ムシトリナデシコ

   

ウクライナ東部戦線で、「奇跡」が起こった。ロシア兵が武器弾薬を置き去りにして逃走したのだ。この「奇跡」は、多連装長距離ロケットシステムなど、諸外国が提供した大量の兵器と、外国政府が諜報活動で得た機密情報の賜物だという。加えてウクライナは、南部ヘルソン州で反撃に出るという情報をあえて流し、またしてもロシアを出し抜いたようだ。

 

ロシアは、弾薬不足に悩んでいる。北朝鮮から提供を受けると報道されている。だが、冷戦時代の古い弾薬とされる。果たして、今でも効果があるのか疑問の声が上がっている。半分以上は、使い物にならぬというのだ。

 

『中央日報』(9月13日付)は、「北朝鮮の砲弾まで購入するロシア」と題する記コラムを掲載した。筆者は、同紙の李竜洙(イ・ヨンス)論説委員である。

 

北朝鮮は約800機の戦闘機を保有している。うちミグ21は150機以上で最も多い機種だ。ミグ21は製造から60年が過ぎたが、この800機の中には朝鮮戦争当時のミグ15やミグ17でさえかなり含まれている。専門家は「北朝鮮戦闘機の90%はくず鉄」とみている。北朝鮮で最も新しいミグ29でさえ導入されたのは1980年代だ。

 

(1)「戦闘機だけではない。北朝鮮の陸海空軍で使用されているほぼ全ての在来兵器はソ連製で、ソ連崩壊後は支援が途絶えたため、北朝鮮は老朽化兵器大国となった。ソ連の影響下にあった東欧諸国も同じような事情を抱えている。ロシア・ウクライナ戦争が始まった直後、両国がいずれもソ連製・ロシア製の武器で戦ったのはそのためだ。韓国にもソ連製の武器がある。1990年代初期のソ連との国交樹立時に提供した借款をソ連が返済できなかったため、T80U戦車やBMP3装甲車など現物で償還を受けた。これらの戦車や装甲車からなる機械化部隊も存在するが、ウクライナが欲しがっているという」

 


北朝鮮の在来兵器は、多くがソ連製という。当然、それに合わせた弾薬が保管されている。ロシアは、この古い弾薬の提供を受けるのだ。

 

(2)「米ホワイトハウスは9月6日、「ロシアは北朝鮮製のロケット弾や砲弾など数百万発の購入に動いている」と明らかにした。ロシアは国際社会からの制裁で弾薬の生産や補給が難しくなったため、北朝鮮の弾薬を買い取っているというのだ。これはニューヨーク・タイムズが最初に報じたが、ホワイトハウスもこれを認めたことになる。ホワイトハウスは「プーチン大統領がいかに追い込まれているかが分かる」ともコメントした。世界第2位の軍事大国とされるロシアが北朝鮮の古い武器まで購入するしかないほど苦しい状況になったのだ」

 

ロシア軍が、30年前のソ連製弾薬を購入するとは驚くほかない。西側の経済制裁で、弾薬の製造が不可能になっているのだ。ロシアは、経済制裁が続く限り武器弾薬の製造が止まる事態に遭遇している。

 


(3)「開戦直後にプーチン大統領は「48時間で終わる」と断言していた。ところがロシア軍のずさんな作戦の遂行や訓練不足の影響で戦死者や負傷者が増え続け、今では8万人に達したとみられている。そのためロシア軍は機甲部隊中心の電撃戦から砲兵中心の火力戦へと方針を一気に変えざるを得なかった。ある軍事専門家は「一進一退の状態が長期化し、在来兵器である砲弾や多連装ロケット砲は急速になくなりつつある」とした上で「ロシア軍が使える規格に合った砲弾が最も多くあるのが北朝鮮だ」と説明した」

 

ロシア軍の機甲部隊は、開戦直後にほぼ全滅したと見られる。あとは、火力戦に頼るほかなく、それには北朝鮮に使える砲弾などがあるので買い取るという次第である。

 


(4)「ロシア軍が北朝鮮の砲弾を実際に使用した場合、兵士らはとまどうとの見方もある。砲弾にはさまざまな種類があり、それらは実戦に備え弾薬庫で大量に保管されている。しかし専門家によると、砲弾が古すぎると不発弾が出る可能性が高くなるという。温度や湿度に合わせて砲弾を大量に保管し維持する能力は北朝鮮にはなく、砲弾の再生作業もほぼできないと伝えられている。2010年11月23日に北朝鮮が延坪島を砲撃した際、使用した長射程砲の砲弾は半分以上が海に落下するかあるいは不発弾となった。同じような状況が2022年のウクライナ戦争でも起こるかもしれない」

 

北朝鮮軍の保管する弾薬は、ざっと30年前の製造である。となると、保管状態に良し悪しが能力に大きく影響する。2010年の北朝鮮軍による延坪島砲撃では、撃った弾丸の半分以上が海に落ちたか不発弾であったという。ウクライナでも、同様の結果になろう。