勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: イラン経済ニュース時評

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    ロシアのプーチン大統領は6日、イランのペゼシュキアン大統領と電話協議した。プーチン氏は米国やイスラエルによるイランへの攻撃を巡って、ペゼシュキアン氏に即時停戦や政治・外交的解決への早期再開が必要とのロシアの立場を訴えた。イランでの軍事衝突発生後、両氏が電話したのは初めて。『日本経済新聞 電子版』(3月7日付)が報じた。

     

    米中央軍のクーパー司令官は2月28日の作戦開始から24時間で実行した攻撃は、2003年のイラク戦争開始時の「ほぼ2倍の規模」だと説明した。クーパー氏は5日の記者会見で、一連の攻撃の結果、イランの抵抗は大幅に減ったと強調。初日と比較してイランによる弾道ミサイル攻撃は90%減少、ドローンによる攻撃は83%減少していると強調した。イランの艦船は5日時点で30隻以上沈没したと明かした。『日本経済新聞 電子版』(3月7日付)が報じた。

     

    プーチン氏が、イランへ「即時停戦」を申入れた背景には、イランの軍事施設がほとんど破壊されている厳しい現実を踏まえたものとみられる。あとは、陸上戦となれば悲劇の拡大が予想されるだけに、イランへ停戦仲介を申入れたのであろう。

     

    『中央日報』(3月7日付)は、「イラン大統領「終戦仲裁の動きある」…トランプ大統領「降伏以外に合意ない」と題する記事を掲載した。

     

    米国とイスラエルの先制攻撃で始まったイランとの戦争が1週間続く中、イランのペゼシュキアン大統領が終戦のための仲裁に動く国があると明らかにした。


    (1)「ペゼシュキアン大統領は6日(現地時間)、ソーシャルメディアXに「一部の国が仲裁に動き出した」と投稿した。先月28日の開戦以降、終戦のための仲裁の動きが公式的に言及されたのは今回が初めて。その一方で「しかしこれだけは明確にしておく」とし「我々は域内の平和のために努力するべきだが、同時に国家の威厳と主権を守ることをためらわない」と強調した」

     

    ペゼシュキアン氏は、最高指導者の任務と権限を代行する臨時指導者委員会に参加している。それだけに、投稿の持つ意味合いは大きい。

     

    (2)「また、「いかなる仲裁努力も、イラン国民を過小評価して紛争を触発させた者を明示しなければいけない」とし、米国とイスラエルが自国を先に攻撃した事実を明確にしてこそ仲裁に応じるという立場を表した。イランの政治構造上、大統領は最高指導者に従属する地位だが、最高指導者のハメネイ師が死去した後、ペゼシュキアン大統領は最高指導者の任務と権限を代行する臨時指導者委員会に参加していて、その発言に関心が集まる」

     

    米国とイスラエルが、自国を先に攻撃した事実を明確にしてこそ仲裁に応じるという立場を表した。これは、停戦へ向けた大きな一歩である。

     

    (3)「トランプ大統領はこの日、ソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに「イランとの合意は『無条件降伏』以外にない」と改めて強調した。ただ、「その後、受け入れられる立派な指導者が選択されれば、我々と我々の立派で勇敢な多くの同盟およびパートナーはイランが破滅の崖っぷちから抜け出せるよう絶えず努力するだろう」と明らかにした。また、「イランを経済的にいつよりもはるかに大きく、より良く、より強くさせる」とし「イランを再び偉大に(MIGA)」と表記した。自身の代表的な政治スローガン「米国を再び偉大に(MAGA)にちなんだ表現だ」

     

    トランプ氏は、イランの無条件降伏を主張している。これは、「ディール」であろう。米国の強い立場を示している。

     

    (4)「このようにトランプ大統領が「無条件降伏」を主張し、イランの次期指導者任命にまで関与するという意志を明らかにするなど強硬な立場を固守しているため、今回の戦争がいつ交渉局面に入るかは不透明だ。トランプ大統領は5日、米メディアのアクシオスとインタビューで、イラン政権がハメネイ師の次男モジュタバ師を後継者とする可能性が言及されていることについて「ハメネイ師の息子は受け入れることができない。我々はイランに調和と平和をもたらす人物を望む」と述べた。また、イランがハメネイ師の基調を受け継ぐ指導者を出す場合、米国は「5年以内」にまたイランを相手に戦争をするしかないと警告した」

     

    停戦の実現には、イランのメンツと米国の「強者」の立場をどう折り合いを付けるかだ。世界的な原油価格の急騰は、今秋の中間選挙を控える米国にも不利である。


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    イランは、イスラエルと米国の攻撃によって、最高指導者のハメネイ師が殺害され、今やほぼ孤立無援の状態にある。長年の親密国であるロシアと中国は、攻撃に対する外交的な非難と懸念表明しか提供していない。これまでの密接な関係は、紙のごとく薄いものであったことを示した。イランは、追詰められている。

     

    『ロイター』(3月6日付)は、「孤立イランが報復、ロシア・中国が静観する理由」と題する記事を掲載した。

     

    イランは、中東を越えて報復攻撃をすることで応酬した。ミサイルやドローン(無人機)の攻撃は世界のエネルギー市場に衝撃を与え、米国から中国に至るまでの各国政府を震撼させ、世界の石油供給量のうち2割を担うホルムズ海峡経由の海上輸送をまひさせている。イランのミサイルはキプロスやアゼルバイジャン、トルコ、湾岸諸国にまで到達し、極めて重要な企業やエネルギーインフラ、米軍基地を標的とした。石油施設や製油所、石油の主要供給ルートが攻撃を受け、原油と天然ガスの供給に深刻な混乱が生じた。

     

    (1)「アナリストらによると、ロシアと中国の事態を静観する姿勢は、冷徹な計算に基づいている。ワシントン研究所のロシア専門家、アンナ・ボルシェフスカヤ氏は「ロシアのプーチン大統領には他の優先事項があり、その最たるものが(侵攻した)ウクライナだ」とし、「ロシアが米国との直接的な軍事衝突に踏み込むのは愚かな行為だろう」と指摘した。ロシアの高官筋は、「イランとその周辺およびペルシャ湾での情勢悪化は、既にウクライナでの戦闘からの関心をそらしている。これは紛れもない事実だ。他には『失った同盟国』への感情論があるに過ぎない」と語った」

     

    ロシアには、冷酷な計算がある。世界でのウクライナ侵攻への関心が薄くなることだ。もはや、イランへの同情を示す余裕もなくなっている。

     

    (2)「紛争が激化する中で中国、ロシアの両国は制約を受けた。中国は湾岸諸国へのエネルギーと貿易への依存やアジアの安全保障上の優先課題に、ロシアはウクライナでの消耗戦にそれぞれ縛られた。その結果、明白な逆説が生じている。それは、イランが両国にとって戦略的に有益であり続けているものの、戦って守るほどには有益ではないということだ」

     

    ロシアと中国にとって、イランは米国と戦ってまで守る価値がないということだ。これまでの両国は、国際連帯を「ポーズ」として見せつけてきた。そうとも知らずに、心底から中ロを「頼りになる存在」と位置づけてきた国々には、冷水を浴びせられた思いであろう。中国は、台湾と国交を結んでいる国々へ甘言を弄して接近し断交させてきた。その甘言は、イランが例のように、いざというときの「保険」にはならないであろう。

     

    (3)「中国の抑制的な対応は、長年の戦略を反映している。それは中核的な利益を守るため、遠く離れた地域での拘束力のある安全保障上の約束を避けるという戦略だ。カーネギー国際平和財団のエバン・フェイゲンバウム氏は、米国の同盟が相互防衛義務に基づいているのとは異なり、中国は貿易・投資・武器販売を基盤とする連携を好むと指摘。こうした関係は、東アジアを越えた高コストな紛争に中国が巻き込まれることを防いでいると説明した」

     

    中国は、東アジアを越えた高コストな紛争に巻き込まれないという壁を立てている。それ以外の地域では、張り子の虎にすぎない。一帯一路は、ビジネス用で「中国利益」のために存在するワンウエイ(一方通行)だ。

     

    (4)「中国は、貿易およびエネルギー購入で世界最大級の国である。イランや、イランのライバルであるイスラム教スンニ派の湾岸諸国との関係を維持している。中南米でも、トランプ米大統領が今年1月に当時のマドゥロ大統領を拘束させたベネズエラだけに全力を注ぐことは決してなかった。これに対し、ワシントン研究所のヘンリー・トゥーゲンンダット氏は、「中国がさらに何かを行いたいと思ったとしても、戦略的関心や軍事資産を中核的な安全保障から移すことはないだろう」と指摘。その上で「中国が関心を持っているのは、外国での自国の評判だけだ。中国が関心を持っているのは台湾と南シナ海、そして米国と日本からの脅威と認識されているものだけだ」との見方を示した」

     

    これまで、中国は中東外交に乗り出したとして注目を集めてきた。だが、肝心の時には、姿を見せず、見当違いの「新日本軍国主義論」とやらを吹聴して回っている。外交戦略がズレているのだ。

     

    (5)「イランを巡る紛争は、中国にとって有利に働く可能性さえある。中国は、米軍が東アジアから遠く離れた場所で足止めされ、兵器の備蓄が枯渇する様子を傍観しながら、米国の能力や作戦をリアルタイムで観察することができる。培った知見は、将来の台湾に対するシナリオを考えるのに役立つだろう。中国の大きな弱点は、ホルムズ海峡を通るエネルギーの流通にある。中国の石油輸入のうち約45%はホルムズ海峡を経由している。しかし、専門家によると中国は戦略的な備蓄を既に構築し、タンカーや貯蔵施設に相当量のイラン産原油を確保している」

     

    中国が、米国へ一目置いた腰の引けた姿勢の背景には、深刻な自国経済の停滞がある。米国の機嫌を損ねたら、輸出に大きな影響が出るという危惧だ。3月から4月にかけてのトランプ訪中を実現させて、中国国内での権威立直しに利用したいという目先の利益だけだろう。

     

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    米国が、イランのドローン(無人機)迎撃に高いコストを費やしている。大量生産が可能なドローンの波状攻撃に、16億円相当という地対空誘導弾パトリオットミサイルで対応する。戦闘が、長引けば米国の防空ミサイルが不足しかねないという新たな悩みが出てきた。

     

    『日本経済新聞 電子版』(3月6日付)は、「米、ドローン撃墜 高コスト ミサイル16億円 在庫枯渇の懸念」と題する記事を掲載した。

     

    在韓米軍が配備するパトリオットの中東への移転を検討していることが6日分かった。韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外相が同日の国会内の質疑で、移転を巡り米国側と協議中だと明かした。

     

    (1)「米戦略国際問題研究所(CSIS)によると、イラン製の攻撃ドローン「シャヘド136」は製造コストが1機あたり3万5000ドル(約550万円)と推定される。米中央軍によると、米国とイスラエルの攻撃を受けたイランは弾道ミサイル500発、ドローン2000機以上を投じた。数万機のシャヘドを保有しているといわれている。欧米メディアは相次ぎ、米国がドローンの撃墜に高額の兵器を利用していると報道した」。

     

    製造コストが、1機あたり約550万円のイラン製ドローンに対して、米軍は1発6億円相当の弾道ミサイルで対応している。コスパから言えば、米国にとっては割の合わない事態だ。

     

    (2)「こうした見方に対して、米軍は迎撃コストを劇的に下げていると説明する。米中央軍のブラッド・クーパー司令官は5日の記者会見で「最近では1万ドルの兵器で10万ドルのドローンを撃墜するために時間を費やしている」と述べた。イラン製ドローンは独自設計のため高額で、米国の技術コストが相対的に小さくなっているとの見方を示した。ドローン迎撃に関する懸念はコストだけではない。防空ミサイルの消費が増えて在庫が足りなくなるとの声もある」

     

    コスパの問題はいずれ解決するとしても、防空ミサイルの消費が増えれば、在庫が足りなくなるという懸念が発生する。

     

    (3)「米CNNによると、ヘグセス米国防長官は3日、連邦議会関係者に対してイラン攻撃に関する非公式の説明を実施した。その際、シャヘドが想定よりも大きな脅威であると認めた。パトリオットや地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を使っても、低空を飛行するドローン全ての撃墜は難しいという。民主党のマーク・ケリー上院議員は、戦闘の長期化が米国の防空ミサイルの在庫不足を招く可能性を指摘した。「パトリオットの在庫は十分だ。我々の防空システムには余裕がある」。米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長は4日の記者会見でこう説明し、懸念払拭に努めた」

     

    米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長は、パトリオットやTHAADの在庫不足懸念を否定するが、戦闘の長期化が起これば対応を迫られる。

     

    (4)「米国は、2025年6月にイランを攻撃した「12日間戦争」で保有するTHAADミサイルの25%にあたる100発以上を使用したとされている。トランプ米大統領は2月28日に始めたイラン攻撃が「45週間」続くと語る。25年6月より戦闘が長く続けば、防空ミサイルの消費がかさむ。在韓米軍からの移転の検討も、中東で在庫が不足しかねないとの見方を強める」

     

    在韓米軍からのTHAAD移転問題が燻り始めている。韓国は、これが現実化すれば対北朝鮮防衛上も由々しき事態と警戒を強めている。

     

    (5)「米国は、ロシアの侵略を受けるウクライナ支援も続けてきた。米国が供与するパトリオットミサイルは、ウクライナの防空の要だ。米国が中東で在庫を使い果たせば、ウクライナの防空態勢が弱体化するおそれがある。国防総省は、防空ミサイルを製造する防衛大手に対し増産を求めた。米ロッキード・マーチン1月、THAAD向けミサイルの年間生産数を今後7年間で現行の96発から400発まで増やすことで国防総省と合意した。パトリオットミサイルの生産数も30年までに2000発まで増やす。25年は計620発だった」

     

    ロッキード・マーチン1月、国防総省とTHAAD向けミサイルの年間生産数を今後7年間で現行の96発から400発まで増やすことで合意した。パトリオットミサイルの生産数も、30年までに2000発まで増やす。25年は計620発だった。大幅な増産である。

     

    (6)「ミサイル以外のシャヘド撃墜方法も模索する。英フィナンシャル・タイムズによると、国防総省は、ロシア製攻撃ドローンを撃墜するためにウクライナが独自に開発した迎撃ドローンの調達を協議している」

     

    米国は,新たにウクライナ製の迎撃ドローンの調達を協議している。イラン製ドローンよりも安いのかどうか。コスト的には、大差はないであろう。

     

     

     

    テイカカズラ
       

    イラン紛争が、最終局面を迎えているとの指摘が出てきた。イランのミサイル発射回数が減少しているからだ。現状のペースでは、あと数日間のミサイルしか残っていないと西側関係者は述べている。ただ、イランが作戦を長引かせるため、ミサイル発射を抑えているとも考えられるとも指摘している。

     

    トランプ米大統領は、紛争終結後のイランにおける米国の役割について顧問らと協議している。ホワイトハウスの報道官が明らかにしたもの。トランプ氏は、イランにおける米軍の活動が「非常にうまくいっている」と述べた。これに先立ち、ヘグセス米国防長官は、米軍がイランの艦船「ソレイマニ」を撃沈したと明らかにした。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月5日付)は、「トランプ氏、紛争終結後のイラン介入『積極的に検討』 米軍はイラン艦船撃沈」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は、紛争終結後のイランにおける米国の役割について顧問らと協議している。ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官が明らかにした。

     

    (1)「レビット氏は、「われわれは、イランが無法なテロリスト政権に率いられることを望むだろうか。当然ながらそうではない」と言明。トランプ氏は顧問団や国家安全保障チームと共に、米国が果たす役割について「積極的に検討し、協議している」と述べた。レビット氏はまた、米軍による「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」作戦の四つの目標を読み上げたが、そこにイランの政権転覆は明示的に含まれていなかった。その上で、トランプ氏は米軍部隊の地上派遣の可能性を排除していないとしつつ、現時点では作戦計画には盛り込まれていないとした」

     

    米国は、イランの「戦後処理問題」を協議し始めている。現時点では、米軍部隊の地上派遣の可能性は盛り込まれていない。空爆だけで、大勢を決められるという判断だ。

     

    (2)「トランプ氏は4日、イランにおける米軍の活動が「非常にうまくいっている」と述べた。また、「彼らの指導部は急速に崩壊している。指導者になりたがる者は、みんな最終的に死んでしまう」と語った。30年以上にわたりイランを統治してきた最高指導者ハメネイ師は、2月28日の作戦開始時の攻撃で殺害されており、その後継者はまだ正式に指名されていない。トランプ氏は自身の2期目では「思っていたよりも少しだけ」軍事力に頼っている状況だと説明。その上で米国がイランを先に攻撃していなければ、「彼らはイスラエルに攻撃を仕掛け、もし可能ならわれわれにも一撃を加えていただろう」と語った」

     

    死亡したハメネイ最高指導者の葬儀日程が延期されている。米国やイスラエルの攻撃を警戒しているものであろう。米国の作戦が、予定通り進んでいる証拠かも知れない。

     

    (3)「イランによる弾道ミサイルの発射回数が減少している。現在のペースに基づくと、同国政府が保有するミサイル備蓄はあと数日分しか残っていない可能性がある。ただし、発射回数の減少は、イランが作戦を長期化させるためにミサイルを温存しているためかもしれない。ある西側当局者が指摘した。同当局者は発射回数の減少について、米国とイスラエルによるイランのミサイル発射施設およびミサイル製造施設への攻撃の成果だと指摘した。別の西側当局者は、イランは高度なミサイルの発射能力が低下する一方で、ドローン(無人機)などのより安価なシステムを使用して絶え間ない攻撃を継続することは可能だとの見方を示した」

     

    イランが、保有するミサイル備蓄はあと数日分しか残っていない可能性があるという。あるいは、攻撃回数を減らして持久戦に持ち込む狙いとも読める。

     

    (4)「中東地域を管轄する米中央軍のブラッド・クーパー司令官は3日、イランの数百に及ぶ弾道ミサイルや発射装置、ドローンを標的に攻撃した結果、米国と中東地域のパートナー国に対するイランの攻撃能力は低下していると述べた。弾道ミサイルは、イランが保有する兵器の中で最も殺傷能力が高く、迎撃が難しい。イランの標的となっている米国、イスラエル、および湾岸諸国は、弾道ミサイルを撃墜するために高価な迎撃ミサイルを使用しており、その消費ペースに懸念が高まっている」

     

    米国や湾岸諸国は、弾道ミサイルを撃墜するために高価な迎撃ミサイルを使用している。消費ペースに懸念が高まっている。

     

    (5)「イラン革命防衛隊(IRGC)は、隣国イラクのクルド人分離主義組織の拠点に向けてミサイル3発を発射したと発表した。トランプ氏はイラクのクルド人指導者らと会談している。米当局者によると、同氏はイランの政権転覆を目指して武器を取る用意のある勢力を支援することに前向きな姿勢を示している。イランでは、イラクとの国境沿いにクルド人が多数派を占めており、その多くがより高度な自治権を求めている」

     

    トランプ氏は、イラクのクルド人指導者らと会談している。クルド人は、イラン革命防衛隊へ反撃する準備を進めている模様だ。この動向次第では、今回のイラン攻撃作戦は大詰めを迎えるのかも知れない。


    テイカカズラ
       

    中国は、平常時にはイランと親密な関係を結び、海軍の合同演習もしている関係である。だが、米国とイスラエルによるイラン攻撃に対して抗議の声明を出しただけに終った。支援は、言葉のみである。中国は、自らの手を汚さず国際秩序の支持者と位置付けている。戦闘停止後のイランを統治する者が誰であれ、協力するための準備を進める公算が大きいと指摘されている。つまり、外交的にうまく立ち回る術を心得ているのだ。

     

    『レコードチャイナ』(3月4日付)は、「中国はなぜイランを見殺しにするのか―独メディア」と題する記事を掲載した。

     

    34日、独国際放送局『ドイチェ・ヴェレ』中国語版(3月4日付)は、「中国はなぜイランを見殺しにするのか」と題し、独紙『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』(FAZ)やスイス紙『ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング』(NZZ)といったドイツ語メディアの報道を引用して、イラン危機で中国が「静観」を選んだ背景を報じた。

     

    (1)「記事はまず、FAZの分析を引用し、中国とイランが数十年来の伝統的盟友でありながら、北京がイランへの具体的支援を避けている背景を紹介。イランを「生死にかかわる同盟国」とは見なさず、中東全域の貿易相手との関係を重視する「取引ベースの機会主義的戦略」が根底にあると指摘した。また、中国はイランよりもサウジアラビアからはるかに多くの石油を輸入しており、イラン原油が中国の輸入全体に占める割合はわずか12%にすぎないと紹介。21年に締結された25年間で4000億ドル(約62兆8000億円)の対イラン投資協定も実行は極めて限定的であることにも触れた」

     

    中国は、イランを「生死にかかわる同盟国」とは見なさず、石油輸入国の一つという認識だと喝破している。普段は、親密な素振りを見せながら肝心の時は背を向けるというタイプの国である。なによりも、中国とイランには共通の価値観が存在しないのだ。中国は、無宗教国家である。イランは、名うての宗教国家である。価値観が合うはずがない。中国は、21年にイランへ25年間で4000億ドルの投資協定を結んだが、進捗状態は遅れている。中国に熱意がないからだ。

     

    (2)「その上で、中国がイランに監視技術や防空システム、弾道ミサイルの核心材料を提供しているとされながらも、米国との安定した関係を損ねてまでイランを支援する意思はないと分析。中国紹興文理学院中東研究所の范鴻達(ファン・ホンダー)主任が「中国はすべての地域大国と良好な関係を保とうとしているが、すべてを一つの国に賭けることはない」と述べたことを伝えている」

     

    中国にとっては、米国との関係維持が最重点課題である。イランを支援して,米国の怒りを買ったら元も子もないのだ。こういうドライな関係を見せつけられると、一帯一路関係国は、中国不信へ陥るであろう。

     

    (3)「記事は一方で、NZZの論評が静観戦略のリスク面に着目したことを紹介。イラン産原油の長期的な供給停止はエネルギー安全保障を直撃するほか、サウジアラビアが米国に接近しており、中国が行使できる政治的空間が縮小していると指摘したことを報じた。さらに、中東の不安定化は「一帯一路」構想にも波及する可能性があり、海上シルクロードの要衝である中東航路が脅かされることで、保険料の高騰やタンカーの迂回が中欧貿易全体のコストを押し上げ、代替となるロシア・中央アジア経由の陸路も、不安定な政治パートナーへの依存を深めるというジレンマを生むと論じたことを紹介している」

     

    中国は最近、中東へ接近している。だが、イラン問題では「尻尾を巻いて」米国側との関係重視にシフトしている。普段の米国批判は、すっかり消えているのだ。こういう姿を見ている一帯一路関係国は、中国への信頼感が崩れているであろう。

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