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高市首相は、ベトナム訪問で「TPP新規加盟国としてインドネシア・フィリピン・UAE(アラブ首長国連邦)を推薦する」と発言した。サウジアラビアは、早速これに反応。アジア向けに6月から「1バレル4ドル引下げ」を発表した。UAEが、TPP加盟となると日本と組んで、TPP加盟国のベトナム・フィリピン・豪州へ石油製品の輸出に転じると見た結果であろう。早くも前哨戦が始まった感じで、日本がアジアの石油製品輸出の当事者になる可能性を浮き彫りにしている。

 

『中央日報』(5月6日付)は、「サウジアラビア、アジア向け国際原油価格を1バレル当たり4ドル引き下げ」と題する記事を掲載した。

 

中東戦争の影響で国際原油価格が急騰する中、サウジアラビアがアジア向け輸出原油価格を予想に反して大幅に引き下げた。ホルムズ海峡の封鎖により供給支障への懸念が高まる状況下で、市場シェアの防衛と迂回輸出拡大戦略に乗り出したものとみられる。

 

(1)「ブルームバーグ通信によると、サウジアラビア国営石油会社「アラムコ」は、アジア販売用の主力油種である「アラブライト」の6月引渡分の公式販売価格(OSP)を、地域基準価格比で1バレル当たり15.50ドル(約2417円)のプレミアムを設定した。これは5月引渡分比で1バレル当たり4ドル引き下げたもので、過去最高水準だった直近の価格から大幅に後退したことになる。ただし、依然として歴代2番目に高い価格水準だ」

 

サウジアラビアは、6月引渡分の公式販売価格を5月引渡分比で1バレル当たり4ドル引き下げると発表した。ホルムズ海峡の閉鎖が続いている中での決断である。これは、UAEがOPECを脱退して、生産量に枠がなくなった結果、サウジアラビアのシェアが蚕食されることへの防衛であろう。UAEは、日本がTPP新規加盟申請で推薦すると決めたことから、その実現が確実視されている。それだけに市場防衛の挙に出たものだ。

 

UAEのTPP加盟が実現すると、同時加盟の可能性が高いフィリピン・インドネシアの他に、既加盟国の豪州へも一挙に市場が拡大する。これは従来、中国が供給してきただけにサウジアラビアの需要へ響くはずだ。こうなると、「UAE+日本」の石油製品戦略へ対抗せざるを得ないのであろう。

 

(2)「今回の価格調整は、中東戦争で国際原油価格が急騰している最中に行われたものであり、市場の関心を集めている。グローバル指標原油であるブレント油は、2月末のイラン戦争勃発以降、50%以上上昇しており、最近ではホルムズ海峡における緊張の高まりによって4年ぶりの高値まで上昇した。現在、湾岸地域の産油国は、核心的な原油輸送路であるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、輸出に大きな制約を受けている。サウジアラビアは東部油田地帯から紅海沿岸のヤンブー港までつながる内陸送油管を活用し、一部の物量を迂回輸出できる数少ない国の一つに挙げられる」

 

サウジアラビアは、ホルムズ海峡の閉鎖騒ぎで原油輸送が止まっているので、紅海のヤンブー港を使って輸出している。それだけ、UAEがアラビア海フジャイラ港経由の積み出しと比べて不利になっている。このハンディを値引きで跳ね返そうという狙いだ。

 

(3)「ただし、ヤンブー港を通じた供給には追加のパイプライン利用料と物流費用が発生することが分かっている。ブルームバーグは匿名のサウジ原油トレーダーの言葉を引用し、迂回輸出物量には別途費用が反映される可能性があると伝えた。市場では、サウジアラビアの価格引き下げがアジア顧客の離脱を防ぐための措置だという分析も出ている。最近、OPECプラス(OPEC+)が6月から原油生産量を予定より拡大することで合意した点も、供給安定のシグナルと解釈される」

 

市場では、サウジアラビアの価格引き下げが、アジア顧客の離脱を防ぐための措置と受止めている。UAEへの対抗策だ。

 

(4)「これに先立ち、サウジアラビアやロシア、イラクなど主要産油国が参加するOPECプラスは3日に会議を開き、増産の方針を決定した。国際原油価格が急騰する中でも供給拡大のカードを切り、市場安定への意志を示した格好だ」

 

サウジは、OPECの盟主である。それだけに、UAEのOPEC脱退による「自由行動」には、神経を払わざるをえないのであろう。