米国の仕掛けたイラン戦争で、中国はプラスかマイナスかの評論が出ている。3月中頃までは、中国が安いイラン産石油に依存してきただけに、大きな打撃を受けるとされてきた。だが最近は、事態が長期化すれば安保・経済の分野でむしろ有利という分析が散見される。本当はどうなのか。
結論を先取りすれば、プラスではない。原油高が、国内物価を押し上げてコストプッシュを招くので、「スタッグフレーション」のリスクが高まるのだ。それは、国内の不満を招くので習政権にマイナスとなろう。対外的には、世界の肥料輸出2位の中国が、イラン戦争を機に肥料輸出を止めて途上国から不満を買っている。これもマイナス要因である。
『中央日報』(4月2日付)は、「『イラン戦争は中国に大きな打撃』…この予測が完全に覆った理由」と題する記事を掲載した。
米国・イスラエルとイランの戦争が地上戦に拡大する可能性が高まる状況で中国が漁夫の利を得るという予測が続いている。戦争初期には安いイラン産石油に依存してきた中国が大きな打撃を受けるという見方が大半だったが、事態が長期化し、中国が安保・経済分野でむしろ利益を得るという分析だ。
(1)「『フィナンシャル・タイムズ』(FT)は29日(現地時間)、「イラン戦争は中国の超強大国の地位を強める」と題したコラムで「中国は覇権競争でこの紛争を有利に活用するはず」と予想した。米シンクタンクのワシントン近東政策研究所も「現在として北京は失うものがほとんどない」と説明した。主要海外メディアがこのように予測する最大の理由は安保的側面にある。米国は2011年、外交・軍事政策の中心を中東からアジア・太平洋地域に転換するとして「アジア回帰」を宣言したが、また中東に引き込まれる姿だ」
トランプ米大統領は、4月1日に「2~3週間でイラン撤退」と米国民に向け演説した。これは公約である。ドロ沼の陸上戦にならない以上、短期決戦で終わる。
(2)「実際、東アジアの米安保資産の一部が中東に向かう状況で戦争が長期化すれば、台湾海峡と南シナ海で中国の戦略空間は広がる。国立外交院の印南植(イン・ナムシク)教授は「西太平洋への進出を望む中国を米国が防いできたが、米戦略資産が(中東に)移動し、中国は安保戦略レベルで非常に気持ちが楽になったはず」と説明した。ブルームバーグ通信も「現在、中国が台湾との緊張を高めているわけではないが、台湾は不安を感じている」と指摘した。米国のミサイル在庫回復に数年かかるという点が(米国の)台湾防御などに深刻な影響を及ぼすと伝えながらだ。軍事戦略では実質的利益を得ることができる。地政学専門メディアのモダンディプロマシーは「中国がその間、イランに提供した空中探知レーダーなど各種軍事技術・装備の実戦性能を試す機会」と報じた。また、イラン戦争は中国が米軍戦略を学習する機会でもある」
中国の台湾侵攻計画は、米海軍の潜水艦部隊が台湾海峡で阻止する。爆撃部隊も待機している。米軍の中東移動でもアジアに空白は起こらないのだ。中国が、イランへ提供した空中探知レーダーは、米軍とイスラエル軍によって簡単に破壊されている。実戦性能は落第であったことが証明された。
(3)「経済的な側面でも中国は大きな心配はない。ホルムズ海峡封鎖で世界経済が動揺しているが、中国は数年間にわたり原油備蓄量を攻撃的に増やしてきたため衝撃が少ない方だ。原油備蓄量が世界最大規模で12~14億バレルにのぼり、4カ月間ほど持ちこたえることができる。ロシア産原油を低価格で長期契約した影響も大きい。FTは「(相対的な原油価格安定などで)中国輸出業者の競争力が当分は高まる」と予想した。いくつか変数があるが、ホルムズ海峡で通行料を受けるというイランが人民元で積極的に取引する場合、中国の長い念願事業「ペトロ人民元(石油の人民元決済)」が制限的ではあるものの土台を築くことができる」
中国の原油備蓄量は、国家と商業合わせて13億~15億バレルで、90~120日分に過ぎない。日本の240日分の備蓄からみれば、最大限で半分のレベルである。中国が、日本の半分しか備蓄していないのは、財政負担が大きく断念した結果である。イランが、ホルムズ海峡で通行料徴収などあり得ないことだ。公海通過で通行料とは前代未聞である。
(4)「イラン戦争で原油価格が上昇すると、エコエネルギーに対する関心が世界的に強まり、中国が関連産業(グリーンテック)を掌握するという見方が出ている。中国企業が太陽光パネル、バッテリーなどエコエネルギー設備のグローバル製造能力の約70%を握っているからだ。FTは「最近、中国主要バッテリー企業3社の時価総額が700億ドル以上増えた」と伝えた。今回の戦争で淡水化・製油施設などインフラが破壊されたガルフ国が今後再建に入る場合、中国が先導する確率が高いという分析(欧州シンクタンクの欧州外交協会)もある。
淡水化は、日本の技術が先行している。ガルフ国(湾岸諸国)は、イランと密接な中国へ距離を置き、米国へ接近している。UAE(アラブ首長国連邦)は、日本と密接になっている。オマーン湾のフジャイラ港から、インド洋沖で積み替えた約180万バレルの原油が、日本へ向っている。4月中旬に到着する。日本が、中国よりも選ばれているのだ。



