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OPEC(石油輸出機構)を脱退したUAE(アラブ首長国連邦)は目下、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟交渉中である。日本は、UAEのTPP加盟を強力に推薦しており、UAEはこの好意に報いるように秋田県へAI(人工知能)センター建設で出資の意向を固めたと報じられている。UAEが、中東地域でなく日本でのAIセンター投資を決めようとしている裏には、TPP加盟条件をクリアする目的も含まれている。

 

TPPは、世界で最も厳しいデジタル貿易ルールを持つ協定で、加盟には以下が必須になっている。データ保護の高度な透明性、AI・クラウドの安全基準、知財保護、国際的なデジタル取引の信頼性などだ。UAEが、秋田にAIデータセンターを建設へ投資するのは、TPPのデジタル基準に適応するための「実地訓練」目的も含まれている。

 

UAEは、脱石油による近代的産業育成方針を立てている。この国家戦略を遂行するに当たり日本との全面的な関係強化を求めている。具体的には、次のような産業育成計画だ。AI、データセンター、水素、アンモニア、再エネ、宇宙産業、高度製造業などだ。これら分野は、いずれも日本が得意な分野ばかりで、日本・UAEの新しい時代が始まる。

 

日本はこの4月、「POWER Asia」構想を決定した。これは、日本がASEAN(東南アジア諸国連合)・インド・韓国などアジア全体のエネルギー流通のハブとして担うもので正式決定している。世界原油需要の3割が、日本を窓口にして流通するという世界最大のネットワークが出来上がった。UAEは、このPOWER Asiaという大ユーザーと結び付いたことで、長期安定した販売先を得たことになる。日本は、UAEとの密接化によって、原油を持たない「資源大国化」という思わぬ地位を得たことになった。日本とUAEは、原油や新産業育成面で強力は「ウイン・ウイン」関係構築という友好関係が構築されようとしている。

 

『日本経済新聞』(8月7日付)は、「秋田に日本最大級AIデータセンター 建設費2兆円、UAEが投資へ」と題する記事を掲載した。

 

日米企業や秋田県・市が秋田市に日本最大級の人工知能(AI)向けデータセンターを建設する。アラブ首長国連邦(UAE)などが投資する方向で協議しており、整備費は2兆円規模になる見通し。2030年代早期の稼働を目指す。日本政府は戦略17分野の中でデータセンターを主要な製品・技術に位置づけ、地方への分散立地を推進する。秋田県は風力発電などの再生可能エネルギーが盛んで、電力供給で優位性がある。潤沢なオイルマネーを呼び込むことで整備拡大に弾みがつく。

 

(1)「UAEのシハブ・アルファヒーム駐日大使が19日に秋田県を訪れ、鈴木健太知事や沼谷純秋田市長と会談する。県・市との包括的な連携やAIデータセンターの建設について意見交換する。アルファヒーム大使は6日までに日本経済新聞の取材に、政府系ファンドのムバダラ・インベストメントが投資について協議していると明らかにした。複数の関係者によると投資額は数千億〜1兆円規模になる可能性がある。アルファヒーム大使は、「UAEはAI投資額において世界トップクラスで、常に機会を模索している」と説明。デジタルや製造業を含めた投資の多角化で「経済における石油への依存構造を逆転させている」と強調した」

 

UAEは、AI投資に積極的である。TPP加盟促進において、重要な役割を果すからだ。

 

(2)「計画は、米国のAIスタートアップ、BITGRIT(ビットグリット、デラウェア州)とIT関連のエスツー(秋田市)が中心となって進めている。データセンターの規模を示す総受電容量は最大500メガワットを想定し、完成すれば現状で日本最大級となる。新興2社が特別目的会社(SPC)を設立し、ムバダラやその他の海外投資ファンドなどから投融資を受ける。整備費は稼働時点で2兆円規模を見込む。拡張などに合わせて中長期で数兆円の投資を呼び込む」

 

AIセンター整備費は、稼働時点で2兆円規模を見込む。拡張などに合わせると、中長期で数兆円の投資を呼び込む計画である。UAE出資は、強力な援軍になる。

 

(3)「UAEが、秋田県を有望視するのは再生可能エネルギーの先進地域であるためだ。特に洋上風力は県内4海域で200万キロワット以上(一般家庭150万世帯分)の導入が見込まれ、今回のAIデータセンターでも活用する計画がある。データセンターは大量の電力を消費するため、世界的にも電力供給網の整備が追いつかず稼働できないなどのリスクが指摘される。洋上風力の開発が順調に進めば電力の安定確保につながる。近距離に施設を整備すれば送電ロスを減らすことができ、設備冷却に必要な水資源が豊富といった特徴もある。アルファヒーム大使は、「計画を推進する成功要因は数多くあり、協力関係を深めたい」と評価する」

 

UAEには、秋田県が再生可能エネルギーの先進地域であることも好都合である。UAEが、新産業創出で再生エネルギーを掲げているので、洋上風力の情報を得る上で極めて好都合である。

 

(4)「調査会社グローバルSWFによると、UAEの政府系ファンドの運用資産はアブダビ投資庁が1兆1870億ドル(約186兆円)、ムバダラが3850億ドルと世界屈指の規模を誇る。脱石油依存とAI立国を目指し、国内外でデジタル投資を加速している」

 

UAEの政府系ファンドの運用資産は、アブダビ投資庁が1兆1870億ドル(約186兆円)、ムバダラが3850億ドル(約61兆円)と合計247兆円に及ぶ。これだけの運用資産を抱えている以上、弾力的投資が可能になる。