米中首脳会談が、北京で開かれている。中国は、米国から台湾問題の言質を取って、国内経済建直しを進めたいのが本音である。こうした「国内回帰策」を進める中国が、一帯一路で勢力を使う余裕を失いつつある。すでに、中南米で中国の劣勢が目立つ。第2次トランプ米政権の発足以降は親米政権の成立が相次ぎ、経済でも存在感低下が止まらない。西半球での覇権を譲らないトランプ大統領を前に、10年以上かけて築いた広域経済圏構想「一帯一路」の足場が次々と揺らいでいるのだ。
『日本経済新聞 電子版』(5月14日付)は、「中南米でトランプドミノ 中国『一帯一路』劣勢あらわ」と題する記事を掲載した。
トランプ氏は12日、「キューバは助けを求めている。話し合うつもりだ」と自身のSNSに投稿した。14日の米中首脳会談を控え、これまで「イランの次はキューバだ」と軍事攻撃も辞さない姿勢を繰り返してきた態度をやや軟化させた。
(1)「トランプ政権が1月以降に進めた石油輸送船の海上封鎖などの影響で、キューバの国民生活は困窮を極めている。米国は、キューバ政府が自発的に反米の旗を降ろすのを待つ、いわば「無血開城」のシナリオを描いているとも言われる。中国政府は、「キューバへの外部からの内政干渉に反対する」と米国を非難し、キューバを支援する姿勢を見せてきた。1月のベネズエラ攻撃後にトランプ氏がキューバへの原油供給を断ったエネルギー封鎖も繰り返し批判した」
トランプ米政権が「イランの次」と公言するキューバで、「革命のカリスマ」であるカストロ家の親族が米国の交渉相手に浮上している。米国は徹底抗戦を主張するディアスカネル大統領を公然と無視し、関係者に籠絡の照準を絞った。カストロ氏が、国家評議会議長を退任したのは2018年。94歳となった革命世代になお頼らざるを得ないのが、衰えたキューバの置かれた現実でもある。
(2)「バイデン前政権時代と比べると中国の動きは抑制的だ。23年には、キューバ国内で軍事訓練施設や偵察基地の建設を準備している疑いが浮上していた。25年1月にトランプ氏が米大統領に復帰して以降、こうした動きは鳴りを潜めている。習近平政権は13年から広域経済圏構想「一帯一路」を提唱し、中南米諸国にも支持を広げてきた。ブラジルやメキシコなどを除く20カ国以上が参加を表明し、米国が「裏庭」と位置づける地域にも中国資本が進出していた」
中国は、トランプ氏が政権へ復帰以来、キューバへの接近を抑制している。明らかに、「トランプ流」を恐れている面を窺わせている。
(3)「トランプ政権は1月、南米ベネズエラの首都を電撃的に攻撃してマドゥロ大統領を連れ去り、狙い通りに親米政権の樹立に成功した。武力行使も辞さない「ドンロー主義」を掲げるトランプ氏を恐れ、中南米はさらに親米姿勢を競うようになっている。ベネズエラ攻撃直後の2月、中米パナマは契約違反を理由に香港企業に与えていたパナマ運河周辺2港の管理権を没収した。中国側は強硬に抗議しているものの、トランプ氏就任以降の1年は米中対立に翻弄されたパナマ政府が折れる可能性は小さい。一帯一路からも、ムリーノ大統領が離脱を表明した」
米国が、ベネズエラを急襲以来、中南米の左派政権は鳴りを静めている。パナマも、米国へ合せた政策転換を図っている。パナマが、香港系企業が占めていたパナマ運河周辺2港の管理権を没収した。中国の劣勢は否めないのだ。
(4)「中南米の主要国では中米ホンジュラス、コスタリカ、南米チリ、ボリビアに新たな親米政権が成立した。この間に成立した親中政権はなく、2010年代後半に広がった「ピンク・タイド(ピンクの潮流)」の再来も風前の灯火だ。25年11月のホンジュラス大統領選挙には直前でトランプ氏が介入し、麻薬密輸などの罪により米国で服役していた元大統領を恩赦した。自らが支援する中道右派候補の当選をアシストした。新大統領は台湾との貿易再開も検討すると表明していた」
中南米の主要国では25年以降、相次いで親米政権が生まれている。この裏には、すでに、中国の経済的支援が切れていたのだろう。真相は、「縁の切れ目は金の切れ目」であろう。
(5)「メキシコに続き、3月には南米コロンビアも中国からの鉄鋼などを対象とする追加関税を導入した。メキシコを筆頭に中南米では輸出を米国に依存する国も多く、中国を優先する政策は取りづらい。3月、トランプ氏が自身のゴルフクラブ(米フロリダ州)で開いた「米州の盾サミット」には、中南米の親米政権を率いる12カ国の大統領らが駆けつけた。トランプ氏は「この半球で敵対的な外国勢力が足場を築くことは許さない」と上機嫌で述べた」
中南米の親米政権は3月、「米州の盾サミット」を開いた、この裏には、中国の勢力後退があって親米政権樹立を助けているのであろう。

