EU(欧州連合)は、中国からのダンピング輸出の被害を受けている。EUの太陽光パネルは、中国メーカーに駆逐されてしまったほどだ。次は、EV(電気自動車)の進出でないかと恐怖感を募らせている。先に、英仏独の各首脳はそれぞれ訪中して、中国のダンピング輸出へ苦情を伝えてきたほどである。
このように、EUは、中国からの被害者になっているが、専門家グループの「欧州地政学的戦略に関するタスクフォース」は、2月のリポートで「中国が輸入の80%超を欧州に頼る重要なチョークポイントは41、米国の場合はこれが67ある」と指摘した。欧州が、地政学的な対立に利用できる手段を単にマッピングするだけでも、中国へより積極的な態度を取るための一歩になる。これらの研究は、欧州の指導者らに多くの知恵も提示していると評価されている。EUの対中国攻略戦法の指南書である。
『レコードチャイナ』(3月14日付)は、「対中依存、欧州は想像されているほど弱くはない―独メディア」と題する記事を掲載した。
独国際放送局『ドイチェ・ヴェレ』中国語版サイト(3月12日付)は、欧州が中国からの経済的威圧に対抗しうる独自の交渉材料を持つとする独紙の論評を紹介した。
(1)「記事は、欧州経済界が「チャイナ・ショック」に直面し、中国製品の大量流入により雇用が脅かされるとともに、対中依存度が深まる中、EUの産業戦略担当委員セジュルネ氏が「メード・イン・ヨーロッパ」計画を提唱したことを伝えた。一方で、同計画は保護主義的な色彩が濃く、中国製電気自動車(EV)との競争圧力が減れば、域内企業の技術革新意欲も低下するという弊害があると指摘。その中でも、推進派は基幹技術分野での対中依存リスクを警告し、少なくとも重要製品は域内で生産すべきだと主張していることを紹介した」
EUにも、相変わらずの自由貿易論が残っている。確かに公正な競争は、「資源最適配分」をもたらすが、それは即、EUの失業者を増やす道にもなるのだ。相手国のダンピング輸出が、逆に適正資源配分を歪める恐れが強い。なまじ「理論かぶれ」していると、中国の餌食にさせられるリスクを高める。
(2)「記事は、『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙が評論の中で、真に重要なのは域内生産の拡大ではなく、「輸入依存が一方的でないこと」だと主張したことに言及。貿易相手国も欧州の特定製品に高度に依存していれば、欧州の自主性はおのずと高まると論じたことを伝えている。また、同紙が「欧州地政学戦略タスクフォース」の研究により、機械設備や医療製品など中国が80%以上を欧州からの輸入に頼る41種類の「ボトルネック」製品が存在すると指摘し、EUが日本やカナダと連携すれば、中国に対する強力な交渉材料になるとの見解を示したと報じた」
輸出入は、バランスのとれることが原則である。中国のダンピング輸出によって、一方的に貿易赤字を押しつけられるのは不公平そのものだ。中国は、25年世界貿易黒字の半分を占めている。これは、決して自由貿易の結果ではない。ダンピング輸出というまぎれもない不公平実態を浮き彫りにしている。
(3)「記事によると、同紙はさらに、米国もEUの特定製品に高度に依存している点に触れ、トランプ大統領が関税で威嚇したり中国が重要中間製品の供給停止を示唆したりした場合でも、欧州には輸出停止などの対抗措置を講じる能力があると指摘。米中の間で翻弄される「駒」でいるリスクの方がはるかに大きいとして、欧州は衝突を恐れず自らの圧力手段を行使すべきだと結論づけている」
それは、「パートナーシップの管理から力の行使へ」と視点を広げる必要性だ。EUにとっては、様々な報復措置を可能にする「反威圧措置(ACI)」の発動基準を下げることを意味する。事後的に対応するだけでなく、脅威が現実のものとなる前にACIを発動して脅威を退けるのだ。これは、たんなる受け身でなく、積極的に「やり返すこと」としている。
また、利用できるのは希少な商品だけにとどまらないという教えもある。大きな消費者市場や金融市場を抱えているEUは、問題を起こす相手国からのアクセスを拒否できることも一種の影響力になると強調する。要するに、「喧嘩上手になれ」ということだ。やられっぱなしでなく、やり返せという勇ましい提言である。米国や中国のやり方を少しは見倣えということでもあろう。





