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中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が、フランス工場の売却を検討している。同社初の海外工場で、2025年末以降に通信基地局向けの部品を生産するはずだった。欧州各国では、通信網から同社製品を排除する動きが広がり、現地生産する計画に狂いが生じている。ファーウェイの通信網「5G」には、バックドアが仕組まれており、北京から操作可能とされている。これを警戒した西側諸国は、一斉に「脱ファーウェイ」を強めている。

 

『日本経済新聞 電子版』(11月6日付)は、「ファーウェイ、初の海外工場を売却検討 欧州で製品排除が拡大」と題する記事を掲載した。

 

複数のフランスのメディアによると、工場は9月に完成したものの、管理職の求人活動は中止され、買収を検討する企業による視察も実施されたという。地元の関係者が24年初めにファーウェイ側から稼働を27年に遅らせる説明を受けたとの報道もある。売却するかどうかの最終的な決定には至っていないもようだ。

 

(1)「工場建設は20年に発表した。フランスのアルザス地方にある製造業が集まる場所で、用地面積は約8万平方メートル。高速通信規格「5G」や1世代前の「4G」の基地局向けの部品の生産を計画していた。投資額は2億ユーロ(約350億円)で、生産能力は年10億個。製品は欧州市場に出荷する予定だった。ただ20年にイギリスやスウェーデンが経済安全保障上の懸念があるとして5G通信網からの同社製品の排除を決定。23年に欧州委員会が加盟国に対し同様の排除を要請した。24年にはドイツも26年末までに排除すると決めた。フランスも28年までにファーウェイ製品を5G網から事実上、排除する方針とされている」

 

工場では、4G・5G基地局向けの部品製造を予定しており、年間10億ユーロ規模の生産と500人の雇用創出が見込まれていた。しかし、2025年11月時点で稼働の兆しがなく、売却の可能性が報道されている。5Gにバックドアが仕掛けられていると警戒されていることも要因。最初、豪州で騒ぎが広がり、米国へ伝播して世界中を揺るがす問題へ発展した。西側諸国は、足並みを揃えてファーウェイの5Gの採用を見送っている。

 

この問題は将来、EV(電気自動車)へも波及する。EVは,最終的に全自動運転を視野に入れている。BYDは、ハンガリーへ工場建設を進めているが、全自動運転時代に入ると、深刻な情報漏洩が懸念される。すでに、イスラエル軍が中国製自動車の採用を止めて、すべて三菱自動車製へ切り替えるとの報道が出ている。

 

全自動運転では、北京からの操作が懸念されており、思わぬ被害が予測される。全自動EVの中枢は、「通信と制御」である。 自動運転EVは、センサー群(LiDAR、カメラ)や通信モジュール(5G/G)、クラウド連携(OTA更新、地図共有)が備えられる。

 

英国では、中国製EVに搭載された通信モジュールや車載OSを通じて、個人情報や位置情報が漏洩する可能性があるとして、防衛関連企業が使用制限をかける事例も報道されている。今回のファーウェイの5G問題は、中国製EVへの大きな障害となりそうだ。中国が、国家として信頼度の低い結果である。

 

(2)「現地報道によると、工場が立地する自治体によるファーウェイへの補助金80万ユーロは支払われていない。欧州でのファーウェイの事業環境は厳しさを増す。ファーウェイの「欧州・中東・アフリカ」地域の売上高は24年に約1484億元となり、19年に比べ28%減少した。調査会社デローロによると、25年1〜6月期の通信設備の世界シェアはファーウェイが31%と首位だった。フィンランドのノキア(13%)やスウェーデンのエリクソン(12%)を上回った」

 

ファーウェイの通信設備は、世界シェアで31%と首位である。だが、欧州工場を竣工したが未稼働で売却するとは、中国の置かれている位置が、いかに逆風に晒されているかを示している。