イラン当局は、米国から攻撃を受けた場合、米国とのあらゆる紛争をエスカレートさせると警告している。イランは、米国との対立を抑制するために報復を制限するという同国の軍事ドクトリン見直しを示唆している。
『フィナンシャル・タイムズ』(2月26日付)は、「イラン、米国が攻撃なら報復拡大と警告 『抑制的な対応』修正も」と題する記事を掲載した。
イラン軍のムサビ参謀総長は最近、イランの戦略は「かつてはエスカレーション(緊迫した状況)抑止だった」が、「米国の態度が我々にアプローチの変更を余儀なくさせた」と述べた。同氏は、「米国が今回過ちを犯せば、我々は甚大な犠牲を米国に負わせる。我が軍は横暴な大国に対して最後まで立ち向かう決意だ」と語った
(1)「イラン政権の内部関係者はフィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、イランは米国に対する軍事ドクトリンを修正し、紛争が勃発した際に米軍およびその関連施設に具体的な損害を与えることを意図した戦略に移行したと話した。同関係者はまた、イラン政権は戦争を求めておらず、26日にスイスのジュネーブで行われる米国とイランの核問題を巡る協議が、米国の攻撃を阻止する新たな核合意への道を開くことを望んでいると述べた。しかし、イランはトランプ米大統領に屈服するよりはむしろ戦う構えであると続けた」
イランは、和戦両様の構えである。米イランの合意が成立することを期待するほかない
(2)「同関係者は、「イランはエスカレーションへと動き、米軍基地からホルムズ海峡、米軍艦に至るまで、射程内にあるあらゆるものを標的にするだろう」と強調した。イラン政権の内部関係者は、「極めて限定的な攻撃」の場合、イランはエスカレートさせない可能性があると示唆したが、イラン外務省のバガイ報道官は「限定的な攻撃などありえない」と明言した」
イランは、射程2000キロ圏の米軍施設を攻撃するとしている。これまでのような、限定的な反撃はあり得ないと言う。
(3)「イラン国外のアナリストらは、03年のイラク侵攻以来で最大規模となる軍事力を中東に集結させている米軍に対し、イランが損害を与えられるかどうかについて懐疑的だ。イスラエルと米国は、25年6月の「12日間戦争」でイランに立て続けに深刻な打撃を与えた。これにより、イランと宿敵国との軍事的な不均衡が露呈した。イラン当局者は、米軍の戦闘機や長距離攻撃能力によって、自国の軍事・経済インフラが数日で壊滅させられる可能性を懸念している」
イラン当局者は、米軍の戦闘機や長距離攻撃能力によって、自国の軍事・経済インフラが数日で壊滅させられる可能性を懸念している。
(4)「英内閣で中東問題の上級情報顧問を務めたリネット・ヌスバッハー氏は、イランのエスカレーションの脅威は真剣に受け止めるべきだと述べた。同氏は「イランの国家安全保障体制は危険だが、狂っているわけではない」と指摘した。「彼らは明確なシグナルを発し、自らの目的を理解し、敵対勢力の目的も理解している。そして、その枠組みの中で行動しようと努めている」と強調した」
イランの反撃能力を軽視することへの警戒論もある。
(5)「ヌスバッハー氏は、イランが弾道ミサイルを展開させるだけでなく、ホルムズ海峡の船舶航行の封鎖を試みる可能性があると話した。同海峡は、世界の海上輸送原油の多くが通過する重要な貿易ルートだ。イラン革命防衛隊は2月上旬、海軍演習の一環として同海峡の一部を一時的に閉鎖すると発表していた。米国の複数メディアは、米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長が内部協議で、イラン攻撃の潜在的リスクを強調したと報じていた。トランプ氏は23日にこうした報道を激しく批判し、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、ケイン氏の見解はいかなる軍事衝突も「容易に勝利できる」というものだったと言明した」
イランが、弾道ミサイルを展開させるだけでなく、ホルムズ海峡の船舶航行の封鎖を試みる可能性があるとしている。この場合は、世界の原油市況に大きな影響が出よう。
(6)「イランの最高指導者ハメネイ師の上級軍事顧問の息子であるハムゼ・サファビ氏はイランのニュースサイト「エンテハブ」に対し、個人的な見解と強調しつつ、「今回、イランはそうした配慮を脇に置き、実害を与える報復に踏み切るだろう」と語った。サファビ氏はさらに、今後戦争が発生した場合、イランはより高度な軍事技術を公にすることになるだろうと主張し、イランは報復においてもはや米国とイスラエルを区別しないとした。「イスラエルが(イランへの)攻撃を開始すれば、イランは米国も攻撃する。そして米国が(イランを)攻撃すれば、イランはイスラエルも標的とするだろう」と述べた」
イランは、イスラエルと米国を相手に戦うとしている。戦線拡大は不可避であろう。米軍によるベネズエラ急襲と、レベルの違う戦いになることは十分に認識すべきであろう。





