テイカカズラ
   

トランプ米大統領は9日、ブラジルに81日から50%の新たな相互関税の税率を適用すると表明した。従来の税率の5倍になる。ブラジル政府の偽・誤情報対策やトランプ氏と親しかったボルソナロ前大統領への裁判をやめるよう要求するなど、ルラ政権への不満を示した。

 

『ロイター』(7月10日付)は、「ブラジルに50%関税、トランプ氏が書簡 ルラ大統領は対抗姿勢」と題する記事を掲載した。

 

(1)「トランプ米大統領は9日、ブラジルのルラ大統領に宛てた書簡で、8月1日からブラジルからの輸入品に対し50%の関税を課すと表明した。また、ブラジルで公判中のボルソナロ前大統領に対する支持を改めて示し、書簡の中で、ボルソナロ氏に対するブラジルの扱いと関税を関連付けた。書簡は、「ブラジルによる自由選挙と米国人の基本的言論の自由の権利に対する陰湿な攻撃」が関税を課す一因だとしている。ブラジルは、米国が中国に次ぐ第2位の貿易相手国である。関税は4月に発表された10%から大幅に引き上げられる」

 

ボルソナロ氏は、ブラジル国内でクーデター計画などの罪に問われている。トランプ氏は書簡で、ボルソナロ氏の裁判について「魔女狩りで、即刻やめるべきだ」と記した。トランプ氏は7日にも自身のSNSで「ボルソナロに手を出すな」と投稿し、ブラジルで国民による選挙が必要だなどと主張していた。ブラジル大統領府は、トランプ氏に対し「我々は主権国家だ。監視は受け入れない」などと強く反発。7~8日開かれたBRICS首脳会議の議長国声明でも、ルラ大統領は「我々のことには口出しするな」と述べて対立が激しくなっていた。

 

(2)「書簡によると、50%の関税は8月1日に発動され、セクター別の関税とは別に設定される。トランプ氏はまた、グリア米通商代表部(USTR)代表に対し、ブラジルによる不公正な貿易慣行、特に米国企業のデジタル貿易に対する慣行について調査を開始するよう指示した。ブラジルのルラ大統領は7日、トランプ氏が新興国グループ「BRICS」の「反米政策」に同調する国に10%の追加関税を課すと表明したことを受け、世界に皇帝は必要ないと述べ、トランプ氏を批判していた」

 

BRICSは、リオデジャネイロで開いた首脳会議で6日、首脳宣言を採択した。貿易に関しては、関税引き上げが世界貿易を脅かすと警告し、トランプ米政権の関税政策を暗に批判していた。トランプ氏は6日、自身の交流サイト(SNS)に「BRICSの反米政策に同調する国には10%の追加関税を課す。例外はない」と投稿した。

 

ルラ大統領は首脳会議閉幕に当たり、記者団からトランプ氏の警告について問われたのに対し、「世界は変わった。われわれは皇帝を望んでいない」と発言。「(BRICSは)経済の観点から世界をまとめる別の方法を見いだしたいと考える国々の集まりだ」とし、「だからこそ、BRICSは人々を不快にさせているのだろう」と述べた。この発言が、さらにトランプ氏を刺戟したのだろう。ルラ氏は、左派出身である。トランプ氏とは肌合いが合わないタイプである。

 

(3)「ブラジル外務省は9日、ボルソナロ氏を擁護する声明を巡り米国大使館の臨時代理大使を呼び抗議した。ホワイトハウスで行われた西アフリカの指導者たちとのイベントで、トランプ大統領は記者団に対し、ブラジルは「われわれに良くしていない、全く良くない」と述べ、関税率は「非常に、非常に実質的な事実」と過去の歴史に基づくものだと主張していた。在ブラジリア米国大使館は、臨時代理大使がブラジル外務省の関係者と会談したことを確認したが、詳細については明らかにしなかった」

 

ブラジルは、米国から10%関税と最も優遇されていた。それが、ルラ大統領の「反米的」発言によって5倍へ引上げられた。関税が、経済の視点から離れて、外交の観点から取り上げられるという異常な形になってきた。

 

(4)「関税措置の発表を受けて、ブラジルの通貨レアルは対ドルで2%超下落。航空機メーカーのエンブラエルや石油メジャーのペトロブラスなどの企業も米国株式市場で下落した。ルラ大統領は相互主義で行動すると述べ、対抗姿勢を鮮明にした。大統領府は声明で「一方的に関税を引き上げるいかなる措置も、ブラジルの経済相互主義法に従って対処される」とした」

 

ブラジルは、対米輸出が輸出2位にランクされる重要な國である。米国へどのようにして報復するのか。