パナマ最高裁は、中国企業がパナマ運河の港湾運営権所有することは違憲として取り消した。西半球から中ロ勢力の一掃を目指している米国トランプ政権には、「勝利」とも言われている。だが、中国政府は報復を示唆しており、「代償は大きいであろう」としている。
パナマの会計監査官、アネル・フローレス氏は最高裁への提訴を前に、契約違反や未払いによってハチソン・ポーツが少なくとも3億ドル(約460億円)を不正に取得し、純利益の1割をパナマ政府に納めるという合意にも違反していたと指摘していた。最高裁は、この提訴を認めたもの。ハチソン・ポーツ側は、最高裁の判断に対し「法的根拠を欠いている」と不満を表明した。「国内外での法手続きを含むあらゆる権利を留保する」と言及し、国際仲裁に訴える可能性があると示唆していた。
『ニューズウィーク・日本語版オンライン』(2月9日付)は、「中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風」と題する記事を掲載した。
中国は、パナマ政府が香港系コングロマリット、CKハチソンが持つパナマ運河近郊の港湾の運営権を取り消したことへの報復として、中国の国有企業に対し、パナマでの新規事業計画を停止するよう指示した。
(1)「パナマ最高裁は1月29日、中国がパナマ運河を支配していると主張してきたドナルド・トランプ米大統領にとって追い風となる判断を下した。トランプの主張は、中国とパナマの双方が否定している。中南米では、大規模なインフラ投資を通じて中国が存在感を拡大している。米政府はその影響力を懸念し、抑制を図ってきた」
パナマ運河は、米国が建設したものである。それだけに、米国が運河の管理権をパナマへ移譲した後、中国資本が進出したことに「モヤモヤ感」があったはずだ。中国が、素早く潜り込んだ形である。米国艦船の動向を掴む目的もあったのだろう。
(2)「米国は、1999年にパナマ運河一帯の管理権をパナマに移譲したが、現在も運河の最大の利用国だ。全長約51マイルの水路を毎年通過する世界貿易量は、推定で約2700億ドル、全体の約5%に上る。米海軍の艦船も、太平洋と大西洋の間を移動する際にはこの運河を利用している。ブルームバーグの情報筋によると、今回の中国の取引停止によって、数十億ドル規模の投資が失われる恐れがあるという。関係者が匿名を条件に語った。中国の税関当局も、コーヒーや豆類を含むパナマからの輸入品に対する検査を強化しているという」
中国は、パナマ最高裁の判決後にパナマからの輸入品に対する検査を強化して、「嫌がらせ」を始めている。
(3)「報道されている取引停止措置は、最高裁判断に対する報復措置の一環かどうかを問われ、中国外務省の林剣報道官は2月6日、次のように答えた。「中国はパナマの港湾問題に関する立場を繰り返し表明してきた。その立場は明確だ。具体的な状況については中国当局に問い合わせてほしい」。中国の香港・マカオ事務弁公室は3日、今回の裁判所判断を信義違反だとし、パナマは「大きな代償を払うことになる」と警告していた。また、この判断はトランプの圧力によるものだと非難した」
中国のことだ、感情の赴くままに嫌がらせを行うだろう。日本もこの手には馴れている。
(4)「CKハチソン傘下で港湾を運営するパナマ・ポーツ・カンパニー(PPC)は、2021年にバルボア港とクリストバル港での事業について25年間の契約延長を認められていた。しかし昨年、パナマ会計検査院長は不正を理由に、国益を損なう利権の無効化を求める訴訟を起こしていた。
パナマ会計検査院長は、不正を理由に25年間の契約延長を無効化する訴訟を最高裁へ行った。中国は、この判決を不服として「実力行使」を始めている。自国企業の行為は、すべて正しいという前提での行動だ。
(5)「米国務省の報道官は先週、本誌に次のように語った。「我々は、特に中国共産党と関係する企業がパナマ運河周辺で影響力を持つことを引き続き懸念している。その点、一帯一路構想から離脱し、PPCの利権に対する監査を行うなど、中国共産党の影響力を抑制しようとするパナマの姿勢は評価できる」としている」
米国務省の報道官は、パナマの姿勢を評価している。パナマ運河の管理まで中国共産党の影響力が及ぶことに警戒観を示している。
(6)「PPCはパナマ政府を相手取り、国際仲裁の手続きを開始したと明らかにした。中国政府からの批判に対し、パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は5日の記者会見で、「これ以上緊張がエスカレートしないことを望む」と述べる一方、「パナマは尊厳ある国であり、地球上のいかなる国からの脅しも受け入れない」と述べた。パナマ当局は今週初め、ターミナルでの混乱を最小限に抑えるため、デンマークの物流企業マースクの現地子会社が支援に入る用意があると明らかにした」
中国政府が、パナマへ圧力を加えれば国際問題となろう。本来、香港の民間企業が関わった問題である。ここは、静観するのが本来の姿である。

