米国・イスラエルとイランの戦闘を巡り、ペルシャ湾岸諸国の考え方に変化が生じている。当初は、米国にイラン攻撃をやめるよう要請していた。今は、イランが湾岸諸国の石油施設や経済に脅威を与える能力を失うまで、軍事作戦を徹底してほしいとの声が大勢となっている。これ以上、戦闘を続けていると、停戦へのきっかけを失う危機に向い始めた。
『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月24日付)は、「サウジやUAEに参戦の動き、イランへの忍耐『無限でない』」と題する記事を掲載した。
米国と同盟関係にあるペルシャ湾岸諸国が、イランとの戦闘に加わる方向へと傾きつつある。相次ぐ攻撃で経済が打撃を受けているほか、イランが長期にわたりホルムズ海峡を支配するリスクに直面し、より強硬な姿勢になっている。
(1)「事情に詳しい複数の関係者によれば、サウジアラビア政府は最近、米軍がアラビア半島にあるキング・ファハド空軍基地を使用することを許可。サウジは戦闘開始前、イランへの攻撃に自国の施設や領空を使用させないと表明していた。これは、戦争に巻き込まれないようにするためだったが、イランがサウジの重要なエネルギー施設や首都リヤドにミサイルやドローンで攻撃し始めたことで、その狙いは失敗に終わった。関係者らによると、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は現在、抑止力の再構築に注力しており、イランへの攻撃に加わる決定に近づいている。関係者の1人は、同国が参戦するのは時間の問題だとしている」
サウジは、イランへの攻撃に加わる決定に近づいている。関係者の1人は、同国が参戦するのは時間の問題だという。切迫している。
(2)「サウジのファイサル・ビン・ファルハン外相は先週、記者団に対し、「イランによる攻撃に関し、サウジアラビアの忍耐は無限ではない」と発言。イランはこの発言前に湾岸地域のエネルギー関連インフラに一連の攻撃を行っていた。ファルハン氏は「湾岸諸国が攻撃に対応できないという考えは誤り」とした。一方でアラブ首長国連邦(UAE)は、イラン政府が所有する資産の取り締まりに着手。イラン政府にとって重要な生命線を脅かしつつ、同時に軍を動員するかどうかを検討している。さらにイラン軍の能力の一部を無傷のまま残すような停戦には反対し、ロビー活動を展開している」
アラブ首長国連邦(UAE)は、軍を動員するかどうかを検討している。イラン軍の能力の一部を無傷のまま残す停戦には、反対するロビー活動を転回中。UAEも、イランの無差別報復に怒り心頭である。
(3)「UAEは長年にわたり、イラン企業や個人にとって金融ハブとなっているが、UAE政府は戦争初期に激しい攻撃を受けた後、数十億ドル規模のイラン資産を凍結する可能性があると警告していた。イラン政府にとってこのような動きは、国内経済がインフレと制裁で打撃を受ける中で、外貨や世界の貿易ネットワークへのつながりを大幅に制限する可能性がある。湾岸諸国は、公にはイランへの攻撃に参加せず、またその目的で領空を使用させないとしている。だが実態は、それほど明確ではない」
UAEは長年にわたり、イラン企業や個人にとって金融ハブの役割を果している。この結果、数十億ドル規模のイラン資産の凍結可能性を警告しているほど。もし、これが実現すると、イランには痛手だ。
(4)「UAEとサウジが、イランを直接攻撃すれば、狭い海域を挟んだより大きな敵対国との全面的な戦闘状態になるだろう。またトランプ大統領が突然戦争の終結を呼びかけ、イラン政府との対立関係を解決するよう両国に指示した場合、リスクにさらされる可能性がある。またいかなる戦闘への関与であっても、これが象徴的なものにとどまり、戦争の流れを変える可能性は低いとの懸念がある」
UAEとサウジが、イランへ報復戦争を始めると事態が複雑化する。トランプ氏が、
停戦の構えを見せ始めているだけに、停戦効果を疎外することにもなりかねない。
(5)「イランは最近、戦争終結後にホルムズ海峡の運営で役割を果たしたいと主張。同国政府は航行する船舶を攻撃することで同海峡を封鎖しているが、一部の優遇された船舶の通過は許可している。事情に詳しい複数の関係者によれば、イラン政府は最近、エジプトがスエズ運河で行っているようにホルムズ海峡でも通行料を徴収したいとアラブ諸国の当局者らに伝えている。アラブ諸国の複数の当局者によれば、湾岸諸国の中でも特にUAEとサウジの指導者らはトランプ氏と定期的に電話会談しており、イランの軍事能力を破壊する任務をまず完了するよう圧力をかけている」
イランが、ホルムズ海峡通過の船舶から「通行料」を徴収すると言い始めた。これは、サウジやUAEに、承服しかねる提案である。

