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インドは、ロシアのウクライナ侵攻に対して「反対」意思を示さずに来た。ロシアから大量の武器を購入している結果だ。ロシア製武器で、中印国境で中国軍と対峙しなければならなかったのである。そのロシアが、経済制裁で武器生産が止っている。この間隙を縫って、米国がインドと先端兵器開発協定を結び、インドとの関係を強化して中国へ対応することになった。

 

韓国紙『東亜日報』(2月2日付)は、「米『インドと先端兵器共同開発』 クアッドの『中国牽制戦線』強化へ」と題する記事を掲載した。

 

バイデン米政権は1月31日、インドとジェットエンジンなどの先端兵器の共同開発と半導体生産施設の支援などを盛り込んだ「米印重要・新興技術イニシアチブ」(iCET)を発表した。中国牽制に向けてインドとの安全保障協力強化はもとより、半導体のグローバル・サプライチェーンで中国に代わる核心パートナーとしてインドを重視する構想を本格化したのだ。

(1)「サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)とインドのドバル国家安全保障担当補佐官は同日、ホワイトハウスで会議を開き、iCETを公開した。ホワイトハウスは報道資料で、「米国とインドは国防技術共同開発及び生産に向けた技術協力の加速化のために国防産業協力ロードマップを開発する」とし、「米国はゼネラル・エレクトリック(GE)が申請したインドとのジェットエンジン共同生産を迅速に検討する」と明らかにした。また、長距離砲とストライカー装甲車のインド生産案を推進することを決めた。インドと中国はヒマラヤ地方で国境紛争を抱えている」

 

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2016〜20年のインドの武器輸入に占めるロシアの割合は5割に達した。ロシアからみても武器輸出総額の2割強がインド向けだ。インドとロシアは、武器の取引で関係を深めてきたのだ。米国は、この中へ割って入り「米印」関係強化に乗り出した。

 

(2)「バイデン政権は今回の合意で、インドのロシア兵器の依存度を下げると共に、中国を牽制する新たな兵器の生産地を確保することになった。また、日本、オーストラリアに続きインドとも兵器の共同生産に乗り出し、中国を牽制する安全保障の協力枠組み「クアッド」加盟国の全ての国と安全保障協力強化にスピードを出すことになった。サリバン氏は同日、「2016年の米インド原子力協力合意後、両国関係の新たなマイルストーン」とし、「中国との地政学的競争は、米インド関係の核心軸」と述べた」

 

インドが、ロシアのウクライナ侵攻に正面切って「反対」できないのは、インドが独立して以来ずっとロシア(ソ連時代を含め)がインドの武器供給で支援してきたつながりがある。こういう関係から、インドは「中立」の立場を通してきた。だが、武器供給で米国が協力する体制ができたので、インドのロシアへの姿勢は「是々非々」を貫けることになろう。また、中国に対しては米国の後ろ盾を得て、より強硬姿勢を取るであろう。

 

(3)「米国は、インドと半導体、次世代移動通信、月探査などの宇宙協力も強化する方針だ。ホワイトハウスは、米半導体産業協会(SIA)とインド電子・半導体協会(IESA)がタスクフォースを構成し、「インドの半導体設計、製造および生態系開発を支援する計画」と明らかにした。日本と先端半導体を共同開発することにした米国が、インドとも協力を強化し、韓国と台湾に集中した先端半導体サプライチェーンを多様化する考えだ」

 

米国は、インドのIT化に協力する。インドの工業化には、ITを基盤にしながら幅広い製造業を育成しなければならない。

 

(4)「また、半導体・科学法により、海外の主要半導体企業の米国内の生産工場の投資が本格化し、人材難の懸念が大きくなる中、インドで半導体専門家を養成する構想ともみられる。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、「米国がグローバル・サプライチェーンで、中国の代わりとしてインドを重視している」と分析した」

インドは、「クアッド」(日米豪印)の一員であるが、「お客さん」というイメージが強かった。インドは、日本のとの強い関係でクアッドに加わっただけという消極的な姿勢であったのである。だが、今回の米印協定でその距離はぐっと縮まった。文字通り、クアッドの一角になった。これによって、米印関係が強化されよう。対中国では、足並みを揃えるであろう。