a0070_000030_m
   

春節連休開け初日の台湾証券市場は2月15日、世界最大のファウンドリ(半導体受託生産)企業であるTSMC株が急騰し、主要株価指数が最高値を更新した。台湾の加権指数はこの日終値基準で3.03%上昇した1万8644.57で取引を終え、2022年1月当時の最高値を超えた。特に加権指数で、約30%の比重を占めるTSMC株は、この日終値基準で7.89%も上昇して最高値を更新した。

 

TSMC株が、台湾証券市場で高い人気を得ている裏には、TSMC熊本工場の竣工が材料になっている。2月24日には、開所式を迎える予定だけに、TSMC「日本戦略」が台湾で高く評価されている証拠であろう。

 

『レコードチャイナ』(2月16日付)は、「TSMC、『日本モデル』で世界展開に備える―香港メディア」と題する記事を掲載した。

 

香港メディア『香港01』は、台湾の半導体製造大手TSMCが熊本に建設した工場が年内に量産を開始し「日本モデル」を柱とする世界戦略を展開すると報じた。

 

(1)「記事は、TSMCの熊本工場が今月24日に竣工式を行い、今年10〜12月期に12(ナノ=10億分の1メートル)、16(ナノ)、22(ナノ)、28(ナノ)プロセス半導体の量産を開始する予定だと紹介。半導体業界の専門家からは熊本工場がTSMCにとって顧客の地政学やサプライチェーンに関するニーズに対応するグローバル拠点として重要な存在になるとの声が出ていると伝えた」

 

日本国内では、「40ナノ」半導体生産が限度であった。TSMCでは、12ナノまでの先端半導体を手がける。日本の半導体業界にとっても良い刺激となろう。TSMC熊本工場は、引き続く第二工場建設に入ると発表済みである。熊本工場が、TSMCの「日本モデル」として、米国やドイツで工場建設の見本とされる。

 

(2)「TSMCが、米アリゾナ州で20年5月より4(ナノ)プロセスの量産工場を建設する計画を進めているほか、23年8月にはドイツの子会社に出資してドレスデンに工場を建設する方針を示す中、熊本工場はTSMCの新たな海外戦略で最初に稼働する海外工場になると紹介している。その上で、台湾工業技術研究院の楊瑞臨(ヤン・ルイリン)院長がTSMC熊本工場の急速な進展について、国や現地行政による補助の進捗や規模、サプライチェーンの充実度や支援の度合い、そして人件費などの運営コストという3つのポイントにおいて優位性を持っていることに関係していると指摘したことを伝えた」

 

TSMCは、米国アリゾナとドイツ・ドレスデンでそれぞれ工場建設を計画している。その建設ひな形として、熊本工場の超スピードの竣工工程から学ぼうという姿勢である。熊本では、日本政府の補助金・鹿島の超スピード建設・地元自治体の協力という3本柱が旨く機能した。米独で、同じことを期待しても無理とされている。日本をひな形にして、できるだけ近づけるのであろう。

 

(3)「また、台湾の陳良基(チェン・リアンジー)前科学技術部長も同様の見方を示し、「日本の半導体産業は依然として強固な基盤を持っており、設備と材料において大きな優位性を持っている。また、台湾と日本は常にサプライチェーンで深いつながりがある。そして、市場が近くスケールメリットが十分に得られる点も大きい」と分析したことを伝えた」

 

日台関係は、政治的にも密接な関係があるので、熊本工場建設で成果を上げている。

 

(4)「台湾メディアの報道として、TSMCが日本工場を完成させた意義について「海外戦略が成長を促進し、経営状態が安定する」「台日本産業連合が地域生産に相乗効果をもたらす」「日本工場はTSMCの越境経営の練習場となる」「ドイツと米国での工場建設の進展を促進する」「半導体ウエハー産業の成長に向けたビジネスチャンスを獲得する」という5点を挙げたことを紹介。楊氏が「米国はTSMCにとって最大の市場であり、日本よりも需要が大きい。もし米国の補助金額が期待通りでない場合、熊本工場は米国とドイツの顧客のニーズを満たすTSMC第2の供給源となり、TSMCの世界戦略上で重要な拠点になる可能性がある」と論じたことを伝えた」

 

米国が、TSMCへの補助金支給がスムースに行かない場合、熊本工場からの輸出でカバーすることも視野に入れている。TSMCは、日本という強力な基盤を得て、米国への強気の交渉をする姿勢をみせている。