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ナミビアは砂漠の国だ。アフリカの南西部に位置する国土は、長い海岸線に沿っており漁業も盛んだ。300万人が暮らしており、その60%は24歳以下の若者となる。1人あたり国民総所得(GNI)は4200ドル(約64万円)を超える。機能的で安定した民主主義国家であり、2025年には初めての女性大統領が誕生した。このナミビアは、レアアース(希土類)の宝庫である。日本が発見した高品質なレアアース鉱床は、特に環境負荷が少ない鉱物として注目されている

 

日本は2023年8月、西村経済産業大臣がナミビアを訪問し、鉱業分野や投資環境整備に関する共同声明に署名した。日本はナミビアにおけるレアアースの分離・精製拠点の設置を視野に入れた調査を進めており、経済産業省主導でマスタープランの策定も行われている。

 

『日本経済新聞 電子版』(2月19日付)は、「レアアース『中国支配』崩せるか 目覚めるアフリカ、日本と開発連携」と題する記事を掲載した。

 

レアアース(希土類)などの重要鉱物が豊富なアフリカが新たな資源外交に動き始めた。産出する鉱物を単純に輸出するのではなく、海外から投資を呼び込み、現地加工で付加価値を高める試みだ。アフリカとの連携は、中国による鉱物資源の市場支配に風穴を開ける機会となる。

 

(1)「ナミブ砂漠が広がるアフリカ南西部のナミビアには、レアアースのジスプロシウムやテルビウムが眠る。まとまった量が埋蔵されているかどうか、日本とナミビアが共同探査を進めている。ナミビアは未加工のレアアースやリチウム、コバルトの輸出を禁止している。鉱物の加工・精錬施設を国内に誘致し、現地の雇用を創出するためだ。セルマ・アシパラムサビ国際関係・貿易相は日本を念頭に「お互いに利益のある経済関係を結び、鉱物の共同開発を進めていきたい」と話す」

 

ナミビアが保有する鉱床の特性は、日本の化学的精錬法と合致している。現地での環境負荷を抑えつつ、付加価値の高いレアアース製品を生み出す可能が強い。ナミビア政府は、単なる資源輸出ではなく、現地での産業育成と雇用創出を重視しており、日本の技術移転や人材育成の基本姿勢は、ナミビアと合致している。「ナミビア・モデル」が軌道に乗れば、近隣のアフリカ諸国へ波及する可能性が強まる。現状は、アフリカから中国へ鉱石を輸出している。それだけ、付加価値が低くメリットは少ない。

 

(2)「中国の市場支配は他の重要鉱物にも及ぶ。リチウムイオン電池に使われるコバルトは約75%がアフリカのコンゴ民主共和国で採掘されるが、その99%は未加工のまま中国に送られる。精錬段階で世界全体の80%近いシェアを握るのは中国だ。アフリカは豊富な鉱物資源を抱える。レアアースはナミビアのほか、タンザニアやマダガスカルにもある。航空宇宙や防衛産業に不可欠なタンタルは、埋蔵量の多くは中国だが、コンゴやナイジェリアでも産出される。マンガンの世界埋蔵量の38%、天然グラファイトの25%もアフリカ大陸にある」

 

中国は、早くからアフリカの資源に注目して布石を打ってきた。その手法は、「利益収奪型」である。鉱石を中国へ輸出させる方式だ。現地のメリットは、製品の付加価値に比べて大きく減殺している。ナミビアが、こういう中国方式に反対するのは当然である。

 

(3)「アフリカは、植民地時代に原材料の供給基地だった当時の経済構造が残り、今なお中国や欧州が未加工の資源を押さえている。米ボストン大学の分析によると、アフリカから中国への輸出額の9割近くは鉱物や石油・ガスといった資源が占める。2025年11月に開催されたアフリカ連合(AU)と欧州連合(EU)の首脳会議ではアフリカの不満が表面化した。重要鉱物へのアクセスを求めるEU側に対し、アフリカ側からは未加工の鉱物を輸送するばかりではなく、現地経済の多様化や産業の高度化を求める声が相次いだ。EUは現地での鉱物加工を支援する約束を迫られた」

 

中国は、アフリカの旧宗主国であった欧州が行っていた「利益収奪方式」をそのまま踏襲している。社会主義を看板に掲げる中国が、かつての「資本主義列強」欧州を真似している点で、大きな欺瞞性を抱えている。

 

(4)「中国は14日、アフリカ53カ国からの輸入品に対して無関税措置を5月から実施すると発表した。台湾と外交関係があるエスワティニを除き、ほぼすべての国が関税撤廃の対象となる。鉱物資源が豊富なアフリカを中国につなぎ留め、影響力を拡大する狙いもあるとみられる。日本はどう動けばいいのだろうか。経済安全保障の観点から、官民連携でアフリカでの加工・精錬を支えることが必要な重要鉱物を確保する早道だ。アフリカで無秩序なインフラ開発を進め、巨額の債務を負わせた中国とは異なり、対等なパートナーシップで開発援助を続けてきた日本への信頼感は高い」

 

中国へレアアースなど鉱物資源を輸出しているアフリカ諸国は、中国の関税が無税になったからと言って、鉱石の付加価値の未分配分を取り戻せるはずはない。現地で日本の化学的精錬法が浸透すれば、いずれ中国の鉱石買取り法は窮地に立たされるであろう。