中国の習近平国家主席は先頃、米経済界に対して中国への直接投資を要請した。現実は、アマゾンやグーグルなで米国ビックテックは、生産委託先の台湾企業に対してメキシコへの移転要請を出していることが判明した。米中対立と地政学リスクが、こうした動きを加速させている。
『中央日報』(4月2日付)は、「中国の代わりに浮上するメキシコ、フォックスコン AIハードウエア工場敷地取得」と題する記事を掲載した。
アップル最大の協力会社であるフォックスコンをはじめとする台湾の部品メーカーなどが、生産工場を相次いでメキシコに移している。協力関係にある米国のビッグテックが中国への依存度を減らそうとこれら台湾企業に「中国外生産」を要求するためだ。台湾企業は中国に代わる生産基地として米国と自由貿易協定を結んだメキシコを選択している。
(1)「『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月31日付)によると、フォックスコンは2月に「メキシコのシリコンバレー」と呼ばれる西部ハリスコ州の土地を2700万ドル(約41億円)で取得した。人工知能(AI)ハードウエア生産工場を作るためだ。フォックスコンは2009年に米サンディエゴと国境を接するメキシコのティファナにあるソニーの工場を買収し半導体部品を生産してきた。続けて2020年から現在まで6億900万ドルを投じて追加の工場設立に乗り出している」
米中対立によって、米国企業の「脱中国」の勢いが強くなっている。米企業の製造委託先である台湾企業に対して、メキシコへの生産拠点の移転を要請しているからだ。
(2)「同紙は、関連業界専門家らの話として「この工場ではアマゾンとグーグル、マイクロソフト、エヌビディアなど米国主要企業に向けたAIハードウエア生産が主になるだろう」と伝えた。サーバーやストレージシステム、冷却・連結装置などAIハードウエアはデータセンター構築に必須の要素だ。フォックスコンをはじめと、インベンテック、ペガトロンなどの台湾企業が生産で世界シェア90%を占めている」
デルやヒューレット・パッカードのような米国の主要サーバーメーカーが、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、エヌビディアなど米国主要企業に向けたAIハードウエア生産を、脱中国でメキシコ移転を要請している。
(3)「台湾を代表するこれら部品メーカーがメキシコに向かう理由は、デルとヒューレット・パッカードのような米国の主要サーバーメーカーが、中国に対する依存度を減らすよう要請したためだ。これら企業は協力企業に一部サーバーとクラウドコンピューティング装備生産を東南アジアとメキシコに移転するなど供給網多様化を要求している。同紙は、「AI装備生産が拡大するにつれ米国企業は約15年前にスマートフォンが発売された時の歴史を繰り返さないために努力しているもの」と分析した。現在、スマートフォンと部品の大部分は中国で生産されている。フォックスコンの場合、中国鄭州にiPhone生産基地を置いている」
米国の主要サーバーメーカーは、米中対立が長期に及ぶと判断をしている。アップルの場合、中国でスマートフォンと部品の大部分を生産しているが今や、工場移転を迫られている。主要サーバーメーカーは、こういう「失敗」を繰返さぬように「脱中国」を前提にしているのだ。
(4)「メキシコは、台湾企業にさまざまな面で魅力的だ。世界最大の輸出市場である米国と地理的に近いながらも人件費負担は低い方だ。2020年に米国・メキシコ・カナダ間自由貿易協定(USMCA)発効後に低い関税が課されている。メキシコは50カ国と自由貿易協定(FTA)が締結された状態だ。同紙は、2020年のUSMCA発効後に中国からメキシコに生産基地を移転した企業が数十億ドルをメキシコに投資したと伝えた。メディアは「AIは米中緊張が高まってメキシコがますます多くの役割を受け持っている先端製造分野のひとつ」と伝えた」
メキシコは、米国・メキシコ・カナダ間自由貿易協定(USMCA)により無関税で米国へ輸出できる。この利点を生かすべく、中国からメキシコへの生産基地移転が活発だ。中国企業も、この恩典に浴すべく進出を目指して米国から警戒されている。
(5)「メキシコの産業界も鼓舞されている。メキシコ経済人連帯会議のフランチスコ・セルバンテス会長は「こうした流れは今後10年間メキシコの産業構造を劇的に変化させるだろう」と話した。台湾メーカーの脱中国とメキシコ行きが加速化し、現在までメキシコに進出した台湾企業は300社に達する。雇用人数も7万人を超える。台湾とメキシコの貿易規模は150億ドル水準だ」
台湾企業の300社は、脱中国でメキシコへ移転している。中国にとって痛手だ。