勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: イラン経済ニュース時評

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    中国は何十年にもわたり、米国などの西側諸国に代わる、価値判断を押し付けない存在として自らを売り込んできた。ペルシャ湾地域では、そうしたこれまでの姿勢が今、危機に瀕している。複数の報道によれば、中国はイランに対し、インフラや船舶の攻撃、また湾岸諸国内の米関連施設の攻撃に必要な衛星画像・部品・情報を提供してきたからだ。湾岸諸国にとって、味方と思ってきた中国が、実はイランの軍事行動を支えていたことが分かり窮地に立たされている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月22日付)は、「中国が払うイラン支援の代償」と題する寄稿を掲載した。筆者のム・トゥーゲンハット氏は、英下院の保守党議員で、ハドソン研究所の特別研究員。

     

    複数の報道によれば、中国はイランに対し、インフラや船舶の攻撃、また湾岸諸国内の米関連施設の攻撃に必要な衛星画像・部品・情報を提供してきた。この後方支援態勢のそれぞれが、イランによる製油所や港湾の破壊、そして民間人の殺害までも助けてきた。サウジアラビアなどの湾岸諸国はこのことを見過ごしていない。これらの国々を合わせると、中国にとっての重要性はイランの比ではない。

     

    (1)「米エネルギー情報局(EIA)によると、2024年の中国の原油輸入元はロシアが1位で、全体の20%を占めた。イランは11%で、その多くは、西側諸国の制裁を逃れるための「影の船団」を通じたものだった。一方、サウジは14%、イラクは10%、オマーンは7%、アラブ首長国連邦(UAE)は6%で、4カ国の合計は約37%に達した。中国がイランによる攻撃を可能にした結果、中国経済に対して合計でイランの3倍以上の影響力を持つ原油供給国が危険にさらされている」

     

    中国は、イランへ軍事情報を流して湾岸諸国が被弾した元凶とみられている。湾岸諸国4ヶ国は、中国へイランの4倍もの原油を輸出している。イランを庇って4ヶ国を犠牲にしたたことは、中国外交の大きなミスだ。

     

    (2)「中国行きのエネルギーは、中国の支援を受けたイランのドローン(無人機)やミサイルが標的にしている地域を直接通って運ばれている。サウジなどの国々が、中国共産党がイラン革命防衛隊(IRGC)を支援していることにこれ以上耐えられないと判断すれば、自国のタンカーを中国の港に向かわせない可能性がある。中国は、特に湾岸地域への依存度を下げる狙いで、カザフスタンやミャンマーにパイプライン建設のための資金を投じてきた。そのため、こうしたパイプラインを使うという代替策があると考えているかもしれない」

     

    中国は、これまで中東において八方美人の振る舞いをして原油を確保してきた。だが、今回のイラン溺愛が、とんだ波紋を呼ぶことになりかねないのだ。

     

    (3)「ペルシャ湾岸の君主制アラブ諸国は、大国政治に無知ではない。より大きな勢力と慎重に協力することで、何世紀も生き延びてきた。中国の影響力が拡大するにつれ、湾岸諸国は港湾・インフラ・技術への中国の投資を歓迎した。しかし、湾岸諸国の現実的な前提は、自国の安全保障を中国が損なうことはないというものだった。友好関係が徐々に再編される中で、サウジが米国との防衛関係を加速させ、UAEがウクライナとの防衛協力を最近発表したことは、(中国の)中立にはおのずと限界があるという認識を反映している」

     

    サウジが、米国との防衛関係を加速させ、UAEは最近ウクライナとの防衛協力を発表した。中国との関係見直しに繋がりかねない事態だ。

     

    (4)「中国がこうした厄介な立場に陥ったのは、国内的には一貫性があったものの結局は自滅的な論理が要因だった。中国はイランを支持することにより、イランから割引価格で石油を調達できるようになり、それが同国の制裁回避を助けた。また米国の注意を分散させておくため、秩序を乱すパートナーを支え続けた。さらに中国は、自国と友好関係にある国々が米国と対立した場合でも、これら諸国を見捨てないことを他国に示した。サウジやUAEにこうした動きがどのように映るかは恐らく考慮されていなかった」

     

    中国は、米国によるイラン攻撃という「リトマス試験紙」によって、親イランを明らかにしてしまった。サウジとUAEは、「正体見たり」という思いであろう。

     

    (5)「イランでの戦争が、停戦交渉とあからさまな対立の間を行き来する中で、中国の外交担当者らは、同国による対イラン支援の悪影響への対処を迫られることになった。ペルシャ湾岸アラブ諸国に、はっきりと刻まれたイランによる攻撃の爪痕が、中国による対イラン軍事支援の証拠を示す中で、中国の当局者らは、衛星画像データや軍事転用可能な技術を中国がイランに提供しているとの報道を否定するか、矮小化する必要がある」

     

    イランは、中国の立場を考慮せずに湾岸諸国を攻撃した。これからの中国は、湾岸諸国へ苦しい弁明を迫られる。

     

    (6)「中国は今後、「衛星データが悪用されており、中国製部品は決して軍事攻撃への利用を想定したものではなく、IRGCが暴走しており、湾岸諸国との関係は引き続き相互の信頼に基づいている」といった主張を君主制アラブ諸国に伝え、安心感を醸成することに外交面で力を注ぐだろう。こうした言い訳の一部は受け入れられるかもしれないが、アラビア半島に点在する各国王室では既に、認識が変化しつつある」

     

    中国は、イランを悪者にして自己弁護をするほかない。

     

    (7)「中国は、湾岸諸国の中でイランという一つの国を他の国々との関係を損なう形で支援してしまった。そして中国は、同国の原油輸入量の3分の1超を供給している国々が、こうした裏切り行為を忘れてくれることを期待している」

     

    中国は、どうやって湾岸諸国との気まずい関係を回復するのか。

    テイカカズラ
       

    米国は現在、イランによるホルムズ海峡封鎖を跳ね返すべく、兵員1万人の部隊で「逆封鎖」し、イランの原油輸出を止める戦術を展開している。これが、イランにとって、思わざる致命傷になってきた。原油輸出ストップによる原油貯蔵能力満杯で、油井を止めざるを得ない事態へ陥るからだ。あと3週間で、この最悪事態を迎えると、その後の復旧が極めて困難になる。イランは、米国の要求を飲まざる得ない局面へ向っている。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月17日付)は、「トランプ氏が賭ける、経済的打撃による『海峡開放』」と題する記事を掲載した。

     

    イランに対し米軍が実施している海上封鎖の強化は、イラン政府に深刻な経済的苦痛を与えることで、「ホルムズ海峡を開放し、核開発を断念せよ」という米国の要求に迅速に屈服させることを目的としている。

     

    (1)「イランの港からの原油輸出が事実上遮断されたことで、同国は石油収入の大部分を失うことになる。 また、貯蔵スペースが不足するため、数週間以内に油井閉鎖を余儀なくされる可能性もある。これは費用がかかる上に損害を伴う作業であり、今後何年にもわたって石油生産能力を損なうことも懸念される」

     

    イランにとって唯一の産業である原油輸出が、米国の逆封鎖で危機に立たされている。攻守ところを変えた。

     

    (2)「米国の封鎖活動の範囲拡大は、イランへの影響を加速させることを目的としているようだ。石油への影響に加え、封鎖拡大により米国はイランが経済や戦争遂行に必要な物資を運ぶ船舶への立ち入り検査も可能になる。つまり、武力行使でイランにホルムズ海峡を開放させられなかったトランプ氏は、経済攻勢によってその目的を果たそうとしている。 業界の動向を追跡するボルテクサ、ケプラー、エナジー・アスペクツによると、イランは早ければ2~3週間以内に、業界用語で「タンクトップ(貯蔵容量の限界)」と呼ばれる瞬間に達する可能性がある。つまり、地中からくみ上げた石油を貯蔵する場所が完全になくなるということだ」

     

    イランは、早ければ2~3週間以内に地中からくみ上げた原油を貯蔵する場所が完全になくなるという。時間との勝負になってきた。

     

    (3)「元米制裁当局者で、イランに対する強硬なアプローチを提唱する米シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」の研究員であるマックス・マイズリッシュ氏は、「イランが経済的に耐えられるとは考えにくい」と語る。米軍の制裁措置は「国籍を問わず、イランの港に出入りする全ての船舶」に適用されると、ダン・ケイン統合参謀本部議長は16日に述べた。この作戦は、イラン船籍の全船舶、およびイランに物的支援を提供しようとするあらゆる船舶を追跡するという」

     

    イランは、原油生産で異常が起これば経済的に耐えられなくなる。厳しい局面だ。

     

    (4)「米政権が期待するのは、時を刻む時計のように、封鎖が長引くほどイランの石油産業への圧力が高まることだ。エナジー・アスペクツの共同創設者で地政学責任者のリチャード・ブロンズ氏は、「封鎖の意図は、イランがホルムズ海峡に対して持つ影響力を無力化し、イランが合意に応じるよう経済的圧力を高めることにある」と指摘。一方で、封鎖だけではイラン政府が交渉で急速に降伏する可能性は低いと付け加えた。緩衝機能を備え、経済的な圧迫を跳ねのけてきた長い歴史を持つイランの政権に対し、致命的な一撃が保証されているわけではない」

     

    米国は、いわば「兵糧攻め」によってイランを屈服させる狙いである。

     

    (5)「現在、米国の封鎖はイラン政府の非対称的な優位性を奪い取ろうとしている。イランの陸上貯蔵施設(容量は最大1億2000万バレル)は現在、半分以上が満杯だ。現在の輸出量では、そのスペースは3週間以内に使い果たされるとブロンズ氏は指摘する。貯蔵タンクがいっぱいになればイランは稼働中の油井の閉鎖を余儀なくされるが、これはインフラに恒久的な損傷を与えるリスクのある過激な措置だ。老朽化した油層からの加圧された流れを停止すると、繊細な地下システムが破壊され、水が油井に流れ込んだり、重い堆積物が岩の隙間を詰まらせたりする。一度停止した油井の中には、以前の生産量の一部しか回復できないものや、経済的に存続不能になるものも出てくるだろう」

     

    イランの原油陸上貯蔵施設は、半分以上が満杯とされる。現状では、3週間以内に貯蔵施設が使い果たされる計算という。となると、5月初旬までがデッドラインになる。この間に、米国の要求を飲まないと油井の汲み上げが止まって、重大な被害が及ぶ。

     

    (6)「封鎖が成功すれば、貯蔵施設はすぐに満杯になる可能性が高いとボルテクサのチーフエコノミスト、デービッド・ウェク氏は述べた。「原油を輸出できなければ、イラン側に残された時間はあまりない」

     

    イランに残された時間は3週間以内ということであろう。

    テイカカズラ
       

    米国のイラン戦争は、大詰めを迎えている。米海軍は、1万人の兵士を動員してホルムズ海峡逆封鎖に出ているが、イランはこれを攻撃せず和平会談再開の道を選んだようである。米国は、総括的結果を求めていることに対して、イランもこれ以上の抵抗が経済的に困難になっている以上、妥結へ傾いているとみられる。

     

    米海軍は、ホルムズ海峡逆封鎖という形で、イランを締め上げた。軍事力を行使することなくイランを屈服させたのだ。今後も、対イラン戦術で多用されよう。イランは、手痛い逆襲を受ける結果になった。

     

    今回は、イスラエルが33年ぶりにレバノンとハイレベル会談に応じたことも、大きな前進である。米国がイランとの包括的協議に入る以上、イスラエルも応じざるを得ない結果だ。これは、中東に新たな時代が来る予兆ともいえそうだ。重要な変化である。

     

    『中央日報』(4月15日付)は、「トランプ氏『戦争はほぼ終わった』…今週末の『イラン戦争』が分水嶺に」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米国大統領が14日(現地時間)、メディアとのインタビューで「戦争はほぼ終わった」と述べ、今週末にパキスタンでイランとの交渉を再開する可能性を示唆した。交渉再開の観測が高まる中、イランはホルムズ海峡に対する米国の逆封鎖措置をいったん受け入れ、輸送を一時的に中断する案を検討しているという観測も出ている。ホルムズでの突発的な状況によって米国との対話が中断されるのを防ぐための措置だ

     

    (1)「トランプ大統領はニューヨーク・ポストとのインタビューで「今後2日以内に何かが起きる可能性がある」と述べ、今週末にパキスタンでイランとの交渉を再開する可能性を示唆した。CNNは、イランとの再交渉が成立した場合、JD・バンス副大統領が再び交渉のテーブルにつく可能性が高いと報じた。実務陣ではなく最高位層が再び対面するのは、意見の折衷ではなく「結論」を念頭に置いた布石だという解釈が出ている」

     

    これまで、トランプ氏はたびたび楽観論を述べてきたが、今回は客観的な条件が揃い始めている点に注目すべきだろう。

     

    (2)「バンス副大統領はこの日、ジョージア州で開催された右派団体「ターニングポイントUSA」の行事に出席し、「大統領は小さな合意(small deal)を望んでいない」とし、「彼はグランドバーゲン(重大で包括的な合意)を作りたいと考えている」と述べた。続けて、イランとの1回目の交渉が決裂した背景については「大統領はイランが核兵器を持たない合意を真に望んでいるからだ」と説明した。これに先立ち、トランプ大統領もニューヨーク・ポストとのインタビューで「私は彼らが核兵器を持つことはできないと言い続けてきた。したがって『20年』という(ウラン濃縮中断)期間は気に入らない」とし、「イランに勝利したと感じさせたくないからだ」と述べていた」

     

    米国は、イランと包括的協議を目指しており、イランがこれに応じる姿勢をみせているのであろう。イランは、バンス氏との「縁」を今後長く有効に使う意図であろう。

     

    (3)「これまで「戦争は終わっていない」として事実上イランとの交渉に非協力的だったイスラエルも、この日ワシントンで米国の仲介の下、レバノンと33年ぶりにハイレベル会談を開き、直接停戦交渉を続ける案に合意した。ロシアのRIAノーボスチ通信はアラブ圏の消息筋を引用し、米国とイランが今月21日に満了予定の停戦期限を延長し、交渉時間を十分に確保する案が議論されていると報じた」

     

    イスラエルが対話に応じた理由は何か。

    1)米国が「包括的合意(グランドバーゲン)」を狙っていること。

    バンス副大統領が、「大統領は小さな合意ではなく、重大で包括的な合意を望んでいる」と指摘している。これは、米国がイランとの交渉を一気に決着させる構えを示しており、イスラエルにとっても「米国の大戦略に歩調を合わせる」必要が生じている。イスラエルは、米国の安全保障支援に依存しているため、米国が交渉モードに入れば、イスラエルも対話に応じざるを得ないという構造になっている。

     

    2)イランが「譲歩のシグナル」を出したこと。

    イランが、ホルムズ海峡の逆封鎖を一時的に受け入れる姿勢をみせている。また、停戦期限の延長を議論している点が、イランが「交渉を続けたい」という明確な意思表示である。イスラエルにとっても、イランが譲歩している局面で強硬姿勢を続けると、国際的に孤立するリスクが出てきた。そのため、イランが軟化したタイミングで、イスラエルも対話に応じる必然性が出てきた

     

    3)イスラエル自身が、戦争の長期化を望んでいないこと。

    イスラエルは、北部(レバノン・ヒズボラ)、南部(ガザ)、イランとの緊張という「三正面」を抱えており、長期戦が不利となってきた。米国が停戦をまとめるなら、イスラエルにとっても負担軽減になると判断したのであろう。

     

    4)レバノンとの対話は「イランとの交渉の一部」であること。

    レバノンのヒズボラはイランの代理勢力。つまり、レバノンとの対話=イランとの間接交渉 という意味を持つ。米国がイランと包括的合意を狙うなら、イスラエルは「レバノン戦線の沈静化」を通じて交渉環境を整える役割を果たす必要がある。

     

    5)米国の圧力と仲介が決定的な理由であること。

    イスラエルが自主的に対話したのではなく、米国の仲介が決定的だったことを示している。米国が、「包括的合意」を目指す以上、イスラエルはその戦略に協力する必要がある。

     

     

     

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    イラン当局は、米国から攻撃を受けた場合、米国とのあらゆる紛争をエスカレートさせると警告している。イランは、米国との対立を抑制するために報復を制限するという同国の軍事ドクトリン見直しを示唆している。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(2月26日付)は、「イラン、米国が攻撃なら報復拡大と警告 『抑制的な対応』修正も」と題する記事を掲載した。

     

    イラン軍のムサビ参謀総長は最近、イランの戦略は「かつてはエスカレーション(緊迫した状況)抑止だった」が、「米国の態度が我々にアプローチの変更を余儀なくさせた」と述べた。同氏は、「米国が今回過ちを犯せば、我々は甚大な犠牲を米国に負わせる。我が軍は横暴な大国に対して最後まで立ち向かう決意だ」と語った

     

    (1)「イラン政権の内部関係者はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、イランは米国に対する軍事ドクトリンを修正し、紛争が勃発した際に米軍およびその関連施設に具体的な損害を与えることを意図した戦略に移行したと話した。同関係者はまた、イラン政権は戦争を求めておらず、26日にスイスのジュネーブで行われる米国とイランの核問題を巡る協議が、米国の攻撃を阻止する新たな核合意への道を開くことを望んでいると述べた。しかし、イランはトランプ米大統領に屈服するよりはむしろ戦う構えであると続けた」

     

    イランは、和戦両様の構えである。米イランの合意が成立することを期待するほかない

     

    (2)「同関係者は、「イランはエスカレーションへと動き、米軍基地からホルムズ海峡、米軍艦に至るまで、射程内にあるあらゆるものを標的にするだろう」と強調した。イラン政権の内部関係者は、「極めて限定的な攻撃」の場合、イランはエスカレートさせない可能性があると示唆したが、イラン外務省のバガイ報道官は「限定的な攻撃などありえない」と明言した」

     

    イランは、射程2000キロ圏の米軍施設を攻撃するとしている。これまでのような、限定的な反撃はあり得ないと言う。

     

    (3)「イラン国外のアナリストらは、03年のイラク侵攻以来で最大規模となる軍事力を中東に集結させている米軍に対し、イランが損害を与えられるかどうかについて懐疑的だ。イスラエルと米国は、25年6月の「12日間戦争」でイランに立て続けに深刻な打撃を与えた。これにより、イランと宿敵国との軍事的な不均衡が露呈した。イラン当局者は、米軍の戦闘機や長距離攻撃能力によって、自国の軍事・経済インフラが数日で壊滅させられる可能性を懸念している」

     

    イラン当局者は、米軍の戦闘機や長距離攻撃能力によって、自国の軍事・経済インフラが数日で壊滅させられる可能性を懸念している。

     

    (4)「英内閣で中東問題の上級情報顧問を務めたリネット・ヌスバッハー氏は、イランのエスカレーションの脅威は真剣に受け止めるべきだと述べた。同氏は「イランの国家安全保障体制は危険だが、狂っているわけではない」と指摘した。「彼らは明確なシグナルを発し、自らの目的を理解し、敵対勢力の目的も理解している。そして、その枠組みの中で行動しようと努めている」と強調した」

     

    イランの反撃能力を軽視することへの警戒論もある。

     

    (5)「ヌスバッハー氏は、イランが弾道ミサイルを展開させるだけでなく、ホルムズ海峡の船舶航行の封鎖を試みる可能性があると話した。同海峡は、世界の海上輸送原油の多くが通過する重要な貿易ルートだ。イラン革命防衛隊は2月上旬、海軍演習の一環として同海峡の一部を一時的に閉鎖すると発表していた。米国の複数メディアは、米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長が内部協議で、イラン攻撃の潜在的リスクを強調したと報じていた。トランプ氏は23日にこうした報道を激しく批判し、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、ケイン氏の見解はいかなる軍事衝突も「容易に勝利できる」というものだったと言明した」

     

    イランが、弾道ミサイルを展開させるだけでなく、ホルムズ海峡の船舶航行の封鎖を試みる可能性があるとしている。この場合は、世界の原油市況に大きな影響が出よう。

     

    (6)「イランの最高指導者ハメネイ師の上級軍事顧問の息子であるハムゼ・サファビ氏はイランのニュースサイト「エンテハブ」に対し、個人的な見解と強調しつつ、「今回、イランはそうした配慮を脇に置き、実害を与える報復に踏み切るだろう」と語った。サファビ氏はさらに、今後戦争が発生した場合、イランはより高度な軍事技術を公にすることになるだろうと主張し、イランは報復においてもはや米国とイスラエルを区別しないとした。「イスラエルが(イランへの)攻撃を開始すれば、イランは米国も攻撃する。そして米国が(イランを)攻撃すれば、イランはイスラエルも標的とするだろう」と述べた」

     

    イランは、イスラエルと米国を相手に戦うとしている。戦線拡大は不可避であろう。米軍によるベネズエラ急襲と、レベルの違う戦いになることは十分に認識すべきであろう。

     

    テイカカズラ
       


    トランプ米大統領が、イランとの核交渉を巡り米国の要求を受け入れさせるため、イランへの限定的な初期攻撃を検討していることが分かったと『ウォール・ストリート・ジャーナル』が報じた。この第1段階の攻撃は、イラン政府に合意を迫るためのもので、大規模な報復を招く可能性のある全面攻撃には至らないものという。

     

    イラン攻撃が、承認されれば数日以内に実施される可能性がある。また最初の攻撃では、少数の軍事施設または政府施設が標的となる。トランプ氏が求めるウラン濃縮停止にイランがそれでも従わない場合、米国は政権施設に対する広範な作戦で対応する考えで、これは体制の転覆を目指すものとなる可能性があるという。事態は深刻である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月21日付)は、「イラン政権崩壊後の限られる選択肢」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は、イランの最高指導者ハメネイ師の政権を攻撃することを選択した場合、極めて難しいリスク評価に直面することになる。政権が崩壊した場合に明確な代替勢力が存在しないという現実だ。

     

    (1)「イランの反体制派は政治的に分裂し、組織化されておらず、国内外で物理的に分断されている。米国が、より扱いやすい人物が後継者となることを期待して最高指導者を排除することを選んだとしても、その人物がハメネイ師よりも穏健であるという保証はない。イランの元当局者で、現在は米国を拠点とする反体制活動家のサゼガラ氏は「もしトランプ氏がハメネイ師と最高司令官の殺害といった行動に出た場合、問題は次に何が起こるかだ。イランは破綻国家になるかもしれない」と述べた」

     

    イランは、現政権が崩壊すれば破綻国家になる危険性があるという。現状よりもさらに悪化するのだ。

     

    (2)「ルビオ米国務長官もそのことを認めており、先ごろ議会で、複雑な政権移行期間を通じて政府内で協力してくれる人物が見つかることを期待しなければならないだろうと語った。前回、イラン政府が崩壊した時は、このような状況ではなかった。パーレビ国王が倒される1979年の革命前夜、その後に何が起こるかははるかに明確だった。当時、イラン国民は国内外を問わず、社会階級や政治的分断を超えて、ホメイニ師の指導の下に団結した。カリスマ的な聖職者だった同師は、モスクや慈善団体の広大なネットワークを活用して、民衆の動員を調整することができた。同師が1979年2月に亡命先のパリから帰国した際、英雄として迎え入れられた」

     

    ルビオ米国務長官は、米議会で複雑な政権移行期間を通じて、政府内で協力してくれる人物が見つかることを期待しなければならないだろうと語った。イランは、後継候補がいないという、最大の危機に直面している。

     

    (3)「イランにとって最も恐ろしい脅威は、イラン国内から生じている。怒りに燃えるイラン国民は過去10年間、2009年の不正選挙疑惑、22年の女性の権利問題、そして昨年末の深刻化する経済危機を巡り、ますます頻繁に街頭デモを繰り広げている。アナリストや活動家は、数千人が死亡した残忍な弾圧にもかかわらず、再びデモが激化するのは避けられないと話す。すでに新たな怒りの波が醸成されつつあり、犠牲者を追悼する式典では「ハメネイ師に死を」「子ども殺しの共和国に死を」といったスローガンが叫ばれている」

     

    イラン民衆は、自然発火的に怒りをデモ行進で示しているが、無統制で「指導者」がいないことだ。これでは、簡単に政権によって弾圧されるという結末を重ねている。

     

    (4)「これらの民衆運動には、国内に明確な指導者や組織構造が存在しない。著名な反体制派の人物は、遅かれ早かれ沈黙させられるか投獄される。その中には、ノーベル平和賞受賞者(23年)のナルゲス・モハンマディ氏や元イラン国会議員のモスタファ・タジザデ氏が含まれる。両氏とも現在投獄されている。イラン国外に拠点を置く反体制活動家には、人権活動家が多く含まれる。イラン人弁護士でノーベル平和賞受賞者(03年)のシリン・エバディ氏を含む彼らの多くは長年、イラン国外に滞在しているため、多くのイラン国民は彼らが国内の現実を理解していないと感じている」

     

    イランで、ノーベル平和賞を授賞された人物はいるが、政治的指導力がないのだ。祈りと言説だけでは、民主主義が実現できないという厳しい状況に置かれている。

     

    (5)「イラン国外で最も著名な反体制派の人物は、追放された元国王の息子で亡命中のレザ・パーレビ氏で、同氏は将来の指導者として名乗りを上げている。同氏は最近の抗議活動において反体制の強力なシンボルとして浮上した。イラン国民はパーレビ氏の全国的な抗議行動への呼びかけに応え、1月に大勢が集結した。多くの人々が同氏の名前や体制批判のスローガンを叫ぶ中、治安部隊が再び弾圧を開始した。しかし同氏は、父親による政治的弾圧や父親が権力の座にあった時代の社会的不平等を覚えているイラン国民の間では、依然として意見が分かれる人物だ。イランの人口の半分近くを占めるクルド人、アゼルバイジャン人、その他の少数民族の多くは、父親が中央集権的な統制を重視していたためパーレビ氏を信用していない」

     

    イランで追放されたパーレビ元国の息子は、頻りと母国の民主主義復活を唱えるものの、父親の「悪行」が祟って信用されていないのだ。親の祟りが息子の言動から信用を奪っている。イラン国民は、不満を言い募るばかりでなく、次代の指導者をどう作るのかという課題も背負わされている。

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