勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: シンガポール経済ニュース時評

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    シンガポールは、華人社会である。それにもかかわらず、日中対立では日本支援姿勢を明確にして中国を批判している。中国国内では、これを不満としているが理由は簡単。シンガポールは今や、香港が中国支配下に入って中継貿易の地位を失い、シンガポールへ移っているからだ。シンガポールは、自由貿易の恩恵を受けて経済が発展。公用語は英語であるほど。自由の空気を吸っている以上、ルーツは中国でも思想では西側である。この延長で、日本への深い理解が生まれている。

     

    『レコードチャイナ』(12月3日付)は、「日中関係悪化、シンガポールはなぜ日本側につくのか―中国人専門家」と題する記事を掲載した。

     

    中国のSNS微博で、高市早苗首相による「台湾有事」発言をきっかけとした日中関係の急速な冷え込みの中、「関係ないはずのシンガポールが日本側についている」ことに不満を示す書き込みが注目を集めた。

     

    (1)「中国のSNS『微博(ウェイボー)』(12月2日付)で、高市早苗首相による「台湾有事」発言をきっかけとした日中関係の急速な冷え込みの中、「関係ないはずのシンガポールが日本側についている」ことに不満を示す書き込みが注目を集めた。微博で433万人のフォロワーを持つ中国の投資専門家・胡占豪(フー・ジャンハオ)氏が2日、自身の微博アカウント「占豪」で「シンガポールはなぜ日本側に立ったのか」と題した動画つきの文章を掲載した」

     

    シンガポールは、華人社会といえ英語を公用語とし、法制度が英米法系で民主主義社会である。これが透明性の高い金融制度を維持して金融センターとして発展している理由だ。自由貿易港として再輸出が生命線で、ASEAN市場を後背地に持ち、地理的に東南アジアのハブとして機能を果している。中国に支配される前の香港と同じ役割である。政治的安定と治安の良さが、国際企業の拠点移転を後押している。こういう状況である以上、日本支持になるのは当然である。何ら、不思議ではない。

     

    (2)「胡氏は、現在の日中間の関係悪化が「将来的な戦争の伏線となる可能性さえある」とした上で、無関係なはずのシンガポールが日本側に立っていると主張。ローレンス・ウォン首相が11月19日のブルームバーグ新経済フォーラムで「釣魚島」(尖閣諸島の中国名)を「尖閣諸島」と呼んだ上、日中双方に対して「東南アジア諸国が、日本と行ったように歴史問題を脇に置いて前進するよう呼び掛けた」ほか、中国には「これ以上は深入りせず引くべきだ」と説得までしたと伝えた」

     

    シンガポールは、自由で開かれた経済社会である。この視点で中国を眺めれば、いずれ経済が行き詰まることを見抜いているに違いない。中国が、日本と対立することの無意味さを知っているのだ。

     

    (3)「シンガポールが、「日本びいき」となっている理由について、「親米という本質と、地政学的な問題が複雑に影響している」と分析。シンガポールが「東西の仲介役的地位」を失うことを恐れるとともに、東南アジア諸国連合(ASEAN)が一層中国寄りになることを警戒しており、このような外交戦略には「誤った判断が存在する」と指摘した。また、シンガポールが従来の安全保障依存をかたくなに守り続けていることについて「国際的な権力構図の変化を無視しており、地域が協力する中で徐々に疎外されていき、発展の前途を損なうことになる」との見解を示している」

     

    ASEANで、親中派はマレーシア・カンボジア。対中強硬派はベトナム・フィリピン。中立は、タイ・インドネシアであろう。ASEANが、中国寄りになることはあり得ない。南シナ海を中国に不法占拠されている以上、中国と利害関係が反する国が出て当然だ。

     

    (4)「この件について、中国のネットユーザーは「シンガポールの態度には本当に失望する」「シンガポールは元から親中じゃない。東南アジアで中国に対する態度が最も良いのはマレーシアだ」「日本やフィリピン、韓国同様、シンガポールにも米軍がいる」「猫のひたいほどの土地しかない国の連中なんて相手にする必要ない」など、シンガポールやウォン首相に対する批判の声が寄せられた。一方で「私も知りたいんだけど、どうして誰も中国側に立たないのだろう」とコメントするユーザーも。これには「われわれの友人はハマス、タリバン、ロシア北朝鮮ぐらいだから」といった反応が見られた」

     

    中国は、ロシアや北朝鮮と密接な関係を築いているが,それ以外は濃密な関係ではない。共産主義というイデオロギーがなければ、強い関係は成り立たないのであろう。

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    高市首相の「台湾発言」によって、日中関係が緊張している。シンガポールのウォン首相は、日本が地域安全保障においてより重要な役割を果たすことを支持すると表明した。その上で、歴史についての固定概念は捨てるべきとの考えを示した。中国を念頭に置いての発言とみられる。香港メディア『香港01』が伝えた。中国外務省は、「中国は、日本の右翼勢力が歴史の流れを逆行させることも、外部勢力が台湾に干渉することも、日本の軍国主義が再び台頭することも、決して容認しない」としている。シンガポールのウォン首相は、こういう中国の「前時代的発言」を指しているものと理解される。

     

    『レコードチャイナ』(11月23日付)は、「シンガポール首相、中国念頭に「歴史関連の固定概念捨てるべき」―香港メディア」と題する記事を掲載した。

     

    シンガポールのローレンス・ウォン首相は19日、同国で開催されたブルームバーグ新興経済フォーラムの晩餐会に出席し、日本の高市早苗首相の台湾に関する発言によって日中関係が緊張したことについての考えを述べた。ウォン首相は、日本が地域安全保障においてより重要な役割を果たすことを支持すると表明した上で、歴史についての固定概念は捨てるべきとの考えを示した。中国を念頭に置いての発言と理解できる。香港メディア『香港01』が伝えた。

     

    (1)「ウォン首相は、シンガポールと他の東南アジア諸国は日本が地域でより重要な役割を担うことを支持すると述べた。さらに、日本が担う役割には安全保障の最前線も含まれ、一層の安定を促進するためと説明した。ウォン首相はまた、日中両国は互いに重要な貿易相手であるにもかかわらず、領土問題、戦争の歴史、日米同盟のために関係が複雑になっていると指摘し、「私は両国がこれら非常に複雑な問題を解決する方法を見出すことを望む。東南アジア諸国はすでに日本とそれを成し遂げている。東南アジア諸国の我々は歴史を脇に置き、前進し続けている」と述べた」

     

    中国こそ、南シナ海を不法占拠してアジアの不安を煽っている張本人である。台湾海峡は公海であり、中国がここで軍事行動を始めることは、日本にとって大きな影響が出る。紛争が始まれば、「傍観しない」ことは中国も承知していることだ。台湾侵攻は、決して中国の内政問題ではない。内政問題と主張する中国が、国際法違反である。

     

    (2)「ウォン首相は、日本の首相高市早苗の「台湾有事」発言についての直接の論評はしなかったが、「日本はむしろ中国との関係を安定させようとしているように見える。事態をエスカレートさせようとしているのではない」との見方を示し、さらに「中国も同じ態度を保つことを望む。たとえ意見の相違があっても、共存し協力することは可能だ」と述べた。ウォン首相は日本について改めて、「東南アジアで最も信頼される貿易相手の一つであり、シンガポールおよび東南アジア諸国は、日本が地域でより重要な役割を担うことも支持している」と強調した。そして、日本の役割には安全保障分野も含まれ、この地域に一定の安定をもたらすものだとの考えを示した」

     

    日本は、ウォン首相が指摘するように「事態をエスカレートさせようとしているのでない」。中国は、地域の安全維持のためにも、台湾への軍事行動をしないことに務めるべきである。中国が、台湾問題は内政問題だから「軍事侵攻は当然」という理屈は、台湾を統治していない以上、「違法」である。これが、国際法の解釈である。

     

    (3)「ウォン首相は米中関係について、両国間には依然として対抗関係と相互の猜疑心が存在しているが、最近の交流によってもたらされた「一時的休戦」と防護柵は安定維持にとって極めて重要と考えると述べた。また、米国は「一つの中国政策」を維持しており、米国が中国政府の「レッドライン」を本当に踏み越えるような事態が起きない限り、台湾海峡で戦争が勃発する可能性は低いとの考えを示した」

     

    米国が、「一つの中国政策」を維持している限り、台湾海峡で戦争が勃発する可能性は低い、とウォン首相は指摘する。つまり、中国が軍事進行する理由がない、という立場だ。 

     

     

     

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    世界的な少子化と平均寿命の伸びによって、高齢化時代が共通の現象になってきた。シンガポールの労働部(日本の省庁に相当)が、71日から単純労働職に従事する外国人に向け発給する就職ビザ(WP)の申請年齢を引き上げた。現在の「満50歳未満」から、「満60歳以下」へと改正する。ゴールドマン・サックス研究所によると、現在の70歳は53歳へと一挙に17歳も若返る計算になるという。

     

    『朝鮮日報』(8月17日付)は、「世界的な高齢化、『70歳は新たな53歳』」と題する記事を掲載した。

     

    シンガポールは、高齢化による労働力不足を克服するため、2022年に定年を62歳から63歳に引き上げている。外国人労働者の年齢制限もこれに合わせて緩和することにしたわけだ。シンガポールは、来年は64歳、30年には65歳まで定年を延長する予定だ。

     

    (1)「外国人労働者が、高齢化しているのは韓国も同様だ。6月13日、ソウル研究院はソウルに住む外国国籍の住民36万人のうち35.2%が50代以上だとし、「外国人住民も高齢化」していることを明らかにした。韓国国内の単純労務職は中国朝鮮族など外国国籍を保有する同胞が主に受け持っているが、ソウルの外国国籍を保有する同胞のうち64%が50代以上だった。こうした傾向は全国的に共通しており、3K業種の現場では若い外国人労働者の争奪戦が繰り広げられているという」

     

    若い年代は、世界的に減少傾向である。こうなると、「中高年者が労働力人口」の中核になる時代がやってくる。

     

    (2)「昨年、国連人口報告書は寿命の増加と少子化による高齢化を「世界的で取り返しのつかない過程」と規定した。また、「移民では長期的な人口減少や高齢化の効果を相殺することができない」とし「解決策として見てはならない」と述べた。人口を維持できないレベルで出生率が低下している国がすでに多く存在しているほか、発展途上国の若者が先進国に移住すれば、両国共に出生率が下がる現象が現れるというのだ」

     

    人口減少を移民によって補うという政策は、真の労働力不足の対策でない。昨年の国連人口報告書は、こう警告する時代になった。発展途上国の若者が先進国に移住すれば、両国共に出生率が下がる現象が現れるとしている。「過剰人口」という概念は、すでに死語となった。

     

    (3)「ゴールドマン・サックス研究所が、「世界的な高齢化の肯定的ストーリー」という報告書をまとめた。高齢化と同時に「働く期間」が長くなる現象も見受けられるようになってきており、若い世代が高齢化により過重な扶養負担を担うことになるという予想は外れる恐れがあるという内容だ。報告書によると、先進国の平均寿命の中位値は、2000年の78歳から現在は82歳へと高まりを見せる傾向にある。ところが、これまで経済活動期間を意味していた勤労寿命の中位値も34年から38年へと長期化しているという」

     

    日本は、すでに70歳定年が「望ましい」という時代になっている。日本が定年延長の先頭を走っているのだ。ただ、個人差もあるので、くれぐれも「無理は禁物」である。

     

    (4)「同報告書は、人々が「ただ長く」ではなく、「健康に長く」生きるという点に注目している。最新の研究によると、最近の70歳の認知能力は25年前の53歳と同レベルで、より長く働けるようになったということだ。ゴールドマン・サックスはこれを「非常に実質的な意味で『70歳は新しい53歳』」と表現した。先進国における勤労年齢(15~64歳)の人口比率は、現在の63%から2075年には57%へと低下する見通しだ。しかし、勤労寿命が5年増えれば、これに伴う労働力不足も相殺される可能性があるという。「60代現役」が当たり前の時代が近づいているようだ」

     

    最近の70歳の認知能力は、25年前の53歳と同レベルという。これは、健康意識の高まりがもたらした成果であろう。これに合わせて、定年年齢の引上げが行なわれるべきであろう。「70歳定年」どころか、もっと先までも引き上げられそうだが、個々人の選択であろう。

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