中国が仕掛けて「債務の罠」に嵌ったスリランカは、定期航路として一度も飛ぶことのない国際空港の大赤字に苦悩している。中国は、最初から採算の取れないことを見抜きながら仰々しくも「国際空港」と名前をつけてスリランカ当局を弄ぶ結果になった。債務を払えないとみるや、近隣のハンバントタ港の運営権を99年リース契約で抑えるという高利貸し的振る舞いである。スリランカは、完全に中国の手玉に取られた犠牲者である。
『レコードチャイナ』(4月27日付)は、「中国資本の空港が収支不足、スリランカが投資家を募集―独メディア」と題する記事を掲載した。
独国際放送局『ドイチェ・ヴェレ』中国語版サイト(4月26日付)は、スリランカ政府が中国の融資で建設した赤字続きの空港について、民間投資家の募集を開始したと報じた。
(1)「記事は、対象のマッタラ・ラジャパクサ国際空港が13年の開港以来、収益が電気代すら賄えないほどの不振にあえぎ、政府にとって重い財政負担となっていることを紹介。スリランカ政府が募集の呼びかけの中で「観光業などの戦略的投資先として大きな成長の可能性を秘めている」とアピールしているものの、定期便は1便も就航していないと指摘した」
定期便が、1便も就航していない「国際空港」とは恐れ入る。中国は、最初から担保狙いで建設工事を請負ったに相違ない。倫理観の一片もない、凍り付くような話である。
(2)「空港が野生動物の保護区に隣接し、同空港が渡り鳥の飛行ルート上に位置するため、鳥との衝突によって着陸を余儀なくされるケースが相次いでいるほか、滑走路に迷い込むシカや水牛、ゾウを追い払うため、軍が数百人規模の兵士を派遣したこともあったと伝えている。また、同空港が悪天候時における首都コロンボの代替空港と位置付けられ、貨物便や一部のチャーター便が利用しているものの、得られる収益は限られていると説明した」
空港が、野生動物の保護区に隣接し、同空港は渡り鳥の飛行ルート上に位置するという。中国は、何も知らないスリランカをウソで丸めてしまったのだろう。スリランカ当局の責任も重大だが、それ以上に中国の責任が問われる事態だ。
(3)「記事はその上で、同空港が在任中に中国から多額の借り入れでインフラ事業を進めたマヒンダ・ラジャパクサ前大統領の名を冠しているものの、中国の融資を受けた事業の多くは商業的に失敗していると指摘した。さらに、22年にスリランカが前例のない金融危機に見舞われた際には、対中債務がその要因の一つとみなされたことにも言及。翌年に同国が国際通貨基金(IMF)の支援を取り付け、赤字の国営企業の民営化を模索したものの、これまでのところ成功には至っていないとした」
中国の融資を受けた事業の多くが、商業的に失敗しているという。空港もダメ、商業施設もダメというダブルパンチである。赤字の国営企業の民営化を模索したが、定期便のない空港では最初から客がいないのだ。
(4)「記事はこのほか、マッタラ・ラジャパクサ国際空港の現状に関する「既視感のある前例」として、17年にスリランカが多額の中国融資の返済に行き詰まった末、近隣のハンバントタ港の運営権を中国の港湾運営大手・招商局港口控股(HD)に99年間のリース契約で譲渡し、中国による「債務の罠」を利用した影響力獲得との批判を招いた事例を紹介している」
中国は、国際空港が採算に乗らないことを知っていた。だから、その担保に近隣のハンバントタ港の運営権を握ったのだろう。中国軍の調査船が入港したという報道があった。中国にとっては、港を支配下に入れてインドを牽制しているのであろう。




