ポイント上昇して73.9となった。主な要因は医療スコアの改善で、中国南東部の福州が七つ順位を上げて93位になるなど、中国の都市で改善が目立った。EIU広報は、「中国の都市については医療スコアを全般的に引き上げた。助成制度と投資をめぐる全国的な改善を反映したものだ」と説明。同国の新たな長期介護保険制度や医療提供体制の改善を指摘した。シリア首都ダマスカスは依然として世界で最も住みにくい都市とされているが、ランキング下位では変動があった。イラン首都テヘランは戦争により164位に下落し、ウクライナ首都キーウは166位に順位を落とした」

     

    西欧の平均スコアは、91.7である。アジアは、73.9でその差は17.8もある。アジアの主要都市は、西欧に対して8割のレベルである。それだけ、「人間主体」の街づくりなっていないのだろう。

     

    ここで、中国の主要都市の評点をみておきたい。中国は、医療は改善、インフラ強化、教育強いなど、「部分的な強さ」は認められている。だが、安定性、文化環境、都市の均質性、生活の自由度、社会の予見可能性という「都市の生活の質」を決める部分で、点が伸び悩んでいる。そのため、 トップ10へ入る基礎構造ができていないのが実態だ。

     

    以下は、過去10年の傾向をまとめたものだ。

     

    北京は40〜60位台を推移している。政治・文化・教育は高評価だが、大気汚染、交通渋滞、生活の自由度 が足を引っ張り、上位に入れない。

     

    上海は35〜55位台を推移している。インフラ・医療は高評価だが、生活コストの高さや環境規制の評価が芳しくない。

     

     深圳は50〜70位台を推移している。経済力は世界トップ級だが、医療アクセスや都市の均質性 が課題となっている。

     

     広州は、60〜80位台を推移している。医療・インフラは改善したが、生活の自由度が低く、順位は伸びきれない。

     

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    中国は、「第二列島線」防衛の布石として南太平洋の島嶼国への勢力拡大を図ってきた。軍事拠点として不可欠という認識である。例の「札束」で、島嶼諸国との関係強化を図ってきたが、最近は肝心の経済支援が滞っている。「金の切れ目が縁の切れ目」である。南太平洋の島嶼諸国のメイン的存在のソロモン諸島新首相は、中国への「関係見直し」発言を行った。この発言は、他の島嶼国へも波及して対中離脱国が増える見通しといわれる。

     

    AFP=時事』(6月3日付)は、「ロモン新首相、中国との安全保障協定『見直す』意向表明  超親中的な前政権から路線変更」と題する記事を掲載した。

     

    南太平洋の島国ソロモン諸島のマシュー・ワレ新首相は3日、2022年には中国と締結した安全保障協定を「見直す」意向を表明した。不信任案が可決され罷免されたジャーマイア・マネレ前首相は親中政策を進め、2022年には安全保障協定を結びオーストラリアや米国を動揺させた。

     

    (1)「ワレ首相は、訪問先のオーストラリアでのアンソニー・アルバニージー豪首相との共同記者会見で中国との安全保障協定について問われると、「祈りと断食」を続けて熟考した結果、「他の多くの国と結んでいる他の安全保障協定と同様に、(中国との安全保障協定も)見直す予定だ」と回答。中国との安全保障協定の内容を公表するかどうかを問われると、ワレ首相は同協定には秘密保持契約が含まれており、自身もオーストラリア訪問の直前まで内容を確認できていなかったと明かした」

     

    ソロモン諸島の新政権が、中国との安保協定を「見直す」と表明したことは、南太平洋における中国の影響力拡大にとって明確な痛手である。 他の「親中派」島嶼国でも潮目が変わりつつある兆候が見える。それら「転向組」は、次の国々である。

     

    ツバルは、オーストラリアと新たな条約を締結し、中国との安保関係を制限する代わりに豪州が巨額支援。事実上、中国の軍事進出を拒否する方向へ転換中 。

     

     ナウルは、2024年に台湾と断交して中国と国交樹立したが、豪州との協定により中国の安保進出には制限がかかる構造 。

     

    パプアニューギニア(PNG)は、豪州と安全保障協定を締結し、米国とも防衛協力を強化。中国の警察・治安分野への進出を抑制する方向 。

     

    バヌアツは、中国寄りの政権が続いてきた。豪州との新協定が、「締結間近」と報じられる。中国の治安・軍事関与を制限する可能性が高い 。

     

    フィジーは、2023年以降、中国との警察協力協定を凍結し、豪州・NZとの連携を強化。AFP報道でも豪州との協定が近いとされる。

     

    豪州の積極的な経済支援で、いったんは中国寄りへ舵を切った島嶼国も、外交路線の修正に転じている。

     

    (2)「ワレ首相は、「何人かを主要な役職から解任せざるを得なかった。(豪訪問)出発の前日まで、安全保障協定のコピーすら提供されていなかったため、まだ十分に目を通せていない」と述べた。オーストラリアは、ソロモン諸島における中国の影響力に対抗しよとしており、先月、変化を公約に掲げてワレ氏が首相に選出されたのを機に、関係の再構築に向けて動いている」

     

    中国は、徹底的は「秘密条項」によって相手国を縛ってきた。中国の貸付で、「債務漬け」にする狙いであった。返済では、最優先させる条項が付けられているケースが多い。「又貸し資金」だけに、貸倒れはタブーである。

     

    (3)「一方で、中国はソロモン諸島にとって最大の債権国だ。インフラプロジェクトをめぐってソロモン諸島が中国政府系銀行に負った債務は、昨年1年間だけで倍増している。アルバニージー首相は3日、オーストラリアとソロモン諸島が「包括的な」新協定の策定に着手するとともに、警察分野での連携を深めることで合意したと発表した。警察分野での連携を深める協定は、極めて親中的だったソロモン諸島の前政権下で停滞していた。前政権は、中国式の警察モデルを推進し、中国の警察官が村々に入り込んで住民の世帯データや生体認証データを収集するのを容認していた」

     

    ソロモン諸島は、中国式警察モデルを導入し、中国の警察官が常駐するという異常事態を引き起していた。前政権は、中国に深く抱き込まれていたのであろう。

     

    (4)「オーストラリアは、ツバルやナウル、パプアニューギニアといった小規模ながらも戦略的に重要な位置にある島嶼国と相次いで条約を締結し、中国との安全保障関係を制限することと引き換えに巨額の経済支援を提供することで、南太平洋諸国との結びつきを強めようとしている。バヌアツとフィジーも、同様の協定の締結間近だとしている」 

     

    中国は、南太平洋の島嶼諸国へ約束した経済支援が滞ったのであろう。中国が、経済的に末期症状であることを窺わせている。

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    豪州政府が18日、中国系投資家による自国内レアアース企業への影響力拡大を阻止する措置に乗り出した。中国系株主6人に対しレアアース企業の株式売却を命じたもの。レアアースは、最重要な戦略資産になっている。中国は、世界でレアアース製品の9割を占めている。西側諸国は、これに対抗すべく種々の対応を進めているが、豪州もその一環として「中国締出し」へ動いている。

     

    新型コロナ前まで、豪州は大変な「親中国」であった。この豪州が現在、中国に対して「敵対国扱い」するほど先鋭な関係になっている。豪州が、中国に対して「コロナの原因を究明し発表するよう」に発言したことが発端だ。これに反発して中国が、一方的な輸入制限を課して今日の事態を招いた。習近平氏の奢りが招いた結果である。

     

    『江南タイムズ』(5月19日付)は、「豪州、中国系投資家にレアアース企業株売却命令『国益保護が目的』」と題する記事を掲載した。

     

    半導体や防衛産業に不可欠な重希土類(レアアース)供給網を巡り、西側諸国と中国の対立が激化する中、オーストラリア政府が18日、中国系投資家による自国内レアアース企業への影響力拡大を阻止する措置に乗り出した。

     

    (1)「豪州のジム・チャーマーズ財務相は同日、中国と関係の深い投資家らがレアアース探査・開発企業ノーザン・ミネラルズの経営権掌握を図った懸念があるとして、中国系株主6人に対し保有株式の売却を命じたと明らかにしたという。チャーマーズ財務相は、声明で「豪州は強力かつ非差別的な外国投資審査制度を運用しているが、国益保護のため必要な場合には措置を講じなければならない」と説明した。豪州政府は今回の措置について、国家利益保護と外国投資規制順守の確保が目的だとしている。ただし、売却命令の対象となった投資家の実名は公表していない」

     

    中国と関係の深い投資家らが、レアアース探査・開発企業ノーザン・ミネラルズの経営権掌握を図った懸念があるとして、保有株式の売却を命じた。徹底的な中国勢力の排除である。

     

    (2)「ノーザン・ミネラルズは、西オーストラリア州キンバリー地域のブラウンズレンジで重希土類開発プロジェクトを進めている。特に、電気自動車(EV)向け高性能磁石に使われる重要レアアースのジスプロシウムの生産分野で、中国の支配的地位に挑戦している企業として知られる。ジスプロシウムは、半導体や防衛産業にも不可欠な素材とされる。豪州政府は、中国資本による戦略鉱物産業支配を防ぐため、2024年にも同様の措置を講じていた。当時、豪州は外国企業買収規制法に基づき、中国関連投資家5社に対してノーザン・ミネラルズ株の売却を命じていた」

     

    ノーザン・ミネラルズは、中国へ重要レアアースのジスプロシウムで挑戦している。それだけに、攻撃の矛を恐れて画策を狙っていたのであろう。

     

    (3)「その後、一部投資家が香港の投資会社Ying takに株式を移転していたことが判明し、迂回的な再参入ではないかとの議論が浮上していた。これを受け、チャーマーズ財務相は今年4月、Ying takに対して暫定命令を発動し、ノーザン・ミネラルズ株主総会での議決権行使や株式処分を制限した。今回、売却命令を受けた6社のうち、3社は中国本土、2社は香港、1社は英領バージン諸島に登録されているという。メディアは、これら投資家がノーザン・ミネラルズ流通株式の約27%を保有していると推定した。このうち4社は、主要株主に該当し、最大株主のバストネス・インベストメントは約7%の株式を保有している。豪州財務省は中国系投資家に対し、この日から2週間以内に株式を処分するよう指示した」

     

    今回、株式売却命令を受けた6社は、ノーザン・ミネラルズ流通株式の約27%を保有しているとみられる。これだけの大株主になれば、経営秘密を盗み出すことは容易である。「獅子身中の虫」になって、暴れ出す危険性があった。

     

    (4)「パースに本社を置くノーザン・ミネラルズは、声明で「財務省命令の内容を精査しており、評価完了後に市場へ通知する」と明らかにした。豪州政府は昨年、中国企業1社が既存の売却命令に違反したとして提訴し、勝訴している。また、豪州財務省は先月、一部の関連投資家が現在も命令に違反している可能性を懸念していると公表した。ノーザン・ミネラルズの株主構成を巡っては、2024年以降、豪州政府が繰り返し介入してきた。ノーザン・ミネラルズ側も、敵対的または非公開型買収のリスクを懸念し、2025年11月に自主的に外国投資審査委員会(FIRB)へ審査を申請している」

     

    中国は、かつて豪州国会へスパイを送込み、豪州が日本製潜水艦購入契約の成立を阻むために議員を買収した一件が暴露されたことがある。中国のスパイ行為は、筋金入りである。

     

    (5)「豪州のジェイソン・クレア教育相は、無人機(ドローン)、サイバーセキュリティー、新エネルギー技術などに関連する研究協力プロジェクト13件への支援を打ち切ったと明らかにした。豪州では過去10年間に、豪州国内研究者が中国、ロシア、イラン、北朝鮮の研究陣と少なくとも1500件に及ぶ共同研究を実施していたことが判明しており、豪州政府は研究安全保障規制を強化している」

     

    豪州の国内研究者が、中国、ロシア、イラン、北朝鮮の研究陣と共同研究していた件数が1500件を上回るという。豪州が、穴場とみられていたのだ。

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    日本と豪州は、高市首相の豪州公式訪問に合わせ、重要鉱物分野における協力強化で合意した。同分野に両国が、16億7000万豪ドル(12億ドル)の支援を提供する。豪州政府は声明で、両国が鉱業、精錬、製造の各分野におけるサプライチェーンの最も差し迫った脆弱性に対処するため、戦略的プロジェクトに重点を置くと表明した。中国の威圧に対抗して、日豪はレアアース開発で協力する。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月4日付)は、「日豪首脳、レアアース開発で共同声明 優先6事業の投資・助成金明記」と題する記事を掲載した。

     

    高市首相は4日、豪州のアルバニージー首相と会談し、経済安全保障で協力する共同宣言・声明を発出した。レアアースなどの重要鉱物を共同開発する6事業を優先対象に指定し、日豪両政府が投資や助成金を通じて支援すると明記した。

    キャンベラで開いた首脳会談は少人数会合も含めて全体で1時間20分ほど。両国首脳は会談後に共同記者発表に臨み、次回の首脳会談までに経済・安全保障分野での協力策を具体化するように閣僚に指示する方針で一致したと明かした。

     

    (1)「日本外務省によると日豪首脳は、会談でイランが事実上封鎖するホルムズ海峡の自由で安全な航行確保の重要性を確認した。中東情勢の早期沈静化でも緊密に協力する方針を確かめた。中国によるレアアースの輸出制限などを踏まえ、重要鉱物の協力に向けた共同声明をまとめた。「重要鉱物を両国の経済安全保障関係の中核的な柱として格上げする」と言及した。双日とエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との共同出資会社が手掛けるレアアース生産など6事業を優先対象に指定した。6事業は両政府による「さらなる投資・助成金支援」を受けることができると記した。豪州での開発にかかる許認可手続きなども迅速に進めてもらいやすくなる」

     

    レアアースなど重要鉱物が、両国の経済安全保障関係の中核的な柱として格上げされる。日本は、早くから豪州のレアアース事業へ資本面でも協力してきた。西側諸国は、8月から関税無税の「重要鉱物特恵市場」を立ち上げる。参加国は55ヶ国であるが、中国の妨害を恐れて個別の国名は発表されていない。日本の化学的精錬法によって、各国鉱山で精錬可能になる。2028年以降には、中国のレアアース占拠率を引き下げて行く見通しである。中国の「レアアース天下」は、それまでである。

     

    (2)「両首相は、中東情勢を踏まえ、エネルギーに関する共同声明も策定した。日本は液化天然ガス(LNG)の4割、石炭の6割ほどをそれぞれ豪州から輸入し、豪州に軽油やガソリンなどの石油製品を輸出している。地域の供給網で協力することで合意した。両首相による経済安保の共同宣言で両国の役割を明確にした。豪州は日本にとって鉱物、エネルギーの最も安定的な供給国として役割を果たすと説明。日本はサプライチェーンの構築を支援する重要な投資元との認識を確認した。「経済的、技術的な強靱(きょうじん)性が国家安全保障の基盤であると認識する」と記した。地政学的緊張などの緊急事態に2国間で情報共有や協議で対応を検討すると明示した」

     

    日豪は、レアアース・石炭・LNG(豪州から日本へ)と、軽油やガソリン(日本から豪州へ)によって互いに持ちつ持たれつの関係を樹立している。さらに、地域の供給網づくりでも協力することで合意した。中国は、イランの海峡封鎖で石油製品の輸出を一挙に取り止めて輸出先を混乱させた。日豪は、こういう他国への「迷惑行為」をしないと合意した。日本の南鳥島レアアースは、軌道に乗るのが28年以降となろう。

     

    (3)「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」などの枠組みを通じた供給網の構築や経済的威圧への対処もうたった。環太平洋経済連携協定(TPP)が経済的な繁栄につながるとして取り組みを強化することでも一致した。

     

    TPPでは、新規加盟国の打ち合せをしたのであろう。高市氏が、ベトナムで発表したフィリピン・インドネシア・UAE(アラブ首長国連邦)が候補国に上がっている。

     

    テイカカズラ
       


    AI(人工知能)株が、軒並み高騰しているなかで警戒観もしきりに聞かれるようになった。これまでにない現象だ。豪州では最大の年金基金が、AI相場に警戒観を示すようになっている。AIクラウドが、利益を生むには先行き問題を抱えているからだ。一方、日本のラピダスが試作に取りかかっている「現場AI」は、日本政府が閣議決定した「AI基本計画」の中核技術として組込まれている。AI基本計画に、ラピダスの社名は全く出ていないが、その技術がはめ込まれているのだ。こういう底流からみて、豪州の最大の年金基金のAI相場警戒論には、技術論的根拠がありそうだ。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(12月20日付)は、「豪最大の年金基金、AI相場に警戒 海外株比率を引き下げへ」と題する記事を掲載した。

     

    米株式相場をけん引してきた人工知能(AI)ブームに失速の兆しが見え始めるなか、オーストラリア最大の年金基金は2026年に海外株式への資産配分を減らす考えを示した。

     

    (1)「4000億豪ドル(約42兆円)の運用資産を抱える年金基金オーストラリアンスーパーの投資戦略責任者、ジョン・ノーマンド氏は、フィナンシャル・タイムズ(FT)に、米巨大テック企業の株価水準が過去と比べて割高になっているうえ、AI投資を賄う資金の借入比率(レバレッジ)が「急速に」上昇していると語った。M&A(合併・買収)やベンチャーキャピタル(VC)、新規株式公開などを通じた資金調達のペースも速まっているとみている」

     

    豪州最大の年金基金運用者が、AI株へ警戒観をみせている。理由は、M&AやVC、新規株式公開など資金調達のペースが早まっていることだ。資金は、集まっても果実が生まれないのだ。

     

    (2)「ノーマンド氏は、「来年(26年)はどこかの時点で上場株式への配分を減らす判断をすることになる。AIブームは成熟段階に入り、FRB(米連邦準備理事会)は27年に再び引き締めに向かう可能性が高い。この2つの流れが交わる局面がどこかで見えてくるだろう」。ハイテク株比率の高い米ナスダック総合株価指数は、23年に約43%、24年に約29%上昇したのに続き、25年も19%程度上がっている。一方、市場にはAI関連の設備投資が過熱し、一部企業の株価が持続不可能な水準に押し上げられているとの見方も出始めている」

     

    AIブームは成熟段階に入り、FRB(米連邦準備理事会)が27年に再び金融引き締めに向かう可能性が高い、としている。米国は、トランプ関税による「スタグフレーション」(不況下の物価高)が起こるという前提に立っている。

     

    (3)「米半導体大手エヌビディアの株価は4月、トランプ米大統領が「解放の日」と称して相互関税を発表した直後につけた安値から2倍に急伸し、年初来でも3割超上昇した。PER(株価収益率)は43倍に達する。米グーグルの親会社のアルファベットはおよそ6割上昇し、PERは30倍前後だ。世界の株価指数は米国株の比重が高く、特に巨大テックやAI関連企業などへの集中が進んでいる。「マグニフィセントセブン」と呼ばれる巨大テック7銘柄だけで先進国全体の株式の値動きを示すMSCIワールド指数の時価総額のおよそ4分の1を占める」

     

    巨大テック7銘柄「マグニフィセントセブン」が、先進国全体の株高を演出している。これは異常なことで、この「突起部分」がいつ凹むかだ。

     

    (4)「AI相場への慎重な姿勢は他の基金でも見られる。英国の複数の年金基金も、一握りの巨大テック株に一段と資金が集中してバブルのリスクがあると警戒し、米国株への資産配分を減らしている。他の地域への投資を増やしたり、株価下落に備えて防御策を強化したりしている。カナダ最大の年金基金、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)のジョン・グラム最高経営責任者(CEO)も12月、FTに対して米国株相場の「集中リスクを懸念し」、運用資産7775億カナダドル(約88兆円)のうち対米投資ではAI関連株の保有比率を「意図的に低く抑えている」と明かした」

     

    AI相場への慎重な姿勢は、豪州の年金だけではない。英国の複数の年金基金も、一握りの巨大テック株に一段と資金が集中するリスクに警戒している。カナダ最大の年金基金も同様に警戒姿勢を強めている。

     

    (5)「ノーマンド氏は、債券相場についても、市場は現在、27年のFRBによる利上げ幅を0.25%しか織り込んでいないため「足元に不安定さ」があると指摘する。過去の例では利下げ局面の後、翌年は通常、それ以上の利上げをすることが示されているという。「金利見通しが修正されれば、割高な資産が最も影響を受ける」とノーマンド氏は言う。「(それは)主にテック株やAI関連株になりそうだ。AI相場の終わりを意味するものではないが、リスクには十分留意する必要がある」と指摘する」

     

    ノーマンド氏は市場が現在、27年のFRBによる利上げ幅を0.25%しか織り込んでいないと指摘する。スタグフレーションが、深刻化するという想定だ。27年の米国利上げ説が、早くも飛び出している点も気懸かりである。

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