韓国は、半導体ファンドリー(受託生産)市場で日本の進出に警戒感を強めている。日本は、半導体装置や半導体素材で高いシェアを占めるだけに、総合力で韓国へ迫るという警戒感だ。特に、日本は台湾半導体と強い関係を持つだけに、急速にキャッチアップするものと見ている。韓国の産業研究院は最近発行した「未来戦略産業ブリーフ」で、「25年には、台湾、韓国、米国、27年には日本を含むファウンドリー4強体制になるだろう」と予想しているほどだ。
『朝鮮日報』(3月5日付)は、「半導体素材大国の日本、台湾と手を組み復活する」と題する記事を掲載した。
1月末に東京で取材に応じた英系調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティング
ディレクターは、「日の丸半導体は単独では復活できないほど台湾、韓国、米国に後れを取っている」とし、「日本は台湾との半導体同盟を通じ、再び世界のサプライチェーンで重要なポジションを占めることになる」と述べた。
(1)「1980年代に世界最大の半導体生産国だった日本が、台湾積体電路製造(TSMC)との協力をきっかけとして、過去の栄光の再現に取り組むというのだ。南川氏は30年余りにわたり、東京、香港、台湾のガートナー、IDCジャパン、HIS、オムディアなどの市場調査会社で一貫して半導体を研究してきた日本の代表的なアナリストだ。南川氏は「TSMCは現在熊本に日本で初の工場を建てており、近いうちに第2工場の検討に入る」とし、「長期的には日本と次世代半導体技術を共同開発する段階まで行くだろうし、真の同盟はそこからだ」と話した」
日本が、先端半導体生産目的で「ラピダス」を設立した。将来は、TSMCと共同開発して日台半導体同盟を作る、としている。
(2)「南川氏は、「日本は半導体設備では世界シェア35%で、米国(40%)に次ぐ2位であり、半導体素材は55%を占める世界首位だ」とし、「日本の設備・素材企業が(サムスン電子より)TSMCを優先して技術開発に協力すればウィンウィンになる」と話した。また、「日本の弱点は半導体工程エンジニアが非常に少ないことだが、TSMCの半導体工場で日本の半導体人材が育成されるだろう」と指摘した」
日本は半導体設備で世界シェア35%の2位、半導体素材は55%で世界首位である。これらを基盤にして、先端半導体へ頭角を現せば、半導体総合力で世界トップになれる。
(3)「半導体が、世界の安全保障で重要要素として浮上したことも、日本の半導体復活にはチャンスだという。南川氏は「米国は長い間アジアの安保戦略で日本を最も重要な戦略的パートナーと考えてきた。半導体サプライチェーン戦略でも同じだ」とし、「米国のそうした政策を背景に、日本と台湾は強い協力関係を深めている」と述べた。南川氏は、「台湾のTSMCと米国のIBMが日本で日本企業と共同プロジェクトを行うのもそうした理由からだ」と話した。米IBMは日本で新たに設立されたラピダスと次世代の2ナメートル製造プロセスの共同研究を推進する」
日米台の「半導体三角同盟」は、世界最強の実力を備える。ラピダスは27年には次世代半導体「2ナノ」の量産化に着手する。そのときは、日本の産業構造を大きく前へ進める原動力になるはずだ。日本人が、再び自信を持つであろう。
(4)「TSMCとサムスン電子のファウンドリー競争については「格差が大きい」とした。南川氏は「最先端半導体分野ではTSMCが90%のシェアを確保しており、TSMCは規模の経済を利用して生産ライン1本当たり1~2種類の半導体を集中生産するのに対し、サムスン電子はライン1本当たり数十個の半導体をローテーションで生産している」とした上で、「競争力の核心である収率はTSMCが80%であるのに対し、サムスン、インテルは50~60%水準だ」と指摘した」
TSMCの収率が80%と高い裏には、日本製の半導体素材が使われているという「隠れた事情」がある。TSMCが、日本で研究所を開設した理由は、さらに日本企業と密接になろうという狙いだ。日台半導体同盟が結成される背景には、こういう協力関係が存在する。