(4)「シラク氏の公約は2016年、ついによみがえった。イダルゴ市長が24年夏季五輪招致を前に、その約束を再び掲げたのだ。この時は10億ユーロ(約1840億円)超を投じ、パリの下水処理を刷新。川沿いの数千世帯を初めて下水道網につなぐ壮大な土木事業が進められた。パリの既存の下水道は19世紀にジョルジュ・オスマンによる都市近代化計画のもと造られたもので、雨水と下水が同じ管を流れる仕組みになっている。このため、大雨が降ると、あふれた水は常にそのまま川に流れ込んでいた。今は、その余剰分はオステルリッツ貯留槽へ流され、天候が回復するまで地下深くにとどめられた後、市外の処理施設へ徐々にくみ上げられる。当局によると、この仕組みによって、セーヌ川への大規模な下水越流の発生回数は年15回から2回ほどにまで抑えられるようになった」
シラク元大統領は、熱烈は親日家であった。特に相撲フアンで有名であり、自衛隊がパリ市内をパレードしたこともある。旭日旗を掲げての行進で、韓国の学者が抗議するという一幕もあった。
(5)「この事業は、五輪のトライアスロンとマラソンスイミングに間に合うよう進められた。競技後に体調不良を報告した選手もいたが、水質との明確な関連は確認されず、セーヌ川での遊泳に対する1世紀にわたる心理的ハードルはついに取り除かれた。1年目となる2025年の一般開放シーズンには約10万人が遊泳を楽しんだ。今年の夏にはレイアウトが改良され、無料の公共遊泳スポットが3カ所設けられた。ノートルダム大聖堂にほど近いルイ・フィリップ橋の下のブラ・マリーでは、旧市街のパリらしい景観を楽しめる。さらに西に位置するグルネルでは、エッフェル塔と4分の1サイズの自由の女神像をまっすぐに見ながら泳ぐことができる」
セーヌ川での水泳解禁は、今年で2年目である。旅の思い出を作るには、水泳がお勧めである。ぜひ、ひと味違った楽しみ方をしていただきたい。
(6)「一つ警告しておくとすれば、水の色はターコイズブルーよりもカーキ色に近く、ときおり漂うごみらしきものに出くわすかもしれない。においにも改善の余地がある。泳いでも安全かどうかは判定するシステムで分かる。緑は問題なし、黄色は強い流れや嵐などのため注意、赤は水質悪化や天候を理由とした遊泳禁止を意味する。昨年7月の場合、緑は31日のうち18日だけだった。市が川沿いの複数の地点で、主に大腸菌など下水汚染の兆候を調べる検査を毎日実施しているためだ。赤の合図が出ると、川が自然に浄化されるまで1~2日の間、遊泳スポットは立ち入り禁止となる。巨額の浄化計画に価値があったかどうかはパリ市民の間で今も議論の的となっている。だが次の熱波が襲来し、再び煮えたぎるような暑さに見舞われ始める中、いよいよ川に飛び込もうと決意する市民が増えれば、その評価はもっとはっきりするかもしれない」
昨年7月の場合、水泳可能な「緑」の日は、31日のうち18日だけだった。可能性は58%である。旅行者で、この機会を利用できる可能性はより少なくなろう。


