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中国と北朝鮮は、ハッカーが大活躍している。中国は、技術情報の盗み出し。北朝鮮は、外貨の獲得である。ドイツのVW(フォルクスワーゲン)は、2010年から同社システムの脆弱なところから侵入を試み、2011年と2012年には一部のデータが盗まれていた。2013年には管理者権限が盗られ、多くのデータがコピーされていたという。 

ハッカーの正体は不明だが、アドレスは北京となっている。盗まれた技術は、ガソリンエンジン、ギアボックス(変速機)などという。中国は、精密技術が不得手である。未だにまともなエンジンを製造できないと指摘されている。こうした弱点を解決すべく、エンジンが要らないEV(電気自動車)へ特化した理由である。 

『COURRiER Japon』(4月25日付)は、「中国ハッカーに『極秘技術』をごっそり盗まれていた独フォルクスワーゲン」と題する記事を掲載した。 

独メディア『ZDF』によると、販売台数で世界第2位の自動車メーカーである独フォルクスワーゲン(VW)が、大規模なハッキング被害に遭っていたことが明らかになった。

 

(1)「VWは、2010〜2015年にかけて同一のハッカーから何度もサイバー攻撃を受けていた。犯人の正体はわかっていないが、専門家によると、中国のハッカーである可能性が高いという。そのIPアドレスが北京につながっており、中国の人民解放軍の近くにまで辿ることができたからだ。決定的な証拠はないが、ハッキングに使われたスパイソフトは、中国のハッカーが利用する「プラグX」や「チャイナ・チョッパー」であった」 

ハッカーのIPアドレスは、北京の人民解放軍近くでたどれたが、その先は不明という。これだけの情報で、犯行の主は推測できる。 

(2)「ハッカーは、2010年から同社システムの脆弱なところから侵入を試み、2011年と2012年には一部のデータが盗まれていた。2013年には管理者権限が盗られ、多くのデータがコピーされていたという。VWグループのアウディとベントレーも標的になり、合計で19000点ほどのファイルが流出した。標的になったのは、ガソリンエンジン、ギアボックス(変速機)、デュアル・クラッチ・トランスミッション(オートマ車の変速機構)などの主要な技術に関するデータだ。エレクトロモビリティ、燃料電池などの代替駆動システムに関する技術情報も流出した」 

エンジン・EV・燃料電池などの基礎技術が、中国へ渡っている。こういう犯罪に対して、何の痛痒も感じないのだろう。

 

(3)「独誌『シュピーゲル』によると、2014年6月に侵入された際、VWのIT担当者がハッキングに気付いた。同社はそれから対策をとり、一連の攻撃は防ぐことができるようになった。2015年に巨大なITシステムを再構築してITセキュリティのレベルを向上させたという。システムの刷新には数百億円規模のコストがかかった。盗まれたデータがどのように使われたのかはわからない。しかし、自動車産業を専門とする、独オストファリア応用科学大学のヘレナ・ウィスバート教授は、盗まれた「ガソリンエンジンとトランスミッション、そしてEVと水素自動車に関する特定のノウハウに関する情報は、国際競争においてまだ非常に重要な意味を持ちます」とZDFに述べている」 

盗まれた技術であるガソリンエンジン、トランスミッション、EV、水素自動車に関する特定のノウハウに関する情報は、中国の自動車競争力を大いに引上げたと判断されている。 

(4)「中国の自動車メーカーは近年急成長し、電気自動車(EV)分野で圧倒的な競争力を持つ。一方、20年ほど中国の自動車市場でシェア1位を誇ったVWは、2023年にその座を中国EVメーカーのBYDに奪われた。独紙『フランクフルター・アルゲマイネ』によると、VWグループは、中国のガソリン車市場においては20%程度と、いまだ高いシェアを誇る。しかし、EV市場でのシェアは5%程度だ。中国ではEVの販売割合が急激に増えていることを考えると、今後のVWの立場は危うい」 

VWは、中国に基幹技術を盗まれても相変わらずの「親中派」である。度量が大きいのか、市場の大きさに免じて赦したのか。それ以降も、一切の警戒姿勢をみせていないのは不思議である。脱中国を試みなかったからだ。

 

(5)「そんななか、VWは2030年までに中国で30以上のEVモデルを販売することを目指している。同社のオリバー・ブルーメCEOは「ドイツ国内の何十万もの雇用も中国との協力関係に依存しています」と強調し、中国での大規模な投資を発表した。一方、VWの中国事業にかかる政治的リスクも高まっている」 

VWは、ますます中国市場へ執着する姿勢を強めている。中国市場を失ったら、VWの世界的な地位は下落する。トヨタに次ぐ世界2位の座は維持できまい。