「曲がる太陽電池」ペロブスカイトは、日本の「技術」として世界へ羽ばたく動きを見せ始めた。東洋製罐が、ペロブスカイトでオランダのペロビオン・テクノロジーズと5月に提携を発表して協業する。主役は、東洋製罐で欧州市場解体の狙いが込められている。東洋製罐は、ペロブスカイトの「封止材」で強みを持っている。封止材とは、ペロブスカイトが屋外・高温・振動環境などでも耐久性が確保される技術である。
『日本経済新聞 電子版』(9月19日付)は、「ペロブスカイトフィルム、東洋製缶『いつでも量産できる』」と題する記事を掲載した。
東洋製缶グループホールディングス(GHD)が曲がる太陽電池向けで、ガラス並みの性能を持つ封止フィルムの事業拡大を急ぐ。オランダのペロブスカイト型太陽電池製造企業と提携しフィルムの世界展開を目指す。佐藤一弘常務執行役員兼新規事業推進室長は「いつでも量産できる状態」とした上で「封止技術自体の提供も可能だ」と幅広いニーズに対応する考えを示した。主なやり取りは以下の通り。
(1)「(質問)オランダ応用科学研究機構(TNO)、TNO子会社でペロブスカイト型の製造を手掛けるペロビオン・テクノロジーズと5月に提携を発表しました。提携の目的は。(答え)「当社が手掛ける電子デバイス向け封止フィルムのMiraNeo(ミラネオ)シリーズのうち、水分が通り抜ける量を従来製品の1000分の1に抑え、ガラス並みの性能に高めた『超水分バリアフィルム』の社会実装が目的だ。これまで曲がる太陽電池向けでは、銅やインジウムなどの化合物を使ったCIGS型(カルコパイライト)太陽電池向けに有償サンプルを供給し、顧客からの評価を高めてきた。今後はペロブスカイト型向けにも販路拡大を目指す」
東洋製罐は、カルコパイライトの封止材で実績を上げている。この技術をペロブスカイトの封止技術へ広げようというもの。「カルコパイライト+ペロブスカイト」は、太陽光の発電効率が28%まで上がることが分かっている。
(2)「オランダのペロビオン社が開発を進めるペロブスカイト型の発電セルは(量産性の観点で)性能が高い。彼らが持つ量産化計画や生産規模目標などから、組むことでグローバル展開を目指せる。すでにフィルムのサンプルを提供済みで、試作品の製作を進めている。欧米では2030年までにはペロブスカイト型市場が立ち上がると考えている」
東洋製罐は、オランダの提携会社ペロビオン社が開発を進めるペロブスカイト型の発電セルと組む。
(3)「(質問)ペロビオンは30年に、オランダ国内でペロブスカイト型向けセルの量産工場建設を予定しています。(答え)「ペロビオンのペロブスカイト型向けフィルムは日本で生産し欧州に輸出する計画だ。東洋製缶が封止フィルムを供給し、ペロビオンが太陽電池のセルをつくる。現地の別の欧州メーカーが太陽電池として組み立てることを検討する。日本市場向けの製品に関しては、太陽電池の発電層を欧州から輸入し日本で太陽電池として組み立てる構想を描いている。発電層を保護するための樹脂や封止フィルムをさらに保護する背面シートなど、太陽電池全体を保護する封止技術全般をまとめて提供できる強みもある」
東洋製罐はペロブスカイトの一貫メーカーになるのでなく、封止材という重要部分で本領発揮する。だから、欧州企業とも組んで舞台を広げている。
(4)「(質問)曲がる太陽電池向けフィルムで、競合と比べた際の東洋製缶の強みは。(答え)「量産体制の構築や生産能力で先行できている。3Mやコニカミノルタなども研究開発を進めているが、我々はすでに量産設備を稼働できる状態。年間200万平方メートル分のフィルム(封止フィル)を製造できる能力を持っている。ペロブスカイト太陽電池は、高い耐水性や耐候性が求められるが、すでに性能基準はクリアしておりガラス相当の水分透過率の低さがある。現在はフィルムの生産性向上や、厚みを減らすなどのコスト低減に向けて改善を進めている」
東洋製罐は、封止材で年間200万平方メートル分の設備を揃えている。これから、需要先を開拓する。
(5「(質問)CIGS型向けフィルムの販売動向は。(答え)「最終的な目標はペロブスカイトだが、技術確立や事業化が早く進んでいるCIGS型太陽電池でも先んじて市場を取りに行く。CIGS型に比べて低コストで製造できるペロブスカイト型が実用化されれば市場は移行していくだろうが、CIGS型にも一定規模の市場はあるとみている。26年度内に国内で、当社のフィルムを使ったCIGS型を発売する。(出資先のベルギー太陽電池メーカー、エンフォイルなど)欧州企業にフィルムを供給し製造された太陽電池を、東洋製缶が日本で販売する。シリコン型太陽電池の保証方法を踏襲し、10年間の製品保証と25年間の出力保証を付与する」
東洋製罐が、カルコパイライトとペロブスカイトの封止材技術を持っていることは得がたい存在になる。太陽光EVには、「カルコパイライト+ペロブスカイト」が不可欠である。東洋製罐は、鉄鋼メーカーだけに太陽光EVへは、最も近い立場だ。

