オーストラリアと日本は18日、100億豪ドル(約1兆1380億円)規模の新型護衛艦の供給に関する契約を締結した。日本が、2014年に防衛装備移転三原則を策定して以来、最も重要な防衛装備品の輸出案件となる。
マールズ副首相兼国防相と小泉進次郎防衛相は、新型艦の「確実な引き渡しに向けた両国政府の共通の決意」を再確認する覚書に署名した。昨年8月に合意に至ったこの契約は、中国の台頭を念頭に、戦後の平和主義から一歩踏み出し、日米同盟の枠を超えて安全保障上の連携を強化しようとする日本の姿勢を象徴するものとなる。11隻を建造し、2029年の納入開始を見込む。最初の3隻は、日本国内で三菱重が製造予定。残りの8隻については豪州で製造される予定だ。
『日本経済新聞 電子版』(4月19日付)は、「もがみ型護衛艦、日豪が契約完了」と題する記事を掲載した。
小泉進次郎防衛相と豪州のマールズ副首相兼国防相が18日、関連文書に調印した。日本は豪州との安全保障協力を深め「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を拡充する布石にする。「もがみ」型護衛艦の改良型を輸出する。小泉氏は18日の日豪防衛相会談の冒頭で「多くの関係者の尽力に心から感謝、敬意を表する。日豪すべての関係者を誇りに思う」と述べた。マールズ氏は、日豪関係について「世界のどの国よりも、日本ほど私たちと強い戦略的な一致を持つ国はない」と強調した。
(1)「豪州は2025年8月に、もがみ型の採用を決めた。11隻導入する方針で3隻は日本で三菱重工が建造する。残りを30年代初頭以降に豪州西部の造船所でつくる見通しだ。敵のレーダーにうつりにくいステルス性能、少ない人数で動かせる省人化が強みとなる。同社はこれまで海上自衛隊向けに、もがみ型を12隻つくった。この実績を生かし豪州が求める性能を反映した護衛艦を納入する」
もがみ型護衛艦は、敵のレーダーにうつりにくいステルス性能、少ない人数で動かせる省人化が強みである。ドイツと入札を競い競り勝った。ポイントは、この省人化にあった。
(2)「海自と豪海軍が、同型の艦艇を使い現場レベルでの協力を円滑にする。共通して使える整備拠点を分散できる利点もある。日豪はすでに弾薬などを融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)や部隊の相互往来を容易にする円滑化協定(RAA)を結んだ。防衛装備品の生産連携も加えて協力の幅を広げる。戦略文書の改定でも足並みをそろえる。豪州は16日に公表した「国家防衛戦略」に自衛隊と「高度な相互運用性を強化する」と明記した。小泉氏は26年内の安保関連3文書の見直しを念頭に「緊密な防衛協力を発展させる好機だ」と記者団に語った」
日豪両軍は、すでに合同訓練も実施するなど密接な関係を維持している。この上、装備の共通化が進めばはるかに効率的な運営が可能になる。日豪は、インド太平洋戦略(FOIP=日米豪印)の同士国である。
(3)「両氏は記者会見で、共通の同盟国である米国の重要性を強調した。米国が「西半球」や中東へと安保上の重点を移していることへの懸念の裏返しでもある。海洋進出を強める中国へ対抗するため、日豪は自前の海上戦力を強化する重要性が増す。日本はもがみ型をテコにニュージーランドとの距離も縮める。同海軍も関心を寄せる。豪NZは3月に開いた外務・国防担当閣僚協議(2プラス2)で防衛装備品の共通化を目指す方針を確認した。防衛協力の強化は、高市早苗政権が掲げる同志国連携の柱といえる。首相は2月の施政方針演説で「FOIPの取り組みを戦略的に進化させる」と訴えた」
日本は、もがみ型をテコにニュージーランド(NZ)との距離も縮める方向である。豪州は、NZと密接な関係であるので、この延長でもがみ型の導入を働きかけたいのであろう。
(4)「首相は、4月下旬から始まる大型連休に豪州の訪問を検討する。経済活動に不可欠なレアアース(希土類)などのサプライチェーン(供給網)の強化を狙う。経済安保を含めた豪州との連携を太平洋地域の安定に向けた足がかりとする」
日本は、豪州とレアアースでも密接な関係を維持している。日豪は、ともに米国の同盟国である。いわば、「親類同士」の仲だ。



