勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: サウジアラビア経済時評

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    来日したサウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル社長兼最高経営責任者(CEO)は24日、日本への優先的原油販売方針を示した。日本は、「POWER Ashia」(100億ドル)構想により、ASEAN(東南アジア諸国連合)・韓国・インドの原油購買窓口になったことから、将来の世界原油需要の3割を占めるとまで言われ始めている。それだけに、サウジアラビアはUAE(アラブ首長国連邦)に供給独占されないように動き出したものとみられる。

     

    サウジが、日本へ「原油売り込みを掛ける」のは、歴史的転換である。単なる営業でなく、サウジが日本をアジアのエネルギー秩序の中心国として正式に認定したという意味だ。また、サウジは新たな輸送パイプライン建設と日本への出資を要請するなど、「日本を中東戦略の軸」に据え始めた証拠でもあろう。サウジが、日本を「最重要顧客」でなく、「戦略パートナー」と扱い始めたという意味である。中国に代る位置づけである。中国は、外貨事情逼迫で原油輸入を抑制している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(9月24日付)は、「サウジアラムコCEO『原油の供給止めず』 日本での共同備蓄拡大」と題する記事を掲載した。

     

    来日したサウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル社長兼最高経営責任者(CEO)は24日、米イランの軍事衝突で混乱した原油輸出について「止めたことはない。我々は顧客に供給し続ける」と述べた。供給の強靱(きょうじん)性を高めるため、日本などでの原油備蓄を拡大する方針を示した。都内で日本経済新聞のインタビューに答えた。2月に米国・イスラエルとイランの軍事衝突が始まって以来、海外メディアの単独取材に応じるのは初めて。

     

    (1)「米イスラエルに攻撃されたイランがホルムズ海峡を事実上封鎖したのを受け、アラムコは東西パイプラインを迂回路として原油を紅海に送り出してきた。パイプラインは今月10日に攻撃され「一時的な中断」を強いられたが、ナセル氏は「いつ中断があっても通常、数日間だ」と述べた。パイプラインは単線ではなく、すべてを同時に遮断するのは困難だとも説明した。アラムコは攻撃された設備の被害状況は明らかにしていない」

     

    サウジは、イランからパイプラインへの攻撃を受けても、「一時的な中断」に過ぎないと強調している。日本の不安払拭が目的であろう。

     

    (2)「ナセル氏は現在の輸出ルートが、①ホルムズ海峡、②紅海の南の出入り口バベルマンデブ海峡、③紅海から地中海経由――の3つあり、輸送用の船舶が多く必要だと説明した。「湾岸からの輸出が停止したことはない」とも語り、油田地帯のペルシャ湾から輸出が続いていることを明らかにした。タンカー同士の原油の積み替え(STS)にも柔軟に応じているとした」

     

    サウジは現在、3カ所の輸出ルートを保有している。これを武器にして湾岸からの輸出停止を回避している。原油積み替えにも柔軟姿勢としている。サウジは、いかなる事情が発生しても輸出できる体制を強調する。

     

    (3)「市場関係者の間では、ホルムズ海峡外側のオマーン湾での積み替えが活発だとの見方がある。これに関連し、ナセル氏は「我々は第4、第5のルートも検討している」とし、迂回路をさらに増やす方針を明言した。詳細は明かせないとしたが「システムの柔軟性と信頼性を高める」と強調した。新たに周辺国を経由するルートになる可能性がある。「新ルートの整備に日本企業が参加することを期待している」とも語った。備蓄施設やパイプラインの建設が含まれるといい、「我々のパートナーが参加することが重要だ。彼らが受益者になるからだ」と語った。日本との産油国共同備蓄については「能力を増強しようとしている。資源エネルギー庁やパートナー企業と話し合っている」と明らかにした」

     

    サウジは、第4、第5の輸出ルートも検討していると明らかにした。備蓄施設やパイプラインの建設が含まれると言い、日本への出資を期待している姿勢ものぞかせている。サウジが、ここまで柔軟になっているのは、中国が外貨事情逼迫で原油購入を抑制していることだ。中国は、ガソリン・軽油在庫が10年余りぶりの低水準まで減少している。これにより、輸出を減らす事態にまで進んでいる。原油輸入が、外貨圧迫で落込んでいる結果だ。中国は、ここまで追い込まれているのだ。サウジは、中国を見限って日本へ乗換えている。

     

    (4)「ナセル氏は、アラムコが日本や韓国、オランダなど国外に計5000万バレル近い備蓄能力を持ち、軍事衝突後の「初期の供給混乱を管理するのに役に立った」としてチョークポイント(要衝)外に在庫を持つ意義を訴えた。一方、紛争の影響で「危機前と同じようには生産していない」と認めた。「原油販売契約を結ぶ日中韓など顧客企業からは調達の希望が引き続きある」と語った。石油輸出国機構(OPEC)によるとサウジの原油生産量は8月に日量約624万バレルと、2月の1088万バレルから急減している」

     

    サウジは、2月の原油生産日量1088万バレルが、8月に同約624万バレまで低下している。中国の購入停止が響いているのであろう。原油取引は米国ドルである。中国は人民元決済を呼びかけたが拒否されている。

     

     

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    米国・イスラエルとイランの戦闘を巡り、ペルシャ湾岸諸国の考え方に変化が生じている。当初は、米国にイラン攻撃をやめるよう要請していた。今は、イランが湾岸諸国の石油施設や経済に脅威を与える能力を失うまで、軍事作戦を徹底してほしいとの声が大勢となっている。これ以上、戦闘を続けていると、停戦へのきっかけを失う危機に向い始めた。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月24日付)は、「サウジやUAEに参戦の動き、イランへの忍耐『無限でない』」と題する記事を掲載した。

     

    米国と同盟関係にあるペルシャ湾岸諸国が、イランとの戦闘に加わる方向へと傾きつつある。相次ぐ攻撃で経済が打撃を受けているほか、イランが長期にわたりホルムズ海峡を支配するリスクに直面し、より強硬な姿勢になっている。

     

    (1)「事情に詳しい複数の関係者によれば、サウジアラビア政府は最近、米軍がアラビア半島にあるキング・ファハド空軍基地を使用することを許可。サウジは戦闘開始前、イランへの攻撃に自国の施設や領空を使用させないと表明していた。これは、戦争に巻き込まれないようにするためだったが、イランがサウジの重要なエネルギー施設や首都リヤドにミサイルやドローンで攻撃し始めたことで、その狙いは失敗に終わった。関係者らによると、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は現在、抑止力の再構築に注力しており、イランへの攻撃に加わる決定に近づいている。関係者の1人は、同国が参戦するのは時間の問題だとしている」

     

    サウジは、イランへの攻撃に加わる決定に近づいている。関係者の1人は、同国が参戦するのは時間の問題だという。切迫している。

     

    (2)「サウジのファイサル・ビン・ファルハン外相は先週、記者団に対し、「イランによる攻撃に関し、サウジアラビアの忍耐は無限ではない」と発言。イランはこの発言前に湾岸地域のエネルギー関連インフラに一連の攻撃を行っていた。ファルハン氏は「湾岸諸国が攻撃に対応できないという考えは誤り」とした。一方でアラブ首長国連邦(UAE)は、イラン政府が所有する資産の取り締まりに着手。イラン政府にとって重要な生命線を脅かしつつ、同時に軍を動員するかどうかを検討している。さらにイラン軍の能力の一部を無傷のまま残すような停戦には反対し、ロビー活動を展開している」

     

    アラブ首長国連邦(UAE)は、軍を動員するかどうかを検討している。イラン軍の能力の一部を無傷のまま残す停戦には、反対するロビー活動を転回中。UAEも、イランの無差別報復に怒り心頭である。

     

    (3)「UAEは長年にわたり、イラン企業や個人にとって金融ハブとなっているが、UAE政府は戦争初期に激しい攻撃を受けた後、数十億ドル規模のイラン資産を凍結する可能性があると警告していた。イラン政府にとってこのような動きは、国内経済がインフレと制裁で打撃を受ける中で、外貨や世界の貿易ネットワークへのつながりを大幅に制限する可能性がある。湾岸諸国は、公にはイランへの攻撃に参加せず、またその目的で領空を使用させないとしている。だが実態は、それほど明確ではない」

     

    UAEは長年にわたり、イラン企業や個人にとって金融ハブの役割を果している。この結果、数十億ドル規模のイラン資産の凍結可能性を警告しているほど。もし、これが実現すると、イランには痛手だ。

     

    (4)「UAEとサウジが、イランを直接攻撃すれば、狭い海域を挟んだより大きな敵対国との全面的な戦闘状態になるだろう。またトランプ大統領が突然戦争の終結を呼びかけ、イラン政府との対立関係を解決するよう両国に指示した場合、リスクにさらされる可能性がある。またいかなる戦闘への関与であっても、これが象徴的なものにとどまり、戦争の流れを変える可能性は低いとの懸念がある」

     

    UAEとサウジが、イランへ報復戦争を始めると事態が複雑化する。トランプ氏が、

    停戦の構えを見せ始めているだけに、停戦効果を疎外することにもなりかねない。

     

    (5)「イランは最近、戦争終結後にホルムズ海峡の運営で役割を果たしたいと主張。同国政府は航行する船舶を攻撃することで同海峡を封鎖しているが、一部の優遇された船舶の通過は許可している。事情に詳しい複数の関係者によれば、イラン政府は最近、エジプトがスエズ運河で行っているようにホルムズ海峡でも通行料を徴収したいとアラブ諸国の当局者らに伝えている。アラブ諸国の複数の当局者によれば、湾岸諸国の中でも特にUAEとサウジの指導者らはトランプ氏と定期的に電話会談しており、イランの軍事能力を破壊する任務をまず完了するよう圧力をかけている」

     

    イランが、ホルムズ海峡通過の船舶から「通行料」を徴収すると言い始めた。これは、サウジやUAEに、承服しかねる提案である。

     

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