日本と豪州、ニュージーランド(NZ)は5月30日、シンガポールで防衛相会談を開いた。日本からNZへの護衛艦輸出について協議したもの。日本は、先に導入を決めた豪州との協力を軸に日豪NZ三カ国の防衛強化で足並みを揃えたいところだ。
豪州が、「もがみ型」護衛艦の採用をすでに決めている ので、NZは条件的に採用へ傾きかけている。だが、NZの財政規模が小さいので、最終判断は予算次第という現実的制約がある。
『日本経済新聞』(5月31日付)は、「『もがみ』型、NZと輸出協議 豪交え防衛相会談」と題する記事を掲載した。
小泉進次郎防衛相と豪州のマールズ副首相兼国防相、NZのペンク国防相が話し合った。小泉氏は会談で「NZが『もがみ』型を選定すれば3カ国間の相互運用性・互換性の向上につながる可能性がある」と伝えた。NZは三菱重工業の「もがみ」型護衛艦改良型を次期フリゲートの候補に挙げている。NZ海軍のアンザック級フリゲートは2030年代半ばまでに設計上の寿命を迎える。もがみ型は英国の31型フリゲートとともに後継艦の選択肢だ」
(1)「日本が、「準同盟国」と位置づける豪州はもがみ型を海軍の次期汎用フリゲートに採用することを決めている。NZ海軍が、もがみ型を採用すれば海上自衛隊や豪海軍と運用や共同訓練などがしやすくなる。小泉氏は記者団に「決して新たな戦争を起こさせないための抑止力や対処力を地域全体で広げていく」と主張した。NZは7日の声明で、採用する艦艇へ海上での戦闘や哨戒、輸送など多様な機能を求めると明記した」
もがみ型の特徴は、省人化(乗員約90名)でステルス性、低コスト運用である。多任務モジュール方式で豪州が採用したことで信頼性が担保されている。NZの海軍規模(小規模・人員不足)には非常に相性が良い。豪州が採用済みあるので、NZにとって最大の後押しになる。豪州は、
11隻のもがみ型導入を決定済み。NZと豪州は同盟関係にあり、 軍装備の共通化を進めている。こういうことから、豪州が採用した=NZも採用しやすい
という構図が成立する。さらに、豪州と日本が共同で整備拠点を持つため、 NZは 維持費を大幅に抑えられるという利点もある。
(2)「豪州は、25年8月にもがみ型の採用を決めた。11隻を導入する。このうち3隻は日本が造り、8隻を豪州が30年代初頭以降に建造する。海自と豪海軍が同型艦を使うことで現場の協力を円滑にし、維持・整備の拠点を日豪に分散する狙いがある。豪州とNZは同盟関係にある。3月に開いた外務・国防担当閣僚協議(2プラス2)で防衛装備品の共通化により安保協力を深める方向性を示した。日本は豪NZの軍事的な結びつきを生かし、艦艇輸出を介した連携の相手を広げる」
NZの財政規模の小さいことが、最大の現実的制約である。NZは、GDPも防衛費も小さく、 フリゲート2隻の更新は国家的な大事業である。もがみ型は比較的安価であるが、NZにとっては依然として大きな負担になる。豪州との共同整備でコストは下がるものの、それでも最終判断は予算次第と言う面がある。つまり、政治的・軍事的には「採用したい」しかし財政的には「慎重にならざるを得ない」という構図だ。
(3)「日豪NZは、中国の海洋進出を共通の安保の課題としている。中国海軍の空母は日本列島を越えて太平洋上で戦闘機の発着艦訓練を繰り返す。同軍のフリゲートなどが25年2月に豪州とNZのあいだの海域で実弾射撃した事例もある。日本は4月に殺傷力がある装備品の輸出規制を撤廃したが、輸出相手は防衛装備品・技術移転協定を持つ国に限っている同協定を結んでいない。小泉氏は記者団に「協定の締結に向け前向きに議論を進める」と述べた」
NZは、地政学的には採用する方向にある。 日豪NZは、 中国の海洋進出を共通の課題としているからだ。NZは伝統的に穏健だが、
中国の太平洋進出(ソロモン諸島など)を受けて 安全保障意識が急速に変化している。そのため、日豪と同じ艦を使う=対中抑止の一体化という政治的メリットが大きい。

