テイカカズラ
   

中国外務省は4月30日、中国とフランス、欧州連合(EU)の首脳が近く会談すると発表した。中国の習近平国家主席の5月5日からの訪仏に合わせ、マクロン仏大統領とフォンデアライエン欧州委員長を交えた3者会談を開く。

 

フランス大統領府によると、習氏は67日に夫人の彭麗媛氏とともに国賓として訪仏する。マクロン大統領らと会談する。ロシアのウクライナ侵略や中東情勢、貿易、気候変動問題について話し合う。

 

中国は、これらの一連の会談を通して、対立の深まる米国に対して欧州へクサビを打ち込む思惑かも知れないが逆効果となろう。中国とフランス、欧州連合(EU)の首脳会談では、反中の色彩が強いフォンデアライエン欧州委員長が構えているからだ。習氏が、妙な動きをすればたちどころに反撃されるであろう。

 

5月初旬には、日本EUのハイレベル経済対話をパリで開催して共同声明を出す見通しである。日本からは上川外相と斎藤経済産業相、EUの執行機関・欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長が出席する。共同声明は、日本とEUが経済安全保障の強化に向けた国際的な共同構想を打ち出すという内容だ。

 

具体的な内容は、半導体など戦略物資の調達で、特定国(中国)に依存しないことや、環境への配慮など共通の原則を策定していく。中国製など安価な製品が市場を席巻していることが念頭にある。米国を始め同志国にも賛同を呼びかけ、透明性の高いルールに基づく市場競争を目指すものだ。EUは、日本との共同声明を発表する手はずだ。習氏の訪欧は、具体的な成果を得られないであろう。

 

習近平中国国家主席は4月16日、訪中していたショルツ独首相と北京の釣魚台国賓館で会談した。立て続けに行う欧州首脳との会談によって、「中国包囲網」を打ち破るきっかけにしようとしている。

 

『日本経済新聞 電子版』(4月16日付)は、「習氏『中独で世界に安定を』首脳会談、欧州に再接近」と題する記事を掲載した。

 

(1)「習氏は5月にフランスへの訪問を予定する。欧州の中核である独仏を経済で引き込み、欧州連合(EU)が検討する対中規制の切り崩しを図る。ショルツ氏の訪中は2022年11月以来で、首相就任後は2度目となる。環境相ら3閣僚のほか、高級車大手BMW社長ら独企業トップとともに14日に中国入りした。習氏は16日の会談で「中独は第2位、3位の経済大国だ。世界にさらなる安定をもたらすため協力すべきだ」と述べた。ショルツ氏は「ドイツは保護主義に反対し、自由貿易を支持する。EUと中国の良好な関係促進へ役割を果たしたい」と語った」

 

EUは、中国からの輸出で四苦八苦している。対中輸入で関税引上げなどの規制策を打ち出すのは不可避になっている。それだけに、中国が大上段から振りかざした「正論」を言っても通じる可能性はなくなっている。

 

(2)「中国は、欧州外交を重視する。習氏は5月上旬にフランスやハンガリーを訪問する方向だ。フランスではマクロン大統領と会談し、経済問題などを話し合う。マクロン氏が234月に訪中した際は、習氏が2日連続で一緒に会食するなどして厚遇した。背景には、米国が主導する先端半導体の対中輸出・投資規制への警戒心がある。日本やオランダも同調し、中国の技術開発や産業政策に影響を及ぼしたとされる。中国は、独仏との関係強化を通じ、EUによる中国企業への規制強化を回避する思惑もある。EUは中国政府から多額の補助金を受けた中国製の電気自動車(EV)や太陽光パネルが域内の競争を阻害しているとみて調査を始めた」

中国は、米欧に楔を打ち込むだけでなく、欧州諸国間に楔を打ち込み、独連立政権内にも楔を打ち込もうとしていることは明白だ。これが、外交と誤解している。中国の打つ手は、全て裏を読まれている。それだけに、効果はない。反感を買うだけであろう。欧州にとって、中国はロシアと手を握っている國である。ロシアのウクライナ侵攻は、欧州の危機である。その危機をつくり出したロシアと手を握っている中国は、欧州で歓迎されるはずがないのだ。