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有力新興国で構成する「BRICS」は12日、インドの首都ニューデリーで開幕した首脳会議で中東緊迫について「深い懸念」を表し「最大限の自制」を求める共同宣言を全会一致で採択した。だが、BRICSのリーダー格を自認する中国は、米国・イラン紛争問題で「しかるべき役割を果たす」と言うだけの、単なるポーズ的発言である。実際には、中東で軍事的リスクを取る意思がないからだ。中国は、「調停者のふり」をしつつ、実質的には距離を置くという狡猾な動きである。自国の経済疲弊が原因だ。

 

『ロイター』(9月13日付)は、「BRICS首脳、中東に「深い懸念」 共同宣言にイラン・UAEも署名」と題する記事を掲載した。

 

BRICS共同宣言は、米国と軍事衝突が続くイラン、米国と同盟関係にあるアラブ首長国連邦(UAE)との間で調整が難航すると予想されていた。だが、初日の採択にこぎ着けたことは両国関係に前向きな兆しと受け止められた。

 

(1)「共同宣言は、「対話、協議、⁠外交を通じて」国際紛争を平和的に解決するという加盟国の決意が改めて示された。さらに、米国の対イラン経済制裁やウクライナとの紛争をめぐるロシアへの制裁などに関し、貿易をゆがめる「一方的な関税や非関税措置」の増加についても懸念を表明した。イランのペゼシュキアン大統領は、首脳会議の合間にUAEアブダビ首長国のハリド皇太子と会談。米イランの軍事衝突開始以降では、イラン・UAE間で最高レ⁠ベルでの会談となった」

 

BRICS共同宣言は、中東情勢に「深い懸念」、「最大限の自制」、「対話・外交による解決」、「米国の制裁への批判」という抽象的な文言しか出せなかった。しかも、イラン(米国と衝突)とUAE(米国の同盟国)が同じ文書に署名したこと自体が、共同宣言の抽象性を示している。BRICSは、中国とロシアが影響力を広げる目的で参加国を増やしたが、米国と密接な国々まで含まれるという「烏合の衆」に堕してしまった。中国外交の失敗である。

 

(2)「アブダビの報道担当部門はXへの投稿で、会談では地域・国際問題や緊張緩和、地域の平和と発展を推進するための取り組みについて協議したと説明した。イランは軍事衝突開始後、UAEに繰り返し攻撃を仕掛けており、8月下⁠旬にも米軍部隊やヘリコプターが駐留するアルミンハド空軍基地を標的にした。在インドのイラン大使館は、ペゼシュキアン大統領とハリド皇太子の⁠会談の写真を掲載。会談内容には触れていない」

 

イランは、UAEへ攻撃を仕掛けるという「犬猿の仲」である。この二国が共同宣言へ署名したのは、実質的な中味がないという証明である。

 

(3)「中国の習近平国家主席は首脳会議で、中東の和平や安定実現のため「しかるべき役⁠割」を果たす用意があると表明。中国国営中央テレビ(CCTV)によると、「当事者は、政治的解決への取り組みを継続し、恒久的で包括的な停戦の達成に向けて努力しなければならない」と述べた」

 

中国は、不動産崩壊、地方政府の財政危機、外貨不足、一帯一路関連債権の不良債権化という構造的問題を抱えている。もはや、海外で大規模支援をする余力はない。BRICS拡大は、「影響力の誇示」が目的であった。現実は、支援できる資金も軍事力もないほど零落している。中国が、米国と事実上「休戦申し入れ」状況にまで追い込まれている以上、イラン問題へ口出しできる経済的余裕を失っている。