オマーンとイランが4日、ホルムズ海峡の通航について協議したことがわかった。オマーン外務省が5日、X(旧ツイッター)に投稿した。船舶が、ホルムズ海峡を円滑に通航できるようにするには、どのような選択肢があるのかを協議したという。だが、イランは単独では公海であるホルムズ海峡を「支配」することが不可能である。イランと中立なオマーンを引き寄せて「共同支配」する狙いが窺える。イランは、したたかである。
『日本経済新聞 電子版』(4月5日付)は、「オマーンとイラン、ホルムズ海峡問題で協議 円滑な通航手段を検討へ」と題する記事を掲載した。
オマーンとイランが4日、ホルムズ海峡の通航について協議したことが分った。会合には両国の政府高官や専門家が出席した。複数の提案が示され、今後検討していく。具体的な内容については明らかにしていない。
(1)「イランのアラグチ外相は3月末、中東の衛星テレビ局、アルジャズィーラのインタビューで、オマーンとホルムズ海峡の将来を決定すると述べていた。ホルムズ海峡では一部の船舶が通過する動きが出ている。商船三井は4日、インド船籍で関係会社が所有する液化石油ガス(LPG)輸送船が同海峡を通過したと明らかにした。インド船籍の船舶は、イランがこれまでに通航許可を出した実績があるとされる」
イランのアラグチ外相は3月31日、中東の衛星テレビ局アルジャズィーラのインタビューで、「輸送の要衝であるホルムズ海峡については、イランとオマーンが海峡の将来を決定する」と主張した。この発言は、イランがオマーンを引き寄せて「イラン支配」という事実を隠そうとする工作であろう。ホルムズ海峡は公海である。この公海をイランの「内海」へ囲うことは絶対に許されぬことだ。
オマーンは湾岸諸国の中で最も中立的で、 イランと良好な関係を持つ国だ。イランが、「オマーンと決める」と言うのは、オマーンを巻き込むことで正統性を演出して、「二国合意」という形で国際社会の批判を弱めようとしている。サウジアラビアやUAEの影響力を排除する狙いも込められているのだ。イランも相当な「策略国家」である。
イランは、「イラン+オマーン」の枠組みを作ることで、湾岸の主導権争いに勝とうとしている。イランの狙いは、封鎖の「出口戦略」を準備していることだ。米国が撤退すれば、
イランは封鎖の名目を失う。だから今のうちに、中立国の船舶を通過させる。封鎖は、「敵国だけを対象にしている」という形を作ろうとしている。オマーンとの「共同管理」を主張したいのであろう。こうしておけば、封鎖を解除しても「敗北」ではなく「合意に基づく管理に見せられるからだ。これは、イランの典型的な「面子を保つ外交」である。
イランは、湾岸アラブ諸国(特にUAE)への牽制をねらっている。UAEは、日本向けに新航路を開き、イランの封鎖を実質的に無力化し始めている。イランは、これを非常に警戒している。それ故、「ホルムズの将来はイランとオマーンが決める」として、UAEやサウジアラビアは口を出すな、という牽制でもあろう。
総合すると、イランは「戦後の海峡秩序」を作り始めている。イランは、すでに米国撤退後の世界を見据えて動き始めている。そのための布石が、中立国の通過許可、選別的封鎖、オマーンとの「二国管理」主張、米国排除のメッセージへと繋がっている。

