テイカカズラ
   

中国が、「一帯一路」で建設させた中国ラオス貨物鉄道は、2021年12月に開業した。中国雲南省昆明を起点としてラオスを縦断し、首都ビエンチャンまで約1000キロメートルをつなぐ。旅客のほか、国際貨物輸送も行う。トラック輸送が主体だった東南アジア・中国間の物流が大幅に改善するとみられていた。

 

現実はこの前触れと違って、昆明・ビエンチャン間は1日平均2本が運行するのみ。計画の2割に止まっている。ラオスは、総事業費約59億ドル(8700億円)のうち、6割の約35億ドルを中国輸出入銀行からの負債でまかなった。英経済分析機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は、今後4年以内にデフォルトを宣言する可能性が高い国として、ラオスのほかにパキスタン、ミャンマーなどを挙げている。

 

ラオスは、デフォルト国の一つとして名前が上がっているほどだ。うかうかしていると、中国に「担保」を取り上げられる危険が迫っている。

 

『日本経済新聞 電子版』(10月26日付)は、「中国ラオス貨物鉄道「利用は計画の2割」 債務返済に難題」と題する記事を掲載した。

 

東南アジアのラオスと中国を結ぶ鉄道の利用が伸び悩んでいる。広域経済圏構想「一帯一路」を象徴する鉄道として中国主導で建設されたが、貨物輸送量は計画の2割にとどまる。建設費などを中国からの借金で調達していて、低迷が続けば、代わりに重要インフラを押さえられる「債務のワナ」にはまる可能性もある。

 

(1)「中国ラオス鉄道は2021年12月に開業した。中国雲南省昆明を起点としてラオスを縦断し、首都ビエンチャンまで約1000キロメートルをつなぐ。旅客のほか、国際貨物輸送も行う。トラック輸送が主体だった東南アジア・中国間の物流が大幅に改善するとみられていた。10月にはタイやマレーシアの鉄道網に接続したほか、シンガポールに延ばす計画もある。中国やラオス国営メディアは鉄道の効果をしきりに強調している。開業半年で64万㌧超の貨物を運搬し、高速鉄道もラオス国内で41万人の乗客が利用したとされる」

 

中国は、昆明―ラオスータイーマレーシアを結ぶ鉄道構想を立てた。この10月に、全線が開通したが、問題はその利用率である。昆明―ラオス間は、想定よりも大幅に下回った利用で想定の2割である。中国に騙されて過大需要を見込み、建設に踏み切ったのであろう。

 

(2)「実態は苦戦が続く。9月中旬にビエンチャン郊外にある物流施設「タナレンドライポート(TDP)」を訪れると、約60ヘクタールの施設で見られたコンテナはまばらだった。昆明・ビエンチャン間では1日平均2本が運行するのみで、8月にTDPを通過したコンテナ数は6000個と、計画の2割どまりであった。中国が新型コロナウイルスの流入を抑える「ゼロコロナ政策」を堅持し、6月まで上海で都市封鎖が行われるなど、国際物流の需要が激減したことが低迷の主因とされる。ただ、貨物取り扱いの方法も不透明で、ブローカーが介在して輸送費をつり上げ、荷主が使いにくい状況も続く」

 

中国・昆明とラオス・ビエンチャン間では、1日平均2本が運行するのみである。計画の2割という。今後は、おいおい需要が増えるとしても、急増は期待できまい。

 

(3)「同鉄道はラオス鉄道公社と中国企業3社の合弁企業が建設し、総事業費約59億ドル(8700億円)のうち、6割の約35億ドルを中国輸出入銀行からの有利子負債でまかなった。ラオス政府は債務の政府保証がなく、多額の債務は発生しないと主張する。だが、鉄道をテコに東南アジア、中国、欧州を結ぶ陸上輸送のハブを目指しているため、「鉄道会社を簡単にはつぶせず、偶発債務となる可能性がある」(日本貿易振興機構ビエンチャン事務所の山田健一郎氏)との見方が支配的だ。世界銀行などによると、21年末時点でラオスの公的債務は国内総生産(GDP)比で88%に高まった。対外債務は推定104億ドルで、対中国がほぼ半分を占める

 

ラオスは、21年末で公的債務が対GDP比で88%にも高まっている。対外推定債務は104億ドルで中国がその半分を占める。中国が、最大の債権国だ。中国も外貨事情は厳しくなっているので、ラオスの返済が遅れれば、資金繰りに影響する。中国にも困った事情を抱えている。

 

(4)「ラオス経済は、新型コロナで大きな打撃を受けた。足元のインフレ進行や通貨下落に加え、国運を懸けた鉄道の利用低迷で、対外債務返済に窮する可能性は一層高まっている。レアメタルの鉱山から得られた収入を鉄道事業の担保とするなど、重要施設を手放さざるを得なくなる懸念も急浮上している

 

中国は、レアメタル鉱山からの収入を鉄道事業の担保に入れている。中国への返済が滞れば、鉱山施設を差し押さえられる契約である。血も涙もない「国際高利貸し」中国のことだ。レアメタル鉱山と言えば、垂涎の的。中国は、「赤い爪」を延ばすに違いない。そうなればラオスにとって悲劇となろう。