勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 東南アジア経済ニュース時報

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    日本が新たに展開する防衛装備品で、新型護衛艦(フリゲート艦)が周辺国から関心が高まっている。「売り」は、高性能であることだ。潜水艦を探知し、水中ドローンを配備でき、さらに少人数の乗員で運用可能なステルス性能を持つ洗練され護衛艦である。海上自衛隊が2022年から運用している「もがみ型」護衛艦は、日本が数十年にわたり維持してきた防衛装備移転三原則の運用指針を緩和し、海外への売り込みを目指すハイテク兵器の象徴である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月22日付)は、「日本の新型護衛艦が輸出へ舵 海外で高い評価」と題する記事を掲載した。

     

    世界の兵器需要は、他国からの脅威の高まりや長年の投資不足を受けて急増している。世界最大の防衛装備品輸出国である米国は、製造能力のボトルネックや、イラン戦争をはじめとする近年の紛争対応に追われ、同盟国への兵器供給に苦慮している状況だ。

     

    (1)「第2次世界大戦中に零式艦上戦闘機(ゼロ戦)や旧日本海軍の巨大戦艦を造った三菱重工業は2019年以降、今月末までにもがみ型を計10隻建造する見通しだ。対照的に、米国の老朽化したフリゲート艦の更新計画は、設計変更やコストの高騰、開発中止に見舞われ、足踏みを続けている。輸出への転換は、日本が第2次世界大戦の敗戦後に採用した平和主義からのさらなる脱却を意味する。高市早苗首相は、当局が「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」と表現する現状に対応し、防衛政策の抜本的な見直しを主導している」

     

    ロシアのウクライナ侵攻をみれば、中国や北朝鮮がいつ「牙」剥くか、安閑としていられない状況だ。これは、ASEAN(東南アジア諸国連合)も同じ危機感を共有している。

     

    (2)「中国は、海軍力を急速に増強しており、日本やフィリピン、ベトナムなどの周辺国に対して海洋権益の主張を強めている。同時に、トランプ米大統領が中国の習近平国家主席との関係改善や通商合意の獲得に動いていることで、米国の「アジア防衛への関与」に対する不安がアジア全域に広がっている。トランプ氏は同盟国に対し、軍事費の負担が不十分であり、安全保障を米国に依存しすぎていると非難を続けている」

     

    米国のトランプ大統領の「移り気」をみていると、どこまで安全保障上で安心していられるのか、米国同盟国や友好国はにわかに懸念を深めるに至った。

     

    (3)「日本は、「自衛隊」として知られる軍事力の強化を段階的に進めており、台湾へと連なる脆弱(ぜいじゃく)な島嶼部の要塞化に長年取り組んできた。武器輸出の制限を緩和することで、日本は規模の小さい国内防衛産業を活性化させ、オーストラリアやインドネシア、フィリピンなどの国々に装備を提供して、地域安全保障においてより大きな役割を果たすことを目指している。もがみ型護衛艦は、まさにこうした目標を体現する存在だ。フリゲート艦は海洋防衛の要であり、駆逐艦より小さく、コルベット艦より大きいこの艦種は、大型艦の護衛から機雷戦、潜水艦狩りまで、洋上での幅広い任務をこなす」

     

    アジア各国の安保上の不安が、日本への武器購入希望となって表れている。海上防衛では護衛艦が必要というわけで、日本のもがみ型護衛艦が最適とされている。

     

    (4)「米国の次世代フリゲート艦建造計画は難航している。海軍の最新の予算要求によると、新型フリゲート「FF(X)」の1番艦のコストは約14億ドル(約2260億円)に上る。 これに対し、日本の2025年度防衛予算によると、もがみ型の最新バージョン(新型FFM)の価格は約7億1000万ドルである。英防衛企業バブコック・インターナショナルが製造する英国の「インスピレーション級」は、約3億3000万ドルとさらに安価だ。フランスとイタリアも同規模のフリゲート艦を建造しているが、価格はもっと高価になる)」

     

    もがみ型の最新艦(新型FFM)の価格は、約7億1000万ドル。米軍の約14億ドルに比べて半値である。英国は、約3億3000万ドルとさらに安価だ。

     

    (5)「もがみ型には、いくつかの重要な優位性があるという。コンパクトで角張ったデザインは、波間に紛れて敵のレーダーから隠れるのに役立つ。ガスタービンとディーゼルの複合推進システムにより、遠洋での運用が可能だ。陸上、海上、空中の目標を攻撃できるミサイル、潜水艦を撃破する魚雷、攻撃から自艦を守る迎撃ミサイルを装備する。機雷の探知や敷設も可能だ。さらに、乗員に周囲360度の視界を提供するモニターを備えた未来的な戦闘指揮所(CIC)や、高度なソナー、水中戦闘・偵察用のドローンを格納・配備できるハッチを備えている」

     

    もがみ型は、陸上、海上、空中の目標を攻撃できるミサイル、潜水艦を撃破する魚雷、攻撃から自艦を守る迎撃ミサイルを装備する。

     

    (6)「在日米海軍の駆逐艦で指揮を執り、現在はアジアの安全保障問題に取り組む民間非営利組織(NPO)「YCAPS」の執行責任者を務めるジョン・ブラッドフォード氏は、「間違いなく同クラスで最高だ」と評する。もがみ型の最も注目すべきセールスポイントは、多くのシステムに自動化を取り入れたことで、同規模の艦艇では通常100〜140人の乗員が必要なところ、わずか90人で運用できる点だ。もがみ型の開発を主導し、現在は笹川平和財団の上席研究員を務める元海上自衛隊海将補の河上康博氏は、「人員が不足している国には大きなメリットとなる」 と指摘する」

     

    もがみ型護衛艦は、間違いなく同クラスで最高と折り紙付きである。わずか90人で運用できる点が魅力とされる。乗員が不足している国には、大きなメリットとされる。コンパクトなのだ。

     

     

    (7)「日本はすでに「もがみ」について、アジアで最初の大口顧客を獲得している。オーストラリアは今年4月、航続距離を延長し32セルのミサイル発射装置を備えた能力向上型のもがみ型護衛艦3隻を調達する契約に署名した。1番艦は2029年に引き渡される予定だ。ニュージーランドとインドネシアも、海軍の近代化に向けてもがみ型の導入を検討中だと表明している。また日本は、インドネシアやフィリピンに対し、防衛能力強化のために退役済みの旧型艦艇の提供も申し出ている」

     

    オーストラリアは今年4月、もがみ型護衛艦を3隻発注した。ニュージーランドとインドネシアも、同型の導入を検討している。ンドネシアやフィリピンはまた、退役済みの旧型艦艇の提供も申し出ている。 

     

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    21世紀は、アジアの時代と喧伝されたが、その足元から高齢化の警戒信号が上がってきた。年金制度も完備していないなかで、このまま「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」と老齢化が進めば、日本への労働力供給も減るほかない。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月10日付)は、「東南アジアに迫る『日本並み』高齢化、年金など備え脆弱」と題する記事を掲載した。

     

    東南アジアに老いが迫っている。生産年齢人口(15〜64歳)が全体に占める割合は2024年に低下に転じる見通し。今後、高度成長期以降の日本のような高齢化の波が押し寄せる。若さで回ってきた国々だけに備えは乏しい。一般的な定年が早いうえに公的年金のカバー率は4分の1ほどにとどまる。シニア層が安心して暮らせる安全網の構築や、希望に応じて働き続けられる環境整備が課題になる。

     

    (1)「ベトナム最大都市のホーチミン市は1月、最大32万人の労働力が24年に不足すると発表した。米企業が建設する半導体工場もあおりを受ける。米側の担当者は「数十億ドルの投資に必要な技術者数には全く至っていない」と漏らす。人手不足は一過性ではなく構造問題として続く公算が大きい。国連の推計では東南アジア11カ国の生産年齢人口比率は23年の68%で頭打ちとなり、下り坂に入る。タイは13年、ベトナムは14年に既にピークを迎えた。30年には域内最大で世界4位の2億7000万人の人口を抱えるインドネシアが峠を越す。豊富な労働力が経済を押し上げる人口ボーナス期の終幕だ」

     

    ベトナムで、24年に労働力が24万人不足するという試算が出た。ベトナムでの半導体工場建設に必要な技術者が、全く足りないという事態を迎えている。

     

    (2)「アジア全体で65歳以上の割合は2019年に「高齢化」の節目の7%を超えた。43年には「高齢社会」の区分に入る14%へ達する。24年間での移行は、かつての日本(1970〜94年)と同じ急速なペースだ。もちろん国によってばらつきはある。平均年齢をみるとシンガポールは41.5歳と日本や欧州の主要国と同じ40代に上昇している。フィリピンは29.3歳とまだ若い。いずれにせよ遅かれ早かれ高齢化が待つことは変わらない。働き手としても消費者としても経済を支えてきた層が順次、支えられる側に回る。現状の備えは心もとない」

     

    東南アジアが、高齢化社会から高齢社会入りするスピードは、日本と全く同じスピードで進んでいる。これは、東南アジアが間もなく超高齢社会へ突入するサインと読めるのだ。東南アジア全体が、急速に「老いて」いくのだ。

     

    (3)「東南アジアでは、年を取っても働くという意識が薄い。タイやマレーシアの一般的な定年は55歳だ。日本総合研究所の熊谷章太郎氏は「東南アジアは介護保険制度などの対応も遅れている。将来、政府や家計の負担が急激に増えかねない」と危惧する。定年を官民で段階的に引き上げてきた日本でさえ高齢化の重荷に苦しむ。生産年齢人口比率がピークの1992年に国内総生産(GDP)比で11%だった日本政府の社会保障支出は、その後30年間で25%まで膨らんだ。経済協力開発機構(OECD)の21年のデータによると年金カバー率は、インドネシアやベトナムで2割台にとどまる。比較的高いシンガポールでも5割台で、OECD平均(87%)との差は大きい」

     

    日本は、田中角栄首相時代に「国民皆保険」を実施した。東南アジアでは、年金カバー率が、インドネシアやベトナムで2割台にとどまっている。今後の急速な高齢化を考えると。他国のことながらどうなるのか。若者は、日本で働きお年寄り扶養で仕送りをする形が定着するだろう。事前に、そういう環境をつくる必要性が増す。

     

    (4)「東南アジアの変化に日本も無縁ではいられない。とりわけ労働力は深く依存してきただけに影響が大きい。23年10月時点の外国人労働者は初めて200万人を超え、国別ではベトナムが約52万人で最も多かった。フィリピンも約23万人で3位。明治大学の加藤久和・副学長は「自国が人手不足になれば日本に労働者を送り出しにくくなる」とみる」

     

    東南アジアは、成長の下り坂に入りながら迫り来る老いに備えるという難題に向き合わなければならない。中国も全く同じ条件下にある。日本は、これまで足りない労働力は東南アジアへ依存するという姿勢であったが、それもこれからは難しくなろう。

     

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